金魚の街で本を買う。大正ロマン散歩
- 更新日: 2018/02/27
金魚電話ボックス。どこか異空間と通話できそう。
はじめまして、子持ちししゃもです。
私は前職の関係で、関西の私鉄・JR沿線ほぼ全ての駅に降り立ったことがあります。その記憶をたどりながら、鉄道を乗り継いでのお散歩に出かけようと思います。
今回の目的地は近鉄大和郡山駅、では出発!
近鉄の奈良線に行きたい場合は、JR大阪駅をスタート地点とするといくつかの方法があるが、今回はJR大阪環状線鶴橋駅で乗り換えをすることにした。
ここな、JR環状線から近鉄への乗り換え、ややこしいから、気いつけてや。
いうても最近はIC乗車券の普及で、切符を買って乗る人もめっきり減ったので、全く複雑ではないのだが、切符を買う丁寧な暮らしスタイルの人は、二枚の切符を重ねて改札を通らなければいけないので注意されたし。この日も一人改札で引っかかっている人を見かけた。ここ、JRの出口ちゃうからね。
あとここ、ブックオフ徒歩0分の改札もあるからね。
あとここ、駅に降り立ったら、その瞬間に焼き肉の芳香が鼻腔を貫くからね。
え、なにここ駅なのに、嘘やろってぐらい焼き肉のにおいが充満しているからね。
きわめつけは、JR環状線鶴橋駅の発車ベル音がなんと「焼き肉食べ放題」の歌、桂雀三郎withまんぷくブラザーズのヨーデルのメロディやからね。
この大きな時刻表、近鉄電車って感じするわあ。そしてこちらの1番線ホームから近鉄奈良線でまずは西大寺へ。
この西大寺駅ナカは、飲食店街と奈良土産ショップなどがあり、かなり充実しているのだ。
そして改札を出なくても展望デッキに行ける。
近鉄奈良線、橿原線、京都線が平面交差し、様々なタイプの車輛を眺められるので、小さな子供が喜ぶ。もちろん大きな子供も喜ぶ。
余談ではあるが、多くの外回り営業マンの場合、いかに各所で自分のサボりスペースを見つけるかが最重要課題となっていると思うのだが、こういった降車履歴を残さずに駅の中で長く滞在できる場所というのは、かなり貴重なのではないだろうか。あ、ないですか、はいすいません。
そして着きました近鉄郡山駅。
大和郡山は、金魚の飼育販売で有名な街。駅の西側には金魚資料館やインスタ映えしそうな金魚田もあるのだが、今回は東側へ降り立った。
柳町商店街にある素敵な本屋さん「とほん」さんへ、毎年開催される「栞展」を目当てにやってきたのだ。
この栞展というイベントは、毎年この時期開催されている。今年は2月9日から3月4日で終了。
4日て。もう終わりやん……。
すまん、来年行ってきてくれ。きっと来年も良い栞が見つかるはずだ。
もちろん栞展が終わっても、その後も通常の営業はされているので、いつでも良いからお店を覗いてみてほしい。店主がセレクトした素晴らしい本の数々と、ここでしか買えない奈良にちなんだ雑貨も豊富で、本当に、魅力的な空間だから。
とほんご主人の、こちらの文章。私は毎年栞展の季節がくるたびこれを見てしびれる。
『栞があるから私たちは本と現実を迷わず行き来することができます』
なんて素敵な表現なんだろう。
今年もいくつかの栞と、一冊の本を買った。
そして大和郡山といえばここ。
お魚業界のスター、電話ボックス金魚さんたちです!
パイセン、ちーす!じぶん、まだまだ駆け出しの子持ちししゃもっす!
