【GAN散歩】好きな街を混ぜる
- 更新日: 2022/04/28
生成的都市の暮らし
海沿いの町が好きです。
何が良いかと言われると一番は開放感でしょうか(一番を決める必要ある?)。目線を遮るものがないので景色も最高。この広い地球で自分はちっぽけな存在だなと感傷に浸れます。潮の香りや風の感触など五感でも楽しめるのが海のすごいところ。夜に灯りのない海岸へ行くとその壮大さから恐怖すら感じます。あと個人的に好きなのは太平洋です、デカいから。
一方でオフィス街の高層ビル群も好きです。
ガラスに覆われた巨大コンクリートの塊に圧倒されます。クールな存在感でかっこいい。そんな巨大物体が規則的に並んでいるのがオフィス街の高層ビル群です。”群”と書くとなんだか生物っぽい。よくタイムラプスでビルの建設風景が動画にされているじゃないですか。あれを見ていると地面からビルが生えていくようでより生物っぽく感じられます。ちなみに高層ビルと超高層ビルの違いですが、明確な定義は無いものの一部の法律では60mを越えるか否かが基準となっているらしいです。話が本題から逸れそうなのでこれぐらいにしておきます。
どちらも好きな街なのですが、両方を同時に楽しむのはなかなか難しいです。海のすぐ横に高層ビルってあんまり見かけません。横浜は条件的に近いものの本記事で私の言っている海沿いの町っていうのは、のほほんとした田舎っぽい海沿いなのです(最初に書いておくべきだったか)。高層ビルなのに田舎って相反しています。一致するのはネットで有名な山形の某高層マンションでしょうか。それですら海は近くにありません。
そんな2つの町を同時に楽しめる方法があるのです。それがGAN散歩。
(抽象的すぎる図)
GAN(敵対的生成ネットワーク)という機械学習の技術を使うことにより、海沿いの田舎町と高層ビルが並ぶオフィス街の両方の良さを同時に味わうことができる(かもしれない)のです。具体的に書くと、海沿いの町と高層ビル群の写真をシャッフルしてAIに学習させます。するとそれら両方の特徴を学習したAIが中間ぐらいの謎町風景写真を生成してくれるようになる(かもしれない)のです。そんなAIが生み出したジェネラティブな町を散策するのがGAN散歩です。ちなみに前回は生田っぽいけど生田ではない町を散歩しました。
そんなGANの学習には大量の画像が必要です。1枚ずつ写真を撮っていては季節が巡ってしまいそうなので、今回もAIの学習対象とする町で撮影した動画から画像を書き出すことによりデータ量を稼ぎます。そんな学習対象として私が選んだのが、東京都の「丸の内」と神奈川県の「二宮」です。どちらも好きな町なのでざっくりご紹介します。
こちらは有名な東京駅の丸の内駅舎前。近代的なビル群の中にあるレトロな雰囲気の建物。観光客たちがみな広場中央で写真を撮ろうとするので、譲り合いの微妙な雰囲気になる場合があります。
都内には高層ビルがたくさんありますが、丸の内はクールでスタイリッシュな印象の建物が多い気がします。皇居が近いから景観に気をつかっているのでしょうか。新宿のような雑居なビルは見かけません。丸の内の良いところでもあり悪いところでもある(つまり個性)。今回は田舎町と対照的なそのカッコ良さを踏まえて学習データに採用しました。
クールなオフィスビル群といえど人の営みはあります。
変なライオンもいるし……
リーチマイケルもいます、それが東京丸の内。また話が逸れそうなので丸の内の紹介はこれぐらいにしておきます。
こちらは神奈川県中郡二宮町にある二宮駅です。東京駅とのギャップがすごい。とはいえ駅構内にNewDaysもあるのでそんなに小さな駅ではありません。
二宮は海と山に囲まれた自然あふれる町。良い呼び方なのか分かりませんが程よい田舎という感じでしょうか。いや、私の地元(九州)と比べると都会ですね。大都会二宮。
ちなみに二宮はアイドルマスターに登場する天海春香さんが住んでいるといわれています。アイドルの実家がある町、二宮。
東京駅すぐ東側のエリアである日本橋から74kmらしいです。近いような遠いような。
二宮の個人的おすすめポイントは写真のような「お、この先に海がありそう」的な抜け道です。エモすぎる。
「お、この先に海がありそう」的エモさを文章で説明するのは難しいですね。クレヨンしんちゃんの映画1作目を見るとその感覚が味わえた気がします。二宮は海へ向かう道中に駄菓子屋さんもあるんですよ、ヤバすぎる(わかる人にはわかる)。
このままだと二宮で1つ記事を書いてしまいそうです。
