日本が恋しいからバンコクに行く

  • 更新日: 2025/05/20

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ジェネリック日本を自分に処方

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ベトナムに住んで11年になる。
日本へは年に2回ほど一時帰国をするが、航空券や滞在費などの点でもう少し気軽に日本を感じたい時がある。
そんな時に私が行くのがタイ・バンコク。
ご存じの通り、バンコクは日系企業や在住日本人が多く、日本食レストランや居酒屋も多い。
私の住んでいるダナンから直行便がいくつか飛んでいて、飛行時間も1時間20分。
うまくチケットが取れれば、1万円位で日本を感じることができる。下手すればベトナム国内の他都市へ行くよりも近くて安い。



ついこの間も突如2日間の連休が取れたので、「よし、スシロー食べに行こう」とバンコク行きを決めた。
清水ミチコさんの自伝エッセイ『カニカマ人生論』では、バブル時代はラーメンを食べに北海道に行く大学生もいた、と書かれていたが、そんなバブリーな行動がこの東南アジアでは可能なのだ。

スシローを食べに行くのが最大の目的なので、宿も安めのところをチョイスする。
しかし以前バンコクに遊びに行った時に“バンコクにはもう慣れているから”と適当に安い宿を取ったら反省部屋みたいなホテルで詰んだ。


▲以前泊まった反省部屋


▲反省部屋のシャワーはヘッドがなく、ホースの蛇口で水浴びスタイルだった

今回は日本人や外国人の口コミ、主にシャワーの水圧や部屋の様子、立地について言及されてる比較的新しいものを参考にする。時々高評価が多くても口コミ1件のみのアカウントがあるが、それはサクラの可能性が高いので参考にしない。

結局「チャトゥチャック市場」の周辺で宿を取った。以前行ったときに賑わっていて、とても楽しかった記憶がある。ただチャトゥチャックはウィークエンドマーケットで、今回は"ど平日"。まあ、何かしら開いているのではないでしょうか。

結果的に、良い宿決めだったと思う。
バンコクにはスワンナプーム国際空港(BKK)とドンムアン国際空港(DMK)、2つの空港があるのだが、今回はドンムアン国際空港着のチケットだった。
そしてドンムアン国際空港からチャトゥチャックへは電車で行けるのである。
渋滞天国のバンコクで、電車だけでアクセスできるのは嬉しい。



ちなみにドンムアン国際空港は1914年からあって、現役の空港としてはアジア最古らしい。タイ空軍飛行場として開港し、1924年に民間航空機の受け入れを開始したそうだ。

* * *

そして当日。



ドンムアン国際空港に着いたら国内線を通り過ぎ、SRTダークレッドライン(電車)の駅を目指す。
今回は寄らなかったが、国内線に用があることもあって、例えばSIMカードは国内線の到着ロビーのほうが安かったりする。あと、フードコートも国内線の「MAGIC Food Park」が安いのでたまに利用する。
今回はスシローへ行くために来たので寄らない。


▲ここがフードコート

SRTダークレッドラインのドンムアン駅は国際線から歩いて15分くらいで着く。


▲シンプルで近代的な造りのドンムアン駅



行き先とプラットホームしか表示されていないが、大体20分おきくらいにくる。
バンコクの電車は、日本のように詳細な時刻表がないのがデフォルトだ。
※ ほかの鉄道、たとえばBTSやMRTは駅のホームに行けばホームの電光掲示板にあと何分で電車が到着するか表示されていたりする。







電車の切符はトークンと呼ばれるこのチップ。 よく転がるし、カバンの中で見失いがちなので注意だ。




SRTダークレッドラインはいつもそこまで混んでいなくて、渋滞と無縁で快適!だが毎回思うのは“寒い” …!
誰に合わせた温度なのだろうか。学生時代にインドで乗った寝台列車も凍えるほど寒くて、ガイドさんに「こんなに寒い必要があるか」と聞いたら「等級が高い列車は寒ければ寒いほどいい、高級の印」と言われた覚えがある。タイもそうなのだろうか。
寒さに耐えたのち、地下鉄に乗り換える。 もちろん地下鉄も寒い。



▲ドリアンは電車に持ち込み禁止だ


最寄り駅に着き、ホテルまで15分程歩く。暑い… ちょうどいいがない……


▲今回の宿はこちら

ホテル名の「Poo Yai Lee」とは、どうやらタイで人気の物語に出てくる村長らしい。
それをモチーフにした宿のようで、建物の入り口から中まで至る所にメインキャラクターのおじがいる。

