川の中を散歩する
- 更新日: 2024/10/24
浅い川を泳ぐとお腹だけ冷えます
川を見ると、そのつめた~い水に足を浸けて、そのままバシャバシャ歩きたい!と思ってしまう。私は、小さい頃から、なぜかずっとそういう衝動を抱えているのです。
生まれ育った宮城県では、バーベキューのときや、ひとり黄昏るとき、部活の応援練習のときなど、すぐそばには川があった。それだからかもしれない。知らない川にも郷愁は宿り、思わず見つめたくなる。大げさに言えば古代文明は川のそばに栄えたのだから、我々人類のDNAに川の魅力は刻まれているのかもしれない。
▲高校生の頃、橋上の歩道で川に向かって応援練習をしていた
そういえば、自宅からほど近くに苦浜川という小さな川があった。唐突だけど、今日はそこを散歩してみようと思う。そう、「川沿い」を散歩するんじゃなくて、文字通り「川の中」をざぶざぶと。
川が好きなのは、もちろん眺めて綺麗というのもそうなんだけど、やっぱりその冷たさを肌で感じられるのが良いんだと思う。旅先で雰囲気の良い川を見つけたとき、思わず足を浸けちゃうようなあの涼しさ。それを、もっともっとたっぷりと味わいたい。たい焼きのしっぽをたくさん食べたい、みたいな。川の中をずんずんと歩けば、そういう欲張りな思いを満たせる気がする。
【注意】河川は水流や水量により大変危険です。近づく際は事前に対象の河川を充分に調査したうえで安全に配慮して遊んでください。
次の週末。晴れ予報なのでさっそく川に来た。
▲午前10時。気温は29℃で快晴。台風一過とはこのことか、と思うほどに晴れ渡った朝だ。
今日はこの川を散歩がてら上っていく。
さてルールを発表します。
なお、ひとりで不慮の事故に巻き込まれるわけにはいかないので、妻に撮影と付き添いをお願いした。川に入ってくれる妻に多謝。
ここがスタート地点。川が海に合流する場所。ここから上流に向かいます。
まずは海に足を浸すと、
あったかい……。鹿児島の海は9月も現役。このまま飛び込んでも大丈夫なほどのあたたかさだ。川といえばひんやりしているイメージがあるが、海とはどれくらい違うだろうか。それも、ゆっくり上っていけば分かるはずだ。
海から川へ、そのままズンズンと歩みを進めていく。
▲冷たい!!
マリンシューズに、たちまち爽涼な水が染み入る。けっこう冷たいぞ。海はむしろ温かいくらいだったが、川の水はしっかりと冷たい。頭に"新鮮"という文字がよぎる。
それにしても水が透明だ。高く昇った陽は、水面と川底を白く照らす。深く帽子をかぶっているのに、水面から日焼けしそうだ。
そのまま30メートルほど進むと、川底の砂のせいか、大きく川の水面が波立っている箇所がある。ついつい両脚を突っ込む。
▲波乗りみたいになったぞ
サーファーさながらのポーズを決められて嬉しい。右手に持っている炭酸水も輝いていた。
ちなみに、こんなに海がそばに見えるのに、水を舐めても塩気はなかった。川と海は繋がっているのに不思議だ 。
もうちょっと歩くと、川でビーチが削られているエリアが見えてきた。
▲川の流れる外側が綺麗に削れている
水面よりも高く、私の脛の位置ぐらいの高さまで削れている。まだ川の深さは足首くらいなのに、水流の強さはすごい。
水を前方に蹴りあげながら散歩は続く。また50メートルほど進むと、大きい流木が沈んでいた。
▲砂に埋まっていてずっしりと重い
植物に詳しくないので、この木がなんの木なのかは分からない。気になる木だ。海から流れ着いたのかも、上流から来たのかも分からない位置だった。詳しい人なら分かるのだろうか。
