神戸のJK及び理想のデートコースへの考察(タイトルに偽りあり)
- 更新日: 2018/04/05
女子供に好かれようなどという媚が一切感じられないモトコーキャラクター
皆さんが「神戸」と聞いて思い浮かべるのはおそらくこういう、ザ・中華街であったり、神戸港や旧居留地などの海風香る洒落た街並みなのだろう。
つまり三ノ宮の中心部、元町エリアや、海側港町、または山手の異国情緒あふれる洋館などが、ほとんどの人が「神戸」でイメージする場所であると思う。
先に言っておくと、この記事には、老祥記、ケーニヒスクローネカフェ、西村珈琲……一切出てこない。
メリケンパーク、ハーバーランド、異人館、ルミナス神戸クルージング……誰もが知っているおしゃれスポット記事なら、よそをあたってほしい。
だいたいきみ、『あそこ』の豚まんがいくら美味いといったって、それを食うために2時間待つのは、限られた時間を有効に使いたい旅行プランとしてどうなんだ?と、地元民の私は思うのだ。
確かにおいしいよ、例の豚まん。551じゃないほうの例の店のね。
でもさ、その行列に並ぶ2時間があれば、もっと神戸の面白いところ、回れるんじゃないの。
探せば並ばずに、もっとうまいもの食べられるんじゃないの?
そこで、私がこれから紹介したいのは、三宮の一駅向こう側である。
神戸観光を終えたあと、JR元町駅西口の改札を通ろうとする君、そこのきみ。
少し、視線を左側に向けてほしい。
MOTOKOH TOWN、通称「 モトコー」への、魅惑的な入口が目に飛び込んできただろう。
ここを、一駅奥まで歩いてみないか。そう、花隈駅まで。
元町高架下通商店街は、JR・阪神元町駅と神戸駅間の高架下に位置する商店街である。通称モトコー。
wikipediaには、はっきり『アングラな雰囲気が勝つためにデートコースから外れる』と断言されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/元町高架通商店街
いやいや、待ってよ。
コースから外れると、デートに向かないと、誰が決めた。
行列に並び豚まんを食べ、神戸モザイクの夜景を見ることだけがデートの正解だなんて、本当にそうなの?
外から見るとこんな感じで、奥までずずいーっと続いている。さっそく中に入ってみるとしよう。
まず、高架下一番最初の入り口にあるのがこちらの淡水軒さん。
その向かいにはこの居酒屋。
昼間からべろべろのおっちゃんもちらほら、そんな モトコー。
夜は夜で、芸大の若手クリエイター達が集って酒を交わしたりする場面にも多く遭遇する。このあたりは、芸術大学のギャラリーがあるのだ。
そして、 モトコーでよく見るといえば、こういう、ワープロ屋さんである。
商店街内には、このような中古ワープロを扱う店が数軒ある。
私が モトコーに通いだして10年ほどになるが、かれこれずっと、この店は「これからはワープロの時代です」と言い続けている。常に時代の先「これから」を走っている。まぶしくて、追いつけない。
今の若い人は、ワープロなんて知らないのかもしれない。
昔は各家庭にあったのだ、なんとも味気ないデザインの年賀状を毎年数枚作製する以外は、特筆すべき活躍がないまま、押し入れで今も眠っている……そんな幻のマシンが。
幻、そう、 モトコーはどこか儚い。
ふと商店街のわき道を見ると、その風景はドラマのセットのような空気を湛えている。
とても儚いから、メリヤスの『メ』の字だって、よく見たらテープで貼られている。一回剥がれてしもたんやろな。
形あるもの、いつかはなくなる。貼られたものは、いつか剥がれる。
と、センチメンタルな気持を正面からガーンと殴りつけてくる看板。
『バッタ商品』て!自分でバッタ商品言うてもてるやん!すごいな、もうなんかかっこええわ。誤魔化さない、改竄しない、黒塗りしない、看板に偽りなし。
そして看板といえば、 モトコーで最も存在感があると個人的に思っているのはこのレンセイ製菓さんの看板。
昔ながらの洋菓子店。店構えに歴史を感じずにいられない。こちらで売られているマカロンが、我々の知っているマカロンとはだいぶ形状、味共に異なっており、すごくフォトジェニックでなんていうかぜひ食べてみて欲しいのだけれど、ここ最近、開店している日が少ないのだ。
実は今回も何度も取材したくて足を運んだのだけど、全日休業。ご年配の夫婦で経営されており、奥様いわく最近体調が悪いので少しの間休みます、とのこと。早く再開される日が来ることを祈っています。
もうひとつ、 モトコーの店舗で多いのは、中古CDやレコード、ビデオなどのお店。
