町田にも、あったんだ

  • 更新日: 2019/07/23

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町田にも、あるんだよ

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おれと町田、町田とおれ

「町田のじいじ」、「町田のばあば」。おれが小さいころ、母方の祖父母をそう呼んでいた。なぜか。町田に住んでいたからだ。べつに祖父母はずっと町田に住んでいたわけではない。ただ、終の棲家として選んだ場所が町田だった。町田駅から少し離れた団地に住んでいた。おれの一家が町田に行くときは、いつも車だった。鎌倉から北上して、団地に着く。おれのなかで町田という街は、どちらかというとのどかな郊外、のどかな住宅地であった。
おれの一家というものがなくなり、おれは一人で町田を訪れるようになった。おれは車を持っていない。おれは京浜東北線の沿線で一人暮らしをしている。必然的におれは京浜東北線から横浜線というルートを使って町田を訪れるようになった。たまには直通電車もある。そのうちの何度かは祖父母の葬式だった。いや、人はだいたい一回しか葬式をしないので、二度は祖父母の葬式だった。祖父母は町田の葬儀場で葬式をした。
葬式はともかくとして、町田駅周辺の町田。おれには大都会に思えた。少なくとも、横浜より栄えているのではないか。横浜より人が若いのではないか。これが町田というものか。いや、あるいは東京都というものか……と圧倒されたものである。


町田を観光する―町田仲見世商店街

町田でビアフェスタのような催し物があると知った。おれはクラフトビールが飲みたい。ふだん飲んでいない酒なら、なんでも飲んでみたい。そう思って、女を誘った。ただ、ビアフェスタに行って飲んで帰るだけではつまらない。おれは「町田 観光」と検索サイトに打ち込んだ。いくつかのサイトを見て、出てきた結果はほぼ同じだった。
町田リス園、あいにくの梅雨だ。雨に濡れるのを嫌がってリスが出てこなかったらどうする。ただの園である。これは却下だ。
町田ダリア園。ダリアの季節ではない。ただの園である。これも却下だ。
そこで、まず出てきた上に駅から近い、「町田仲見世商店街」、これである。



駅からちょっと歩いたら昭和でどーん。ちょっと迷った(携帯端末のマップ上に「横浜仲見世商店会」と出てきて、そこを目指してしまった。事務所かなにかだろう。「商店街」が正解である)。なので、駅側と反対から入ってしまった。おれの最初の目的は、駅側の入り口にある店だったからだ。
……とはいえ、はっきり言ってこの仲見世商店街のアーケードはむちゃくちゃ短い。そうだな、たとえば横浜橋通商店街とか弘明寺商店街を想像すると大違いだ(知らない人は置いてけぼりにしますので、はい)。まあともかく、反対側から入って、すぐに出口、あるいは入口だ。



はい、そこにありました「小陽生煎……」。えーと(グルメサイトを調べている)、「小陽生煎饅頭屋(ショウヨウセンチンマンジュウヤ)」。ここで何が食べられるのか。生煎饅頭……? よくわからない。よくわからないが、行列に並ぶ。少し大きなたこ焼きくらいのサイズだったので、二人で四個入りを頼む。



どんどん客が捌かれていって、はい出てきた生……いや、グルメサイトによると「焼小籠包」というらしいですが。メニューはこれだけで、しかも四個と六個の二種のみ。……なんだけど、おれの聞き間違いでなければ「十個テイクアウトで、五個と五個で分けて」という常連客らしい人の注文があったので、そのあたりフレキシブルなのかもしれない。違うかもしれない。ともかく、四個。大阪のたこ焼き屋のように、店の前のカウンターで食べることにする。



で、食べ方の説明が貼ってある。「1.饅頭の上側にやさしく箸で穴を開ける」、「2.饅頭から「すーぷ(肉汁)を火傷に注意してすすり飲む」、「3.後はふつうに食べる」。これである。これを熟読して、さらに別の張り紙にあった注意書き(写真に撮れよ)、熱すぎて他のお客さんに汁をぶっかけるのに注意してね、みたいなことを頭に叩き込む。
叩き込んだ上で、饅頭を見る。上部はふつうの小籠包のように柔らかそうだが、底の方に焼きが入っていて、カリカリに固くなっている。勇気を出して、やさしく穴を開ける。



