路上で会える“お友達” 〜引込計器盤キャビネット鑑賞〜
- 更新日: 2023/08/22
“友達”じゃなくて、“お友達”なんです。
どうもこんにちは。chachakiと申します。
『顔に見える』引込計器盤キャビネットを収集する「お友達コレクション」というプロジェクトで、主にInstagramやwebサイトで発信しております。
まずはこちらをご覧ください。
いかがでしょうか。
路上で見たことあるかも…と思った方もいるかもしれません。
私には、これがこう見えています。
無表情だけど、なんだか憎めないロボットのような愛らしさ。
メーカーや仕様によって微妙に変わる目の位置やカタチ。
さらには劣化具合で変わってくる表情。
みんな大体同じ役目を果たすモノなのに、ちょっとずつ違って個性がある。
そんな彼らの魅力について少し紹介させてください。
私は「引込計器盤キャビネット」に限定して収集しています。
引込計器盤キャビネットは、ざっくり言うとさまざまな「計器」を収納する「箱」。
※呼び方は「引込開閉器盤」や「分電盤ボックス」だったりと、メーカーさんや業者さんによってさまざまらしい。
付随する建物の電気メーターや、電力会社から供給された電力を変圧するなど目的はさまざま。
顔に見えるポイントである検診窓は、キャビネットによって数が異なりますが、
私は窓が2つあるものを対象としています。
▲小慣れた立ち姿がかっこいい(撮影:金沢市)
上写真は旅先で偶然遭遇した、業者さんが点検している様子……!
(お仕事中に声をかける勇気はなく、こっそり激写してしまいました。ごめんなさい)
※かくいう私、本来の機能としての引込計器盤キャビネットに関する専門知識についてまだまだ知らないことが多いため、教えていただける識者 <メーカー様、業者様 >の方を探しています……(切実)
私が知る限りの、キャビネット設置場所は下記の通り。
etc….
さまざまな場所で彼らに出会うことができます。
みなさんの散歩コースにもきっと潜んでいると思いますので是非見つけてみてください。
「おっ!!」と思わず声を上げてしまう。
友人とバッタリ会ったような高揚感とすごく似ていたため、
気づいたら“お友達”と呼んでいました。
※自分の中では、人間の友人は“友達”、引込計器盤キャビネットは“お友達”と呼び方の区分けをしています。
▲お友達の定義(※2023年4月改訂版)
また、彼らは基本的にいつでも決まった場所にいてくれる。何も言わずに癒してくれる。
自分だけの心のお友達。という側面もあり。
「引込計器盤キャビネット」って長いから愛称で呼びたいな。という気持ちもあり。
“お友達”に着地した次第です。
“お友達”鑑賞も同様で、実にさまざまな楽しみ方があります。
具体的にどのような楽しみ方があるのか。その一部をご紹介したいと思います。
■【表情】の違いを楽しむ
人間の顔は人によって大きな違いがありますが、
引込計器盤キャビネットは基本的に四角が二つならんでいるだけというシンプルな構成。
冒頭でも述べた通り、「ほんの少しの違い」が個性を産みます。
例えば、この二人。
メーカーが違うからでしょうか、キャビネットの形・目の位置や大きさが明らかに違っていて多様性を感じます。
▲凸凹コンビだけど仲良しそう。(撮影:三重県)
そしてこの二人は、おそらく同じメーカーで同じ型番だと思われます。
が、経年劣化で口元の表情に違いを感じます。
▲酸いも甘いも知り、達観したような微笑み。(撮影:新潟市)
■【分類】して楽しむ
観察を続けていると、彼らにはある程度パターンがあることがわかってきます。
分類する楽しみも“お友達”鑑賞の醍醐味です。
例えば、繁華街で多く見かけるのは「らくがき帳タイプ」。
▲サブカル代表地区 高円寺にて。ステッカーのカオス具合が楽しい。(撮影:杉並区)
街のやんちゃなアーティストの表現の場として使われているのを多く見かけます。
それに対して、より実用的に使われているお友達も。
▲丁度いい位置にあったせいか、ゴミ曜日ポスターが貼られている。(撮影:豊島区)
「〜禁止」ポスターやチラシなど貼られるものは多種多様。
