大正区の渡し船ぜんぶ乗る
- 更新日: 2019/11/07
自転車で船に乗れる…しかも無料で…!そんなワンダーランド、大正区の渡船場を自転車でまわります
陸地で生活していると、たまには「船」に乗りたいと思うのではないだろうか。
豪華客船のクルーズとか遊覧船とか、そういう非日常的なものではなく、普通に船に乗りたくないだろうか。
もはやもう自転車で乗りたい。
そうだ、私on自転車on船、やろう。
ということで、そんな方にオススメの町を紹介したい。
というか、大阪市の大正区にいる。
マイホームが大正区にある私から、散歩の才能GOODな読者の皆さまに、とっておきの情報を開放する。
(※「大正区」とたくさん韻を踏んだ一文)
大正区に住んでいると言うと、大正区のことを知っている人からは、「ああ、京セラドームの」とか「IKEAがあるとこね」と言われることが多い。
しかし、実は京セラドームは住所的には「西区」だ。大正区民の多くは大正区のものと思っているし千葉県にあっても東京ディズニーランドと名乗る施設があるのだから、京セラドームも大正のものとする。
京セラドームやIKEAはわかりやすいランドマークだ。でも大正区は「船」に乗りたい陸地の現代人にとって魅力的な町だ。
大正区には、渡し船乗り場、つまり「渡船場」が7つある。
大阪市に渡船場が8つあるなか、大正区に関連する渡船場は7つ。圧倒的シェアである。
「渡し船」と聞いてみんな笠をかぶった船頭が手漕ぎするイメージかもしれないが、大正区の渡し船はそんな感じではないので、今から誤解を解いていこう。
大正区の渡し船、ぜんぶ乗る企画のスタートだ。
せっかく渡し船に乗るならば、初めて渡し船に乗る人も連れて行く。
しらいちかさんとかつらいすさんの2人が来てくれた。2人とも出身は大阪府外のため、渡し船という存在も知らなかったらしい。
今日は渡船場を自転車で回る。私は自分の自転車を使用するが、区外から来た2人のために、まずは自転車を借りに行く。
今回は「HELLO CYCLING」(ダイチャリ)というセブンイレブンのサービスを使用した。アプリで電動自転車の貸し出し予約、決済、返却予約ができる超現代的で便利なサービスである。東京や大阪で貸し出し店舗があるので調べてみてほしい。
ちなみに私たちは自転車にしたが、徒歩とバスで回ることも可能だ。その場合は、「エンジョイエコカード」という地下鉄・バス乗り放題券を購入しておけば、土日祝日なら600円で乗り放題となる(平日は800円)。
自転車を借りて大正駅からスタート!
まず自作のざっくりした地図で申し訳ないが、渡船場は7つ。
大正区、右から回るか左から回るか、である。
今回は落合上渡船場のほうから回ろう。なんとなく。理由はない。
まっすぐ進んでいくと、「落合上渡船場」1km先と書かれた看板がある。
直進すると、550mの看板があるので、それを目印に左折する。
ショッピングモールやバッティングセンター、スーパー銭湯「こうわの湯」がある。
私たちは12時に集合したが、早めに集合してこのあたりでサクッと遊んでも良いだろう。
最初の渡船場を発見!
これから何度も見ることになる渡船場マーク。
記念撮影。
チャリで来た。そして、今からチャリで乗る。
渡し船は自転車で乗れる。しかも無料で。
乗り場までの傾斜がすごい。
ぜんぶひらがなの看板。秋なのでこおってなくてよかった。
待合場所では、この銀色の掲示で各渡船場付近の歴史を知ることができる。
大正区と西成区をつないでいるのがこの船だ。
これが渡し船! This is Watashibune!!
