クリスマスツリー概念 ~あの星と散歩した日~

  • 更新日: 2022/12/20

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概念で感じるクリスマスツリー


あの星を手に入れた日

11月初旬、肌寒さの交じる日、某ホームセンター・ニトリの店内。
すこし離れたところから「買って買って」と、何かをねだる声がした。
何をねだっているのだろうか。と気になり声の方向に目を向けると、少女がクリスマスツリー用の金ピカの星をねだっていた。
星をねだる少女と、それを眺める私。



▲クリスマスツリー用のトップスター・単品499円税込

少女が星を欲しがる理由。純粋にツリーに飾るためだったのか、それとも他に動機があったのか、私にはわからなかった。


▲単品の星、インテリアとしてもいい感じ

しかし頭の中で「あの星も単品で買えるんだ」と新鮮な驚きと、引っかかりがあり、そこから突然の物欲が襲いかかった。
用途は不明だが、コチラまでヒョイと、金ピカの星ひとつ、お買い上げしてしまった。
庭もツリーも無いのに、ただ星だけ。でもなんかいいな。

むかし地方の個人商店の店頭にある「何が出るかわからないガチャガチャ」で、ミニ四駆の「モーターのみ」が出てきた時は、扱い方がわからず、途方に暮れてしまったことがあるけれど、これは単純にいい眺め。



それから何を思ったか「メリークリスマ酢」なんてダジャレも浮かび、酢の入った瓶をクリスマスツリーに見立てながら、家にある調味料たちとセッションをしてみた。


▲宮崎の芋焼酎、アジシオ、穀物酢、鹿児島の醤油、長崎の味噌。ご当地色が強い

さ(酒)、し(塩)、す(酢)、せ(醤油)、そ(味噌)!
そして「料理のさしすせそ」の「さ」は本来「酒」ではなく「砂糖」なんだがな。と薄々気付きつつも、酒瓶の上に金色の星を飾ると、独特の詫び錆びを感じるクリスマスツリーがうまれた。



▲酒瓶の上で燦然と輝く、あの星

「飲んだ暮れて色々なものを売り払った挙句、部屋の片隅にひとつ残された酒瓶と聖夜を過ごす、どうしようもない私。酔いの熱に昔抱いた人肌に通ずる熱を感じ、必要以上に酒を煽る」だなんて、不健全な即興劇まで繰り出し笑ってしまうけれど、メリーメリークリスマスごっこ。
酔いは夜に溶けて雪へと変わるだろう。


星を手に駅へ向かう

我が家に庭は無いけれど、街も我が家の庭なんだと、あの星を手にし、屋外に出た日。


▲光るあの星を根元から握り締めると、すこし強くなった気分もある



駅に向かう際中で見かけた、なんでもない風景の中に立っている円柱に星を添える。


▲何かの土台+あの星

すると急に、メリークリスマス!11月なのに街が一気にクリスマスめいた。

しかもコレはよい影絵だ。
残念ながらツリーではないが、円柱の影、星の灯がともったロウソクのようでもあるし、ロウソクは時間と共に短くなるものだけれど、このロウソクは違う。陽の傾きでやや伸びる。



▲捨てそびれのペットボトル+あの星

これは駅構内。
赤色(赤茶色)+緑色に星を並べると、急にクリスマスツリー概念を感じる。
緑茶のペットボトル単体でも、記号化されたもみの木に近しいのだけれど、白いテープも綿雪飾りに通ずるようで、不思議とそういうものに見えてくる。



▲公衆電話+あの星

公衆電話の上に金色の星を置いてみた。
星が無ければ、なんてことない風景だけれど、これも非常にクリスマスツリー概念が強い。
背景の赤茶色な縦横に、鮮やかな蛍光グリーンが映えて、頂点に輝く星。
シルバーの円柱もツリーの幹に見えて、もしかしたら現代アートかもしれない。



▲ペーパーラック+あの星

一方コチラは、色彩としてのクリスマスツリー概念は弱めだけれども、じっくり見ていると「そう見えてくる」側のツリー。
真ん中のラインが幹のようだけれども、同時に銀色の枝が広がり、ツリーの輪郭も見えてくる。
テクニカルだけれども、奥の方からワイヤーワークのクリスマスツリーを感じる以上、確かにそこに概念はある。


星を手に街を行く

地下鉄を降りて街に降り立つ。
さて、街中には概念を膨らませるようなものはあるだろうか。



▲バラ用の支柱?+あの星

何かしらの支柱の頂点に星を飾ってみたけれど、どうだろう。
緑色のツリーを思わせるシルエットの頂点に星があって、今までで一番「ツリー」としての概念がある。
でも教会の屋根にも見えてしまうし、街の生活が背景に見えるせいか、あまり「クリスマス」を感じない。打ち消されている。
どうやら狙いすぎてもダメなようだ。



