世田谷区の街灯 - 街灯図鑑 vol.1

  • 更新日: 2019/06/06

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弦巻商店街の街灯


王田土人と申します。裏で絵描きをしています。
よろしくお願いします。

さて私、最近街灯が好きなんです。



仕事場まで自転車で通勤していまして、これが結構な距離なんです。で、せっかくだから、帰りに寄り道の1つや2つぶちかましますかといういうことで、気になったモノを見つけるとふらふらと角を曲がってみたりするんですが、夜の街灯に引き寄せられる確率が高いことに気づきました。

想像してみてください。夜の街。帰れないことはないけど、知らない道、知らない景色。少しの不安とスリルを感じながら、緩やかな迷子を楽しんでいると、遠くに幾何学的に配置された光。入り口には、「○○商店街」というネオンの文字が。
これは大変妖しい。日常とはちょっと違う世界の入り口のようで、思わず吸い込まれそうになります。

昼間の街灯も観察するようになりました。
昼間は夜と違って個々の街灯の形がはっきりと見えるので、街灯そのものに目が行きやすくなります。
街灯のフォルム自体も魅力的だということが分かります。
シルエットが少し心もとなさげで、幾何学的で、どことなくアール・デコのカヲリがします。
ランプの数や形、模様、柱の色、旗やプレートの有無、街灯の向き……などなど、それぞれに個性があって、バリエーションが豊かだということに気づかされます。
この辺りから、街灯の深みにハマっていき、記録するようになりました。

でも、街灯の写真をそのまま撮っても、何か違う。
自分が街灯に出会った時に感じる魅力をちゃんと引き出せてない気がしました。

そもそも、自分は街灯のどこに魅力を感じるのか。

恐らくこれは2つあって、1つは空間としての妖しさ。
連続して規則的に並んだ街灯の光が作り出す、ちょっと非日常的な光景。これは断然、夜の方がいい。
もう1つは多様性。シルエットがある程度共通しているにもかかわらず、バリエーションがやたら豊かなところ。これは街灯そのものをしっかり観察できる昼の方が向いている。

しかし、夜の街灯を撮ってみても、ランプの光が強く写り過ぎて印象が変わってしまう。
昼の街灯は、ずばり電線が邪魔。

どうしたものか。
そこで、やっと気づいたんですよ。

描けばいいのでは?

ということで、街灯図鑑と称して街灯の絵を試行錯誤しながら描いています。




下準備

さて、街灯と言っても私が好きなのは商店街に立っているちょっとデコってあるやつで、そういう街灯は、厳密には街「路」灯というそうです。

で、街「路」灯(便宜上以下、街灯)図鑑を作ったるで!と、行き当たりばったりに街灯を描きまくっても、どうすればコンプリートしたことになるのか分かりません。

ポケモンだって、サトシくんがポケモンゲットだぜ!と手当たり次第にポケモンをゲットしまくり、カントーのポケモンは全て我が手の中よ……と愉悦に浸ったところで、たまたまバトルになった大人のお姉さんにラッキーを繰り出され、え!ちょっ!?こいつ持ってないんだけど!?となり、さらに、やまおとこにゴローニャを繰り出され、いや!だから知らないんだけど?え?通信交換!?とプライドをへし折られてしまうかもしれません。なので、街灯集めにも「ポケモン図鑑」のようなデータベースがあった方がいいに決まっています。

そんなわけで、何か分かりやすい地図があればいいなあ…とネットサーフィンをしていたら、見つけたんです!世田谷区のホームページに、それはそれは素晴らしいマップがありました。



引用: 世田谷区商店街マップ(平成30年1月時点)

世田谷区内の商店街のリストと場所が掲載されています。正にこういうのが欲しかった!これを活用しない手はないだろうということで、先ずは世田谷区の街灯を制覇することにしました。

このマップを見ているだけでも色々なことが分かります。
下の表に注目してみると、商店街は全部で133か所あります。さらに、商店街は、3種類に分けられていて、商店街振興、区商連加入任意商店会、区商連未加入任意商店会。それぞれ、赤、青、緑できちんと色分けされています。東京23区にはそれぞれ商店街連合会というのが存在しています。そこに所属しているかどうかに応じて、色分けがなされているといった感じでしょうか。一見、街灯のデザインとは無関係な気がしますが、実は密接に関係していた!とかだと面白いですね。

地図の方を見てみると、商店街の分布にかなりバラつきがあることが分かります。北東部の下北沢、三軒茶屋辺りは繁華街だけあって、かなり密集しています。逆に西部の方はだいぶ寂しく、特に南西部は真空地帯です。これはこれで気になります。
商店街の形や大きさも様々です。商店街というと直線をイメージしがちですが、かなりデコボコしているのが分かります。

何となくカンデミーナというグミを思い出しました。

こうして色分けされていると、マップそのものも謎の躍動感があって味わい深いです。

さて、どこから始めるのがいいかなあ…
取り合えず、リストの左上を見てみましょうか。ラーメン屋だって左上が一番オススメっていいますからね。左上の法則ってやつですよ。

左上は「A001 三軒茶屋銀座商店街振興組合」です。地図を見てみましょう。




うわ!めっちゃ大変そう!