彼らのことは「掲示板タイプ」と呼んでいます。
▲観光地ではこんな子も。(撮影:金沢市)
▲営業時間外はしっかりとカバーがかけられていました。もはやスタッフの一員。
貼られるステッカーが落書き目的か、実用目的かでタイプが異なります。
心なしか、彼らの性格すらも違うものに見えてくる気がしますよね。
※この両タイプが組み合わさっているよくばりな子も多いです。人間によってされるがまま。
そういった、人の手が介入することで起きる変化によるタイプもあれば、
自然の力が生み出す変化もあります。
▲これでもかという錆び。(撮影:三重県)
こういった錆が全体に及んでいる状態のお友達を「日焼けタイプ」と呼んだり、
▲泣かないで・・(撮影:三鷹市)
雨などによって染み出した検診窓下の汚れが、
まるで泣いているかのように見える「泣き虫タイプ」なるものもあります。
この他にも、「タコ足タイプ」「仲良しタイプ」「無用タイプ」「囚われタイプ」…など
現時点でも20以上のタイプで分類しています。
▼分類の一例はこちらでもまとめています。
■【状況】を楽しむ
お友達の魅力は、プロダクト単体としての面白さだけではなく、
【状況】にも出てきます。
例えばこの子等。コンビニの裏口で見つけたお友達です。
▲闇バイトお友達(撮影:豊島区)
左の子は新しく生き生きとしており、対して右の子は目も割れてボロボロ。
生気を失っています。
壊れたのに撤去をしておらずトマソン化していて、新旧キャビネットが同居している…
この状況にバイトを使い捨てるような闇と哀愁を感じます。
段ボールやゴミが雑に散らばっているあたりにも彼らの職場環境の劣悪さが伝わってきますね。
▲無造作に塗られたペンキが壁を伝い、まるでお漏らししちゃったよう(撮影:京都市)
▲建物の脇に隠れる子の上部が開いていて、まるで僕もシャバの空気吸いたいよ……と訴えているかのよう(撮影:中野区)
……こんな具合に、周りの環境や状況も含めて観察し妄想/考察することでストーリーが見えてくるお友達に出会えることもあったり。なかったり……。
他にも、
● 【ディテール】を楽しむ
● 【色】を楽しむ
● 【経過観察】を楽しむ
など、楽しみ方は多岐にわたります。奥が深い。
ちなみに、今回は比較的ベーシックなお友達を紹介しましたが、
稀にこんな変わった子達と出会えることも。
▲でっかい白フチ眼鏡(撮影:富山市)
▲白銀サイボーグお友達(撮影:京都市)
まだ私も見たことのないタイプや気付けていない楽しみ方もあるかもしれません。
「こんなお友達見つけた!」「こんな見方もおもしろいよね」などあれば、是非下記タグをご使用いただき教えてください!
#本日のお友達シリーズ
私にとって日々を過ごす上で欠かせないライフワークとなってしまいました。
半分使命感みたいな感じで写真を撮り続けています。
これまでのお友達は、下記SNSやwebで発表しております。
Instagram
Twitter(X)
webサイト
今年4月には初の写真集(ZINE)を制作し、マニアフェスタに出展させていただきました。
※ちなみにサンポー主宰ヤスノリさんはこの時初めて作った写真集の第一購入者様です。本当にありがとうございます……!
BASEでも販売させていただいております。ご興味いただいた方は是非。
今回は自己紹介記事的な感じでまとめさせていただきましたが、
涼しくなったら散歩記事も書けたらいいなと思っております。
では、また会いましょう〜。
■_■
『顔に見える』引込計器盤キャビネットを収集する「お友達コレクション」というプロジェクトで、主にInstagramやwebサイトで発信しております。
まずはこちらをご覧ください。
いかがでしょうか。
路上で見たことあるかも…と思った方もいるかもしれません。
私には、これがこう見えています。
無表情だけど、なんだか憎めないロボットのような愛らしさ。
メーカーや仕様によって微妙に変わる目の位置やカタチ。
さらには劣化具合で変わってくる表情。
みんな大体同じ役目を果たすモノなのに、ちょっとずつ違って個性がある。
そんな彼らの魅力について少し紹介させてください。
引込計器盤キャビネットって何?
