父の施設を探すことになった
- 更新日: 2023/10/19
夏休みみたいな景色だ。
介護施設に入居している父がいる。
とても高齢で、今年から車椅子生活になった。
「もう少し楽しく過ごせる施設があるのでは?」と探し始めた。自分で連絡を取ったり、紹介の業者さんに頼んだり。
すぐに反応があって、8月後半の仕事が休みの日に、2日間で3か所を回ることになった。
父が好きなのは、甘い物と散歩と植物。
ちょっとアットホームな感じだと嬉しい。
もちろん財布にやさしいのは大事。
こんな野望を満たしてくれる施設はあるだろうか?
御嶽駅は来たことがある。御岳山に登った時だ。それが40年前だったことに驚く。
一緒に降りた人たちは、山に向かってどんどん散っていった。駅の柱とかもつやつや綺麗で、ちょっと華がある駅。
御嶽駅、「東京アドベンチャーライン無人駅総選挙」で2位になったみたい。
「入口が神社風で扉が横に開くのが好き」って書いてある。この扉が多分それ。
あと、青梅線と五日市線を合わせて「東京アドベンチャーライン」を名乗っている。今日もアドベンチャーがあるだろうか。
駅前に、多摩川が流れていて、この橋を渡って御岳山の方に行く。この景色は記憶にある。
橋から見ると、多摩川。上流は勢いあるんだな。水の色が違う。
私が訪ねる先は、線路沿いの道にある。赤くて目立つのは、理容店だった。
鎖の先は急な階段で、その先は多摩川。ここ降りたい。
石垣に四角い穴。ガードレールがお守りしている。
水が流れているらしい。多摩川に向かって。ゴーゴー勇ましい。
見たいものがたくさんあるけれど、歩道がなくて、車のスピードがすごい。
スマホ出している場合ではない。
なかなかアドベンチャーなので、目指す施設に黙々と向かった。
施設には、菜園と喫茶があるらしかった。父の好きなものが2つもだ。
「そこの階段を上って、線路沿いの高いところを帰るといいですよ」と指さして教えてくれた。
線路の上の道は、こんなに綺麗。こんなに安全。
脇道の先に鳥居が。
これは随分昔からあるのでは?神明社とある。
鞠(まり)みたいなのに手をかけて、満足そうな狛犬。
この形は「玉取り」というみたい。
運気がうまくころがったり、玉は高貴なもの、富の意味もあって、とにかくおめでたい、
養生テープと洗濯ばさみのついた竿があった。旗か何かを立てていた跡かな。
ここにも穴が!今度は金網でガードだ。
線路を渡って、振り向くと掲示板。地元の人が一番歩くのは、ここかなのかも。
駅が見える。夏休みみたいな景色だ。
坂道の途中にあるのは何だろう?
美容院だった。元気に営業中。
坂を降りたところが、車ビュンビュン道の途中だったので、もう一度上の道に引き返す。
電車の時間が気になるけれど、多分駅につながってるはず。
駅の真上あたりは、立派な家が多い。コテージ風だったり、蔵があったり、
踏切り!駅に戻れそう。
結構な階段を降りて。
駅前に帰ってきた。御嶽、ちょっとアドベンチャーだった。
最初に行くのは「小宮」。
八王子市だという。初めて聞く名前だ。
小宮駅のホームで、八高線と記念撮影。
御嶽に行く青梅線もだけれど、八高線も開閉ボタンを使う。
慣れない人が「あれっ?」となると、慣れてる人が後ろからさっと押したり。
男の子が全駅で押して、毎回ママに怒られてたり。
ボタンがエピソードを生んでいて、車内が飽きない。
駅前には、カフェとか居酒屋とか少しあるけれど、まだやってない。
ぐいっと曲がって、歩道のない分岐する道。ぶらぶらするのに危険。
歩道があったよ。歩道大事だな。この道をただただ歩いていると。
急に目の前がひらけた。谷地川(やじがわ)っていう名前らしい。「がわ」って読む川、珍しくない?