拡大地図まで付いてる。なんと拡大地図が付いてるのはこのエリアだけ。

こんなんラスボスやんけ!

ここはもっと街灯ポイント(GP)を上げて、装備を整えてから挑みましょう。それならいっそ、慣れ親しんだところから始める方がいいだろうか。いやいや、新しいことを始めるのにフレッシュな気持ちで挑まなくてどうする!いきなり置きに行くのか!腑抜けめ!
など、ぐちゃぐちゃ脳内会議をしつつマップを眺めていたら、何となくよさそうなところを見つけました。




この辺り。

世田谷全体でいうと、中心よりちょっとだけ右下の位置です。
密集せずいい感じにバラけています。数が多すぎず少なすぎず、最初に見つけた商店街を中心にして、後は近くを回っていけば丁度よさそう。
しかも、この辺りはあまり馴染みがないエリアで、出会う街灯も完全に初見なので期待が高まります。

そして、何よりネーミングがいい!
下段の右2つ。「桜新町商店街振興組合」と「新町新和会」。
新町ですよ新町!ニュータウン!これは新しいことを始めるのにぴったりだ!

「マサラはまっしろ はじまりのいろ」

「新町新和会」に至っては、新が2つ!これはもう新しいというより近未来ですね。22世紀の到来を感じさせます。よし、このエリアに決定!

はい。前置きが長くなりましたが、実際に行ってきました。


桜新町商店街

ターゲットは7か所ほどあるので、適当にエリアを目指して走ってれば、どこかにぶつかるだろうと自転車を乗り回していると、さっそく街灯らしきものを見つけました。







えっ、サザエさん通り!?

ちょっと!サザエさんいるなんて聞いてないよ。そんなイカした名前の商店街、マップに無かったじゃん!
お前なんぞに街灯をコンプリートされてたまるかという世田谷区の陰謀でしょうか。いや場所は間違ってないはずなんだけど。街灯をもう一度よく見てみます。



あっ!

よく見たら「桜新町商店街」って書いてあるじゃないですか。やだぁ///
商店街へ入っていくと、サザエさん通りを標榜するだけあって、もうとにかくサザエさんで溢れ返っていました。これ絶対サザエさんファンだと思われてるよなぁと考えながら、そんなことはおくびにも出さず、涼しげな顔で写真を撮りまくります。もしかしたら、インスタ映えを狙う女子大生と間違われるかも…やだぁ///

さて、溢れ返ったサザエさんのなかでも印象的だった、サザエさんと配電箱のコラボをまとめてみました。




先ずはピンで全身から。背景のひび割れにも味があります。




続いて5人。波平とおフネさんはハブられています。そして右端に謎のネコ。




裏側から三連サザエさんを押さえました。

配電箱一つとっても、サザエさんまみれ。磯の香りが濃厚です(磯野だけに!)。
はい。ちょっと上手いことを言えた気になったので、本題の街灯にうつりましょう。




こいつなんですが、いきなり斜め上のタイプに出会ってしまった感があります。

先ず、デザインがスリムで現代的です。典型的な昭和の家族像を描いたサザエさんに似つかわしくないフォルムです。

冒頭でも少し書きましたが、街灯の魅力って、アール・デコのカヲリがそこはかとなく漂っていて、レトロを感じさせるところだと思うんです。一周回ってオシャレみたいなタイプ。でも、この街灯はいきなりオシャレを狙いに来ています。回らないタイプのお寿司みたいな感じですね。
特に、柱とランプが同化しているところがポイントだと思います。一般的な街灯は、柱の部分から横に細い枝が伸びていて、そこにランプが付いていたり、スズランの花のようにランプがぶら下がっているような形をしていたりして、柄の部分とランプの部分が分かれていることが多いです。でも、この街灯は柱とランプがシームレスにつながっています。