最初のイメージとは違うのではないだろうか。
定員は48人だが、乗組員は2人なので、実質46人乗れる。
ちなみに、乗組員はいつも2人で1組。地元じゃ負け知らずだ。
出発時から対岸が見えている。モーター音を鳴らしながら船が出発し、約1分で到着する。あっという間に対岸だ。
右に「木津川水門」左に「三軒屋水門」と、2つの水門が見える。
到着してからもやっぱり急傾斜。
渡し船に乗って西成区に到着。せっかくなので軽く散策すると、室外機の墓場みたいなものを見つけたり
「FISH」と書かれた遊具のあるイカした公園を見つけたりした。
★落合上渡船場
・大正側の乗り場は周りにショッピングモール等があって便利
・乗り場までの傾斜がめっちゃ急
・水門が2つ見える
落合上渡船場から川沿いを走っていたらすぐに看板を発見!
無事、落合下渡船場に到着。乗船場マークが薄くなっている。
今回の乗り場までのスロープは長いがなだらかな傾斜である。
さっきの渡船場はドラえもんっぽい青色が基調だったが、手すりなどが茶色く、シックな印象だ。
この落合下渡船場は、2019年4月から、民間企業に業務を委託したらしい。乗組員の方の制服もほかと違う感じだった気がする。
ベンチも綺麗。
何がどうなってこういう姿?
先ほどと同じく銀色の掲示で歴史を知る。
この渡船場も西成区とつながっている。対岸の西成区の「津守(つもり)」という地名は万葉集にも登場するらしい。へえ〜。
さらに、10月から4月にかけてユリカモメが飛来するらしい。気になる情報が盛りだくさんである。
めっちゃこわい看板。「!」をあとから手書きの赤字で追記しているのも余程「危険」だからだろう。
渡し船にはそれぞれ名前がついている。ここは「みどり丸」。
西成区に到着し、簡単に散策。
日曜と祝日以外毎日ラジオ体操をやっている公園
「ゴミをほらないでください」とがっつり関西弁で話しかけてくる掲示
めちゃくちゃ鳩がいる公園
カーテンコールでこれが降りてきたら嫌やな
「クラッシャラン」って何?
★落合下渡船場
・手すりやベンチが茶色基調でシック
・民間企業が運営
・西成区側のお散歩も楽しい
先ほどの落合下渡船場で、「渡船ポタリングマップ」というものがあった。
※「ポタリング」という言葉は知らなかったが、「一人か家族連れや気の合う仲間で、近郊を「散歩」程度に軽くサイクリングすること」らしい。まさに今!
このポタリングマップで、「なかなか絶景です!」というコメントがあったのだ。なかなか絶景を見に行くぞ。
千本松渡船場に到着!
渡し船の前に、絶対に触れておかなければいけないポイントがある。
千本松渡船場の近くには、通称「めがね橋」がある。
このぐるぐるとループする大きな橋がふたつつながっており、上から見ると大きなメガネのように見えるのだ。
この橋と渡船場は、大正区を舞台にした津村記久子さんの小説「エブリシング・フロウズ」にも登場する。
このめがね橋は車だけでなく、徒歩や自転車で渡ることができる。
つまり対岸に行くために、「行きは渡し船、帰りはめがね橋!」という選択も可能なのだ。
まず、行きは渡し船で行く。ここも西成区とつながっている。
渡船場の後ろにもひとつのループがあり、そこからまっすぐ伸びた橋は、向こう側でまたループしているのがわかるだろうか。ループ&ループだ。
待合場所には絵が飾られている。
船は「しおかぜ」。
この日は祝日だったが、千本松渡船場が1番混雑していた。約20名くらいで、親子連れが多い印象だった。
手書きの頑張りが泣ける。
右は多種多様な言語を手書きで書こうとする気概が見られるし、左は明らかに「松」を書き忘れている。書き直す気力はなかったっぽいのが人間くさくて最高だ。
宣言通り、帰りはめがね橋を渡って帰る。ここで、私の自転車だけが電動自転車でないことを後悔した。行きは立ち漕ぎをし続けないと登れない。体力に自信がなければ電動自転車の使用が吉。
★千本松渡船場
・乗客数が多くて人気!