熱い! ……おれはわりと熱いものが平気な逆猫舌(そんな言葉あるのだろうか)のつもりだが、相当に熱い。猫舌の同行者はあまりの熱さに、「どうしよう、食べられない」という始末である。けれど、おいしい。さすがの行列店、さすがの単品勝負の店だ。うまく「すーぷ(肉汁)」を全部すすり飲むことはできないけれど、十分においしい。なんか豆的な辛い的なものを入れたり、黒酢をかけたりして、「後」を食べてみてもおいしい。なんかカリカリしたところもおいしい。これはいけている。そして、これの「すーぷ(肉汁)」を全部上手にすすり飲むことができたら、立派な町田市民として認められることであろう。
食べ終えた容器とお箸はカウンターに返す。そのとき、注文中のお客さんにこぼさないように注意。



続いて、タイ料理屋さんである。「BACKPACKER'S CAFE 旅人食堂 町田屋台店」さんである(もちろんグルメサイトで店名を確認した)。いかにもなアジア系「旅人食堂」な雰囲気であって、いかにもそういう店なんだな、と想像していただければ、だいたい合ってる。昼間からシンハーだかビンタンだかをガンガンいってるお客さんもいて、いい感じである。とはいえ、今日の目的はビアフェスであって、ここでは自重。あと、おれは辛いものは好きだが、辛いものを食べるとお腹をかなりすぐに壊すという体質なので、辛くないものをチョイス。とはいえ、メニューの一番上に載っているカオマンガイ、これである。



セットのスープが先に来た。大根と白菜が入っていたような気がする。やさしい味付けだ。ただ、器を手にとって見たらすげえ熱かった。店員さん、よく持ってきたな。



で、カオマンガイ来たー。ソースは三種類。チリソース、味噌ソース、ジンジャーソース(だったと思う)と説明してくれる。影響度でいうとチリソースがそれなりに辛いのでジンジャーから行くべきかもしれない。まあ好きにすればいい。おれが一番おいしいと思ったのは味噌ソースだった。鶏肉もいい具合の柔らかさでいい感じ。お米もおれ好みのサラサラ具合(おれはサラサラの米が好きなのである)。ここがメーンであれば、追いパクチーつけて、さらにソムタムでも頼んで、シンハー、シンハーもいいかなって思った。シーガル・スクリーミング・シンハー・シンハー。



それにしてもなんだね、なるほど、なんか落ち着ける空気やね、町田仲見世商店街。向かいにピザ屋さん的なものがあり、行列のできるラーメン屋さんあり、あと、沖縄料理屋さんあり、かな。いずれにせよ、まずはあの熱々の焼小籠包から入ってみるのをおすすめしたい。けっこうボリュームがあるので、一人二個くらいでいいと思うが、まあ三個でも四個でも好きにしてくれ。おれはそこまでおまえの人生に干渉しない。


町田を観光する―町田市立国際版画美術館



で、商店街を出て少し歩く。高いビル、人でニギニギの駅周辺から、あっという間に落ち着いた町並みになる。この世の天国すらある。



この世の天国には犬がいた。まあ、この世の天国かどうかしらないけれど、いろいろの飲食店があって、中心部以外でもいろいろの穴場などあるのだろう。町田市民うらやましい。



そんでもって、急坂を下って(おれのイメージでは急坂を登るつもりでいた)、たどり着いたのが町田市立国際版画美術館、これである。市立だけど国際、それでいて版画、なんだかわからんが、いい感じのように思える。勝手な想像だが、一点物の油彩画などと違って、版画は何十点かオリジナルがある。それなら、手に入りやすい。市立でも、いいものが集まるのではないか。あらためて言うが、勝手な想像である。それにしても、もうこのあたり、駅から直接なら十五分くらいだろうと思うが、すっかり静かだ。



入口までしばらく歩く。あ、べつにこの写真必要じゃなくね? 上のやつかどっちかでよくね? と思うも、なんだね、実はね、写真も全部、携帯端末のもので、その、記事にしようって思ってなかったんでね、本当は、最初の最初に駅とか、駅周辺の写真とかあってもいいはずなんだろうがね。どうでもいいか。まあいいや。



で、目的の一つ、畦地梅太郎の展覧会。これはおもしろかった。その感想は自分の個人ブログに書いたのだけれど、気になったら探してみてください。
美術館自体、ちょっと年季は入っている感じだけれど、広々としていて、トイレなどは新しくきれいで。一部で版画体験コーナーなどもやっていたかな。わりとお客さんも来ていた。さすが東京都、という感じだろうか。