こちらのショップではないのだが、かなり年代物のエロ本やDVDを売る所もあって、味わい深い。あくまでも、そういう類の本は、ひっそりと売られている。ひっそりと……
って、出てもうてるやん。ひっそりどころか丸出しやん。
いや、これはそういうエログッズのお店ではなく、何かしら前衛的な服屋さんのショーウインドウでして。
何気にセンスのいい服屋さんも実は結構あるので宝探し気分で洋服を見に行くのもいい。
ともすれば、このようなレトロでアートな雰囲気の場所もあるのだ。
ほら、置いてある自転車までシャレてるやんか。
それから、ファッショニスタなら必ず立ち寄って欲しいのがここ。
全宇宙のコンバースが一堂に集められている。コンバースは、 モトコーにまかせろ。
神戸がファッションの街と言われる所以は様々あると思うが、神戸ファッションと文化を語るうえで絶対外せないのがこのファミリアというブランドの存在であろう。朝ドラ「べっぴんさん」のモデルにもなった老舗メーカー。
こちらは元町本店の佇まい。入り口にはおなじみのファミちゃんがお出迎え。
神戸のカワイ子ちゃん達を一度でも見たことのある人には説明無用だと思うが、おそらく知らない関東方面の人に補足説明しておくと、神戸(西宮・芦屋・宝塚など含む)方面の若くて美しい女性たち、特に女子高生は、皆こぞってファミリアの布バッグを愛用している。高級ブランドバッグを持つ大人の女性なんかもシャネルの傍らにファミリアをサブバッグとして使っていたりする。
ファミリアは、主に子供向けの衣料を販売しており、扱う服の本来のターゲットは0歳から12歳程度までのはずなのだが、神戸の女子は大人になってもファミリアを好むのだ。これは神戸の女の子にモテたければ鉄板ネタなので、ぜひとも頭に入れておいて欲しい。
ちなみに、神戸方面の女子高生は、総じて誠に上品である。
その理由の一つがこのファミリアバッグのもたらす効果であることは言うまでもない。その他の神戸JKの特徴として言えることは、ほかの地域と比べてスカート丈がかなり長いということだ。
こういう文化は、関西でもスカート丈の短い田舎者の女子高生からしたら奇異に映るらしく、私の故郷和歌山のJKなんかは「あんなお母さんの作ったみたいな布バッグ持って、長いスカートで、変やわ」などと言うのだが、違うんだよ田舎のJKよ。あのお母さんが作ったみたいな布バッグは、丁寧に刺繍とアップリケが施され、実は一つ一万円弱するのだよ。
参考商品はこちら
ここまで熱くファミリアについて語ったが、 モトコーには、ファミちゃんはいない。いるはずがない。
ファミちゃんのかけらもない。
モトコー入り口にキャラクターがいたとしても、それはこのようなむさ苦しい巨漢たちである。
さて、あれこれと珍風景を見ながら歩いているうちに、左手にここが見えたら、もうすぐ花隈駅だ。
中華料理店、梨園。
いつも想像するんだけど、ここのお店に嫁いだら、「梨園の妻」とか言われるんかな。
この梨園が、元町高架下3番街の終わりであり、この先にもさらに7番まで続くのだが、花隈駅で電車に乗るなら、ここでそのまま出口を左に曲がり、大通りに出てほしい。
この駅入り口が梨園の(道を挟んで)すぐ向かいにある。
そして、ただひたすらに高架下をまっすぐ歩くというのが、こんなに面白いのか、そんな気づきがある。
掘出市でーす。
神戸って、こんな顔もあったのか。そんな発見、掘り出し物がある。
実は、この モトコー、今存続の危機にある。耐震面など様々な問題から、数年内に解体する方向なのだという。多くの店舗移転など、そう簡単にいく問題ではないものの、この先ずっとこの風景を歩ける、というわけではないのだ。
形あるもの、いつかは剥がれる。なくなる。
それでもまた、何度も貼りなおしながら、目に映るものを面白がりながら、長い道を歩こう。
つまり三ノ宮の中心部、元町エリアや、海側港町、または山手の異国情緒あふれる洋館などが、ほとんどの人が「神戸」でイメージする場所であると思う。
先に言っておくと、この記事には、老祥記、ケーニヒスクローネカフェ、西村珈琲……一切出てこない。
メリケンパーク、ハーバーランド、異人館、ルミナス神戸クルージング……誰もが知っているおしゃれスポット記事なら、よそをあたってほしい。
だいたいきみ、『あそこ』の豚まんがいくら美味いといったって、それを食うために2時間待つのは、限られた時間を有効に使いたい旅行プランとしてどうなんだ?と、地元民の私は思うのだ。
確かにおいしいよ、例の豚まん。551じゃないほうの例の店のね。
でもさ、その行列に並ぶ2時間があれば、もっと神戸の面白いところ、回れるんじゃないの。
探せば並ばずに、もっとうまいもの食べられるんじゃないの?