・めがね橋を見たり渡ったりできる
・なかなかの絶景
中山製鋼所だ。
この錆びついた感じ、このスケール、圧倒的なスチームパンク感だ。
「工場夜景」が好きな方は知っている方も多いかもしれない。
wikipediaによると、
とのこと。おいおいすごいな大正区。
近くにはさっきのめがね橋の片方だけバージョンもある。標識もクルンとなっていて可愛い。
木津川渡船場に到着!
のぼりやすいスロープ。
ちなみに、この船は今日乗ったなかではじめて窓ガラスがあった(プラスチック製かもしれない)。雨が降って横から風が吹いても安心!
今回も銀色の掲示で歴史を知る(この掲示がない渡船場もあった)。
ここは大正区と住之江区をつないでいる渡船場だ。ここでもワタリドリの飛来情報がある。追いかけて届きたい。
船は「松丸」。
★木津川渡船場
・圧倒的スケールの中山製鋼所も見よう
・船は窓ガラスがあるので雨でも安心
・ワタリドリが飛来
ゆっくり自転車を漕いでいたことや、途中道に迷ったことなどが災いし、ここで16時を回っていた。休憩しようと思ったが、カフェなどはなく、陸橋を渡らされたりしながら、ようやくついたローソンでアイスを買い、からあげくんを分け合ったりした。
(チョコアイスが溶けて服が汚れる惨事もあった)
渡し船巡りでは、休憩はできるときにしておくのが良いだろう。渡船場の周りは工場地帯であまり休憩できるところがないことも多い。
待合場は空いていて座れることが多いので、お菓子や水分を持ってこれば小休憩はできる。
船町渡船場は乗り場までが初の陸橋スタイル。徒歩の人は階段でショートカットできるし、自転車はなだらかなスロープで歩きやすい。
いや待合室が木目調できれいやな!
すっかりおなじみの銀色掲示によると、ここは大正区の鶴町と大正区の船町をつないでいる。
船町には伊丹空港の前身の木津川飛行場があるなんて知らなかった。
いい感じに日が暮れてきた。
★船町渡船場
・階段とスロープを選べるやさしさ
・待合室が木目調で綺麗
・IKEAが近くにある
到着!思いっきり自分の影が写ってしまった。
電光掲示板! 渡船場の待合場で見る電光掲示板にテンションは急上昇である。
毎日電車のホームで見ているときは何も思わないのに不思議だ。給食の時に好きなアーティストの曲が流れた時のような嬉しさ。
ここでは白い紙に掲示があった。ただ、対岸のほうにおなじみの銀の掲示もあったのでこちら側はコピーなのだろう。
ウォーターフロントの美しい景観が魅力と書いてある。たしかに眺めが良い。
これまでの時刻表では「約1分で運行」と書かれていたのん、ここだけ「約2分」だ。川幅ランキング1位である。たっぷり2分間船に揺られたいなら千歳渡船場がおすすめだ。
すっかり暗くなった。ちなみに、他の船は定員が48人だったのに、この船だけが70人だった。ほかの船より回り大きいのだ。川幅も広ければ船も大きい。
人生最後にどれかひとつしか乗れないならば千歳渡船場が良い。
★千歳渡船場
・電光掲示板がある
・川幅ランキング1位!
・船もほかより大きい!
ぜんぶ回る、と言っていたが、体力と空腹が限界に近づき、この日ラストの渡船場となった。
頑張れば甚兵衛渡船場も行けたのだが、私だけ翌日に向かうことにする。
余裕を持ってぜんぶ回りたいなら10時ごろ出発するのが良いだろう。
京セラドーム近くの「COWBOY家族」でハンバーグを食べてこの日は解散。
HOME MADE家族のようなネーミングだが、COWBOY家族はサラダバーの本気度がほかのチェーン店とは違うので大好きなチェーン店だ。
実はこの渡船場は、私も通学でたまに使っていたので最も馴染みがある。
「たまに」というのは、使わなくても陸橋を渡れば着くからだ。ただ、橋は傾斜がきつく、わりと疲れるので、気分を変えて渡し船に乗ることもあった。
壁に直接描くタイプ!
