名古屋散歩 feat. 紳士
- 更新日: 2025/01/16
淑女になりたい。
以前、出雲大社を訪れてから、親友と私の中で神社熱が上がっている。
なかでも“三種の神器”を祀る神社が気になっている。
三種の神器とは日本神話にづく天皇の位を示す3種類の宝物で、歴代天皇に伝わる国宝だ。
八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉。それぞれ伊勢神宮、熱田神宮、皇居の「剣璽の間」に祀られている。
三種の神器の起源は謎に包まれており、どのように出現・作られたのか、なぜ天皇家が継承するに至ったかなどはわかっていない上、三種の神器を直接観ることは代々伝来されている天皇陛下ですらできないというロマン溢れる国宝なのだ。
そういうわけで、三種の神器系神社である伊勢神宮と熱田神宮がとても気になっている。
伊勢神宮といえば江戸時代に「一生一度はお伊勢参り」と言われて大流行したので私も行ってみたいところではあるが、親友いわく「アツい時期」があるらしい。なんでも「式年遷宮」という20年に一度の儀式があるのだ。新しい社殿を造って御神体を遷す儀式で、次は2033年に予定されており、2025年あたりから準備が始まるらしい。友人のおすすめは「式年遷宮後」とのことで、それにはあと9年待たないといけない。
9年間なにもしないで待つのはつらい。それでは草薙剣(くさなぎのみつるぎ)を祀る熱田神宮へ行こうという話になった。場所は愛知県名古屋市である。
こんなことを言ったら罰当たりかもしれないが、私は“三種の神器”と言いたい時になぜか“三種の名器”と言ってしまう呪いにかかっていた。多分三種の神器は人が見てはいけない神聖なものとして扱われている=見てはいけない=キャー!のび太さんのエッチ!みたいな変換が脳内でされてしまっているのだと思う。
仕事終わりの友人と東京駅で待ち合わせをし、新幹線に乗っていざ名古屋へ。

この日私は大学時代のバイト先の友人と日中会っていたのだが、私よりも饒舌な友人だったからか先程買ったビールが効いているのか、親友に会ってから“俺のターン!”とばかりに私は饒舌になった。
とことん喋ってからふと、「自分が気持ちよく話せているのは相手が気を遣ってくれているから」と以前SNSで見たのを思い出し突然不安になったので、親友に「ねえ、今私が楽しいのは君が気を遣ってくれているからなのかい?」と聞いたら、「私だけにラジオパーソナリティが話してくれているみたいで楽しいよ、マミチャン・オンザ・レディオって感じ」と言ってくれ安心?した。
ラジオパーソナリティをしていたら、名古屋に着いた。
すっかり夜なので、大人しくホテルにチェックインをすることに。
ホテルのアメニティに耳栓があり、もしや夜な夜なパーティーとかあるのか?と不安になる。
寝ようとしていると、何か外がうるさい。親友が「誰かスケボーしてる!」と窓を開けると向かいの施設で荷物の運搬が行われていた。そのあと近所の消防署からの出動もあったりで、ああこのための耳栓だったのね、と納得。ご苦労様です。
翌朝、早速今回のメインの熱田神宮へ。電車で行く。

熱田神宮は敷地が広く最寄り駅が多いのだが、我々の行きたい正門の最寄りであろう「熱田神宮前駅」というそのままの名前の駅で降り、神宮を目指す。

▲神宮前駅の名に相応しい 長屋の屋根が波打つようなデザイン。2024年9月オープンの「あつたnagAya」という商業施設を造っている所だった
神宮前駅、といいつつ、正門(南門)までは歩いたら結構かかりそうなので駅前でタクシーに乗った。

▲味のあるタクシー乗り場
「近くて申し訳ないのですが、熱田神宮の南門まで」と言うと、「ああ!蓬莱軒行くの?!」と運転手さん。いや、熱田神宮…と思ったがGoogleマップで蓬莱軒が神宮からとても近かったので、「そうです」と言ってしまった。ちなみに私は鰻が食べられない。
運転手さんが出発と同時に「今日はヒトの車なんだよ!」と謎の宣言をしたので思わず、「じゃあ、いつもの調子が出ないですか?」と言うと、気を良くしてくれたのか「1メーターで行くから!飴も好きなだけ持っていって!」とメーターを切って飴までくれた。
ばっちり蓬莱軒の前で下され、「もう名前書いときな!」と言われ別れる。運転手さんの親切心に、安易に鰻屋に行くと言ってしまったことを申し訳なく思った。

▲タクシードライバーさん。名古屋走りではなく安全運転でした

▲運転手さんチョイスの飴ちゃんたち
とりあえず第一鳥居の手前でトイレを済ませ、いざ熱田神宮内へ。

▲第一鳥居
正門(南門)にある第一鳥居。本宮に参拝するまでには、第二の鳥居、第三の鳥居とこれから似たようなのがあと2回出てくる。似てるけど、第一鳥居が一番大きく感じた(当社比)。

▲約6万坪の広大な神宮内には樹齢何百年もの木々が生い茂っている
第一鳥居を潜り先程のタクシードライバーとのやりとりを振り返って「今日は人に縁がある日かもしれない」と親友に言うと、「まみちゃんといると他人との出会いイベントが発生しやすい」と言われる。
しかしながら、以前地元の100円ショップにいった時に親友も見知らぬおばあさんから「これはいくら?」と聞かれたことをきっかけに、おばあさんの生い立ちから最終的に「東大を受験すると度胸がつく」と説かれていたのを私は見ている。

▲地元にておばあさんとエンカウントする親友
たぶん我々は他者に絡まれやすい体質なのだと思う。

▲神宮中程にある第二鳥居

手水舎で身を清め大楠にご挨拶する。

▲大楠
弘法大師が直接手植えしたとされる大楠は「熱田神宮の七本楠」として有名で、その第1番目は神宮会館内にあり、普段は見ることができない。神宮内の手水舎横で見られる大楠は7本ある大楠の3番目に大きいクスノキらしい。ちなみに2番目に大きなクスノキはもっと先にあるらしい。
「御神木!」と近づくと、木の根元に卵があった。

