「幻の湖」ロケ地である滋賀おごと温泉ソープ街に行ってきた
- 更新日: 2018/07/17
邦画屈指の怪作が生まれた場所
今年6月、是枝裕和監督の「万引き家族」がカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したことがきっかけで、日本映画に対する注目が集まっています。
今後、過去の名作への関心も高まってくるかもしれませんね。
しかし、光あるところに影あり。
日本映画においても映画史に残る優れた「名作」がある一方、あまりにも独創的すぎて「迷作」とされてしまった作品も少なからず存在しています。
そんな迷作の中でも特に有名なのが、1982年公開の「幻の湖」です。
「七人の侍」「私は貝になりたい」などを手がけた名脚本家である橋本忍氏が手がけたこの作品は、そのきわめて難解かつ独創的なストーリーや抽象的な演出が当時ほとんど評価されず、現代においても「珍作」「迷作」として位置づけられています。
しかしその一方、ほかの映画にはない唯一無二な「味」がよいとして、一部の映画マニアからはカルト的な人気を誇っているのです。
今回訪れたのは、この作品のロケ地として知られている滋賀県大津市雄琴。
温泉街「おごと温泉」がある一方、関西有数のソープ街としても知られるユニークなスポットです。
毎年多くの観光客が訪れるこの場所にて、今なお残る迷作の余韻を感じつつ散歩としゃれこみましょう。
場所は↓ここらへん
「おごと温泉」に到着しました。
次の駅である「かたた」の語感も気になります。
かたたたたたたたた
琵琶湖が遠くに。
天気予報図などで見るとそれほどではありませんが、いざ滋賀に入ると大きさを実感させられますね。
オノマトペの大洪水。
タクシーには乗らず、歩いて雄琴温泉へ。
かたた眼科。
どうでもいいですが、眼精疲労は肩こりが間接的原因となっている場合があるのでかたたたきで和らぐこともあるらしいです。
ひっそりと顔を覗かせる飛び出し坊や。
飛び出すタイミングを伺っているのか?
ハトの像とはなんだか珍しげ。
「『幻の湖』の話が全然出てこないじゃないか」と言われてしまいそうなので、ここで解説しておきます。
基本的なあらすじは「愛犬『シロ』を殺された雄琴のソープ嬢『道子』(源氏名:お市)が、加害者である作曲家『日夏』に復讐を果たそうとする」といったもので、比較的シンプルです。
しかし、
・道子が戦国時代に実在した「お市の方(織田信長の妹にして浅井長政の妻)」と自分を同一視しはじめる
・戦国時代から続く因縁と生まれ変わりの物語
・ソープ嬢にして米国諜報員という謎キャラクター、ローザ
(代表的なセリフは「ファントムではなくイーグルだ。イーグルはすでに実戦配備についている」)
・戦国武将の生まれ変わりにして宇宙飛行士の笛吹き男、長尾
(「宇宙パルサー」なるものが関係しているらしい)
といったスピリチュアル要素とSF要素がふんだんに盛り込まれた結果、本作の物語は尋常がないほどにわかりづらく、不条理なものとなっています。
監督兼脚本家の橋本忍氏は「七人の侍」や「切腹」「八甲田山」といった邦画史に残る傑作のシナリオに携わった「巨匠」ともいうべき人物でしたが、本作は批評家からもそっぽを向かれ、興行自体も短期間で打ち切られるなど悲惨きわまりない結果に終わりました。
これはとある脚本家学校の教師から私が直に聞いた話ですが、当時本作を試写会で鑑賞した批評家や業界人はそのあまりの出来に「どのような感想を言えばよいかわからない」といった状態で、入口で関係者が意見を待っているにも関わらず皆そそくさと帰ってしまったそうです。
そうした反応に憤慨した橋本氏は、各方面に対して「この映画はこういった物語であり、このシーンはこのような意味を持つ」といった内容の手紙(直筆)を何枚も送りつけたのだとか。
(そこにどのようなことが書かれていたかは教えてもらえませんでした)
そのような、「日本映画界を代表する巨匠が生み出した珍作」という背景もあいまって、本作は映画ファンの話題にあがることが多いのです。
おごと温泉看板から歓迎されてしまいました。
しかし、劇中に登場した場所はまだまだ先。
串もんに比べると比叡そばはそれほどウリじゃないみたいです。
気まぐれに田んぼを覗いてみると、なにやらザリガニのような生き物が。
写真では見えづらい!
並び立つふたつの「アクティバ」。
前にあるピンクのアクティバは「旧館」といったところでしょうか。
コインを精米してくれるという不思議な機械。
突如現れた、妙にハイテンションなソープランド。
料金は比較的リーズナブルですが、すでに廃墟となってしまっているようです。
幻の湖の舞台となったのはこのあたり?
ペンキで荒く「売る店」。
「売ったるわい」という意志の強さを感じる。
雄琴公園。
幻の湖劇中にて「犬が死んでいた」と連絡を受けた道子が動揺しながらあちらこちらを走りますが、その中に一瞬この場所が登場します。
名物は遊覧船の模様。
おらが町の外来魚釣り上げ名人!