ざぶんざぶんと水を蹴り上げてわずか10分。情けないことに、わりと疲れてきた。
▲流木のベンチで休憩
足首程度の水位でも、水の重たい抵抗がたっぷりと両脚にかかる。そのため、短い時間でも陸上を歩くよりずっと疲れるのだ。無理は禁物と思いながらも、まだまだ上りたい気持ちは収まらない。炭酸水で喉を潤し、また歩みを進めていく。
穏やかなせせらぎの合間に、生きている”しぶき”の音がする。周囲をよく見渡すと、なんと川魚の群れが跳ねているではないか!大慌てで妻にシャッターを切ってもらうも、その刹那を撮るのはあまりに難しい。あとで見直してみたが、そこには川魚がいた痕跡とも呼べる、水しぶきだけが捉えられていた。
▲白い泡沫は川魚が着水したしぶき。これでも妻が頑張って撮ったんだ
その姿を撮れなかったのが悔しくて、そこからは妻とふたりでずんずんと川を上りながら魚の姿を探していた。あいにくぴょんぴょんと跳ねていたのはこの時だけだったが、水中にいる姿をなんとか撮影できた。
▲写真中央に、右上部に向かって泳ぐ魚影が。
川魚って本当に泳ぎが速い。ここにいるよ!と相手に報告するころには、その姿を消している。それに比べて、人ってのんびりしているなあ 。
そのうち、川の中にぽつんと現れた地表を踏みしめると、何やらクレーターのようなへこみがいくつか見られた。
▲不思議な穴。川底にもたくさんあるのかな。
月の表面を思わせるようなクレーターは、真ん中に薄い水が張っていて、足を突っ込むと温泉みたいに温かい。潮だまりがぬるくなるように、太陽のエネルギーでぽかぽかになっている。太陽ってすごい。
突如、背後からほら貝のような汽笛が響いた。思わず振り返ると、遠くの水平線に貨物船が見える。
▲種子島から屋久島に向かう貨物船だ。
のんびりと水平線を横断する姿は、水族館でひときわ目立つジンベイザメを彷彿とさせた。
足下に目を落とすと、川底には砂鉄が煌めく。
▲黒いのが砂鉄。太陽が反射して輝いている。
気が付けばたっぷり1時間は経っているだろうに、川の水温のせいか涼しいままだ。水辺を求める生き物の気持ちがよく分かる。
上るにつれて、少しずつ流域面積が狭まっている。
右の奥には、なんだか不思議な木の杭が埋め込まれていた。特に誰かが侵入するのを拒む必要がある場所とは思えないのだが……。
▲まるでクラッシュ・バンディクーのダンジョンに出てくる罠みたい
ここまで来て、ようやく水位は膝下くらいだ。
▲透明度が高すぎると、かえって水面が分かりにくいんだね。
ばしゃ、ばしゃと水を蹴る抵抗が強くなっていく。災害とかで水浸しになったら、避難するの大変だよな……などと考える。
これは、根っこからすぽっと抜けて流されている木。
▲きれいに抜けているから、むしろ気持ちよく見える。
もうちょっと水量があれば海まで行けそう。頑張ってほしいな。
その先へ進むと、少し泥っぽい土質になった。
▲川底がネバネバした泥になっている。
経験的にこの辺には生き物がいるんじゃないか……?と、思っていると、なんと!
▲カニだーーーーー!!!!
めっちゃかわいくてハサミの大きいカニが歩いていた。それはもう、びっくりするくらいきれいにカニ歩きで 。近づくと逃げはするものの、どこか焦りはない。何よりハサミが白くてかわいい。どうしても構いたくなっちゃって、少しいたずらをしてみる。
▲すぐそばに落ちていた木の枝を近づけると……。
▲一生懸命に右手で挟んでくれた!!!