▲なぜたまご?
熱田神宮には神鶏がいると聞いていたので、「鶏が産んだのかな…?」と親友と話していると、横にいたおじさんに「蛇が食べに来るんだよ!こりゃ今朝も来たんじゃないかな?!」と言われる。おじさんは毎日見に来ているのだろうか。「蛇かぁ〜」と言ったら「こんなのがいるのよ!」と突然大蛇の写真を見せられる。すごい大蛇だったので、「えー!見たかった!この写真、撮ってもいいですか?」と言ったら「これはだめ!おじさんの写真ならいくら撮ってもいいけど!」と言われる。おじさん、普段からこの写真を持ち歩いて自慢しているだろう…。
おじさんとワイワイしてたら「なに、蛇なんかくるの?」と警備員のおじさんも会話に参入してきた。

▲警備員さん「俺は蛇だけはダメ!」とのこと・親友撮影
おじさんたちと別れ、参道を進む。

▲第三鳥居
三つ目の鳥居を潜ると、拝殿が見えてきた!
そして私は人の写真撮影を率先して手伝う。
「いつも偉いよね」と親友に言われるが、これは私の処世術で、徳を積むのと同時に察しがいい人だと「そちらも撮りましょうか?」と言ってもらえる確率が高いからだ。

▲そして今回もまんまと撮ってもらう。ちなみにこれは自作の“出雲!縁結び空港!”のポーズ

▲拝殿
この階段から上に乗って写真を撮ったらいけないらしい。まんまと上でも撮って警備員さんに注意されてしまった。
撮影禁止の注意書きなどないので、みなさんも注意だ(ちゃんと削除しました)
ちなみに熱田神宮の本宮は、「伊勢神宮」と造りがよく似ているらしい。
かつては「尾張造り」という別の様式の社殿だったが、天皇家がお祀りする「三種の神器」のひとつを祀る社であることから、明治26年に神宮とほぼ同様の社殿の配置、そして規模に改築したそうだ。
拝殿の真横で親友と「立派な建物だなぁ〜」と言っていたら、オシャレなシニア紳士に「こんなに大きいと修繕費いくらかかるのかね」と話しかけられる。
「みんなのお賽銭が修繕費だなぁ、おじさんが入れなくてもお金がありそうだな」と語り、紳士はどこかに行ってしまった。
我々も御朱印を求めて授与所へ。
無事に御朱印とついでにパンフレットをゲットし、おみくじを引いた。
出雲大社のおみくじでは神に戒められたが、今回はいかに?

▲大吉でした
大吉を引いて大変嬉しかった。出雲大社でのお言葉のおかげかもしれない。
(前回出雲大社のおみくじで“人の短所を言うなかれ。己の長所を説くなかれ。”と言われ、以降日々気をつけてはいる)
パンフを見ながら、神楽殿や清水社を目指す。

▲神楽殿の横ちょっと工事してた、お賽銭が役に立っている様子




▲大楠がここにも
このクスノキが2番目に大きい子らしい。


▲清水社とお清水
お清水では湧水の中心にある苔石に3度水をかけて願掛けするという。
苔石にかけるというが割と距離があり水を柄杓で投げる感じで、コントロールが難しい。
3回かかってるか怪しいところだったが、後ろに人も並んでいたので「3回かけました」という顔で去る。
お清水の後は「こころの小径(こみち)」に進む。

パンフによるとここから先も撮影禁止らしい。またもや撮影禁止などの立て看板がなかったので前にいた人たちは思いっきり動画を撮っていた。彼女たちの思い出に、多分我々も刻まれている。
本宮裏もお参り。出雲大社の時に裏からもお参りすると学んだのでね。

▲一之御前神社、ここから撮影OKだ
一之御前神社をお参り。こちらは天照大神の荒魂(あらみたま)をお祀りしている。
荒魂とは、活動的で猛進的なはたらきをする神霊のことらしい。

改めてパンフを見ると拝殿そばにあった「ならずの梅」をみていないことに気づき戻る。

▲ならずの梅
綺麗な花が咲くが、実をつけたことがなく有名らしい。綺麗な花が咲くだけでも十分じゃないか。コロナ禍のロックダウンに植えたうちのレモンの種は花さえならないぞ。

▲うちのレモン、葉っぱだけめちゃ育つ
そして憧れの「信長塀」へ!(親友は戦国武将も好き)

▲信長塀
信長塀は永禄3年織田信長が桶狭間出陣の時、当神宮に必勝祈願をしてみごと大勝したので、そのお礼として奉納されたものだ。兵庫西宮神社の大練塀、京都三十三間堂の太閤塀とともに日本三大土塀の一つとして有名らしい。
「信長様〜!」と言いながら塀に触れる。

末社にもご挨拶していく。

▲内天神社

▲大幸田神社
親友「なんで右の方だけ持ち手が取れてるんだろう?」
私は全く気づかなかったが、確かに引き戸の取手みたいなのが右側だけない!調べたが理由はわからなかった。
「ここから少し中覗いてもいいよ?」という気遣いだろうか…?

▲六末社

神鶏はどこかしら?と歩いていると、いた!しかも二羽いる!


どうも一羽は地元のおじ様に懐いてる様子で、散歩中のおじ様の後をつけていた。人も全く怖がらない様子なので、写真を撮っていると、先程の神鶏に懐かれていたおじ様が「抱っこもできるよ!撫でてやって!」と神鶏を抱いて連れてきてくれた。かわいい〜

▲お利口さんな神鶏
そして剣の宝庫草薙館へ!

▲近代的でおしゃれな剣の宝庫草薙館
古来より刀剣が奉納されてきた熱田神宮所蔵の貴重な刀剣がたくさん見られる。約450口の刀剣を毎月入れ替えて展示しているとのこと、毎月楽しめるね!
ここで拝殿で出会ったおしゃれ紳士に再会。お互い会釈から会話が弾む。
おしゃれ紳士は歴史にも海外にも知見が多く、親友とは歴史や古来の文明についてとてもウィットに富んだ会話が繰り広げられていた。
「日本の歴史の空白の4世紀」についての意見や大山古墳の謎など…
おしゃれ紳士はなんか先生っぽさがある。(以下先生と呼ぶ)
私がベトナムに住んでいることからドイモイ政策や社会主義の話、先生が学生運動をしたり海外赴任したりした話など…
「あの頃はマルクス的社会主義に惹きつけられていたけど、結局資本主義の恩恵を受けているから。これで良かったんだよ」と遠い目をして振り返っていた。
学生運動世代だった先生は、高度経済成長の真っただ中に社会人、バブル経済期に働き盛りで、日本の経済成長などを目の当たりにしてきたのだろう。
そして私と親友は出雲大社に行ったのをきっかけに今回熱田神宮に来たことから、別れ際に「これからも歴史を勉強してね」と先生に言われ、「はい!」と元気に答えた。
休憩を兼ねて映像コーナーで「草薙剣」の由来となった出来事をアニメで観た。出雲大社横の古代出雲歴史博物館でもアニメで伊勢と出雲ついてアニメで学んだが、歴史にかなり疎い私でも楽しめる内容でありがたい。子供の頃にこういったアニメを観ていれば、もっと歴史に興味を持ち、大学入試センター試験で地理受験ではなかったかもしれない。