糸○重里が参加しそう。
埋蔵金はいずこ?
お、宿?
観光ホテル、そして特殊浴場の案内所跡。
この業界も大変なようです。
ポップでビッグなラーメン屋。
お腹が空いたので入ろうとしたものの、お店は閉まっていました。
食べログを見る限りでは営業しているようですが……?
人魚の……いったい何でしょうか。
内容によってはこの記事がお蔵いりになりかねません。
ここが幻の湖の舞台となった雄琴のソープ街「シルクロード」。
その数は20軒を超えているのだとか。
無料案内所兼喫茶店という不思議なお店「ミシガン」。
勇気を出して入ってみると店主がいい人で、しかもとある高級ソープ(名前失念)の経営も兼任しているというからすごかった。
この店で大体一時間ほど「地雷」の見分け方(ボーイの態度の良し悪しで分かるらしい)などについて雑談。
「次行ったらええとこ紹介したるからおいで」とのお言葉いただきました。
滋賀県なのに鎌倉御殿。
いざ鎌倉!
ミシガンの店主曰わく「高級店」らしいゴールドクイン。
入口前の黄金オブジェがステキ。
あんまりソープっぽくない店。
3つのタイプを選べるらしいです。
なかなか女子力の高さを感じさせる看板。
外観のデザインがどれも個性的。
スナップの対象としてうってつけでは?
デパートの屋上にも似たようなのがありそう。
正解は「人魚の『城』」でした。
ナウでヤングなセンスにメロメロ!
イエーイ。
「丸の内」やら「大手町」やら「六本木」やら、東京の地名にちなんだものが多いですね。
入口にはボーイさんが立っていて、「遊んでいきませんか」と声をかけてきます。
中には「ワシこのソープの社長やねんけど、ええとこやから遊んでってえな」なんて声かけしてくるお店も!
次はもうひとつのソープ街「川筋通り」へ。
特殊浴場らしからぬ謎のロイヤル感。
琵琶湖をイメージした(?)青い建物が印象的。
雄琴にはウサギさんがいっぱい。
しかし店名は「マキシム」なのか「うさぎ」なのか。
「べっぴんハイスクール」という名前自体はあまりべっぴんではない気が。
横文字で「PuruPuru」。
異次元的センス。
男ならば目指せ皇帝(コウテイ)。
別館もあります。
というわけで、映画幻の湖の舞台となった雄琴のレポートでした。
その物語のみならず、ロケ地となったソープ街も実に不思議な雰囲気で、一度は訪れる価値ありです。
訪問の際は、事前に幻の湖を見ておくと楽しさがアップするかも?
今後、過去の名作への関心も高まってくるかもしれませんね。
しかし、光あるところに影あり。
日本映画においても映画史に残る優れた「名作」がある一方、あまりにも独創的すぎて「迷作」とされてしまった作品も少なからず存在しています。
そんな迷作の中でも特に有名なのが、1982年公開の「幻の湖」です。
「七人の侍」「私は貝になりたい」などを手がけた名脚本家である橋本忍氏が手がけたこの作品は、そのきわめて難解かつ独創的なストーリーや抽象的な演出が当時ほとんど評価されず、現代においても「珍作」「迷作」として位置づけられています。
しかしその一方、ほかの映画にはない唯一無二な「味」がよいとして、一部の映画マニアからはカルト的な人気を誇っているのです。
今回訪れたのは、この作品のロケ地として知られている滋賀県大津市雄琴。
温泉街「おごと温泉」がある一方、関西有数のソープ街としても知られるユニークなスポットです。
毎年多くの観光客が訪れるこの場所にて、今なお残る迷作の余韻を感じつつ散歩としゃれこみましょう。
場所は↓ここらへん
「おごと温泉」に到着しました。
次の駅である「かたた」の語感も気になります。
かたたたたたたたた
琵琶湖が遠くに。
天気予報図などで見るとそれほどではありませんが、いざ滋賀に入ると大きさを実感させられますね。
オノマトペの大洪水。
タクシーには乗らず、歩いて雄琴温泉へ。
かたた眼科。
どうでもいいですが、眼精疲労は肩こりが間接的原因となっている場合があるのでかたたたきで和らぐこともあるらしいです。
ひっそりと顔を覗かせる飛び出し坊や。
飛び出すタイミングを伺っているのか?