大正区でよく見る通称「フェニックスの木」。小学校などにも生えていて、赴任してくる先生が毎回言及するので高学年になると「はいはい」と思い始める。
スロープは短め。
待合場も狭めで、わりとこぢんまりしている。
ちなみに、この日は平日だったこともあり、学生の乗客が多かった。大正区側にも高校があり、対岸の港区側にも高校があるので、船で行き来する方が楽だ。
そのためもあってか、ラッシュの7時〜8時台は一部ピストン運行を行っている。
銀色掲示板によると、ラッシュ時は2隻の船で運行しているらしい。
★甚兵衛渡船場
・全体的にこじんまり
・通学、通勤で利用されがち
・ラッシュ時は2隻使ってピストン運行
正直、行く前は「渡し船なんかどれもあんま変わらんやろ」と思っていた。だから、渡船場周りの散策で面白いものを見つけようと思っていた。
だが、実際は船も窓ガラスがあるものがあったり、サイズの違うものがあるし、乗り場までのスロープは傾斜だけでなく色やスタイルがそれぞれ違う。
こんなに楽しい渡し船が7つもあって、ぜんぶ無料で乗れるなんて最高じゃないだろうか。
あと、地元に友達が来るのは楽しい。
今回来てくれた、しらいちかさんもかつらいすさんも町の細かいおもしろポイントを発見するのがうまく、今回紹介したポイントの半分くらいは2人が見つけてくれたものだ。住んでいる町だからこそ見逃しまうことを、外から見た人に拾ってもらえるのは嬉しい。
大正生まれ大正育ち暗そうなやつは大体友達だが、ずっと住んでいても知らないことだらけなのだ。
ぜひみんなにも大正区の渡し船を堪能してほしい。
★渡し船のついでに遊ぶぞ!
・落合下渡船場→落合上渡船場→レインボースタジアム(バッティングセンター)→こうわの湯(スーパー銭湯)
渡し船を2つ楽しんでから、便利なショッピングモールの周辺で手軽に遊べるコースだ。ショッピングモールの規模としてはそんなに大きくないのでハードルを下げておいてほしい。
★渡し船のついでに工場地帯の景色を見るぞ!
・千本松渡船場→めがね橋を渡るor見る→木津川渡船場→中山製鋼
とにかく大きな橋や大きな工場地帯に圧倒されたい方にはこのコース。めがね橋を自転車で渡るなら電動自転車のほうが良い。
木津川渡船場は20:30まで運行しているので、到着を夜に合わせて工場地帯の夜景を見るのも良いだろう。
★千歳橋渡船場をメインに据える
・IKEA→船町渡船場→千歳橋渡船場→甚兵衛渡船場
千歳橋渡船場は川幅が広く、2分も船に乗れるためイチオシだ。千歳橋渡船場と船町渡船場は近いのでついでに一緒に乗ろう。
さらに、千歳橋渡船場から甚兵衛渡船場もわりと近いのでついでに乗っておこう。中央線在住ならば、帰りはそのまま港区で自転車を返却し、弁天町から帰る手もある。
※各渡船場の詳しい住所や最寄りのバス停などはこちらから
豪華客船のクルーズとか遊覧船とか、そういう非日常的なものではなく、普通に船に乗りたくないだろうか。
もはやもう自転車で乗りたい。
そうだ、私on自転車on船、やろう。
ということで、そんな方にオススメの町を紹介したい。
大正区に来た
ということで、大阪市の大正区に来た。というか、大阪市の大正区にいる。
マイホームが大正区にある私から、散歩の才能GOODな読者の皆さまに、とっておきの情報を開放する。
(※「大正区」とたくさん韻を踏んだ一文)
大正区に住んでいると言うと、大正区のことを知っている人からは、「ああ、京セラドームの」とか「IKEAがあるとこね」と言われることが多い。
しかし、実は京セラドームは住所的には「西区」だ。大正区民の多くは大正区のものと思っているし千葉県にあっても東京ディズニーランドと名乗る施設があるのだから、京セラドームも大正のものとする。