▲日本刀体験コーナー
剣の宝庫草薙館には実際の日本刀や「真柄大太刀」の大きさ・重量を実感できる体験コーナーもある。外国人ニキがひとりでいたので「写真撮りましょうか?」と声を掛けたら「え、大丈夫です…」と困惑されてしまった。ひとり旅では自分の写った写真がないのが難点。今までのひとり旅で「本当にここに私はいたのか?」と思ってしまうことがしばしばあった私は、「ほら!思い出だから!!」とほぼ半ば強引に撮ってあげる事案に。(いい思い出になっていることを願う)

▲真柄大太刀・めちゃ重い

「真柄大太刀」に体力を奪われお腹が空いたので「宮きしめん」をいただくことにした。

▲梅とろ玉きしめんをいただきました、さっぱり美味しい
うまい、うまい、ときしめんを食べていると、ふと気になる注意書きが。


▲外国人ニキとカラス
なるほど、たしかにカラスと人の距離が近い気がする。
カラスは揚げ物が特に好きらしいので、おそらくニキは揚げ物も頼んでいたのかもしれない。
食後の運動に南神池をぐるっと散策。鯉がいて趣がある。

▲南神池
南神池周りは紅葉の木に囲まれていたので、秋とか良さそう。

▲二十五丁橋と親友
二十五枚の板石で造られた太鼓橋だから二十五丁橋って名前になった、名古屋で最古の石橋だそう。
この記事を書くにあたって“二十五丁橋は渡れません”とのブログを拝見して「嘘だろ?我々やっちまったか…?!」と思ったら2021年から渡れるようになったらしい(ホッ…)

▲眼鏡之碑
我々二人とも元々眼鏡っ子なので「目が良くなりますように」とお参りしたが、後で調べたら安産を祈願して縄文時代に作られた土偶だったらしい…(諸説あり)
そして眼病平癒は先に行った「清水社」がご担当だったみたいだ。
そして宝物館へ。

▲ここが宝物館
シンプルな造りの建物ね、と思ったら日本古代建築を彷彿とさせる校倉風鉄筋コンクリート造らしい。
神宝類から書跡、絵画、ここにも刀剣がたくさんあった。彫刻はちょっと怖かった…
現在作家の作品も展示されているのだが、特に印象に残ったのは斎藤吾朗筆「熱田神宮・創祀千九百年」だ。1990年前からの多くの歴史上の人々が左巻きの渦の流れに描かれていて、外側には多くの神事が描き込まれている作品で、何か盆と正月が一気に来た!みたいですごく迫力がある作品でした。
参考:https://goroh-saitoh.com/original_item/reproduction/58

▲天照大神の和魂を祀る徹社
和魂は神の穏やかで平和的な面・優しさや慈愛などを表しているそう。先にお参りした「一ノ御前神社」と対照的な魂を祀っていて、2つの神様が同じ境内でお祀りされているのは珍しいらしい。

▲夫婦円満と子宝祈願の楠御前社
日本の国土を作った夫婦神「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」を祀っている。お社の前に奉納されている小さな鳥居たちは自分の干支と名前と祈願内容を書いて奉納すると願いが叶うそうだ。

▲清雪門
飛鳥時代に海外の僧侶が草薙剣の魅力に取り憑かれて熱田神宮から盗んだ時に使われた門。でも逃走中に道中天候が悪化し、激しい雨風に遭って“剣の怒りを買ってしまった”と後悔して返還したらしい。
そして「オホホ祭り」の舞台にもなっている。草薙剣が無事戻ってきた喜びを込めて神職さんたちが「オホホ」と高笑いする珍しい神事だ。
オホホで済む話じゃないだろう!と思ってしまったが、どちらも諸説あり・公式でも“故あって”と濁されているので、まああれだ、ハリーポッターでいう“例のあの人”的な感覚の出来事なのだろう。
この門はこのようなことが二度と起こらないようにと、1000年以上も閉ざされている。
小さい社も含めて大体回れたかしら?となり、西門から外へ。

▲車ばらいはこちら
車ばらいは神社に車とともに入り、車とドライバーの穢れをお祓いして交通安全を祈願するそうだ。車が普及してからはじまった儀式と言われているが、原点は航海や旅行の安全を祈ることだそう!車で熱田神宮に行った際は行ってみるといいかもしれない。
最後に下知我麻神社をお参りして熱田神宮西駅へ。名古屋城に向かいます!
私がベトナムに戻ってから親友が気づいたのですが、我々は大国主社にお参りし忘れていたのでした…社の側のお手洗いには行ったのに...!第一鳥居の手前で入ったトイレの横が賑わっていてちらりと見たのに、帰りは別の門から出てすっかり忘れてしまった。
でも本拠地(出雲大社)に行っているし、また熱田神宮に行く理由ができたのでヨシとします。
そしていざ名古屋城へ!
♦︎
帰りは本宮の西門から近い熱田神宮西駅から名城線に揺られ、15分程で名古屋城駅に着いた。
駅から地上へ上がったら城がバーン!と見えるかと思っていたので、何も見えなくて不安に。
代わりに?「金シャチ横丁」なるものが現れた。

どうやら名古屋名物と忍者を推してる施設のようだ。
https://kinshachi-y.jp/
公式によると名古屋城下に刮目の、味な施設とのこと。“味な”っていいなぁ。

▲写真スポットもある
横丁を歩いていたら名古屋城の入り口には辿り着けたが、城がまだ見えない。
私が思っているよりも、名古屋城って小さいのだろうか…?
そして入り口で発見したのが城ではなく、“先生”だった。