カニ、かわいい……。連れて帰りたい……。でも、水槽とかに入れて亡くなってしまったら哀しいからできなかった……。また、会いに来ればいいか……。
台風10号が過ぎたばっかりで、かなり大きい流木もあった。
▲文字通り「根こそぎ」流されたようだ。
台風、すごかったもんな。我が家もおよそ、20時間停電しました。無事でよかった。
木のそばには、小さな鳥の足跡がたくさん。
▲鳥の足跡ってなんでこんなにワクワクするんだろう。
流れのある川で直接水を飲むんじゃなくて、こういう小さい水たまりで飲むんだろうか。
ちょうど、川に架かった橋に差し掛かる。橋上を通過する車を川の中から眺めるのは新鮮だ。
▲まるで魚の目線
ちょうどすぐそばに、排水が合流する土管?水路?があった。
▲成人男性でもすっぽりと入る大きさ。こわい……。
近づく前には強気だったのに、目の当たりにするとすごくこわい。どこまでも深い闇に、後ずさりしてしまった。いつか、ヘッドライトを装着して少しだけでも行ってみたい……。
土管をスルーして進むと、すぐ橋の真下になった。一気に暗くなり、体感温度もぐっと下がる。ひんやりした空間は、湿っているのではなく、むしろ乾燥しているくらいだ。
▲意外にも頭上から橋が近かった。
よく見上げて観察すると、橋上に溜まった水を排水するパイプがいくつかあった。これで、水浸しにならないようにしているんだね。
▲ぽたぽたと、地上の水滴が垂れている。
橋を抜けると、原付か小型のバイクに使うような小さいタイヤが沈んでいた。橋の上から投棄したのかな。ゴミはゴミ箱へお願いします。
▲真ん中におっきい石がハマっているタイヤ
もうちょっと進むと、今度は大きい鳥の足跡が!
▲筆者の足は26センチ。この鳥はけっこう大きいかも。
こうしてみると、川ってかなり色んな種類の鳥が来るのかも。私も鳥みたいに川に惹かれているから、同類かな。
その後は、畑から水路が合流していたりして、
▲この流れ込む水の先は畑だ
次第に流域面積が狭くなっていった。
▲流域面積(川の幅)が徐々に狭くなっている
そしていよいよ……。
▲すっかり腰ぐらいまで浸かっていた
まだまだここから…!という気持ちはあるものの、実は体力が限界。川の流れに反抗して進むのって、すごく疲れるのだ。距離にして1キロほど。川を上る大変さを知ったところで、お散歩おしまいにします!
さて、「おしまい」と言っても、このまま川から這い上がることはできない。哀しきかな、川の両側は急斜面に雑木が生い茂っていてとてものぼれないのだ。へとへとでも、来た道をそっくりそのまま帰らないといけない。ああ、自然の雄大さに降伏である。
そんな帰り道に、どうしてもやりたいことがあったのだ。それは……。
カニを捕まえたい!!
あんなに白くてかわいいハサミを持った子を、どうしても触りたくて、復路には彼らの住処に近寄りました。そして、
▲なんとかカニをゲット!!!
こんなにちいさいのにハサミはちゃんと怪力で、びくびくしながら捕まえました。
▲今日イチの笑顔
これでやり残したことはありません。この子はリリースと同時に、茂みに猛ダッシュしていきました。ごめんね、元気にやってね。
やっぱり上るよりも下るほうが簡単で、帰りは半分以下の時間で戻れました。途中で引き返さなきゃいけないと分かったときはショックでしたが、帰りが少しでも楽で良かった。スタート地点そばに戻って、カニのハサミを思い返してピース。
▲楽しかったけど、すっかり疲れちゃいました。
最後は、海まで戻らずにちょっとでもショートカットしようと、傾斜がゆるい斜面をよじ登りました。
川の中を散歩したのは初めてだけど、短い距離で魚・カニ・鳥の痕跡など色んな自然をダイレクトに観察できるのが特長で、また違う川でもチャレンジしたいと思える体験でした。安全な川がそばにある人は、ぜひチャレンジしてみてください。
最後に近くを散策すると、
▲どうやら、貝塚の跡だったらしい。
既に埋没しているものの、ここは貝塚だったようだ。貝塚とは、簡単に言えば縄文時代に住んでいた人のゴミ箱のような場所。この辺りで人々が実際に生活していて、その中で発生した食べ物のゴミなんかを捨てていた場所だ。きっと、この川が近くにあって便利だったのかな。1万年以上前の日本に思いを馳せる、いいお散歩でした。
ただ、
▲「平成五十九年」指定?!