京セラドームやIKEAはわかりやすいランドマークだ。でも大正区は「船」に乗りたい陸地の現代人にとって魅力的な町だ。
大正区には、渡し船乗り場、つまり「渡船場」が7つある。
大阪市に渡船場が8つあるなか、大正区に関連する渡船場は7つ。圧倒的シェアである。
「渡し船」と聞いてみんな笠をかぶった船頭が手漕ぎするイメージかもしれないが、大正区の渡し船はそんな感じではないので、今から誤解を解いていこう。
大正区の渡し船、ぜんぶ乗る企画のスタートだ。
大正駅からスタート
JR環状線、大阪メトロの長堀鶴見緑地線に「大正駅」はある。駅があるのは大正区の端っこだ。せっかく渡し船に乗るならば、初めて渡し船に乗る人も連れて行く。
しらいちかさんとかつらいすさんの2人が来てくれた。2人とも出身は大阪府外のため、渡し船という存在も知らなかったらしい。
今日は渡船場を自転車で回る。私は自分の自転車を使用するが、区外から来た2人のために、まずは自転車を借りに行く。
今回は「HELLO CYCLING」(ダイチャリ)というセブンイレブンのサービスを使用した。アプリで電動自転車の貸し出し予約、決済、返却予約ができる超現代的で便利なサービスである。東京や大阪で貸し出し店舗があるので調べてみてほしい。
ちなみに私たちは自転車にしたが、徒歩とバスで回ることも可能だ。その場合は、「エンジョイエコカード」という地下鉄・バス乗り放題券を購入しておけば、土日祝日なら600円で乗り放題となる(平日は800円)。
自転車を借りて大正駅からスタート!
まず自作のざっくりした地図で申し訳ないが、渡船場は7つ。
大正区、右から回るか左から回るか、である。
今回は落合上渡船場のほうから回ろう。なんとなく。理由はない。
大正駅→落合上渡船場
駅から大通り沿いをまっすぐ進む。駅周辺は沖縄料理屋をはじめ、居酒屋が多数あるほか、マツキヨ、ジャンカラ、TSUTAYA、吉野家、王将などのチェーン店も多く非常に便利な地域である。まっすぐ進んでいくと、「落合上渡船場」1km先と書かれた看板がある。
直進すると、550mの看板があるので、それを目印に左折する。
ショッピングモールやバッティングセンター、スーパー銭湯「こうわの湯」がある。
私たちは12時に集合したが、早めに集合してこのあたりでサクッと遊んでも良いだろう。
最初の渡船場を発見!
これから何度も見ることになる渡船場マーク。
記念撮影。
チャリで来た。そして、今からチャリで乗る。
渡し船は自転車で乗れる。しかも無料で。
乗り場までの傾斜がすごい。
ぜんぶひらがなの看板。秋なのでこおってなくてよかった。
待合場所では、この銀色の掲示で各渡船場付近の歴史を知ることができる。
大正区と西成区をつないでいるのがこの船だ。
これが渡し船! This is Watashibune!!
最初のイメージとは違うのではないだろうか。
定員は48人だが、乗組員は2人なので、実質46人乗れる。
ちなみに、乗組員はいつも2人で1組。地元じゃ負け知らずだ。
出発時から対岸が見えている。モーター音を鳴らしながら船が出発し、約1分で到着する。あっという間に対岸だ。
右に「木津川水門」左に「三軒屋水門」と、2つの水門が見える。
到着してからもやっぱり急傾斜。
渡し船に乗って西成区に到着。せっかくなので軽く散策すると、室外機の墓場みたいなものを見つけたり
「FISH」と書かれた遊具のあるイカした公園を見つけたりした。
★落合上渡船場
・大正側の乗り場は周りにショッピングモール等があって便利
・乗り場までの傾斜がめっちゃ急
・水門が2つ見える
落合上渡船場→落合下渡船場
再度渡し船で大正区に戻り、落合上渡船場から落合下渡船場へ向かう。名前がほぼ一緒ということでわかる通り、この2つはけっこう近い場所にある。落合上渡船場から川沿いを走っていたらすぐに看板を発見!