電話ボックスの前にはコーヒーショップ「Kコーヒー」。金魚を眺める特等席で至福の一杯。
しかし気になる、右側扉に書かれたメニューの「アレ!!」
アレ!!って、何ですか?お店の美人なお姉さんに聞いてみました。
「わからないんです、ただ、みんなアレって呼ぶから私もそう呼んでます、ウフフ」
……ミステリアス。
この日はKコーヒーを後にし、更に東へ行ってみた。
この魅力的な路地の奥に見える建物
それが、
登録有形文化財の旧川本邸。
こちらの建物は、大正13年に建てられた元遊郭なのだ。今回は物件を管理される係員の方に、色々と設備などの解説をしていただいた。
当時働いていた女性たちの私物を入れるロッカーのような棚もそのまま。
このガラス窓には銅粉が混ぜられているので、より一層澄んだ美しさを湛えるのだそう。
NHKラジオシール、これもレア。
かまぼこ型に一部を開けているのは、わざと部屋の中の声を少し外に漏らすためだそう。「悪いことするやつがたまにおるからなあ」と、解説してくれたおっちゃんが言うてはりました。悪いこと、か。
殿方(お客)用の風呂場は、天井が高く、タイル細工が美しいのだけど、とにかく石の床とか全体的に寒さマックスで、ここで裸になるのは冬場きつかっただろうなあと思った。
数寄屋造りのこの小部屋には、今から百年前、美しい女がいて、今はのんびり泳ぐ金魚がいる。
風もないのにガラス戸が揺れて、何か背筋をひんやりしたものが通った……などと書くと少々オカルトチックであるが、古い町家というものは得てして風もないのにガタガタいうものなのである。
本と現実を行き来し、現代と大正を行き来する近鉄郡山さんぽ。
最後に今回購入した栞と書籍を自慢。
ちなみにこちらの「かなわない」去年から買おうか迷っていたのだが、心の底から買ってよかったと思った一冊。心に響く箇所が多すぎて、感動した文章のページに付箋を貼り付けていったら、付箋だらけになった。全ページにアンダーラインを引くアホの受験生の参考書みたいな状態である。
それから八寿温泉さん作「おしり栞」「スリップ栞」、安堂真生さん作「透明金魚栞」。いずれも、すごく気に入っている。
私は、実は去年もここで栞と本を一冊買った。
そして、また来年もきっと来るのだと思う。本と金魚に出会うために。
私は前職の関係で、関西の私鉄・JR沿線ほぼ全ての駅に降り立ったことがあります。その記憶をたどりながら、鉄道を乗り継いでのお散歩に出かけようと思います。
今回の目的地は近鉄大和郡山駅、では出発!
鶴橋駅から近鉄電車へ
まず目指すは近鉄奈良線(え?正式名称近畿日本鉄道やて?んなもん、どこの関西人がそないな呼び方してますのん)。近鉄の奈良線に行きたい場合は、JR大阪駅をスタート地点とするといくつかの方法があるが、今回はJR大阪環状線鶴橋駅で乗り換えをすることにした。
ここな、JR環状線から近鉄への乗り換え、ややこしいから、気いつけてや。
いうても最近はIC乗車券の普及で、切符を買って乗る人もめっきり減ったので、全く複雑ではないのだが、切符を買う丁寧な暮らしスタイルの人は、二枚の切符を重ねて改札を通らなければいけないので注意されたし。この日も一人改札で引っかかっている人を見かけた。ここ、JRの出口ちゃうからね。
あとここ、ブックオフ徒歩0分の改札もあるからね。
あとここ、駅に降り立ったら、その瞬間に焼き肉の芳香が鼻腔を貫くからね。
え、なにここ駅なのに、嘘やろってぐらい焼き肉のにおいが充満しているからね。
きわめつけは、JR環状線鶴橋駅の発車ベル音がなんと「焼き肉食べ放題」の歌、桂雀三郎withまんぷくブラザーズのヨーデルのメロディやからね。
この大きな時刻表、近鉄電車って感じするわあ。そしてこちらの1番線ホームから近鉄奈良線でまずは西大寺へ。
乗り換えは西大寺駅で
近鉄郡山へ行く際は、橿原線へ乗り換えるので、必ず降車する駅が「西大寺」。この西大寺駅ナカは、飲食店街と奈良土産ショップなどがあり、かなり充実しているのだ。
そして改札を出なくても展望デッキに行ける。