川のそばを歩いて、坂を登って、施設を見学した。
時々お店が出張に来て、買い物ができるそうだ。それも、父が喜びそうなことだ。
小宮駅まで戻ってきた。
いい階段が見えたので、行ってみる。
何かな何かな。神社がありそう。
小学校だった。
三色アイス的体育館の横断幕に「日本遺産フェスティバル 桑都八王子」
織物の町だった八王子市は、桑都を名乗っているみたい。
この時「くわと」と読んでいたけれど、「そうと」だったことをあとで知る。
学校のお隣には、神社。
日吉神社。
裏側のこの建物に、もう一つ本命的な建物が隠されていて、板の隙間から見える。
お披露目される時があるんだろうか?
ここだけは涼しい。今年で一番蝉の声を聞いた時間。
駅が見えるし、さっきの矢地川の橋も見える。またも夏休みな景色。
小宮駅前に降りてきた。
この駅の自動券売機は、10時40分~18時50分しか使えないらしい。
最近そうなったみたいで、たくさんの貼り紙。
使えない時間は「券売機証明書」を取る仕組みで、それがこのオレンジの箱。
小宮駅で知り合いになったこのオレンジの箱は、一度気にしはじめると、実は自分の最寄り駅にもあるのだった。
ホームに降りたら無人だった。のんびりお茶を飲む。
電車の時間が近づくと、高校生やベビーカーの親子がやってきた。
立川では、大正時代に飛行場が作られ、その後、陸軍の飛行場、戦後は米軍の基地になった。
飛行場と隣り合う高松町には、民間の「立川飛行機」があって、その広い敷地に「ららぽーと立川立飛」が作られている。
あと、やはり飛行場の関係で、大正時代に早くも映画館が登場して、映画の町としてにぎわった。今でも「シネマ通り商店街」の名前が残る。映画館はもうないけれど、昔からの店が多くて雰囲気がある。
知っているのはこれくらい。
では、出かけます。
「ららぽーと立川立飛駅」まで、多摩モノレールに乗る。モノレールはチャンスがあればいつでも乗りたい。
「ららぽーと」は、いつ見ても栄えている。
それを横目に、「ららぽーと」のはしっこ、駐車場の道を歩いていく。暑い。
弱ったところに、ポスターを見つける。工事現場の壁に貼ってある。
立飛麦酒醸造所。飲みたい。
目指す施設の近くみたいなので、帰りにグイっといきたい。
病院があって、左奥の黒っぽいのが醸造所。
施設は・・?
工事現場しかない。
紹介してくれた業者さんに電話をすると
「え?待って・・・あ、間違ってますね」
教えてくれた住所が間違ってたみたい。正しい住所を教えてもらい、歩きだす。
だいぶ残念な事態だけど「ありがとうございます!」なんてご機嫌風に言った自分も残念だ。
ビールが遠ざかる。
一つ角を曲がると、いい感じの通りに出た。
落ちていた気持ちが上向き。
巨木がある。
植物の勢いがすごい住宅の道。
熊野神社のお祭りが近い。
向こうの道に熊野神社。約束の時間を過ぎてるので、寄れない。
なんの立て札?
「通り抜けする方 持ち帰ってください。大変迷惑です」
ゴミを捨てられてしまうんだな。立て札あるのに。いい手書き文字なのに。
ブリキ店もある。看板が同色なのが気になる。
遅刻してるのに、つい撮ってしまう。
この町なら、父の車いすを押して、ぶんぶん散歩したい。
未来っぽい立川駅と「ららぽーと」の間の、昔からの町。
やっと施設に着いた。紹介業者さんが、古い地番?を教えたことがわかり、施設の人に「ごめんなさい」と言ってもらった。
この施設では。薬やごはんを間違えないように、QRコードをピッとしているらしい。
とても行き届いている。
立川駅までの道には、蔵がすごい大丸質店。
と思ったら、立川駅はすぐそこ。にぎやかな町に戻ってきた。
どこでも丁寧に説明してくれて、それぞれ「ほーっ」というところがあった。
そのうちの一つに申し込むことにした。
散歩的にも、自分が選んだわけではない町に、時間指定ありで出かけるのは、よかった。
いつものぶらぶら散歩とは違った緊張感。
気づけば、帰り道では(行き道でも)、こんな用事で来たとは思えないほど写真を撮っていた。
これが私の夏休みだったんだな。
立飛のビールは、後日飲みに行った。かなり美味しかった。
とても高齢で、今年から車椅子生活になった。
「もう少し楽しく過ごせる施設があるのでは?」と探し始めた。自分で連絡を取ったり、紹介の業者さんに頼んだり。
すぐに反応があって、8月後半の仕事が休みの日に、2日間で3か所を回ることになった。
父が好きなのは、甘い物と散歩と植物。
ちょっとアットホームな感じだと嬉しい。
もちろん財布にやさしいのは大事。
こんな野望を満たしてくれる施設はあるだろうか?