無事、落合下渡船場に到着。乗船場マークが薄くなっている。
今回の乗り場までのスロープは長いがなだらかな傾斜である。
さっきの渡船場はドラえもんっぽい青色が基調だったが、手すりなどが茶色く、シックな印象だ。
この落合下渡船場は、2019年4月から、民間企業に業務を委託したらしい。乗組員の方の制服もほかと違う感じだった気がする。
ベンチも綺麗。
何がどうなってこういう姿?
先ほどと同じく銀色の掲示で歴史を知る。
この渡船場も西成区とつながっている。対岸の西成区の「津守(つもり)」という地名は万葉集にも登場するらしい。へえ〜。
さらに、10月から4月にかけてユリカモメが飛来するらしい。気になる情報が盛りだくさんである。
めっちゃこわい看板。「!」をあとから手書きの赤字で追記しているのも余程「危険」だからだろう。
渡し船にはそれぞれ名前がついている。ここは「みどり丸」。
西成区に到着し、簡単に散策。
日曜と祝日以外毎日ラジオ体操をやっている公園
「ゴミをほらないでください」とがっつり関西弁で話しかけてくる掲示
めちゃくちゃ鳩がいる公園
カーテンコールでこれが降りてきたら嫌やな
「クラッシャラン」って何?
★落合下渡船場
・手すりやベンチが茶色基調でシック
・民間企業が運営
・西成区側のお散歩も楽しい
落合下渡船場→千本松渡船場
次に向かうのは「千本松渡船場」。実は少し期待している渡船場である。先ほどの落合下渡船場で、「渡船ポタリングマップ」というものがあった。
※「ポタリング」という言葉は知らなかったが、「一人か家族連れや気の合う仲間で、近郊を「散歩」程度に軽くサイクリングすること」らしい。まさに今!
このポタリングマップで、「なかなか絶景です!」というコメントがあったのだ。なかなか絶景を見に行くぞ。
千本松渡船場に到着!
渡し船の前に、絶対に触れておかなければいけないポイントがある。
千本松渡船場の近くには、通称「めがね橋」がある。
このぐるぐるとループする大きな橋がふたつつながっており、上から見ると大きなメガネのように見えるのだ。
この橋と渡船場は、大正区を舞台にした津村記久子さんの小説「エブリシング・フロウズ」にも登場する。
このめがね橋は車だけでなく、徒歩や自転車で渡ることができる。
つまり対岸に行くために、「行きは渡し船、帰りはめがね橋!」という選択も可能なのだ。
まず、行きは渡し船で行く。ここも西成区とつながっている。
渡船場の後ろにもひとつのループがあり、そこからまっすぐ伸びた橋は、向こう側でまたループしているのがわかるだろうか。ループ&ループだ。
待合場所には絵が飾られている。
船は「しおかぜ」。
この日は祝日だったが、千本松渡船場が1番混雑していた。約20名くらいで、親子連れが多い印象だった。
手書きの頑張りが泣ける。
右は多種多様な言語を手書きで書こうとする気概が見られるし、左は明らかに「松」を書き忘れている。書き直す気力はなかったっぽいのが人間くさくて最高だ。
宣言通り、帰りはめがね橋を渡って帰る。ここで、私の自転車だけが電動自転車でないことを後悔した。行きは立ち漕ぎをし続けないと登れない。体力に自信がなければ電動自転車の使用が吉。
★千本松渡船場
・乗客数が多くて人気!
・めがね橋を見たり渡ったりできる
・なかなかの絶景
千本松渡船場→木津川渡船場
ここも、渡船場のすぐ近くに注目してほしいポイントがある。中山製鋼所だ。
この錆びついた感じ、このスケール、圧倒的なスチームパンク感だ。
「工場夜景」が好きな方は知っている方も多いかもしれない。
wikipediaによると、
工場の建物内が、ハリウッド映画「ブラック・レイン」のロケ地として使用された引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E8%A3%BD%E9%8B%BC%E6%89%80
とのこと。おいおいすごいな大正区。
近くにはさっきのめがね橋の片方だけバージョンもある。標識もクルンとなっていて可愛い。
木津川渡船場に到着!