この町の和暦のカウントは、令和の先を見据えているのかもしれないです。
夏休みも終わる日。今夏を総括するような爽やかなお散歩になりました。
生まれ育った宮城県では、バーベキューのときや、ひとり黄昏るとき、部活の応援練習のときなど、すぐそばには川があった。それだからかもしれない。知らない川にも郷愁は宿り、思わず見つめたくなる。大げさに言えば古代文明は川のそばに栄えたのだから、我々人類のDNAに川の魅力は刻まれているのかもしれない。
▲高校生の頃、橋上の歩道で川に向かって応援練習をしていた
そういえば、自宅からほど近くに苦浜川という小さな川があった。唐突だけど、今日はそこを散歩してみようと思う。そう、「川沿い」を散歩するんじゃなくて、文字通り「川の中」をざぶざぶと。
川が好きなのは、もちろん眺めて綺麗というのもそうなんだけど、やっぱりその冷たさを肌で感じられるのが良いんだと思う。旅先で雰囲気の良い川を見つけたとき、思わず足を浸けちゃうようなあの涼しさ。それを、もっともっとたっぷりと味わいたい。たい焼きのしっぽをたくさん食べたい、みたいな。川の中をずんずんと歩けば、そういう欲張りな思いを満たせる気がする。
【注意】河川は水流や水量により大変危険です。近づく際は事前に対象の河川を充分に調査したうえで安全に配慮して遊んでください。
次の週末。晴れ予報なのでさっそく川に来た。
▲午前10時。気温は29℃で快晴。台風一過とはこのことか、と思うほどに晴れ渡った朝だ。
今日はこの川を散歩がてら上っていく。
さてルールを発表します。
・障害物があったり、足が着かないほど深い場所があったら終わり
・怪我しそうになったら終わり
・天気が怪しくなったら終わり
・疲れちゃったら終わり
・それまでは進む
なお、ひとりで不慮の事故に巻き込まれるわけにはいかないので、妻に撮影と付き添いをお願いした。川に入ってくれる妻に多謝。
ここがスタート地点。川が海に合流する場所。ここから上流に向かいます。
まずは海に足を浸すと、
あったかい……。鹿児島の海は9月も現役。このまま飛び込んでも大丈夫なほどのあたたかさだ。川といえばひんやりしているイメージがあるが、海とはどれくらい違うだろうか。それも、ゆっくり上っていけば分かるはずだ。
海から川へ、そのままズンズンと歩みを進めていく。
▲冷たい!!
マリンシューズに、たちまち爽涼な水が染み入る。けっこう冷たいぞ。海はむしろ温かいくらいだったが、川の水はしっかりと冷たい。頭に"新鮮"という文字がよぎる。
それにしても水が透明だ。高く昇った陽は、水面と川底を白く照らす。深く帽子をかぶっているのに、水面から日焼けしそうだ。
そのまま30メートルほど進むと、川底の砂のせいか、大きく川の水面が波立っている箇所がある。ついつい両脚を突っ込む。
▲波乗りみたいになったぞ
サーファーさながらのポーズを決められて嬉しい。右手に持っている炭酸水も輝いていた。
ちなみに、こんなに海がそばに見えるのに、水を舐めても塩気はなかった。川と海は繋がっているのに不思議だ 。
もうちょっと歩くと、川でビーチが削られているエリアが見えてきた。
▲川の流れる外側が綺麗に削れている
水面よりも高く、私の脛の位置ぐらいの高さまで削れている。まだ川の深さは足首くらいなのに、水流の強さはすごい。
水を前方に蹴りあげながら散歩は続く。また50メートルほど進むと、大きい流木が沈んでいた。
▲砂に埋まっていてずっしりと重い
