【GAN散歩】ジェネラティブな生田の潜在空間を探索したい

  • 更新日: 2022/03/24

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並行世界の生田を散歩する

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はじめまして!普段はプログラミングや映像制作をしているFTDといいます。散歩候補地を見つけるため地図アプリをながめるのが好きです。怪しいクチコミを読むのも好きです。



記念すべきサンポーでの初散歩ということで、私のお気に入りの地でもある神奈川県川崎市多摩区の生田に来ております。最寄は小田急線の生田駅。



超便利というわけでもないですが、駅周辺にはほどよくお店があり少し離れると住宅街と自然が広がる落ち着いた町という印象です。



この地とは何の縁もない私ですが「NHKにようこそ!」という大好きな作品の舞台ということもあり、生田住民と近隣の大学生の次ぐらいに訪問しているのではないでしょうか。作中にも登場したスポットを中心にいつも同じコースを散歩しています(生田と書きつつ駅の南側である三田エリアが多い)。



そんな生田ですが私の個人ブログにて何度も紹介している町なので、今更ふつうに記事を書いても面白くありません。そこで今回はGAN(敵対的生成ネットワーク)という機械学習の技術を使用します。


GAN散歩の下準備



(抽象的すぎる図)

ざっくり説明すると、AIに大量の画像を学習させることでその特徴を踏まえた新しい画像を生成することができます。今回は生田で撮影した画像を学習させることで、生田散歩風景生成AIを作るというわけです。生田っぽいけど本物の生田ではない世界を散歩することで何か発見はあるのでしょうか。



それではAIに学習させるための画像を生田で撮影していきます。とはいえ機械学習のためには大量の画像が必要で、1枚ずつ撮影するのでは日が暮れてしまいます。というかしばらく生田に通い続けることになりそうです。

そこで私がよく使うのが、動画を撮影しそこから大量の画像ファイルを書き出すやり方です。例えば30fps(1秒間に30コマ)で30秒間の動画を撮影すると、900枚の画像を用意することができます。ただ動画だと似たような画が続いたりブレたりするので、そこは編集で目立たないように頑張ります。

前置きが長くなってしまいました。それでは実際に生田を散歩しながら動画を撮影していきましょう。



とはいえ特殊な撮影とかはしてなくてジンバルにスマホを取り付けてただ歩くのみです。時間にすると約30分ほどでしょうか、いつもの散歩コースをジンバル片手に歩いて散歩終了。強いて言うのであれば、撮影のことを常に気にかけているので散歩自体のゆとりはありません(GAN散歩がメインなので潔く諦めました)。

その後、GANの学習用に素材をいろいろ編集して最終的に7分ちょっとの動画になりました。連番画像として書き出すと13,000枚ほどの学習データとなります。



続いてこれらの生田散歩画像をGANで学習させます。ちなみにこの学習には1週間ほどかけました(事前検証を入れると約2週間)。上の動画は学習過程の一例で、生成される画像が徐々にはっきりしていく様子が分かるかと思います。それだけ時間をかけた割にノイジーだなと思われるかもですが実際には色々な制約があるのです、許してください。

ずいぶんと長い道のりでしたが、こうしてGANの学習済みAIができました。さっそくジェネラティブな生田の潜在空間を散歩してみましょう。


ジェネラティブ生田を散歩する



こちらは謎の白い壁が続く道(めちゃくちゃひび割れている)。生田駅前を流れている五反田川沿いの道に似ていますが何かおかしいです。駅へと続く道なので撮影時も人がたくさんいたはずなんですが、誰もいなくなってしまいました。そうなるとこの高い白壁も無機質で排他的な印象を受けます。このGAN散歩、前途多難かもしれません。




長い階段の前に来ました。この先に何があるのか気になりますが、確かめることはできません。実際には存在しない階段なので。駅近くにある五反田神社への階段にちょっと似ています。ジェネラティブ階段は右側に黒っぽい手すりの片鱗が見えますが、リアル階段は赤色の神社へ続く感があふれる手すりです。敷地内からは生田の町が一望できますよ(本記事の写真4枚目)。




こちらは住宅街のようです。でも道路の形が変な気がする。あと実在しない家に住んでいる人って存在していると言えるんでしょうか?もしくは実在しない人が実在しない家に住んでいる?そもそも実在しない空き家?自分でも何を書いているのか分からなくなってきました。冒頭の画像といい、ジェネラティブ生田には人が住んでいない可能性が……




中央に謎の赤い棒が見えます。元はカーブミラーのような気がしますが、肝心のミラー部分がどこかにいってしまいました。この世界は本来の目的を見失った棒であふれているのでしょうか。




続いて木っぽい何かです。幹の部分が見えません。ジェネラティブ生田では木が浮いているのでしょうか。それとも後ろの柵に着生している何かの植物でしょうか。意味のない棒が存在している一方で、必要のある棒は無くなってしまいました。




浮いている木の近くには謎の黒い物体が落ちていました。入力と出力の結果は分かるけど中の仕組みが分からないものを「BLACK BOX」と呼んだりします(AI技術も近しいことを言われることがあります)。それとは関係ないのですが車道に落ちているので危ない。




坂道に来ました。元は長沢浄水場近くにある高台だと思います。本記事6枚目の画像にもちょっと写っていますが、「NHKにようこそ!」のファンなら涙する光景です。作品を知らなくても普通に良いなとなるぐらい眺めが良い。でもジェネラティブ坂道は地面に大きな穴が空いていませんか。普通に人や車が落ちるサイズです。GANで生成した生田は基本的に危ないようです。




空を見上げてみると黒いモヤモヤが浮いていました。だいぶ禍々しい雰囲気で空気の裂け目も生じています。これがブラックホールというやつでしょうか。ブラックホールを見たことはないのですけど。怖いのでそろそろ現実世界に帰りましょうか。




最後にGAN散歩の様子を動画にしたものを載せます。我々が暮らしている現実世界ではありえない移動の仕方をしています。散歩の常識に囚われてはいけません。


今回のGAN散歩は以上です。初めての取り組みでしたが、下準備はもう少し上手くやれたかもという反省があります。ただいつもと違う生田を楽しむことができて個人的には良かったです。ああ、これは本物の生田ではないのでした。私が見たものは何だったのでしょう。

必要なものが無くて無駄なものばかり存在する、人が暮らすには不便すぎる世界「ジェネラティブ生田」。でも今回の散歩で人は見かけませんでした。そもそも人に合わせる必要もないですよね。人がいなくなった世界で、町が意思を持ち独自進化を遂げているような気もします。そうなると所々で見かけた排他的で危なっかしい造りも、人間を入れまいとする町の防衛意識が働いているのかもしれません(仮説です)。

現実世界の散歩でも、人間以外の目線で観察すれば新しい発見があるのかも。ちなみにリアルの生田は落ち着いた良い町ですよ。









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FTD

水道水を飲んで暮らしている。犬と散歩したい。普段はプログラミングや映像制作をしています。

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