のぼりやすいスロープ。
ちなみに、この船は今日乗ったなかではじめて窓ガラスがあった(プラスチック製かもしれない)。雨が降って横から風が吹いても安心!
今回も銀色の掲示で歴史を知る(この掲示がない渡船場もあった)。
ここは大正区と住之江区をつないでいる渡船場だ。ここでもワタリドリの飛来情報がある。追いかけて届きたい。
船は「松丸」。
★木津川渡船場
・圧倒的スケールの中山製鋼所も見よう
・船は窓ガラスがあるので雨でも安心
・ワタリドリが飛来
ゆっくり自転車を漕いでいたことや、途中道に迷ったことなどが災いし、ここで16時を回っていた。休憩しようと思ったが、カフェなどはなく、陸橋を渡らされたりしながら、ようやくついたローソンでアイスを買い、からあげくんを分け合ったりした。
(チョコアイスが溶けて服が汚れる惨事もあった)
渡し船巡りでは、休憩はできるときにしておくのが良いだろう。渡船場の周りは工場地帯であまり休憩できるところがないことも多い。
待合場は空いていて座れることが多いので、お菓子や水分を持ってこれば小休憩はできる。
木津川渡船場→船町渡船場
船町渡船場は乗り場までが初の陸橋スタイル。徒歩の人は階段でショートカットできるし、自転車はなだらかなスロープで歩きやすい。
いや待合室が木目調できれいやな!
すっかりおなじみの銀色掲示によると、ここは大正区の鶴町と大正区の船町をつないでいる。
船町には伊丹空港の前身の木津川飛行場があるなんて知らなかった。
いい感じに日が暮れてきた。
★船町渡船場
・階段とスロープを選べるやさしさ
・待合室が木目調で綺麗
・IKEAが近くにある
船町渡船場→千歳渡船場
だいぶ暗くなってきた。おもしろ看板などは暗くて見つけられなかったため、まっすぐ千歳渡船場へ向かったが、体感としてはかなり近かった。時間があればこのふたつの間にIKEAを挟むのも良いだろう。到着!思いっきり自分の影が写ってしまった。
電光掲示板! 渡船場の待合場で見る電光掲示板にテンションは急上昇である。
毎日電車のホームで見ているときは何も思わないのに不思議だ。給食の時に好きなアーティストの曲が流れた時のような嬉しさ。
ここでは白い紙に掲示があった。ただ、対岸のほうにおなじみの銀の掲示もあったのでこちら側はコピーなのだろう。
ウォーターフロントの美しい景観が魅力と書いてある。たしかに眺めが良い。
これまでの時刻表では「約1分で運行」と書かれていたのん、ここだけ「約2分」だ。川幅ランキング1位である。たっぷり2分間船に揺られたいなら千歳渡船場がおすすめだ。
すっかり暗くなった。ちなみに、他の船は定員が48人だったのに、この船だけが70人だった。ほかの船より回り大きいのだ。川幅も広ければ船も大きい。
人生最後にどれかひとつしか乗れないならば千歳渡船場が良い。
★千歳渡船場
・電光掲示板がある
・川幅ランキング1位!
・船もほかより大きい!
ぜんぶ回る、と言っていたが、体力と空腹が限界に近づき、この日ラストの渡船場となった。
頑張れば甚兵衛渡船場も行けたのだが、私だけ翌日に向かうことにする。
余裕を持ってぜんぶ回りたいなら10時ごろ出発するのが良いだろう。
京セラドーム近くの「COWBOY家族」でハンバーグを食べてこの日は解散。
HOME MADE家族のようなネーミングだが、COWBOY家族はサラダバーの本気度がほかのチェーン店とは違うので大好きなチェーン店だ。
千歳渡船場→甚兵衛渡船場
千歳渡船場から甚兵衛渡船場も意外と近い。昨日頑張れたんじゃないかと思うが昨日は昨日で今日は今日である。実はこの渡船場は、私も通学でたまに使っていたので最も馴染みがある。
「たまに」というのは、使わなくても陸橋を渡れば着くからだ。ただ、橋は傾斜がきつく、わりと疲れるので、気分を変えて渡し船に乗ることもあった。
壁に直接描くタイプ!