先生に話しかけようかと思ったが、せっかくなので金シャチ横丁で一旦コーヒー休憩を取ることに。
大人になってからコーヒー休憩が欠かせない身体になったと思う。子供の頃は親や祖母が「コーヒー飲みたいね」「今日まだコーヒー飲んでない!」と騒ぐ意味がわからなかった。親友も親や親族がコーヒー飲んでない宣言をする家庭環境だったそうだ。
いつの間に我々は「今日コーヒー飲んでない」と騒ぐ側になったのだろうか。いつかはわからないけど、何か飲むことで一服つく気持ちはわかる。みなさんはどうだろうか?
話が逸れたが無事にコーヒー休憩を終え、いざ名古屋城に向かう。
入り口を入ったはずなのに、城が全然見えないのが不安だ。熊本城も大阪城も敷地入ったら城がすぐ見えた記憶なのだが、もしかして名古屋城って、めちゃ敷地広い…?


加藤清正石曳像なるものを通り過ぎるとでっかい石垣が見えてきた。
「うぉぉぉかっこいい!!」
歴女・寺社仏閣および城マニアでもある親友は大興奮だ。正直石垣のかっこよさなどがわからない私は「どこら辺がかっこいいの?」と聞くと、「堀底からそそり立ってて、上の部分が反っているところだよ!」とのこと。なるほど。
そしてやっと入り口?正門?が見えてきた。入場券を買って中に入るとやっと城が見えた。それでもまだ遠い。
そして門のそばには「無料城内ガイド」なる人々がいた。頼もうか迷うも、ガイドさんも数に限りがありそうなので、他の人に譲ろう、と我々で回ることに。事前予約もできるそうだ。



▲親友と同じこと言ってる


5分程歩いて、やっと城の眼下まで着いた。これが名古屋城か。
残念ながら城の中には入れなかったが、本丸御殿を見学。



▲寅年なのでトラ撮りがち








日本人はもちろん、外国人の旅行者も多い。あとガイドさんが所々案内しているので、都度ガイドツアー中の人に混じって話を聞いてみたりした。
外国語ガイドさんも多く、思わず私もその一味になってみたりした。

▲外国人ツアーに混じる私・親友撮影
スペイン語ガイドさんのツアーに混じっていたのだが(スペイン語には知見がないのに)、途中「セントラルウンチンコ」と聞こえ、思わず親友に目で「今の聞いた?!」の顔をしてしまった。小学生男子のような反応をしてしまったが、どういうことだ。
同じ場所で親友が日本語ガイドさんの話に耳を傾けると、「この扉の向こうに控えの男どもがいて、上様が寝ている間に何かあれば飛び出し対応する」との説明だったとのこと。
のちに「セントラルウンチンコ」を調べたら、下記翻訳が出てきた。聞き間違えではなかったようだ。
セントラルウンチンコ(正しくはセントラルウンチコ、でも音声で聞いてみて欲しい)の翻訳
そうこうしているうちに、“先生”に追いついてしまった。
先生はガイドさんを付けていて、熱心に質問をしながら回っていた。さすがだ。
あとで声をかけてみようか…

▲服部半蔵忍者隊
本日の武将・忍者隊の出陣スケジュールはこちら↓
https://nagoyajo.rdy.jp/


城前で写真を撮ったり、忍者にポーズを教わったりしながら、先生のツアーが終わるのを見届ける。そして「先生!奇遇ですね!」と声を掛けた。
「先生なんて大したものではないのだけど」と謙遜する先生。
せっかくなので城下のベンチで一緒に休憩をすることに。先生のこれまでの仕事の話などを聴く。先生は歴史の教師になりたかったけど、当時文系に進むことを親に反対されて理系の道に進んだらしい。(でも結局歴史も詳しいし言語も堪能なので文武両道ならぬ文理両道だと思う)
そしてこれからどこを観光するのか聞かれたので、大須観音と商店街に行こうと思うと話すと、「僕もご一緒してもいいかな?」と先生。
我々も先生に居心地の良さを感じていたので、ぜひ!と一緒に行くことに。

▲タクシー移動中に見たなんか怖いオブジェ




大須観音は日本三大観音の一つとされ、なごや七福神のひとつである布袋像が置かれていたり、『古事記』の最古写本などの歴史的に貴重な書物がたくさん所蔵されている。繁華街の中にありアクセスも良いのが魅力だ。
大須観音を見学し、商店街を歩く。

▲仁王門通りの案内に侵食されたマンション


▲金の玉
商店街に突然金の玉があって笑った。
2009年大須商店街で行われた金の玉転がしのイベントに由来しているらしい。
以前シワシワに萎んでしまい、2021年に新調されたらしい。
金の玉を通り過ぎたくらいで先生から「軽く一杯やりたいね」とご提案が。
私もたくさん歩いて疲れていたので、お酒が飲めるところを探すことにした。手羽先が食べたかったので、近場にあった手羽先専門店へ行ってみた。
ビールを飲んで軽く手羽先をつまむ。

先生も新幹線の時間があるとのことなので、電車で名古屋駅へ向かう。
競馬が好き、という話をしたら“サラブレット”の語源の話から幻の競争馬・トキノミノルのことまで話してくれた。
駅に着くと「じゃあ、夕食を食べようか?」と先生。
まだ16時で、先ほど手羽先を食べたばかりだったので全く腹が減っていない。
名残惜しいが、先生とはここでお別れすることに。
先生は次は北海道へ1ヶ月ほど行くとのこと!羨ましい。
「またどこかで!」とお別れをした。
親友と後に振り返ると我々は先生に名前や年齢はもちろん、婚姻の有無など、プライベートを根掘り葉掘り聞かれなかった。そしてウイットに富んだ会話や引き出しの多さ。先生は世界各国を旅していて、ポルトガルを旅していた時も現地のお嬢さん達と仲良くなった、と話していたが、先生は本物の紳士だからどの国に行っても女性だけでなく他者を嫌な気持ちにさせないだろうな、と思った。
私も先生のような歳の取り方をしたい。
そのためにはまず、「三種の名器」と言ったり、「セントラルウンチンコ」「金の玉」等に大袈裟に反応しない淑女を目指さなければならない。
道のりはまだ長そうだ。
おわり