近鉄奈良線、橿原線、京都線が平面交差し、様々なタイプの車輛を眺められるので、小さな子供が喜ぶ。もちろん大きな子供も喜ぶ。
余談ではあるが、多くの外回り営業マンの場合、いかに各所で自分のサボりスペースを見つけるかが最重要課題となっていると思うのだが、こういった降車履歴を残さずに駅の中で長く滞在できる場所というのは、かなり貴重なのではないだろうか。あ、ないですか、はいすいません。
いざ金魚の街へ
そして着きました近鉄郡山駅。
大和郡山は、金魚の飼育販売で有名な街。駅の西側には金魚資料館やインスタ映えしそうな金魚田もあるのだが、今回は東側へ降り立った。
柳町商店街にある素敵な本屋さん「とほん」さんへ、毎年開催される「栞展」を目当てにやってきたのだ。
この栞展というイベントは、毎年この時期開催されている。今年は2月9日から3月4日で終了。
4日て。もう終わりやん……。
すまん、来年行ってきてくれ。きっと来年も良い栞が見つかるはずだ。
もちろん栞展が終わっても、その後も通常の営業はされているので、いつでも良いからお店を覗いてみてほしい。店主がセレクトした素晴らしい本の数々と、ここでしか買えない奈良にちなんだ雑貨も豊富で、本当に、魅力的な空間だから。
とほんご主人の、こちらの文章。私は毎年栞展の季節がくるたびこれを見てしびれる。
『栞があるから私たちは本と現実を迷わず行き来することができます』
なんて素敵な表現なんだろう。
今年もいくつかの栞と、一冊の本を買った。
奈良県大和郡山市にある本と雑貨を販売する本屋です。新刊本、古本、雑貨、リトルプレスを販売。通販もしております。
そして大和郡山といえばここ。
お魚業界のスター、電話ボックス金魚さんたちです!
パイセン、ちーす!じぶん、まだまだ駆け出しの子持ちししゃもっす!
電話ボックスの前にはコーヒーショップ「Kコーヒー」。金魚を眺める特等席で至福の一杯。
しかし気になる、右側扉に書かれたメニューの「アレ!!」
アレ!!って、何ですか?お店の美人なお姉さんに聞いてみました。
「わからないんです、ただ、みんなアレって呼ぶから私もそう呼んでます、ウフフ」
……ミステリアス。
この日はKコーヒーを後にし、更に東へ行ってみた。
この魅力的な路地の奥に見える建物
それが、
登録有形文化財の旧川本邸。
こちらの建物は、大正13年に建てられた元遊郭なのだ。今回は物件を管理される係員の方に、色々と設備などの解説をしていただいた。
当時働いていた女性たちの私物を入れるロッカーのような棚もそのまま。
このガラス窓には銅粉が混ぜられているので、より一層澄んだ美しさを湛えるのだそう。
NHKラジオシール、これもレア。
かまぼこ型に一部を開けているのは、わざと部屋の中の声を少し外に漏らすためだそう。「悪いことするやつがたまにおるからなあ」と、解説してくれたおっちゃんが言うてはりました。悪いこと、か。
殿方(お客)用の風呂場は、天井が高く、タイル細工が美しいのだけど、とにかく石の床とか全体的に寒さマックスで、ここで裸になるのは冬場きつかっただろうなあと思った。
数寄屋造りのこの小部屋には、今から百年前、美しい女がいて、今はのんびり泳ぐ金魚がいる。
風もないのにガラス戸が揺れて、何か背筋をひんやりしたものが通った……などと書くと少々オカルトチックであるが、古い町家というものは得てして風もないのにガタガタいうものなのである。
本と現実を行き来し、現代と大正を行き来する近鉄郡山さんぽ。
最後に今回購入した栞と書籍を自慢。
ちなみにこちらの「かなわない」去年から買おうか迷っていたのだが、心の底から買ってよかったと思った一冊。心に響く箇所が多すぎて、感動した文章のページに付箋を貼り付けていったら、付箋だらけになった。全ページにアンダーラインを引くアホの受験生の参考書みたいな状態である。
それから八寿温泉さん作「おしり栞」「スリップ栞」、安堂真生さん作「透明金魚栞」。いずれも、すごく気に入っている。
私は、実は去年もここで栞と本を一冊買った。
そして、また来年もきっと来るのだと思う。本と金魚に出会うために。