▲青緑色の若い女像+あの星

一方これは意欲作。
どこにもツリーの要素はないながら「赤+緑=クリスマス」の法則を押さえつつ、だんだん星の置かれている青緑色の土台そのものがツリーに思えてくる。

液状化して若い女性に姿を変えたクリスマスツリーと足元の星。
星に願いをかけながら、人間になりたかったクリスマスツリーのなれのはてかな。



▲路地裏のクリスマス

それから脇道に入って出会った、直方体のクリスマスツリー概念に、



▲水槽+あの星

レンガの上にある星は、アレだ!
水耕栽培のカイワレ大根とか豆苗とかの感じで、茶色い土台から養分を吸い取り成長を予定してる、発芽したてのクリスマスツリーかな。
年の暮れには膝上くらいの高さになり、ゆくゆくは門松の代用品として扱われたり。


夕方を歩く

そして当たり前のことだけれど、道草ばかり食っていたので、日はどんどんと傾きだしている。いつも初動が遅く、気が付くと夕方。
いや「夕方」なんて何時を指すのかわからないし、季節によって感じ方の変動もある。ずいぶんと曖昧な言葉だけれど、気が付くと私は、いつも曖昧なところを漂いがち。



▲夕方4時台、11月なのに早くも師走の足音が聞こえる

と、開店準備中の、あるお店の前に、華やかに装飾された木を見つけた。


▲右端に見える人の手元

色々と歩き回った中でようやく見つけた本物のツリーだ!


▲これから開店準備を行うオーナーさん+あの星

シャッターアートも見事だったもので、写真を撮らせていただいた。
近隣でもいち早くクリスマスのディスプレイを行っている、アメリカンなバー・ヨコハマアメリアさん。
ファンキーなシャッターアートもたまらないし、手元の星もイケイケでオーナーさんによく似合ってる。ちょっとした魔法も使えそう。



▲シャッターの向こう側

シャッターが開くと、さらにきらびやかな世界が広がる。
オーナーさんは元お花屋さんで、毎年こうしたディスプレイをしていると聞いた。年の中のわずか1-2か月に対する情熱。
でもこのディスプレイは通りすがりの人すら幸せにする街の宝石で、夜に見るとビロード調の深い赤が、あたたかみのある電球色に映えるんだろうな。



▲クリスマスツリー+あの星!!!

紆余曲折、道草しつつも、ようやくあの星が本来の輝き方で居座れる場所に出会え、鎮座できた。
様々な概念と付き合いながら、至って正攻法な姿。あの星が本気のディスプレイにも溶け込んでいる。

11月初旬の日曜日、ひと足飛びで世の中に潜む「クリスマスツリー概念」を探そうとしたところ、

・緑色や赤色茶色のクリスマスカラーを思わせるもの
・できればツリーの輪郭を思わすもの

これらを満たしたところに、クリスマスツリー用のトップスター(あの星)を添えると、何となくクリスマスツリーに見えてくるという「クリスマスツリー概念」は感覚としてわかった。でもやはり、世界観が統一されている本物には到底敵わないなとも思った。



▲通りを見わたす

ディスプレイから右を向き、ちいさな通りを見わたした。
この「吉田町 ノラねこ通り」という通りの名前も、先ほどのオーナーさん発案と聞いたけれど、自由で寛容な感じがしていいな。
群れない自由に加え、ノラねこを害獣と思わない余裕まであるもの。

横浜・伊勢佐木町の繁華街と、横浜・野毛の飲み屋街の間にある抜け道を、自由な発想で歩く。
ギリシャ料理の老舗、スコティッシュなパブ、球磨焼酎豊富な料理屋と、諸国の店をわき目で見つつ、ひとりでもそれはそれでたのしい。



▲コートハンガー+あの星

と、たのしげに歩いていたけど、ちょっと休憩したくなり、そこら辺の店に寄り、1杯だけ酒を飲んだ。
まだ5時前だったので、先客は無く、コートハンガーにも先客無しだったので、頂上にあの星を輝かせてみた。
見るからにそのままというか、思っていた以上にそれらしくもあって、ご機嫌にもなったけれど、これから来るお客さんが驚くといけないなと思って、すぐに星は回収した。



▲日没+手元の星

店を出ると辺りは暗くて、ほろ酔いの空と、手元には一番星。
あの星と散歩してみて「なんてことない世界も、もしかしたらオモチャ箱のようで、おもしろいもんだな」と、思ったけれど、いや実際はそれ以上。
街は年末に向け、彩りを加速させ、師走の街はさらにおもしろくなるだろう。
そして気づけばハッピーニューイヤー。



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熟女

はじめまして新人の熟女と申します。
町を歩いたり、駅の思い出を集めるのが趣味です。

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