川の中のカフェへ行く

  • 更新日: 2023/01/31

川の中のカフェへ行くのアイキャッチ画像

人より牛が多い、農村地帯のカフェ…?

  • hatebu
  • feedly
  • rss

はじめまして、あたらしい散歩者の寺内です。
私はベトナム在住なので、これからみなさんにベトナムや東南アジアの散歩(たまに日本)をお届けできたらと思っています。

さて、今回私は「川の中にカフェがある」と友人から聞きました。
ベトナムといえば世界有数のコーヒー豆生産国で、コーヒー豆の生産量では長年ブラジルに次いで2位に君臨しています。(ロブスタ種では世界1位)
そんなベトナムはカフェ大国でもあり、街の至る所にカフェがあります。
プラスチックの椅子とテーブルで路面にあるようなローカルカフェから写真映えやお洒落なデザインにこだわったカフェまで様々です。そしてみんなカフェ大好き。一人でも大人数でも、友人とでもカップルでも。こんなところにもカフェが?という場所でもお客さんがいます。


▲ローカルなカフェ


▲オシャレカフェ


▲食器にもこだわるオシャレカフェ


▲テレビ付きでサッカー観戦できるローカルカフェも多い

私自身ベトナムに住んで9年目になり、数々のベトナム・カフェを楽しんできました。
コロナ禍による厳重なロックダウン中は、日本は疎か、他都市、近所のカフェにさえ行くこともままならなかったのですが、改めて思ったことは“カフェ最高”。
基本的に行きつけのカフェに行きますが、「カフェ巡りが趣味」なんて言うのも響きがいいので、コロナの規制緩和後はなるべく新しいカフェへも行くようになりました。
友人もコロナ禍を経てダナン中をドライブすることが趣味になり、今まで行くことがなかった場所などを共有してくれるようになりました。

でも川の中にあるカフェって何。聞いたことも、イメージも湧きませんでした。

とりあえず友人が地図を共有してくれたので見ると、場所は私の住んでいるダナン市内のホアバック村。市内中心部からバイクで1時間半程かかる山岳&農村地帯です。


▲友人から送られてきた写真。

確かに川の中にはあるが正直カフェかどうかは怪しい見た目。

勝手に誰かが作った休憩所でコーヒーを売り捌く人がいただけでは…?
※ベトナムはあらゆる物売りが存在する(食べ物、飲み物、サングラス、宝くじ、箒などなど)

とりあえずそこを“カフェ”と呼ぶ友人を信じ、「趣味・カフェ巡り」の者として、休みの日に行ってみることにしました。


ダナン市街地から山に向かうにつれて街並みは高層ビルが減り、ローカルの商店が増え、工場地帯を過ぎたあたり、フエへ向かうハイヴァン峠付近になるとほぼ農村しかなくなります。


▲山へ向かう途中見た南北統一鉄道

ダナンに越してきたばかりの頃、ハイヴァン峠に一人でバイクで行き、思ったよりも山で運転がきつ過ぎた上に帰り道は雨まで降って、若干泣きながら帰ったことを思い出しました…




こちらがホアバック村。人がちらほら農作業をしていますが圧倒的に牛の方が数が多いです。
この写真の場所から例のカフェまではあと30分くらい運転しなければなりません。
と思ったら、川が増水していて道が埋まっていました。
「大丈夫!行ける!」とバイクのまま進む猛者(地元民)もいましたが、こんな山奥でバイクが壊れたら本当に困るので、私はバイクを停めて徒歩で進むことに。


▲以前は道だったところと猛者(地元民)

「本当にあるのか…?」
靴を脱いで川を越えたあとはずっと山道が続いています。車も辛うじて通れそうなくらいの道は木々やフェンスに囲まれています。
普段暮らしている場所とは違い、何もない一本の田舎道です。
気を抜いたら神隠しにでも遭いそうで怖い。
フェンスの向こうに放牧されている牛たちがいて、その中に白い牛がいました。怖い気持ちの中牛を見て安心&白い牛は珍しかったので「カワイイネェ!」と声を掛けましたが完全に私の存在は無視されていました。(ベトナムに住んでから筆者は動物や虫によく声を掛けます)

暫く道なりに進むと、木々の奥の方からおじさんの大熱唱の声が聞こえてきました。
ベトナム名物・屋外カラオケです。
冠婚葬祭や何らかで人が集まるときに自宅やレストラン、路上などでカラオケを行うのがベトナムの文化なのです。(カラオケの機械は自前だったりレンタルだったり)
そして熱唱と共に見えてきたのは小さな商店でした。カフェじゃないの?

少し小高くなった場所にある商店の下の方には川が流れており、そこを見下ろすと確かに写真で見たカフェ?の跡地っぽいものがありました。
しかし川の増水で壊れてしまったらしく、修理をしているところでした。
都市部でさえ冠水はよくあることなので、山岳部は慣れたものなのかもしれません。



▲跡地には降りられたが絶賛修理中。

一応来たし、川の水に足でも突っ込んで見ようかとやりましたが、一瞬で飽きました。
如何せんおじさんの熱唱カラオケがBGMなので自然を満喫、という感じでもない。
木々に囲まれていて目視はできませんでしたが、明らかに何らかの会合で盛り上がっています。
先に見たバイク猛者も会合の参加者だったのかもしれません。
商店もコーラやビール、タバコを販売しているのみで「コーヒーはもうやってないよ!」とのこと。
…カフェはできないな、と諦めました。


▲川の水は綺麗だけど周りに本当に何もない。

やることもないし、バイクも置きっぱなしで心配だし、せっかくきたけどもう帰ろう…
カフェはなかったんだ。
この間まであったお店がいきなりなくなるなんてのはこの国ではよくあることなのです。
割と面白そうと期待していたのでがっかりな気持ちと「また市街地まで長旅だ」という気持ちでとぼとぼ帰り道を歩いていると見えてきたのが…カワイイチャン…!



行きに声をかけたカワイイチャン!とその家族の姿が!
「迎えに来てくれたのー?」と言いながら近づくと




逃げない。嘘だろ…?




行くよ、みたいな顔をしている白牛と、付き合いでついてきたみたいな仔牛。
私が近づくと、みんな一緒に歩き出しました。




「ちゃんとついてきてるか?」って言ってるかのように何度も振り返りながら歩く白牛チャン。写真の右側のフェンスの向こうで放牧されていたのを行きに見たのですが、みんなで出てきてくれたようです。




そうこう歩いていると川が見えてきたので、牛たちも流石にここから引き返すだろうと思ったら…



渡るんかい…!
結局一緒に川まで渡り、バイクが停めてある場所まで牛たちと戻りました。
やっぱり道案内してくれたのかしら…?
牛たちにありがとうね、と伝えて山を後にしました。



ここからまた市街地まで遠い道のり…
やっぱりカフェは近所の行きつけで十分だ、と思いましたが、思わぬ牛たちとの触れ合いでほっこりもした休日でした。
おすすめはしませんが(笑)もし行ってみたい方はこの辺です↓



元カフェ?はどうでもいいので牛が見たい!という方はダナンのノンヌォックビーチ〜ホイアンまでの道のりや五行山周辺で牛がたくさん放牧されているので安心してください。必ず見れます。












このサイトの最新記事を読もう

twitterでフォローFacebookでフォロー
  • hatebu
  • feedly
  • rss

寺内真実

2014年よりベトナム在住。
ベトナムや東南アジアメインの散歩を書いて行けたらと思います。

関連する散歩

フォローすると最新の散歩を見逃しません。

facebook      twitter      instagram      feedly

TOPへ戻る