御嶽(みたけ)
初日の行き先は御嶽(みたけ)。青梅線で隣だった三人組は、ハイキングの相談をしていた。1時間だけ歩いて、滝を見たりするらしい。私も見に行きたい。御嶽駅は来たことがある。御岳山に登った時だ。それが40年前だったことに驚く。
一緒に降りた人たちは、山に向かってどんどん散っていった。駅の柱とかもつやつや綺麗で、ちょっと華がある駅。
御嶽駅、「東京アドベンチャーライン無人駅総選挙」で2位になったみたい。
「入口が神社風で扉が横に開くのが好き」って書いてある。この扉が多分それ。
あと、青梅線と五日市線を合わせて「東京アドベンチャーライン」を名乗っている。今日もアドベンチャーがあるだろうか。
駅前に、多摩川が流れていて、この橋を渡って御岳山の方に行く。この景色は記憶にある。
橋から見ると、多摩川。上流は勢いあるんだな。水の色が違う。
私が訪ねる先は、線路沿いの道にある。赤くて目立つのは、理容店だった。
鎖の先は急な階段で、その先は多摩川。ここ降りたい。
石垣に四角い穴。ガードレールがお守りしている。
水が流れているらしい。多摩川に向かって。ゴーゴー勇ましい。
見たいものがたくさんあるけれど、歩道がなくて、車のスピードがすごい。
スマホ出している場合ではない。
なかなかアドベンチャーなので、目指す施設に黙々と向かった。
施設には、菜園と喫茶があるらしかった。父の好きなものが2つもだ。
「そこの階段を上って、線路沿いの高いところを帰るといいですよ」と指さして教えてくれた。
線路の上の道は、こんなに綺麗。こんなに安全。
脇道の先に鳥居が。
これは随分昔からあるのでは?神明社とある。
鞠(まり)みたいなのに手をかけて、満足そうな狛犬。
この形は「玉取り」というみたい。
運気がうまくころがったり、玉は高貴なもの、富の意味もあって、とにかくおめでたい、
養生テープと洗濯ばさみのついた竿があった。旗か何かを立てていた跡かな。
ここにも穴が!今度は金網でガードだ。
線路を渡って、振り向くと掲示板。地元の人が一番歩くのは、ここかなのかも。
駅が見える。夏休みみたいな景色だ。
坂道の途中にあるのは何だろう?
美容院だった。元気に営業中。
坂を降りたところが、車ビュンビュン道の途中だったので、もう一度上の道に引き返す。
電車の時間が気になるけれど、多分駅につながってるはず。
駅の真上あたりは、立派な家が多い。コテージ風だったり、蔵があったり、
踏切り!駅に戻れそう。
結構な階段を降りて。
駅前に帰ってきた。御嶽、ちょっとアドベンチャーだった。
小宮
次の休日は、見学が2本入った。最初に行くのは「小宮」。
八王子市だという。初めて聞く名前だ。
小宮駅のホームで、八高線と記念撮影。
御嶽に行く青梅線もだけれど、八高線も開閉ボタンを使う。
慣れない人が「あれっ?」となると、慣れてる人が後ろからさっと押したり。
男の子が全駅で押して、毎回ママに怒られてたり。
ボタンがエピソードを生んでいて、車内が飽きない。
駅前には、カフェとか居酒屋とか少しあるけれど、まだやってない。
ぐいっと曲がって、歩道のない分岐する道。ぶらぶらするのに危険。
歩道があったよ。歩道大事だな。この道をただただ歩いていると。
急に目の前がひらけた。谷地川(やじがわ)っていう名前らしい。「がわ」って読む川、珍しくない?