▲名古屋、また行きたい!
なかでも“三種の神器”を祀る神社が気になっている。
三種の神器とは日本神話にづく天皇の位を示す3種類の宝物で、歴代天皇に伝わる国宝だ。
八咫鏡、草薙剣、八尺瓊勾玉。それぞれ伊勢神宮、熱田神宮、皇居の「剣璽の間」に祀られている。
三種の神器の起源は謎に包まれており、どのように出現・作られたのか、なぜ天皇家が継承するに至ったかなどはわかっていない上、三種の神器を直接観ることは代々伝来されている天皇陛下ですらできないというロマン溢れる国宝なのだ。
そういうわけで、三種の神器系神社である伊勢神宮と熱田神宮がとても気になっている。
伊勢神宮といえば江戸時代に「一生一度はお伊勢参り」と言われて大流行したので私も行ってみたいところではあるが、親友いわく「アツい時期」があるらしい。なんでも「式年遷宮」という20年に一度の儀式があるのだ。新しい社殿を造って御神体を遷す儀式で、次は2033年に予定されており、2025年あたりから準備が始まるらしい。友人のおすすめは「式年遷宮後」とのことで、それにはあと9年待たないといけない。
9年間なにもしないで待つのはつらい。それでは草薙剣(くさなぎのみつるぎ)を祀る熱田神宮へ行こうという話になった。場所は愛知県名古屋市である。
こんなことを言ったら罰当たりかもしれないが、私は“三種の神器”と言いたい時になぜか“三種の名器”と言ってしまう呪いにかかっていた。多分三種の神器は人が見てはいけない神聖なものとして扱われている=見てはいけない=キャー!のび太さんのエッチ!みたいな変換が脳内でされてしまっているのだと思う。
仕事終わりの友人と東京駅で待ち合わせをし、新幹線に乗っていざ名古屋へ。

この日私は大学時代のバイト先の友人と日中会っていたのだが、私よりも饒舌な友人だったからか先程買ったビールが効いているのか、親友に会ってから“俺のターン!”とばかりに私は饒舌になった。
とことん喋ってからふと、「自分が気持ちよく話せているのは相手が気を遣ってくれているから」と以前SNSで見たのを思い出し突然不安になったので、親友に「ねえ、今私が楽しいのは君が気を遣ってくれているからなのかい?」と聞いたら、「私だけにラジオパーソナリティが話してくれているみたいで楽しいよ、マミチャン・オンザ・レディオって感じ」と言ってくれ安心?した。
ラジオパーソナリティをしていたら、名古屋に着いた。
すっかり夜なので、大人しくホテルにチェックインをすることに。
ホテルのアメニティに耳栓があり、もしや夜な夜なパーティーとかあるのか?と不安になる。
寝ようとしていると、何か外がうるさい。親友が「誰かスケボーしてる!」と窓を開けると向かいの施設で荷物の運搬が行われていた。そのあと近所の消防署からの出動もあったりで、ああこのための耳栓だったのね、と納得。ご苦労様です。
翌朝、早速今回のメインの熱田神宮へ。電車で行く。

熱田神宮は敷地が広く最寄り駅が多いのだが、我々の行きたい正門の最寄りであろう「熱田神宮前駅」というそのままの名前の駅で降り、神宮を目指す。

▲神宮前駅の名に相応しい 長屋の屋根が波打つようなデザイン。2024年9月オープンの「あつたnagAya」という商業施設を造っている所だった
神宮前駅、といいつつ、正門(南門)までは歩いたら結構かかりそうなので駅前でタクシーに乗った。

▲味のあるタクシー乗り場
「近くて申し訳ないのですが、熱田神宮の南門まで」と言うと、「ああ!蓬莱軒行くの?!」と運転手さん。いや、熱田神宮…と思ったがGoogleマップで蓬莱軒が神宮からとても近かったので、「そうです」と言ってしまった。ちなみに私は鰻が食べられない。
運転手さんが出発と同時に「今日はヒトの車なんだよ!」と謎の宣言をしたので思わず、「じゃあ、いつもの調子が出ないですか?」と言うと、気を良くしてくれたのか「1メーターで行くから!飴も好きなだけ持っていって!」とメーターを切って飴までくれた。
ばっちり蓬莱軒の前で下され、「もう名前書いときな!」と言われ別れる。運転手さんの親切心に、安易に鰻屋に行くと言ってしまったことを申し訳なく思った。

▲タクシードライバーさん。名古屋走りではなく安全運転でした

▲運転手さんチョイスの飴ちゃんたち
とりあえず第一鳥居の手前でトイレを済ませ、いざ熱田神宮内へ。

▲第一鳥居
正門(南門)にある第一鳥居。本宮に参拝するまでには、第二の鳥居、第三の鳥居とこれから似たようなのがあと2回出てくる。似てるけど、第一鳥居が一番大きく感じた(当社比)。

▲約6万坪の広大な神宮内には樹齢何百年もの木々が生い茂っている
第一鳥居を潜り先程のタクシードライバーとのやりとりを振り返って「今日は人に縁がある日かもしれない」と親友に言うと、「まみちゃんといると他人との出会いイベントが発生しやすい」と言われる。
しかしながら、以前地元の100円ショップにいった時に親友も見知らぬおばあさんから「これはいくら?」と聞かれたことをきっかけに、おばあさんの生い立ちから最終的に「東大を受験すると度胸がつく」と説かれていたのを私は見ている。

▲地元にておばあさんとエンカウントする親友
たぶん我々は他者に絡まれやすい体質なのだと思う。

▲神宮中程にある第二鳥居

手水舎で身を清め大楠にご挨拶する。

▲大楠
弘法大師が直接手植えしたとされる大楠は「熱田神宮の七本楠」として有名で、その第1番目は神宮会館内にあり、普段は見ることができない。神宮内の手水舎横で見られる大楠は7本ある大楠の3番目に大きいクスノキらしい。ちなみに2番目に大きなクスノキはもっと先にあるらしい。
「御神木!」と近づくと、木の根元に卵があった。