そこで、私がこれから紹介したいのは、三宮の一駅向こう側である。
神戸観光を終えたあと、JR元町駅西口の改札を通ろうとする君、そこのきみ。
少し、視線を左側に向けてほしい。
MOTOKOH TOWN、通称「 モトコー」への、魅惑的な入口が目に飛び込んできただろう。
ここを、一駅奥まで歩いてみないか。そう、花隈駅まで。
モトコーとは
元町高架下通商店街は、JR・阪神元町駅と神戸駅間の高架下に位置する商店街である。通称モトコー。
wikipediaには、はっきり『アングラな雰囲気が勝つためにデートコースから外れる』と断言されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/元町高架通商店街
いやいや、待ってよ。
コースから外れると、デートに向かないと、誰が決めた。
行列に並び豚まんを食べ、神戸モザイクの夜景を見ることだけがデートの正解だなんて、本当にそうなの?
外から見るとこんな感じで、奥までずずいーっと続いている。さっそく中に入ってみるとしよう。
まず、高架下一番最初の入り口にあるのがこちらの淡水軒さん。
その向かいにはこの居酒屋。
昼間からべろべろのおっちゃんもちらほら、そんな モトコー。
夜は夜で、芸大の若手クリエイター達が集って酒を交わしたりする場面にも多く遭遇する。このあたりは、芸術大学のギャラリーがあるのだ。
そして、 モトコーでよく見るといえば、こういう、ワープロ屋さんである。
商店街内には、このような中古ワープロを扱う店が数軒ある。
私が モトコーに通いだして10年ほどになるが、かれこれずっと、この店は「これからはワープロの時代です」と言い続けている。常に時代の先「これから」を走っている。まぶしくて、追いつけない。
今の若い人は、ワープロなんて知らないのかもしれない。
昔は各家庭にあったのだ、なんとも味気ないデザインの年賀状を毎年数枚作製する以外は、特筆すべき活躍がないまま、押し入れで今も眠っている……そんな幻のマシンが。
幻、そう、 モトコーはどこか儚い。
ふと商店街のわき道を見ると、その風景はドラマのセットのような空気を湛えている。
とても儚いから、メリヤスの『メ』の字だって、よく見たらテープで貼られている。一回剥がれてしもたんやろな。
形あるもの、いつかはなくなる。貼られたものは、いつか剥がれる。
と、センチメンタルな気持を正面からガーンと殴りつけてくる看板。
『バッタ商品』て!自分でバッタ商品言うてもてるやん!すごいな、もうなんかかっこええわ。誤魔化さない、改竄しない、黒塗りしない、看板に偽りなし。
そして看板といえば、 モトコーで最も存在感があると個人的に思っているのはこのレンセイ製菓さんの看板。
昔ながらの洋菓子店。店構えに歴史を感じずにいられない。こちらで売られているマカロンが、我々の知っているマカロンとはだいぶ形状、味共に異なっており、すごくフォトジェニックでなんていうかぜひ食べてみて欲しいのだけれど、ここ最近、開店している日が少ないのだ。
実は今回も何度も取材したくて足を運んだのだけど、全日休業。ご年配の夫婦で経営されており、奥様いわく最近体調が悪いので少しの間休みます、とのこと。早く再開される日が来ることを祈っています。
もうひとつ、 モトコーの店舗で多いのは、中古CDやレコード、ビデオなどのお店。
こちらのショップではないのだが、かなり年代物のエロ本やDVDを売る所もあって、味わい深い。あくまでも、そういう類の本は、ひっそりと売られている。ひっそりと……
って、出てもうてるやん。ひっそりどころか丸出しやん。
いや、これはそういうエログッズのお店ではなく、何かしら前衛的な服屋さんのショーウインドウでして。
何気にセンスのいい服屋さんも実は結構あるので宝探し気分で洋服を見に行くのもいい。