それから、地味に街灯の向きにも注目したいです。
街灯といってイメージするのは、大体道路の方を向いているやつじゃないですか。そういう場合は、街灯-歩道-車道 という配置になっていることが多いです。一方で、桜新町商店街は、歩道-街灯-車道 という配置になっていて、さらに歩道と車道の間がガードレールで区切られています。こういう場合は、街灯が建物向きに立っているパターンが多い気がします。
まあ、アレですよ。やる気-元気-井脇か、やる気-井脇-元気か、みたいな。

いずれにせよここの街灯は、ちょっと変わり種の部類です。
これはこれで街灯の豊かなバリエーションの一つとして、十分味わえると思います。ただ、最初に出会うべき街灯だったのか、ちょっと怪しいところです。東京観光に行ったら、いきなりナンジャタウンに連れていかれたみたいな(意味不明)。


新町新和会

さて次の商店街、新町新和会を目指しましょう。桜新町の駅前通りのようです。
今度は典型的な街灯が出てくるでしょうか。しかし、相手は「新」の文字が2つ入った22世紀の商店街です。何が飛び出してくるかわかりません。いきなり空を飛び始めたり、中がタイムマシンになっていたりするかも。ちょっと気を引き締めないといけないぞ。などとしょーもないことを考えながら自転車を走らせていたんですが……

ない!

新町新和会が見つからない!
もしかしてあまりにも時代の先を行き過ぎて、地下深くで商店街を営んでいるんでしょうか。反対に、成層圏を超えてしまったとか。いや、場所は間違ってないはずなんだけどなあ(2回目)。

何度かうろうろしたんですが、やっぱり街灯は見つからず、察するに、場所は間違っていなくて、新町新和会もちゃんと存在していて、ただ、街灯だけがないんです。その結果、この場所が商店街であることが外から分からない、ということなんだと思いました。
こういうパターン、あるんですね。新しい発見でした。これは行き当たりばったりで商店街を探していたら出てこない発想です。
それにしても、商店街が「我こそは商店街であるぞ!」と周りに知らしめるために、街灯はやっぱり重要な役割を果たしているんですね。改めて認識しました。ということで結論、22世紀の商店街は、街灯がない!


教育センター通り商店会

ここまで、変化球→消える魔球と来て、そろそろ直球の街灯と出会いたいところ。次は教育センター通り商店会です。
そもそも「教育センター」とはいかなるセンターなんでしょう。「教育」に対応する二重目的語は謎に包まれていて、「何を」「誰に」教育するのか、想像は無限大です。
二重目的語の行方はさておき、ちょっと大通りから逸れて走っていると、




何かすごい建物が出てきました。

めっちゃカッコイイんですけど。
こんなファンタジーの塊みたいな建物が住宅街にしれっと紛れ込んでいるなんて反則でしょ。角を曲がったらいきなり出てくるんだから、もう。のび太さんのエッチ!一体何ものなのか。思わず近くをぐるぐる回ってリサーチしちゃいました。




あ、なるほど。給水塔。
どうやらこの素敵な御仁は給水塔らしいです。しかも双子だとか。相方も探してみましょう。ていうか大正12年建設って…うちのじいちゃんの1コ上なんですけど!




橋が架かっています。橋までもが的確にこちらのツボを突いてきます




いかめしい正門とかわいらしいパイロン。




正門の裏は謎の三角地帯。

給水塔は門が閉まっており、中の敷地も広大なようで、外から建物の全容をちゃんと見ることができませんでした。世田谷区に許可をもらったりしたら、間近で見せてくれたりするんでしょうか。ここは単独でもう一回行きたいくらい良かったです。




ぎりぎりで双子が収まった写真。外から両方を見るのはかなり難しい。

双子の給水塔を後にして、本来の目的地である教育センター通りを目指します。弦巻通りを進んでいると、教育センター通りに到着しました。街灯を見てみましょう。





地味。

しかしこれですよ。これこそ街灯の王道ですよ。やっと会えたね!
枝から垂れ下がったランプが2つ。色は焦げ茶色。旗がかかっていて、「子ども みまもり 商店街」という標語があります。「オレサマ オマエ マルカジリ」を連想させます。この旗、ほかの商店街でも見たような。旗の上にはプレートがありますが、これはちょっと控えめで奥ゆかしさを感じます。




線対称が美しい建物。洋菓子屋さんのようです。今もやっているんでしょうか。




洋菓子屋さんの看板。光の加減のせいか文字の部分に謎のテクスチャが生まれて、えらいカッコイイことになってます。

ようやくお手本のような街灯に出会えて満足したところで、教育センター通りを後にします。ところで教育センター通り、行きそびれたけど、どんなところだったんでしょう(後で調べたところ、プラネタリウムが有名な区の施設らしいです)。