▲建物の入り口にはおじの銅像

タイは私にとって他の国に行くよりだいぶ敷居が低い。ちょっと近所に行く感覚なのだ。
なんだろう、距離的なものだけでなく、ベトナムもそうなのだが、面倒見がいい人が多い気がする。
日本を感じに来たのだけど、タイが良いから来ているところもあるのだ。

こちらのホテルのスタッフさんも皆、感じが良いので安心した。
チェックインの時間よりも早く着いてしまったのだが、もう部屋使っていいよ〜とのこと。

鍵のキーホルダーがデカくて、絶対失くさなそう。


▲ジャラジャラした鍵

気になるお部屋はどうだろうか。





良かった、反省部屋じゃない。
可愛らしい造りの部屋で、シャワーヘッドもちゃんとある。

事前に読んだ口コミ通り、インテリアもよい。ベッドが硬いという口コミもあったが、私にはちょうどよかった。


▲どちらもシャワージェルと書かれているのは思わぬトラップだった。使ってみても結局どっちがどっちかわからなかった


▲傘やビーサンも用意されていてありがたい。


さて、昼食だ。早速 Grabバイクでスシローへ向かう。



私は普段からバイク移動なので、異国でもやっぱりバイクが安心する。



▲タイのスシロー第1号店・セントラルワールド店

完全に日本だ。
店員さんがタイ人、という以外は完全にスシロー東府中店に転送された気持ちになる(人生で一番行ったスシローの店舗です)。
タブレットももちろん日本語対応、助かる。それなのに私はサービスの項目を見逃していて「ワサビが欲しい」と口頭で注文したらこれでもかってほどワサビくれた。なんかごめん…



スシローうまい!!

私が住んでいるベトナム・ダナンで寿司を食べるとなると日本人が経営しているお店に行く感じになりがちで、それはそれで美味しくはあるのだが、回転寿司には回転寿司の良さがあるのよねぇ。そう思いませんか?
寿司ロボの握る寿司でしか得られない栄養もあるのかもしれない。
そしてこちらのスシロー、時間帯がそうだったのか(?)客層は割と女性一人とかも多かった。「いいよね、回転寿司!」とタイ語ができれば話しかけていたかもしれない。

また、特筆したいのはアサヒの生ビールだ。ベトナムで主流の日本の生ビールと言えば殆どがサッポロなのだが、タイではアサヒ。大手財閥・ブンロート社との提携で2002年から現地生産・販売しているかららしい。ありがてぇ。
しかしメインイベントであるスシローで勢いに任せてビール3杯飲んでしまい、思ったより寿司を食べられなかった…アサヒの魅力に抗えなかった…

このスシローが入っているセントラルワールドはいろいろなお店が500店以上入っているショッピングモール、日本でいうと池袋のサンシャインシティみたいな感じの場所だ。
食事のみならず、もしかしてこのモール内店舗的な雰囲気ということにも私は日本を感じているのかもしれない。


▲ちょっと外に出れば異国。屋台前にいたネコチャン、可愛いですね



▲モール内には紀伊國屋もあり、拙著も販売されている。これは最新版の前のやつなのでぜひ最新版も置いていただきたい…!




気づいたら日も落ちてきたので、Grabバイクでホテルに戻ることにした。
夕飯はホテルで大戸屋のお弁当でもデリバリーしようかしら?なんて考えながらGrabバイクに揺られていると、何か行きより時間がかかる。

夕方のラッシュアワーの時間だし、渋滞のせいかしら。

Grabドライバー「着いたよ!」


▲到着…?

え、ここどこ…?

到着したのは人気のないローカルな雰囲気の路地裏。

Googleマップで確認するとホテルと全く反対方向にいる。

しかしGrabのアプリ上では確かに私のホテル名が記載されている。
どうなってるんだ。

完全にパニックになる私。

英語が通じないドライバーさんにここじゃない!置いてかないで!と何とか伝える。
長い海外生活で培った“表情筋”がここで活きた気がする。

そしてさすがGrabドライバー、これまでも外国人旅行者を乗せてきてトラブルには馴れているのだろう、取り乱す私に対して落ち着いている。
「Grabの本社に確認するから心配しないで待って!」とGoogle翻訳で見せてきた。