植物に詳しくないので、この木がなんの木なのかは分からない。気になる木だ。海から流れ着いたのかも、上流から来たのかも分からない位置だった。詳しい人なら分かるのだろうか。
ざぶんざぶんと水を蹴り上げてわずか10分。情けないことに、わりと疲れてきた。
▲流木のベンチで休憩
足首程度の水位でも、水の重たい抵抗がたっぷりと両脚にかかる。そのため、短い時間でも陸上を歩くよりずっと疲れるのだ。無理は禁物と思いながらも、まだまだ上りたい気持ちは収まらない。炭酸水で喉を潤し、また歩みを進めていく。
穏やかなせせらぎの合間に、生きている”しぶき”の音がする。周囲をよく見渡すと、なんと川魚の群れが跳ねているではないか!大慌てで妻にシャッターを切ってもらうも、その刹那を撮るのはあまりに難しい。あとで見直してみたが、そこには川魚がいた痕跡とも呼べる、水しぶきだけが捉えられていた。
▲白い泡沫は川魚が着水したしぶき。これでも妻が頑張って撮ったんだ
その姿を撮れなかったのが悔しくて、そこからは妻とふたりでずんずんと川を上りながら魚の姿を探していた。あいにくぴょんぴょんと跳ねていたのはこの時だけだったが、水中にいる姿をなんとか撮影できた。
▲写真中央に、右上部に向かって泳ぐ魚影が。
川魚って本当に泳ぎが速い。ここにいるよ!と相手に報告するころには、その姿を消している。それに比べて、人ってのんびりしているなあ 。
そのうち、川の中にぽつんと現れた地表を踏みしめると、何やらクレーターのようなへこみがいくつか見られた。
▲不思議な穴。川底にもたくさんあるのかな。
月の表面を思わせるようなクレーターは、真ん中に薄い水が張っていて、足を突っ込むと温泉みたいに温かい。潮だまりがぬるくなるように、太陽のエネルギーでぽかぽかになっている。太陽ってすごい。
突如、背後からほら貝のような汽笛が響いた。思わず振り返ると、遠くの水平線に貨物船が見える。
▲種子島から屋久島に向かう貨物船だ。
のんびりと水平線を横断する姿は、水族館でひときわ目立つジンベイザメを彷彿とさせた。
足下に目を落とすと、川底には砂鉄が煌めく。
▲黒いのが砂鉄。太陽が反射して輝いている。
気が付けばたっぷり1時間は経っているだろうに、川の水温のせいか涼しいままだ。水辺を求める生き物の気持ちがよく分かる。
上るにつれて、少しずつ流域面積が狭まっている。
右の奥には、なんだか不思議な木の杭が埋め込まれていた。特に誰かが侵入するのを拒む必要がある場所とは思えないのだが……。
▲まるでクラッシュ・バンディクーのダンジョンに出てくる罠みたい
ここまで来て、ようやく水位は膝下くらいだ。
▲透明度が高すぎると、かえって水面が分かりにくいんだね。
ばしゃ、ばしゃと水を蹴る抵抗が強くなっていく。災害とかで水浸しになったら、避難するの大変だよな……などと考える。
これは、根っこからすぽっと抜けて流されている木。
▲きれいに抜けているから、むしろ気持ちよく見える。
もうちょっと水量があれば海まで行けそう。頑張ってほしいな。
その先へ進むと、少し泥っぽい土質になった。
▲川底がネバネバした泥になっている。
経験的にこの辺には生き物がいるんじゃないか……?と、思っていると、なんと!
▲カニだーーーーー!!!!
めっちゃかわいくてハサミの大きいカニが歩いていた。それはもう、びっくりするくらいきれいにカニ歩きで 。近づくと逃げはするものの、どこか焦りはない。何よりハサミが白くてかわいい。どうしても構いたくなっちゃって、少しいたずらをしてみる。
▲すぐそばに落ちていた木の枝を近づけると……。
▲一生懸命に右手で挟んでくれた!!!