弦巻商店街

教育センター通りをさらに西へと進み、弦巻商店会を目指します。次の街灯はこんな感じでした。




いいですね。

個人的にはこういう、そっけないけど、ちょっとオシャレな街灯、大好きです。
ベースの色は教育センター通りと同じ焦げ茶色ですが、こちらの方がメタリックな感じがしました。ランプの部分はゴールドとシルバーの間のような色で、こちらもやはりメタリックです。弦巻とメタルは何か因縁があるんでしょうか。会長がメタル・バンドにハマっているとか。
プレートも至ってシンプルです。ロゴをちょっと手書き風にしてみたり、隅の方に絵を描いてみたりというプレートが多いなかで、このプレートは真っ白な板に明朝体らしきフォント。潔い。
街灯本体は、まだ新しい印象を受けました。最近作られたばかりなんでしょうか。街灯というと、年季の入っているものが多いので、これもちょっと新鮮です。さらに商店街のなかを進んでいきます。




緑ですね!


やたら自分の色を主張してきます。いやしかし、主張したいなら「緑ですよ!」では?
ただ、仮に「緑ですよ!」と言われても、こちらはどう返せばいいものか。とりあえず「はい!」と言っておくべきか、「知ってます!」と食い気味に返すべきなのか…
と思ったら、これは「緑」ではなく「縁」の方でした。でも、これちょっと狙ってるんじゃないの?色の感じも寄せてきてるし。




おっ、こんなところにはぐれ街灯が。
周りにお店らしきものがありません。あなたの居場所、本当にここでいいの?と、転職サイトのような余計な疑問を投げかけたくなります。メタルな街灯の手持ち無沙汰感というか、所在なさげな佇まいが味わい深いです。これはまさに、はぐれメタル!
こういうはぐれ街灯は、結構思いがけないところにあって面白いので、積極的に探していきましょう。
見つけるとGP(街灯ポイント)が上がります。


用賀商店街

弦巻商店会を南に下って用賀商店街へ向かいます。
今回はここが最後ですが、結構な大物でした。用賀の駅前から広がる商店街で、エリアが広いです。




その割りに街灯は慎ましやか。円柱ベースのほっそりとしたシルエットですね。偉ぶったところがなく、謙虚で好感が持てます。写真だとちょっと分かりづらいですが、色は深緑色をしていて、こちらも洗練されています。

柱の頂上部には関節を思わせる球体が乗っかっており、思わずグルコサミンやらヒアルロン酸やらを流し込みたくなります。このまま坂を下っていくと、駅前に出ました。




おっと!第二形態になりました。

関節部分が可動して(?)先端が二つにぱかんと割れています。どうやら大通りに出ると、こちらの第二形態に姿を変えるようです。
一つの商店街で2つの種類の街灯があるパターンは初めてかも。さらに駅の方へ向かって進んでいきます。




え、誰あんた?

先ほどまでの街灯とは似ても似つかない代物です。しかも、てっぺんには誇らしげに取り付けられたソーラーパネル。そのうえ、スリー・ウェイに旗をかけられる謎設計。商店街の入り口にあったので、ゲートのような気もしますが、柱には肝心の商店街の名前が書いていない。謎です。大きな商店街だけあって、さすがに見どころは色々です。

さらに外れの方で個性的なお店を見つけまして。




「高価買取り 特価販売」

トロピカル質屋!

質「この時計ならマンゴー2年分と交換だ。パイナップルなら半年分、ドリアンなら3日分てところだ。」
客「いや待ってくれ。ドリアン3日分はおかしいだろ。せめて1週間だ。」
質「そんなことはない。ドリアンは果物の王様だからな!それが飲めないなら、取引には応じられない。」
質「ぐっ……」

といった、ニコニコ・ランドという牧歌的な名前に似合わない、生き馬の目を抜くようなやり取りが日夜行われているに違いありません。

さて、用賀商店街も一通り回ったので、記事の最後に街灯図鑑を描きます。
冒頭でも書いた通り、街灯の魅力は昼と夜で違うと思ったので、それぞれ昼夜2バージョン描きました。最後に図鑑を載せて記事を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。






























【獲得したGP】
・はぐれ街灯を見つける 3GP
・第二形態を見つける  2GP
       合計・・・5GP


※世田谷区の商店街マップに関しては、世田谷区HPに記載の「世田谷区商店街マップ」を複製または一部改変して利用しています。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 2.1








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王田土人

絵描き。幻想的なもの、幾何学的なもの、しょーもないもの、シュールなものなど好きです。コーヒー牛乳も好きです。

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