川のそばを歩いて、坂を登って、施設を見学した。
時々お店が出張に来て、買い物ができるそうだ。それも、父が喜びそうなことだ。
小宮駅まで戻ってきた。
いい階段が見えたので、行ってみる。
何かな何かな。神社がありそう。
小学校だった。
三色アイス的体育館の横断幕に「日本遺産フェスティバル 桑都八王子」
織物の町だった八王子市は、桑都を名乗っているみたい。
この時「くわと」と読んでいたけれど、「そうと」だったことをあとで知る。
学校のお隣には、神社。
日吉神社。
裏側のこの建物に、もう一つ本命的な建物が隠されていて、板の隙間から見える。
お披露目される時があるんだろうか?
ここだけは涼しい。今年で一番蝉の声を聞いた時間。
駅が見えるし、さっきの矢地川の橋も見える。またも夏休みな景色。
小宮駅前に降りてきた。
この駅の自動券売機は、10時40分~18時50分しか使えないらしい。
最近そうなったみたいで、たくさんの貼り紙。
使えない時間は「券売機証明書」を取る仕組みで、それがこのオレンジの箱。
小宮駅で知り合いになったこのオレンジの箱は、一度気にしはじめると、実は自分の最寄り駅にもあるのだった。
ホームに降りたら無人だった。のんびりお茶を飲む。
電車の時間が近づくと、高校生やベビーカーの親子がやってきた。
立川市高松町
さて午後は立川。通勤で毎日通っている駅だ。でも高松町のことは、あまり知らない。立川では、大正時代に飛行場が作られ、その後、陸軍の飛行場、戦後は米軍の基地になった。
飛行場と隣り合う高松町には、民間の「立川飛行機」があって、その広い敷地に「ららぽーと立川立飛」が作られている。
あと、やはり飛行場の関係で、大正時代に早くも映画館が登場して、映画の町としてにぎわった。今でも「シネマ通り商店街」の名前が残る。映画館はもうないけれど、昔からの店が多くて雰囲気がある。
知っているのはこれくらい。
では、出かけます。
「ららぽーと立川立飛駅」まで、多摩モノレールに乗る。モノレールはチャンスがあればいつでも乗りたい。
「ららぽーと」は、いつ見ても栄えている。
それを横目に、「ららぽーと」のはしっこ、駐車場の道を歩いていく。暑い。
弱ったところに、ポスターを見つける。工事現場の壁に貼ってある。
立飛麦酒醸造所。飲みたい。
目指す施設の近くみたいなので、帰りにグイっといきたい。
病院があって、左奥の黒っぽいのが醸造所。
施設は・・?
工事現場しかない。
紹介してくれた業者さんに電話をすると
「え?待って・・・あ、間違ってますね」
教えてくれた住所が間違ってたみたい。正しい住所を教えてもらい、歩きだす。
だいぶ残念な事態だけど「ありがとうございます!」なんてご機嫌風に言った自分も残念だ。
ビールが遠ざかる。
一つ角を曲がると、いい感じの通りに出た。
落ちていた気持ちが上向き。
巨木がある。
植物の勢いがすごい住宅の道。
熊野神社のお祭りが近い。
向こうの道に熊野神社。約束の時間を過ぎてるので、寄れない。
なんの立て札?
「通り抜けする方 持ち帰ってください。大変迷惑です」
ゴミを捨てられてしまうんだな。立て札あるのに。いい手書き文字なのに。
ブリキ店もある。看板が同色なのが気になる。
遅刻してるのに、つい撮ってしまう。
この町なら、父の車いすを押して、ぶんぶん散歩したい。
未来っぽい立川駅と「ららぽーと」の間の、昔からの町。
やっと施設に着いた。紹介業者さんが、古い地番?を教えたことがわかり、施設の人に「ごめんなさい」と言ってもらった。
この施設では。薬やごはんを間違えないように、QRコードをピッとしているらしい。
とても行き届いている。
立川駅までの道には、蔵がすごい大丸質店。
と思ったら、立川駅はすぐそこ。にぎやかな町に戻ってきた。
その後
介護施設をこんなに見たのは初めてだった。どこでも丁寧に説明してくれて、それぞれ「ほーっ」というところがあった。
そのうちの一つに申し込むことにした。
散歩的にも、自分が選んだわけではない町に、時間指定ありで出かけるのは、よかった。
いつものぶらぶら散歩とは違った緊張感。
気づけば、帰り道では(行き道でも)、こんな用事で来たとは思えないほど写真を撮っていた。
これが私の夏休みだったんだな。
立飛のビールは、後日飲みに行った。かなり美味しかった。