町田を観光する―芹ヶ谷公園



美術館を後にする。後にして、芹が谷公園を突っ切る。版画美術館は都立の芹ヶ谷公園の端にある。雨のやんだ公園にひとけは少なかった。静かだ。あらためて、あの町田駅から十五分かそこらでこういう公園があることを意外に思う。



園内マップや方向指示柱などはやや古さを感じた。まあ、いいけれど。しかし、町田駅と逆に歩いて行ったらどこにたどり着くのだろう? 新百合ヶ丘?



版画美術館にちなんでか、派手な彩色のマンホール。



マンホール……などと下を向いていたら、なんか化け物じみたでかい構造物!



なんかゆらゆらしてんなーと思っていたら、だんだん傾いて……。



水ドバー。
動画も置いときますねー。





ドバドバー。おまけに中央からなんか噴水してるー。



なんだこりゃ、こんなでかくて、派手な代物、なんなん? 池を回ってみても、作品名もなにもない。……が、調べてみれば出てくるこの時代。Wikipedia先生にこうあった

虹と水の広場には、ステンレスで造られた高さ16mの「彫刻噴水・シーソー(飯田善国作、1989年4月設置)」が設置されており、時間によって定期的に支柱の噴水から水が出る仕組みで、水の重みでシーソーが動くよう設計されている




ふむ、「時間によって定期的」。ちょうど訪れたのが午後三時ちょうどだったような気がする。けっこう長い間動いていた、というか、止まる前に後にしたので、どのくらいうごくものかは知らない。それじゃーねー。



また、ひとけのない道をゆく。ちょっとした遊具、ベンチなどがあった。さっきの圧倒的なオブジェとは違って、あとはおおよそ静かな公園だ。「ジョギングするときは人とぶつからないようにせえよ」的な看板があったので、近隣住民が遠路をジョギングすることもあるのだろう。この日は降ったり止んだりの天気だったので、ウォーキングする人を一人見かけたくらいだけれど。



そいでもって、小田急線が走る側の出口に行く。おれたちにとっては出口であっても、だれかにとっては入口なのである。とはいえ、この入口看板、そんな場所にあっても……というところにあったのだが。公園を出てしばらく歩く。住宅街、そして大きい道。


町田を観光する―町田シバヒロ

そして、目的地の「町田シバヒロ」へ。ビアフェスが先で、後から会場を知ったのだが、町田駅の近くにでかい芝生広場があるというのだ。女は「わたしはたまに友達と会うのに町田に来るが、そんなものはない」と言い張っていた。でも、あるじゃん、サイトもあるじゃん。とはいえ、おれもそんなものは知らなかった。



でも、あったんだよなあ。ビアフェスタやってんだよなぁ。



そんで、「雨模様だし、ちょっと肌寒いし、あんまり人来てないんじゃねえの」という予想を裏切って、固定席は満員だったんだよな。町田市民のビール好きを甘く見ていたわ。レジャーシート持っていたけど、下は重馬場、ちょっと敷いて座ろうって気にもならんかった。良馬場だったら、二人分くらいのスペースどうにでもなったんだがなあ。



それでもせっかくなので、まず海老名の地ビールを一杯。EBINA BEERの、その名も「うっぷんIPA」。300円サイズ。そうそう、クラフトビールはこんくらいの癖、苦味がなきゃね。そんで、もう一杯くらいということで、写真のRYDEEN BEERのアルト。こちらは500円サイズ。飲みやすくてゴクゴク。……も、立て続けに立ち飲み、おつまみなしで、ちょっと飲むのに時間かかった。やはりビアフェス的なものは席の確保が大切。
その後、駅近くのLOFTなどに寄って帰った。なんかたぶんタピオカに行列できてた。
それはともかく、町田駅から仲見世商店街、版画美術館、芹ヶ谷公園、シバヒロ、再び駅へと、無駄のないコの字型で巡れたんじゃないでしょうか。
そしてなにより、町田にも観光地あったんだぜ、と。いや、いつか晴れた日にリス園とか行きたいなとか思います、はい。








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黄金頭

横浜市中区在住の労働者。「関内関外日記」というブログを書いています。

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