顔に見えればどんなものでもいいかというとそうではなく、私は「引込計器盤キャビネット」に限定して収集しています。
引込計器盤キャビネットは、ざっくり言うとさまざまな「計器」を収納する「箱」。
※呼び方は「引込開閉器盤」や「分電盤ボックス」だったりと、メーカーさんや業者さんによってさまざまらしい。
付随する建物の電気メーターや、電力会社から供給された電力を変圧するなど目的はさまざま。
顔に見えるポイントである検診窓は、キャビネットによって数が異なりますが、
私は窓が2つあるものを対象としています。
▲小慣れた立ち姿がかっこいい(撮影:金沢市)
上写真は旅先で偶然遭遇した、業者さんが点検している様子……!
(お仕事中に声をかける勇気はなく、こっそり激写してしまいました。ごめんなさい)
※かくいう私、本来の機能としての引込計器盤キャビネットに関する専門知識についてまだまだ知らないことが多いため、教えていただける識者 <メーカー様、業者様 >の方を探しています……(切実)
私が知る限りの、キャビネット設置場所は下記の通り。
● 建物(ビル、マンション、家屋、コンビニなど)の脇〜裏、屋上
● 歩道
● 鉄柱(沿岸部、山間部、都市、住宅地などさまざま)
● 店舗内
● 駐車場
● 駅構内
● 工場敷地内
● 工事現場
● 商店街
etc….
さまざまな場所で彼らに出会うことができます。
みなさんの散歩コースにもきっと潜んでいると思いますので是非見つけてみてください。
なんで“お友達”?
路上で彼らに遭遇した瞬間、「おっ!!」と思わず声を上げてしまう。
友人とバッタリ会ったような高揚感とすごく似ていたため、
気づいたら“お友達”と呼んでいました。
※自分の中では、人間の友人は“友達”、引込計器盤キャビネットは“お友達”と呼び方の区分けをしています。
▲お友達の定義(※2023年4月改訂版)
また、彼らは基本的にいつでも決まった場所にいてくれる。何も言わずに癒してくれる。
自分だけの心のお友達。という側面もあり。
「引込計器盤キャビネット」って長いから愛称で呼びたいな。という気持ちもあり。
“お友達”に着地した次第です。
“お友達”鑑賞の楽しみ
路上観察の面白いところは、同じ対象物でも人によって着目点が全然違うということがありますよね。“お友達”鑑賞も同様で、実にさまざまな楽しみ方があります。
具体的にどのような楽しみ方があるのか。その一部をご紹介したいと思います。
■【表情】の違いを楽しむ
人間の顔は人によって大きな違いがありますが、
引込計器盤キャビネットは基本的に四角が二つならんでいるだけというシンプルな構成。
冒頭でも述べた通り、「ほんの少しの違い」が個性を産みます。
例えば、この二人。
メーカーが違うからでしょうか、キャビネットの形・目の位置や大きさが明らかに違っていて多様性を感じます。
▲凸凹コンビだけど仲良しそう。(撮影:三重県)
そしてこの二人は、おそらく同じメーカーで同じ型番だと思われます。
が、経年劣化で口元の表情に違いを感じます。
▲何にも汚れてないまっさらな状態 | ▲経年劣化により、表情に奥行きが生まれる |
▲酸いも甘いも知り、達観したような微笑み。(撮影:新潟市)
■【分類】して楽しむ
観察を続けていると、彼らにはある程度パターンがあることがわかってきます。
分類する楽しみも“お友達”鑑賞の醍醐味です。
例えば、繁華街で多く見かけるのは「らくがき帳タイプ」。
▲サブカル代表地区 高円寺にて。ステッカーのカオス具合が楽しい。(撮影:杉並区)
街のやんちゃなアーティストの表現の場として使われているのを多く見かけます。
それに対して、より実用的に使われているお友達も。
▲丁度いい位置にあったせいか、ゴミ曜日ポスターが貼られている。(撮影:豊島区)
「〜禁止」ポスターやチラシなど貼られるものは多種多様。