ハトの像とはなんだか珍しげ。
「『幻の湖』の話が全然出てこないじゃないか」と言われてしまいそうなので、ここで解説しておきます。
基本的なあらすじは「愛犬『シロ』を殺された雄琴のソープ嬢『道子』(源氏名:お市)が、加害者である作曲家『日夏』に復讐を果たそうとする」といったもので、比較的シンプルです。
しかし、
・道子が戦国時代に実在した「お市の方(織田信長の妹にして浅井長政の妻)」と自分を同一視しはじめる
・戦国時代から続く因縁と生まれ変わりの物語
・ソープ嬢にして米国諜報員という謎キャラクター、ローザ
(代表的なセリフは「ファントムではなくイーグルだ。イーグルはすでに実戦配備についている」)
・戦国武将の生まれ変わりにして宇宙飛行士の笛吹き男、長尾
(「宇宙パルサー」なるものが関係しているらしい)
といったスピリチュアル要素とSF要素がふんだんに盛り込まれた結果、本作の物語は尋常がないほどにわかりづらく、不条理なものとなっています。
監督兼脚本家の橋本忍氏は「七人の侍」や「切腹」「八甲田山」といった邦画史に残る傑作のシナリオに携わった「巨匠」ともいうべき人物でしたが、本作は批評家からもそっぽを向かれ、興行自体も短期間で打ち切られるなど悲惨きわまりない結果に終わりました。
これはとある脚本家学校の教師から私が直に聞いた話ですが、当時本作を試写会で鑑賞した批評家や業界人はそのあまりの出来に「どのような感想を言えばよいかわからない」といった状態で、入口で関係者が意見を待っているにも関わらず皆そそくさと帰ってしまったそうです。
そうした反応に憤慨した橋本氏は、各方面に対して「この映画はこういった物語であり、このシーンはこのような意味を持つ」といった内容の手紙(直筆)を何枚も送りつけたのだとか。
(そこにどのようなことが書かれていたかは教えてもらえませんでした)
そのような、「日本映画界を代表する巨匠が生み出した珍作」という背景もあいまって、本作は映画ファンの話題にあがることが多いのです。
おごと温泉看板から歓迎されてしまいました。
しかし、劇中に登場した場所はまだまだ先。
串もんに比べると比叡そばはそれほどウリじゃないみたいです。
気まぐれに田んぼを覗いてみると、なにやらザリガニのような生き物が。
写真では見えづらい!
並び立つふたつの「アクティバ」。
前にあるピンクのアクティバは「旧館」といったところでしょうか。
コインを精米してくれるという不思議な機械。
突如現れた、妙にハイテンションなソープランド。
料金は比較的リーズナブルですが、すでに廃墟となってしまっているようです。
幻の湖の舞台となったのはこのあたり?
ペンキで荒く「売る店」。
「売ったるわい」という意志の強さを感じる。
雄琴公園。
幻の湖劇中にて「犬が死んでいた」と連絡を受けた道子が動揺しながらあちらこちらを走りますが、その中に一瞬この場所が登場します。
名物は遊覧船の模様。
おらが町の外来魚釣り上げ名人!
糸○重里が参加しそう。
埋蔵金はいずこ?
お、宿?
観光ホテル、そして特殊浴場の案内所跡。
この業界も大変なようです。
ポップでビッグなラーメン屋。
お腹が空いたので入ろうとしたものの、お店は閉まっていました。
食べログを見る限りでは営業しているようですが……?
人魚の……いったい何でしょうか。
内容によってはこの記事がお蔵いりになりかねません。
ここが幻の湖の舞台となった雄琴のソープ街「シルクロード」。
その数は20軒を超えているのだとか。
無料案内所兼喫茶店という不思議なお店「ミシガン」。
勇気を出して入ってみると店主がいい人で、しかもとある高級ソープ(名前失念)の経営も兼任しているというからすごかった。
この店で大体一時間ほど「地雷」の見分け方(ボーイの態度の良し悪しで分かるらしい)などについて雑談。
「次行ったらええとこ紹介したるからおいで」とのお言葉いただきました。
滋賀県なのに鎌倉御殿。
いざ鎌倉!
ミシガンの店主曰わく「高級店」らしいゴールドクイン。
入口前の黄金オブジェがステキ。
あんまりソープっぽくない店。
3つのタイプを選べるらしいです。
なかなか女子力の高さを感じさせる看板。
外観のデザインがどれも個性的。
スナップの対象としてうってつけでは?
デパートの屋上にも似たようなのがありそう。
正解は「人魚の『城』」でした。
ナウでヤングなセンスにメロメロ!
イエーイ。
「丸の内」やら「大手町」やら「六本木」やら、東京の地名にちなんだものが多いですね。
入口にはボーイさんが立っていて、「遊んでいきませんか」と声をかけてきます。
中には「ワシこのソープの社長やねんけど、ええとこやから遊んでってえな」なんて声かけしてくるお店も!
次はもうひとつのソープ街「川筋通り」へ。
特殊浴場らしからぬ謎のロイヤル感。
琵琶湖をイメージした(?)青い建物が印象的。
雄琴にはウサギさんがいっぱい。
しかし店名は「マキシム」なのか「うさぎ」なのか。
「べっぴんハイスクール」という名前自体はあまりべっぴんではない気が。
横文字で「PuruPuru」。
異次元的センス。
男ならば目指せ皇帝(コウテイ)。
別館もあります。
というわけで、映画幻の湖の舞台となった雄琴のレポートでした。
その物語のみならず、ロケ地となったソープ街も実に不思議な雰囲気で、一度は訪れる価値ありです。
訪問の際は、事前に幻の湖を見ておくと楽しさがアップするかも?