▲なぜたまご?
熱田神宮には神鶏がいると聞いていたので、「鶏が産んだのかな…?」と親友と話していると、横にいたおじさんに「蛇が食べに来るんだよ!こりゃ今朝も来たんじゃないかな?!」と言われる。おじさんは毎日見に来ているのだろうか。「蛇かぁ〜」と言ったら「こんなのがいるのよ!」と突然大蛇の写真を見せられる。すごい大蛇だったので、「えー!見たかった!この写真、撮ってもいいですか?」と言ったら「これはだめ!おじさんの写真ならいくら撮ってもいいけど!」と言われる。おじさん、普段からこの写真を持ち歩いて自慢しているだろう…。
おじさんとワイワイしてたら「なに、蛇なんかくるの?」と警備員のおじさんも会話に参入してきた。

▲警備員さん「俺は蛇だけはダメ!」とのこと・親友撮影
おじさんたちと別れ、参道を進む。

▲第三鳥居
三つ目の鳥居を潜ると、拝殿が見えてきた!
そして私は人の写真撮影を率先して手伝う。
「いつも偉いよね」と親友に言われるが、これは私の処世術で、徳を積むのと同時に察しがいい人だと「そちらも撮りましょうか?」と言ってもらえる確率が高いからだ。

▲そして今回もまんまと撮ってもらう。ちなみにこれは自作の“出雲!縁結び空港!”のポーズ

▲拝殿
この階段から上に乗って写真を撮ったらいけないらしい。まんまと上でも撮って警備員さんに注意されてしまった。
撮影禁止の注意書きなどないので、みなさんも注意だ(ちゃんと削除しました)
ちなみに熱田神宮の本宮は、「伊勢神宮」と造りがよく似ているらしい。
かつては「尾張造り」という別の様式の社殿だったが、天皇家がお祀りする「三種の神器」のひとつを祀る社であることから、明治26年に神宮とほぼ同様の社殿の配置、そして規模に改築したそうだ。
拝殿の真横で親友と「立派な建物だなぁ〜」と言っていたら、オシャレなシニア紳士に「こんなに大きいと修繕費いくらかかるのかね」と話しかけられる。
「みんなのお賽銭が修繕費だなぁ、おじさんが入れなくてもお金がありそうだな」と語り、紳士はどこかに行ってしまった。
我々も御朱印を求めて授与所へ。
無事に御朱印とついでにパンフレットをゲットし、おみくじを引いた。
出雲大社のおみくじでは神に戒められたが、今回はいかに?

▲大吉でした
大吉を引いて大変嬉しかった。出雲大社でのお言葉のおかげかもしれない。
(前回出雲大社のおみくじで“人の短所を言うなかれ。己の長所を説くなかれ。”と言われ、以降日々気をつけてはいる)
パンフを見ながら、神楽殿や清水社を目指す。

▲神楽殿の横ちょっと工事してた、お賽銭が役に立っている様子




▲大楠がここにも
このクスノキが2番目に大きい子らしい。


▲清水社とお清水
お清水では湧水の中心にある苔石に3度水をかけて願掛けするという。
苔石にかけるというが割と距離があり水を柄杓で投げる感じで、コントロールが難しい。
3回かかってるか怪しいところだったが、後ろに人も並んでいたので「3回かけました」という顔で去る。
お清水の後は「こころの小径(こみち)」に進む。

パンフによるとここから先も撮影禁止らしい。またもや撮影禁止などの立て看板がなかったので前にいた人たちは思いっきり動画を撮っていた。彼女たちの思い出に、多分我々も刻まれている。
本宮裏もお参り。出雲大社の時に裏からもお参りすると学んだのでね。

▲一之御前神社、ここから撮影OKだ
一之御前神社をお参り。こちらは天照大神の荒魂(あらみたま)をお祀りしている。
荒魂とは、活動的で猛進的なはたらきをする神霊のことらしい。

改めてパンフを見ると拝殿そばにあった「ならずの梅」をみていないことに気づき戻る。

▲ならずの梅
綺麗な花が咲くが、実をつけたことがなく有名らしい。綺麗な花が咲くだけでも十分じゃないか。コロナ禍のロックダウンに植えたうちのレモンの種は花さえならないぞ。

▲うちのレモン、葉っぱだけめちゃ育つ
そして憧れの「信長塀」へ!(親友は戦国武将も好き)

▲信長塀
信長塀は永禄3年織田信長が桶狭間出陣の時、当神宮に必勝祈願をしてみごと大勝したので、そのお礼として奉納されたものだ。兵庫西宮神社の大練塀、京都三十三間堂の太閤塀とともに日本三大土塀の一つとして有名らしい。
「信長様〜!」と言いながら塀に触れる。

末社にもご挨拶していく。

▲内天神社

▲大幸田神社
親友「なんで右の方だけ持ち手が取れてるんだろう?」
私は全く気づかなかったが、確かに引き戸の取手みたいなのが右側だけない!調べたが理由はわからなかった。
「ここから少し中覗いてもいいよ?」という気遣いだろうか…?

▲六末社

神鶏はどこかしら?と歩いていると、いた!しかも二羽いる!


どうも一羽は地元のおじ様に懐いてる様子で、散歩中のおじ様の後をつけていた。人も全く怖がらない様子なので、写真を撮っていると、先程の神鶏に懐かれていたおじ様が「抱っこもできるよ!撫でてやって!」と神鶏を抱いて連れてきてくれた。かわいい〜

▲お利口さんな神鶏
そして剣の宝庫草薙館へ!

▲近代的でおしゃれな剣の宝庫草薙館
古来より刀剣が奉納されてきた熱田神宮所蔵の貴重な刀剣がたくさん見られる。約450口の刀剣を毎月入れ替えて展示しているとのこと、毎月楽しめるね!
ここで拝殿で出会ったおしゃれ紳士に再会。お互い会釈から会話が弾む。
おしゃれ紳士は歴史にも海外にも知見が多く、親友とは歴史や古来の文明についてとてもウィットに富んだ会話が繰り広げられていた。
「日本の歴史の空白の4世紀」についての意見や大山古墳の謎など…
おしゃれ紳士はなんか先生っぽさがある。(以下先生と呼ぶ)
私がベトナムに住んでいることからドイモイ政策や社会主義の話、先生が学生運動をしたり海外赴任したりした話など…
「あの頃はマルクス的社会主義に惹きつけられていたけど、結局資本主義の恩恵を受けているから。これで良かったんだよ」と遠い目をして振り返っていた。
学生運動世代だった先生は、高度経済成長の真っただ中に社会人、バブル経済期に働き盛りで、日本の経済成長などを目の当たりにしてきたのだろう。
そして私と親友は出雲大社に行ったのをきっかけに今回熱田神宮に来たことから、別れ際に「これからも歴史を勉強してね」と先生に言われ、「はい!」と元気に答えた。
休憩を兼ねて映像コーナーで「草薙剣」の由来となった出来事をアニメで観た。出雲大社横の古代出雲歴史博物館でもアニメで伊勢と出雲ついてアニメで学んだが、歴史にかなり疎い私でも楽しめる内容でありがたい。子供の頃にこういったアニメを観ていれば、もっと歴史に興味を持ち、大学入試センター試験で地理受験ではなかったかもしれない。