彼らのことは「掲示板タイプ」と呼んでいます。
▲観光地ではこんな子も。(撮影:金沢市)
▲営業時間外はしっかりとカバーがかけられていました。もはやスタッフの一員。
貼られるステッカーが落書き目的か、実用目的かでタイプが異なります。
心なしか、彼らの性格すらも違うものに見えてくる気がしますよね。
※この両タイプが組み合わさっているよくばりな子も多いです。人間によってされるがまま。
そういった、人の手が介入することで起きる変化によるタイプもあれば、
自然の力が生み出す変化もあります。
▲これでもかという錆び。(撮影:三重県)
こういった錆が全体に及んでいる状態のお友達を「日焼けタイプ」と呼んだり、
▲泣かないで・・(撮影:三鷹市)
雨などによって染み出した検診窓下の汚れが、
まるで泣いているかのように見える「泣き虫タイプ」なるものもあります。
この他にも、「タコ足タイプ」「仲良しタイプ」「無用タイプ」「囚われタイプ」…など
現時点でも20以上のタイプで分類しています。
▼分類の一例はこちらでもまとめています。
全国の引込計器盤キャビネット(通称:お友達)をコレクションしています。
■【状況】を楽しむ
お友達の魅力は、プロダクト単体としての面白さだけではなく、
【状況】にも出てきます。
例えばこの子等。コンビニの裏口で見つけたお友達です。
▲闇バイトお友達(撮影:豊島区)
左の子は新しく生き生きとしており、対して右の子は目も割れてボロボロ。
生気を失っています。
壊れたのに撤去をしておらずトマソン化していて、新旧キャビネットが同居している…
この状況にバイトを使い捨てるような闇と哀愁を感じます。
段ボールやゴミが雑に散らばっているあたりにも彼らの職場環境の劣悪さが伝わってきますね。
▲無造作に塗られたペンキが壁を伝い、まるでお漏らししちゃったよう(撮影:京都市)
▲建物の脇に隠れる子の上部が開いていて、まるで僕もシャバの空気吸いたいよ……と訴えているかのよう(撮影:中野区)
……こんな具合に、周りの環境や状況も含めて観察し妄想/考察することでストーリーが見えてくるお友達に出会えることもあったり。なかったり……。
他にも、
● 【色】を楽しむ
● 【経過観察】を楽しむ
など、楽しみ方は多岐にわたります。奥が深い。
ちなみに、今回は比較的ベーシックなお友達を紹介しましたが、
稀にこんな変わった子達と出会えることも。
▲でっかい白フチ眼鏡(撮影:富山市)
▲白銀サイボーグお友達(撮影:京都市)
まだ私も見たことのないタイプや気付けていない楽しみ方もあるかもしれません。
「こんなお友達見つけた!」「こんな見方もおもしろいよね」などあれば、是非下記タグをご使用いただき教えてください!
#本日のお友達シリーズ
おわりに
そんな引込計器盤キャビネット達(通称:お友達)に魅せられて、写真と言葉を記録する活動を始めて約9年。私にとって日々を過ごす上で欠かせないライフワークとなってしまいました。
半分使命感みたいな感じで写真を撮り続けています。
これまでのお友達は、下記SNSやwebで発表しております。
Twitter(X)
webサイト
今年4月には初の写真集(ZINE)を制作し、マニアフェスタに出展させていただきました。
※ちなみにサンポー主宰ヤスノリさんはこの時初めて作った写真集の第一購入者様です。本当にありがとうございます……!
BASEでも販売させていただいております。ご興味いただいた方は是非。
“顔に見える“引込計器盤キャビネット・・・通称:お友達。2014年から撮り溜めた中から厳選したお友達を約100人分収録。未発表の写真もあります。
今回は自己紹介記事的な感じでまとめさせていただきましたが、
涼しくなったら散歩記事も書けたらいいなと思っております。
では、また会いましょう〜。
■_■