カニ、かわいい……。連れて帰りたい……。でも、水槽とかに入れて亡くなってしまったら哀しいからできなかった……。また、会いに来ればいいか……。
台風10号が過ぎたばっかりで、かなり大きい流木もあった。
▲文字通り「根こそぎ」流されたようだ。
台風、すごかったもんな。我が家もおよそ、20時間停電しました。無事でよかった。
木のそばには、小さな鳥の足跡がたくさん。
▲鳥の足跡ってなんでこんなにワクワクするんだろう。
流れのある川で直接水を飲むんじゃなくて、こういう小さい水たまりで飲むんだろうか。
ちょうど、川に架かった橋に差し掛かる。橋上を通過する車を川の中から眺めるのは新鮮だ。
▲まるで魚の目線
ちょうどすぐそばに、排水が合流する土管?水路?があった。
▲成人男性でもすっぽりと入る大きさ。こわい……。
近づく前には強気だったのに、目の当たりにするとすごくこわい。どこまでも深い闇に、後ずさりしてしまった。いつか、ヘッドライトを装着して少しだけでも行ってみたい……。
土管をスルーして進むと、すぐ橋の真下になった。一気に暗くなり、体感温度もぐっと下がる。ひんやりした空間は、湿っているのではなく、むしろ乾燥しているくらいだ。
▲意外にも頭上から橋が近かった。
よく見上げて観察すると、橋上に溜まった水を排水するパイプがいくつかあった。これで、水浸しにならないようにしているんだね。
▲ぽたぽたと、地上の水滴が垂れている。
橋を抜けると、原付か小型のバイクに使うような小さいタイヤが沈んでいた。橋の上から投棄したのかな。ゴミはゴミ箱へお願いします。
▲真ん中におっきい石がハマっているタイヤ
もうちょっと進むと、今度は大きい鳥の足跡が!
▲筆者の足は26センチ。この鳥はけっこう大きいかも。
こうしてみると、川ってかなり色んな種類の鳥が来るのかも。私も鳥みたいに川に惹かれているから、同類かな。
その後は、畑から水路が合流していたりして、
▲この流れ込む水の先は畑だ
次第に流域面積が狭くなっていった。
▲流域面積(川の幅)が徐々に狭くなっている
そしていよいよ……。
▲すっかり腰ぐらいまで浸かっていた
まだまだここから…!という気持ちはあるものの、実は体力が限界。川の流れに反抗して進むのって、すごく疲れるのだ。距離にして1キロほど。川を上る大変さを知ったところで、お散歩おしまいにします!
さて、「おしまい」と言っても、このまま川から這い上がることはできない。哀しきかな、川の両側は急斜面に雑木が生い茂っていてとてものぼれないのだ。へとへとでも、来た道をそっくりそのまま帰らないといけない。ああ、自然の雄大さに降伏である。
そんな帰り道に、どうしてもやりたいことがあったのだ。それは……。
カニを捕まえたい!!
あんなに白くてかわいいハサミを持った子を、どうしても触りたくて、復路には彼らの住処に近寄りました。そして、
▲なんとかカニをゲット!!!
こんなにちいさいのにハサミはちゃんと怪力で、びくびくしながら捕まえました。
▲今日イチの笑顔
これでやり残したことはありません。この子はリリースと同時に、茂みに猛ダッシュしていきました。ごめんね、元気にやってね。
やっぱり上るよりも下るほうが簡単で、帰りは半分以下の時間で戻れました。途中で引き返さなきゃいけないと分かったときはショックでしたが、帰りが少しでも楽で良かった。スタート地点そばに戻って、カニのハサミを思い返してピース。
▲楽しかったけど、すっかり疲れちゃいました。
最後は、海まで戻らずにちょっとでもショートカットしようと、傾斜がゆるい斜面をよじ登りました。
川の中を散歩したのは初めてだけど、短い距離で魚・カニ・鳥の痕跡など色んな自然をダイレクトに観察できるのが特長で、また違う川でもチャレンジしたいと思える体験でした。安全な川がそばにある人は、ぜひチャレンジしてみてください。
最後に近くを散策すると、
▲どうやら、貝塚の跡だったらしい。
既に埋没しているものの、ここは貝塚だったようだ。貝塚とは、簡単に言えば縄文時代に住んでいた人のゴミ箱のような場所。この辺りで人々が実際に生活していて、その中で発生した食べ物のゴミなんかを捨てていた場所だ。きっと、この川が近くにあって便利だったのかな。1万年以上前の日本に思いを馳せる、いいお散歩でした。
ただ、
▲「平成五十九年」指定?!
この町の和暦のカウントは、令和の先を見据えているのかもしれないです。
夏休みも終わる日。今夏を総括するような爽やかなお散歩になりました。