▲日本刀体験コーナー
剣の宝庫草薙館には実際の日本刀や「真柄大太刀」の大きさ・重量を実感できる体験コーナーもある。外国人ニキがひとりでいたので「写真撮りましょうか?」と声を掛けたら「え、大丈夫です…」と困惑されてしまった。ひとり旅では自分の写った写真がないのが難点。今までのひとり旅で「本当にここに私はいたのか?」と思ってしまうことがしばしばあった私は、「ほら!思い出だから!!」とほぼ半ば強引に撮ってあげる事案に。(いい思い出になっていることを願う)

▲真柄大太刀・めちゃ重い

「真柄大太刀」に体力を奪われお腹が空いたので「宮きしめん」をいただくことにした。

▲梅とろ玉きしめんをいただきました、さっぱり美味しい
うまい、うまい、ときしめんを食べていると、ふと気になる注意書きが。


▲外国人ニキとカラス
なるほど、たしかにカラスと人の距離が近い気がする。
カラスは揚げ物が特に好きらしいので、おそらくニキは揚げ物も頼んでいたのかもしれない。
食後の運動に南神池をぐるっと散策。鯉がいて趣がある。

▲南神池
南神池周りは紅葉の木に囲まれていたので、秋とか良さそう。

▲二十五丁橋と親友
二十五枚の板石で造られた太鼓橋だから二十五丁橋って名前になった、名古屋で最古の石橋だそう。
この記事を書くにあたって“二十五丁橋は渡れません”とのブログを拝見して「嘘だろ?我々やっちまったか…?!」と思ったら2021年から渡れるようになったらしい(ホッ…)

▲眼鏡之碑
我々二人とも元々眼鏡っ子なので「目が良くなりますように」とお参りしたが、後で調べたら安産を祈願して縄文時代に作られた土偶だったらしい…(諸説あり)
そして眼病平癒は先に行った「清水社」がご担当だったみたいだ。
そして宝物館へ。

▲ここが宝物館
シンプルな造りの建物ね、と思ったら日本古代建築を彷彿とさせる校倉風鉄筋コンクリート造らしい。
神宝類から書跡、絵画、ここにも刀剣がたくさんあった。彫刻はちょっと怖かった…
現在作家の作品も展示されているのだが、特に印象に残ったのは斎藤吾朗筆「熱田神宮・創祀千九百年」だ。1990年前からの多くの歴史上の人々が左巻きの渦の流れに描かれていて、外側には多くの神事が描き込まれている作品で、何か盆と正月が一気に来た!みたいですごく迫力がある作品でした。
参考:https://goroh-saitoh.com/original_item/reproduction/58

▲天照大神の和魂を祀る徹社
和魂は神の穏やかで平和的な面・優しさや慈愛などを表しているそう。先にお参りした「一ノ御前神社」と対照的な魂を祀っていて、2つの神様が同じ境内でお祀りされているのは珍しいらしい。

▲夫婦円満と子宝祈願の楠御前社
日本の国土を作った夫婦神「イザナギノミコト」と「イザナミノミコト」を祀っている。お社の前に奉納されている小さな鳥居たちは自分の干支と名前と祈願内容を書いて奉納すると願いが叶うそうだ。

▲清雪門
飛鳥時代に海外の僧侶が草薙剣の魅力に取り憑かれて熱田神宮から盗んだ時に使われた門。でも逃走中に道中天候が悪化し、激しい雨風に遭って“剣の怒りを買ってしまった”と後悔して返還したらしい。
そして「オホホ祭り」の舞台にもなっている。草薙剣が無事戻ってきた喜びを込めて神職さんたちが「オホホ」と高笑いする珍しい神事だ。
オホホで済む話じゃないだろう!と思ってしまったが、どちらも諸説あり・公式でも“故あって”と濁されているので、まああれだ、ハリーポッターでいう“例のあの人”的な感覚の出来事なのだろう。
この門はこのようなことが二度と起こらないようにと、1000年以上も閉ざされている。
小さい社も含めて大体回れたかしら?となり、西門から外へ。

▲車ばらいはこちら
車ばらいは神社に車とともに入り、車とドライバーの穢れをお祓いして交通安全を祈願するそうだ。車が普及してからはじまった儀式と言われているが、原点は航海や旅行の安全を祈ることだそう!車で熱田神宮に行った際は行ってみるといいかもしれない。
最後に下知我麻神社をお参りして熱田神宮西駅へ。名古屋城に向かいます!
私がベトナムに戻ってから親友が気づいたのですが、我々は大国主社にお参りし忘れていたのでした…社の側のお手洗いには行ったのに...!第一鳥居の手前で入ったトイレの横が賑わっていてちらりと見たのに、帰りは別の門から出てすっかり忘れてしまった。
でも本拠地(出雲大社)に行っているし、また熱田神宮に行く理由ができたのでヨシとします。
そしていざ名古屋城へ!
帰りは本宮の西門から近い熱田神宮西駅から名城線に揺られ、15分程で名古屋城駅に着いた。
駅から地上へ上がったら城がバーン!と見えるかと思っていたので、何も見えなくて不安に。
代わりに?「金シャチ横丁」なるものが現れた。

どうやら名古屋名物と忍者を推してる施設のようだ。
https://kinshachi-y.jp/
公式によると名古屋城下に刮目の、味な施設とのこと。“味な”っていいなぁ。

▲写真スポットもある
横丁を歩いていたら名古屋城の入り口には辿り着けたが、城がまだ見えない。
私が思っているよりも、名古屋城って小さいのだろうか…?
そして入り口で発見したのが城ではなく、“先生”だった。

