GANで生成した地元の散歩道を犬と歩く

  • 更新日: 2022/10/20

GANで生成した地元の散歩道を犬と歩くのアイキャッチ画像

犬と思い出の潜在空間

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夏の某日、北九州にある実家に帰省しました。

前回の帰省がお正月だったので約8ヶ月ぶりぐらいです。1年は経ってないぐらいですが、帰るたびにちょっとずつ景色は変わっていきます。幼少期に遊んでいた遊具は撤去されるかサビだらけ。昔見かけた近所の犬がいなかったりもしました。帰省の道中、学生時代に住んでいた名古屋にも寄りましたがお気に入りラーメン店No.2は潰れていました。まあ値段の割には微妙だったかもしれない。

そんな感じで昔見ていたものが今もあるかと言われると微妙なので、そういう時のために人間は写真や映像に思い出を残したりします。忘れないように脳みそ以外の媒体に記録し、たまに見返しては「こんなのもあったな」とつぶやくのです。

加えて私はエンジニアなので、AIに思い出を記録させることもできそうです。どうやるのかといいますと過去にも記事にしてきたGAN散歩をやります。機械学習における生成モデルの1つであるGANに、地元の歩き慣れた散歩道を記録(記憶)させてみることにしました。




記事の取材をするとき、いつもは1人で散歩するのですが今回は相方がいます。誰かというと犬です。今年の春頃に実家にやってきて家族の一員となりました。警戒心が強い子で私は帰省時に初対面、慣れてくれるまで苦労しました。写真は「散歩はよ」アピールをしている様子。


GAN散歩とは


(抽象的すぎる図)

本記事におけるGAN(敵対的生成ネットワーク)のざっくり説明ですが、大量の画像をAIに学習させることでその特徴をふまえた新しい画像を生成することができます。過去には生田っぽいけど生田ではない町を散歩したり、高層ビル群と海沿いの町を混ぜたりしました。

今回は地元の散歩道(と犬)を学習させて実在しない散歩道を生成します。実在しないといっても学習データに含まれた画像の特徴、すなわち撮影時点における散歩道の面影(ついでに犬)も学習することになるので、これは思い出を記録する新たな形となるのではないでしょうか。あと現実的な話で言えば、実家付近の写真をそのまま載せまくるのは気が引けるというのもあります。生成結果はリアルな写真と比べるとノイジーになるので、画像のぼかし的な役割も果たしてくれるかもしれません。

そんなGANの学習には大量の画像が必要です。いつもは散歩動画から連番画像を書き出すことで学習データの数を稼いでいたのですが、今回はこれまでと違うAIモデルを使用したので画像が少なくてもなんとかなるようになりました。具体的には、家族に犬の散歩をしてもらい私はその後ろから静止画を50枚ほど撮影して学習データとしました。

学習中の様子はこんな感じです。かけた期間は1週間ほど。




潜在空間 with 犬



現実における犬との散歩道ですが基本は住宅街や田んぼ、山という感じです。この生成画像にも家がたくさん建っています。電柱と木が一体化しているのが面白い。木の電柱はたまに見かけますが、コンクリートの柱から木の幹が広がっているのは現実にもなさそうです。画像中央下の草むらにいるのは犬っぽい。犬ってたまに草を食べますよね。面白いので草を食べ始めたら動画をとるようにしています。




画像中央になぞのカラフル看板がありますね。学習データを見直したのですがこんな看板はありませんでした。おそらくコンビニの看板と公園の遊具+αが混ざっているようです。コンビニといえば、むかし一緒に暮らしていた先代犬は店の前に来ても落ち着いていたのですが、新犬は出入りする車や人が怖いのか暴れていました。すまぬ。




山です。画像左と右で高低差がおかしい。都内に住んでいるときに驚いたのが山が全然ないことです。九州には山がたくさん。ロバート秋山氏による「採石場まるでグランドキャニオン」という歌詞を思い出します。

何度か先代犬を山に連れて行きました。良い景色だねえと犬に問いかけるのですが地面の匂いばかりかいでました。床質散歩の先駆者だった。新犬も連れて行きたい。




山から電柱が伸びており面白いので載せました。




犬にリードが2本も繋がっている。逃走防止でしょうか。

先代犬との散歩時にフェンス付きの広場で遊ばせていたら、ドアっぽいのを自分であけて脱走したことがありました。走って追いかけると余計に逃げるので、「捕まえないよ〜」みたいな素知らぬ顔をしながら距離を詰めてつかまえました。先代犬はとてもおとなしいワンだったので、ガチで怒ったのはそれぐらいな気がします。ただ改めて考えると”犬を飼う”行為は人間のエゴなのに、逃げ出したら文句言うのはもっとエゴなのかなという気もしました。




犬がいなくなりました。リードを2本もつけていたのに。仮想空間といえど犬がいないのは寂しいです。現実でも先代犬が亡くなってしばらくは1人で散歩してました。多くの人にはただの住宅街でも人によっては違うものが見えているのでしょう。そういう場所が世界中にあるのでしょう。




そんなことを言ってたら犬が2匹になりました。現実で顔を合わせることは叶わなかったけど、潜在空間で出会うことはできたのかもしれません。性格は違うし散歩のペースも違うけど仲良くしてほしい。

最後に散歩中の動画です。



今回は思い出の記録としてGAN散歩をやりました。現時点での面影としてGANに学習させたのですが、画像を生成していると昔の思い出がたくさん蘇りました。学習データに使用した散歩道は先代犬と歩いた散歩道でもあります。新犬もやって来て、過去を振り返る良いタイミングだったのかもしれません。好きな音楽とそれを聴いていたときの情景が記憶の中で紐づいていることってありますよね。今回の話でいえば、GANの入力となる変数(ノイズ値)が過去の散歩メモリーそれぞれに対応しているようなイメージ……ちょっと大袈裟に書きすぎたかも。ただAI生成サービスが流行る昨今、GANは思い出の置き場所にもなるようです。


おまけ



新犬。家から窓の外を眺めています。



先代犬。性格は似てないけど外を眺める姿はちょっと似ている。








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FTD

水道水を飲んで暮らしている。犬と散歩したい。普段はプログラミングや映像制作をしています。

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