ともすれば、このようなレトロでアートな雰囲気の場所もあるのだ。
ほら、置いてある自転車までシャレてるやんか。
それから、ファッショニスタなら必ず立ち寄って欲しいのがここ。
全宇宙のコンバースが一堂に集められている。コンバースは、 モトコーにまかせろ。
神戸がファッションの街と言われる所以は様々あると思うが、神戸ファッションと文化を語るうえで絶対外せないのがこのファミリアというブランドの存在であろう。朝ドラ「べっぴんさん」のモデルにもなった老舗メーカー。
こちらは元町本店の佇まい。入り口にはおなじみのファミちゃんがお出迎え。
神戸のカワイ子ちゃん達を一度でも見たことのある人には説明無用だと思うが、おそらく知らない関東方面の人に補足説明しておくと、神戸(西宮・芦屋・宝塚など含む)方面の若くて美しい女性たち、特に女子高生は、皆こぞってファミリアの布バッグを愛用している。高級ブランドバッグを持つ大人の女性なんかもシャネルの傍らにファミリアをサブバッグとして使っていたりする。
ファミリアは、主に子供向けの衣料を販売しており、扱う服の本来のターゲットは0歳から12歳程度までのはずなのだが、神戸の女子は大人になってもファミリアを好むのだ。これは神戸の女の子にモテたければ鉄板ネタなので、ぜひとも頭に入れておいて欲しい。
ちなみに、神戸方面の女子高生は、総じて誠に上品である。
その理由の一つがこのファミリアバッグのもたらす効果であることは言うまでもない。その他の神戸JKの特徴として言えることは、ほかの地域と比べてスカート丈がかなり長いということだ。
こういう文化は、関西でもスカート丈の短い田舎者の女子高生からしたら奇異に映るらしく、私の故郷和歌山のJKなんかは「あんなお母さんの作ったみたいな布バッグ持って、長いスカートで、変やわ」などと言うのだが、違うんだよ田舎のJKよ。あのお母さんが作ったみたいな布バッグは、丁寧に刺繍とアップリケが施され、実は一つ一万円弱するのだよ。
参考商品はこちら
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ここまで熱くファミリアについて語ったが、 モトコーには、ファミちゃんはいない。いるはずがない。
ファミちゃんのかけらもない。
モトコー入り口にキャラクターがいたとしても、それはこのようなむさ苦しい巨漢たちである。
さて、あれこれと珍風景を見ながら歩いているうちに、左手にここが見えたら、もうすぐ花隈駅だ。
中華料理店、梨園。
いつも想像するんだけど、ここのお店に嫁いだら、「梨園の妻」とか言われるんかな。
この梨園が、元町高架下3番街の終わりであり、この先にもさらに7番まで続くのだが、花隈駅で電車に乗るなら、ここでそのまま出口を左に曲がり、大通りに出てほしい。
この駅入り口が梨園の(道を挟んで)すぐ向かいにある。
花隈駅まで歩くメリット
そもそも、元町(もしくは三宮)で電車に乗って帰ろうとした、そこのキミを引き止めてここ花隈まで歩いたわけだが、そのメリットの一つが、混みあう三宮駅より一つ向こうから電車に乗れる、イコール、座席に座れる、ということにある。そして、ただひたすらに高架下をまっすぐ歩くというのが、こんなに面白いのか、そんな気づきがある。
掘出市でーす。
神戸って、こんな顔もあったのか。そんな発見、掘り出し物がある。
実は、この モトコー、今存続の危機にある。耐震面など様々な問題から、数年内に解体する方向なのだという。多くの店舗移転など、そう簡単にいく問題ではないものの、この先ずっとこの風景を歩ける、というわけではないのだ。
形あるもの、いつかは剥がれる。なくなる。
それでもまた、何度も貼りなおしながら、目に映るものを面白がりながら、長い道を歩こう。