大正区でよく見る通称「フェニックスの木」。小学校などにも生えていて、赴任してくる先生が毎回言及するので高学年になると「はいはい」と思い始める。
スロープは短め。
待合場も狭めで、わりとこぢんまりしている。
ちなみに、この日は平日だったこともあり、学生の乗客が多かった。大正区側にも高校があり、対岸の港区側にも高校があるので、船で行き来する方が楽だ。
そのためもあってか、ラッシュの7時〜8時台は一部ピストン運行を行っている。
銀色掲示板によると、ラッシュ時は2隻の船で運行しているらしい。
★甚兵衛渡船場
・全体的にこじんまり
・通学、通勤で利用されがち
・ラッシュ時は2隻使ってピストン運行
まとめ
ということで、無事大正区の7つの渡船場を回ることができた。正直、行く前は「渡し船なんかどれもあんま変わらんやろ」と思っていた。だから、渡船場周りの散策で面白いものを見つけようと思っていた。
だが、実際は船も窓ガラスがあるものがあったり、サイズの違うものがあるし、乗り場までのスロープは傾斜だけでなく色やスタイルがそれぞれ違う。
こんなに楽しい渡し船が7つもあって、ぜんぶ無料で乗れるなんて最高じゃないだろうか。
あと、地元に友達が来るのは楽しい。
今回来てくれた、しらいちかさんもかつらいすさんも町の細かいおもしろポイントを発見するのがうまく、今回紹介したポイントの半分くらいは2人が見つけてくれたものだ。住んでいる町だからこそ見逃しまうことを、外から見た人に拾ってもらえるのは嬉しい。
大正生まれ大正育ち暗そうなやつは大体友達だが、ずっと住んでいても知らないことだらけなのだ。
ぜひみんなにも大正区の渡し船を堪能してほしい。
おすすめコース
いや、渡し船は気になってきたけど、「ぜんぶ乗る」必要は無いかな、という方のために、おすすめルートを3つを書いておこう。ぜひ自分にあったルートで大正区を楽しんでほしい。★渡し船のついでに遊ぶぞ!
・落合下渡船場→落合上渡船場→レインボースタジアム(バッティングセンター)→こうわの湯(スーパー銭湯)
渡し船を2つ楽しんでから、便利なショッピングモールの周辺で手軽に遊べるコースだ。ショッピングモールの規模としてはそんなに大きくないのでハードルを下げておいてほしい。
★渡し船のついでに工場地帯の景色を見るぞ!
・千本松渡船場→めがね橋を渡るor見る→木津川渡船場→中山製鋼
とにかく大きな橋や大きな工場地帯に圧倒されたい方にはこのコース。めがね橋を自転車で渡るなら電動自転車のほうが良い。
木津川渡船場は20:30まで運行しているので、到着を夜に合わせて工場地帯の夜景を見るのも良いだろう。
★千歳橋渡船場をメインに据える
・IKEA→船町渡船場→千歳橋渡船場→甚兵衛渡船場
千歳橋渡船場は川幅が広く、2分も船に乗れるためイチオシだ。千歳橋渡船場と船町渡船場は近いのでついでに一緒に乗ろう。
さらに、千歳橋渡船場から甚兵衛渡船場もわりと近いのでついでに乗っておこう。中央線在住ならば、帰りはそのまま港区で自転車を返却し、弁天町から帰る手もある。
※各渡船場の詳しい住所や最寄りのバス停などはこちらから
1.天保山(てんぽうざん)渡船場2.甚兵衛(じんべえ)渡船場3.千歳(ちとせ)渡船場4.落合上(おちあいかみ)渡船場5.落合下(おちあいしも)渡船場6.千本松(せんぼんまつ)渡船場7.船町(ふなまち)渡船場8.木津川