ドライバーさんがホテルにも確認の電話をしてくれ、状況が飲み込めてきた。

どうやらバンコクのGrab上に同じ名前のホテルが2つ登録されているらしい。なんでだよ。しかも一方は完全に民家だし。

慣れた土地と思っていたタイ・バンコクに裏切られた。

ドライバーさん:「送って行けるけどここまでの料金にプラスになっちゃうし、30分以上かかるけど大丈夫?タクシーとかにする?」

私:「何でもいい…!」

とにかくこのよくわからない場所から出たい。

ドライバーさんは「わかった!」と追加料金にて送ってくれることになった。





▲バイクにて悲しみの私


このあたりは見たことある。帰ってきた。

ドライバーさんも遠くまで申し訳なかった。
18時半にセントラルワールドを出たのに、ホテルに戻ったのは20時半過ぎ。
大戸屋も閉まってた。残念。


▲一旦落ち着くためにビール

旅慣れた土地とはいえ、ここは外国である。一歩踏み外すと知らないエリアが牙を剥いてくる。この日はもう大人しくしようと近所のセブンイレブンでビールを買い、モスバーガーをデリバリーして心身を労った。
大戸屋がやっていなくても、この国に"日本"はまだまだある。ありがたい。


▲遅くまでやっててくれてありがとう、モスバーガー

* * *

翌朝。





朝食は好きなメニューから選び、作ってもらえるスタイルだった。




昨日の疲れが残っているのでお粥を選んだ。優しいお味。
小鉢には焼いたソーセージ、ひき肉と卵炒め、キャベツ炒めでお粥のお供にいい感じの味付けだった。
パンはご自由にどうぞ、とあり、他の宿泊者も焼いていたので私も何となく一枚焼いてみた。フルーツもあったよ。




チェックアウト前にホテルの敷地内にプーさんらしきものが干されていると思ったら、



人違いだった


この日はホテルからも歩いて行ける、「チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケット」に行ってみる。全然ど平日だけど。

参考に、以前行った時の週末のマーケットの様子を 。


▲週末のチャトゥチャック

チャトゥチャックは約1.13km²の広大な面積を持つ、週末に開催されるバンコク最大の公設市場だ。約15,000軒以上のショップや露店が軒を連ねていて、物も人も溢れている。歩くのも大変だし、気になったものはその時に買わないと再び戻るのは難しいので注意。


▲でかパエリア屋「Viva8」

週末はお土産エリアも飲食エリアも盛り上がっている。
ちなみにここのパエリアは美味しいし、お酒も飲めるので買い物の休憩におすすめだ。


さて、平日のチャトゥチャックを見てみよう。



予想はしていたが平日なのでシャッター通りだらけだ。
悲しいかな、地元の商店街を彷彿させる。
少し歩いてみようと思った。こんなに人がいないチャトゥチャックは初めてで、新鮮かも。




▲週末に向けて入荷されてるお土産の山

殆どの店のシャッターは下りている。それで全て灰色の街かというとそうでもなくて、閉まった店舗の軒先には週末に売られるだろうカラフルなお土産の山々がある。
無造作に放置されていて、盗まれないのか心配になる。




ポツンするリヤカー。
これで各所にお土産を入荷しているようだ。



▲ちらほらだけど開いている店もある

開いているお店もあり、そこには観光客らしき人もいたりするが、店員さんは商品の棚卸しで忙しそうだ。週末のような接客がないのは拍子抜けするが、ゆっくり商品を見たい人は逆に平日は良いのかもしれない。
ただ、どのエリアが開いているとかは定かではないので、買い物の効率は悪いかもしれない。時間に余裕がある人に限る。

私が行った水曜日と、木曜日は花市場の日?らしく、花とか植物のお店は開いているようだ。





屋内のシャッター街から屋外のエリアに出ると、人よりも車やバイクの方が多い。
大きい道に面した店は車やバイクで商品入荷をするのだろうか。




あとなぜか路上包丁屋さんも結構開いてた。
旅行者で「お土産に包丁買っておこう♩」と買う人はいるのだろうか。




100円ショップならぬ100バーツショップもある。やってなかったけど。
100バーツと言われるとキリがいいので安く感じるが、日本円で425円くらい(2025年4月時点)。
100均にある500円商品、という感覚で買い物するといいかもしれない、知らんけど。




ちらほら開いてる店の中でも賑わっていたタイパンツ屋。
タイパンツはベトナムの方が安いな。
タイとベトナムを周遊する人はベトナムで買うのがいいだろう。



▲コンビニ前にいたわんこ、可愛いね


そうこうしているうちに帰りのフライトの時間が迫っていたので空港へ。




▲空港にて、自宅なん?というくつろぎ方をする猛者がいた

まさかバンコクで迷子になるとは思わなかったが、スシローは美味しかったし、ウィークエンドマーケットのウィークデーを観るのもなかなか乙だった。

また日本が恋しくなったら、バンコクに行こうと思う。










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寺内真実

2014年よりベトナム在住。
ベトナムや東南アジアメインの散歩を書いて行けたらと思います。

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