先生に話しかけようかと思ったが、せっかくなので金シャチ横丁で一旦コーヒー休憩を取ることに。
大人になってからコーヒー休憩が欠かせない身体になったと思う。子供の頃は親や祖母が「コーヒー飲みたいね」「今日まだコーヒー飲んでない!」と騒ぐ意味がわからなかった。親友も親や親族がコーヒー飲んでない宣言をする家庭環境だったそうだ。
いつの間に我々は「今日コーヒー飲んでない」と騒ぐ側になったのだろうか。いつかはわからないけど、何か飲むことで一服つく気持ちはわかる。みなさんはどうだろうか?
話が逸れたが無事にコーヒー休憩を終え、いざ名古屋城に向かう。
入り口を入ったはずなのに、城が全然見えないのが不安だ。熊本城も大阪城も敷地入ったら城がすぐ見えた記憶なのだが、もしかして名古屋城って、めちゃ敷地広い…?


加藤清正石曳像なるものを通り過ぎるとでっかい石垣が見えてきた。
「うぉぉぉかっこいい!!」
歴女・寺社仏閣および城マニアでもある親友は大興奮だ。正直石垣のかっこよさなどがわからない私は「どこら辺がかっこいいの?」と聞くと、「堀底からそそり立ってて、上の部分が反っているところだよ!」とのこと。なるほど。
そしてやっと入り口?正門?が見えてきた。入場券を買って中に入るとやっと城が見えた。それでもまだ遠い。
そして門のそばには「無料城内ガイド」なる人々がいた。頼もうか迷うも、ガイドさんも数に限りがありそうなので、他の人に譲ろう、と我々で回ることに。事前予約もできるそうだ。



▲親友と同じこと言ってる


5分程歩いて、やっと城の眼下まで着いた。これが名古屋城か。
残念ながら城の中には入れなかったが、本丸御殿を見学。



▲寅年なのでトラ撮りがち








日本人はもちろん、外国人の旅行者も多い。あとガイドさんが所々案内しているので、都度ガイドツアー中の人に混じって話を聞いてみたりした。
外国語ガイドさんも多く、思わず私もその一味になってみたりした。

▲外国人ツアーに混じる私・親友撮影
スペイン語ガイドさんのツアーに混じっていたのだが(スペイン語には知見がないのに)、途中「セントラルウンチンコ」と聞こえ、思わず親友に目で「今の聞いた?!」の顔をしてしまった。小学生男子のような反応をしてしまったが、どういうことだ。
同じ場所で親友が日本語ガイドさんの話に耳を傾けると、「この扉の向こうに控えの男どもがいて、上様が寝ている間に何かあれば飛び出し対応する」との説明だったとのこと。
のちに「セントラルウンチンコ」を調べたら、下記翻訳が出てきた。聞き間違えではなかったようだ。
セントラルウンチンコ(正しくはセントラルウンチコ、でも音声で聞いてみて欲しい)の翻訳
そうこうしているうちに、“先生”に追いついてしまった。
先生はガイドさんを付けていて、熱心に質問をしながら回っていた。さすがだ。
あとで声をかけてみようか…

▲服部半蔵忍者隊
本日の武将・忍者隊の出陣スケジュールはこちら↓
https://nagoyajo.rdy.jp/


城前で写真を撮ったり、忍者にポーズを教わったりしながら、先生のツアーが終わるのを見届ける。そして「先生!奇遇ですね!」と声を掛けた。
「先生なんて大したものではないのだけど」と謙遜する先生。
せっかくなので城下のベンチで一緒に休憩をすることに。先生のこれまでの仕事の話などを聴く。先生は歴史の教師になりたかったけど、当時文系に進むことを親に反対されて理系の道に進んだらしい。(でも結局歴史も詳しいし言語も堪能なので文武両道ならぬ文理両道だと思う)
そしてこれからどこを観光するのか聞かれたので、大須観音と商店街に行こうと思うと話すと、「僕もご一緒してもいいかな?」と先生。
我々も先生に居心地の良さを感じていたので、ぜひ!と一緒に行くことに。

▲タクシー移動中に見たなんか怖いオブジェ




大須観音は日本三大観音の一つとされ、なごや七福神のひとつである布袋像が置かれていたり、『古事記』の最古写本などの歴史的に貴重な書物がたくさん所蔵されている。繁華街の中にありアクセスも良いのが魅力だ。
大須観音を見学し、商店街を歩く。

▲仁王門通りの案内に侵食されたマンション


▲金の玉
商店街に突然金の玉があって笑った。
2009年大須商店街で行われた金の玉転がしのイベントに由来しているらしい。
以前シワシワに萎んでしまい、2021年に新調されたらしい。
金の玉を通り過ぎたくらいで先生から「軽く一杯やりたいね」とご提案が。
私もたくさん歩いて疲れていたので、お酒が飲めるところを探すことにした。手羽先が食べたかったので、近場にあった手羽先専門店へ行ってみた。
ビールを飲んで軽く手羽先をつまむ。

先生も新幹線の時間があるとのことなので、電車で名古屋駅へ向かう。
競馬が好き、という話をしたら“サラブレット”の語源の話から幻の競争馬・トキノミノルのことまで話してくれた。
駅に着くと「じゃあ、夕食を食べようか?」と先生。
まだ16時で、先ほど手羽先を食べたばかりだったので全く腹が減っていない。
名残惜しいが、先生とはここでお別れすることに。
先生は次は北海道へ1ヶ月ほど行くとのこと!羨ましい。
「またどこかで!」とお別れをした。
親友と後に振り返ると我々は先生に名前や年齢はもちろん、婚姻の有無など、プライベートを根掘り葉掘り聞かれなかった。そしてウイットに富んだ会話や引き出しの多さ。先生は世界各国を旅していて、ポルトガルを旅していた時も現地のお嬢さん達と仲良くなった、と話していたが、先生は本物の紳士だからどの国に行っても女性だけでなく他者を嫌な気持ちにさせないだろうな、と思った。
私も先生のような歳の取り方をしたい。
そのためにはまず、「三種の名器」と言ったり、「セントラルウンチンコ」「金の玉」等に大袈裟に反応しない淑女を目指さなければならない。
道のりはまだ長そうだ。
おわり

▲名古屋、また行きたい!