こちらは住宅街で見かけた写真(ちなみに取材日は4月頭でした)。またまた話が長くなりそうなので二宮の紹介はこれぐらいにしておきます。
そんなクールな丸の内とエモい二宮のデータをAIに学習させてみました。学習にかけた時間は前回と同じく1週間ほど。上の動画は学習中の様子です。良い感じに2つの街は混ざってくれるのでしょうか。さっそくGAN散歩してみましょう。
こちらは東京駅前の広場から見た高層ビル群のようです。ただビルの形がぐにゃぐにゃしています。リアルではクールなオフィス街が力の抜けたふにゃふにゃタウンとなってしまいました。また画像の中央下辺りにある黒いつぶつぶは人っぽいです。千と千尋の神隠しにも出てくる黒い人影のようにも見えます。彼らに”個”は存在するのでしょうか。
そういえば丸の内や大手町あたりはほぼ人が住んでいないそうです。千代田区の住民基本台帳を見ても一桁人ぐらいしか記載がない。都内のオフィス街ってそんなものです。そうなるとジェネラティブ丸の内に通勤している黒い人影たちにも帰る家があるのかもしれません。
こちらには三角形の尖ったビルがたっています。もちろん丸の内にこんな形のビルはありません。あと何気に窓の並び方もすごいですね。ビル施工担当の人たちがフィーリングで窓枠をはめていったのでしょうか(ふにゃふにゃタウンですし)。左側の白いビルなんかは集合体恐怖症の方は少し閲覧注意かも。
がっつりビルが傾いています(もうめちゃくちゃ)。それでもジェネラティブ丸の内はオフィスビル街としての様相を保っているようです。もう少し二宮要素が欲しいところ……
続いてこちらは二宮町を通る国道1号線のようです。前回のジェネラティブ生田と同じく、道路に謎のBLACK BOXが落ちています(あぶない)。あとは電柱がぐにゃぐにゃしているぐらいでそんなに変なところは無いように思えます。GANの出力を見すぎて私の感覚がおかしくなっているのかも。写真右側に写っているのはおそらく吾妻山で、地球が丸く見えるぐらいの大絶景がオススメです。
自然あふれる良さげな雰囲気の道です、この先に海がありそう。本記事13枚目の写真にも写っている抜け道がベースになっていると思われますが、ここまで緑は多くありませんでした。ジェネラティブ二宮では緑化が進んでいる。丸の内の歩道にも木がたくさん植えてあるので、意外とその辺から侵食してきた可能性もあります。
ジェネラティブ二宮の海だ!写真に写っている高架はジェネラティブ西湘バイパスみたいです。右側に謎建築物がありますがリアル空間にこんな大きな建物はありません。高層ビルの一部かも。もっと引きのアングルで見たいですね。
砂浜まで出てきました、ジェネラティブ梅沢海岸。現実の海岸は消波ブロック(いわゆるテトラポッド)がたくさんあって楽しいです、こちらの写真にもありますね。おかしいところで言えば海面が階段状になっています。地球の物理法則を無視した海面変動。
ぐにゃぐにゃの海。ぐにゃぐにゃでも海は良いですね。
砂浜にまた黒い人影があります。ジェネラティブ二宮には人の営みがある。もしかしたらジェネラティブ丸の内に通勤しているのかも(この世界では混ざっていますが)。都会にも田舎にも良さはありますね。
住んでいる世界は違いますがジェネラティブな子どもたちには健やかに育って欲しいです。リアルとGANの潜在空間を行ったり来たりしているうちに、そういった気持ちには場所や人種、生物か否かという垣根は存在しないのかなと思いました。
最後にGAN散歩の様子(動画ver)を載せておきます。
以上で今回のGAN散歩は終わりです。海のど真ん中に高層ビルが生えてる的なビジュアルを期待していましたがそう簡単にはいかないようでした。使用している機械学習モデルの性質上、出力を完全にコントロールすることはできないので難しいところです。しかしそれがGAN散歩の良いところでもあるなと感じます。旅行でもそうではないでしょうか。目的としていた観光名所より住宅街の路地裏で思いも寄らない発見をすることありますよね。今回は2つの街を混ぜることで出会いの可能性が広がったのだと思います。行き慣れた土地であろうとも、GAN散歩は新しい可能性を提供してくれる(かもしれない)。
何が良いかと言われると一番は開放感でしょうか(一番を決める必要ある?)。目線を遮るものがないので景色も最高。この広い地球で自分はちっぽけな存在だなと感傷に浸れます。潮の香りや風の感触など五感でも楽しめるのが海のすごいところ。夜に灯りのない海岸へ行くとその壮大さから恐怖すら感じます。あと個人的に好きなのは太平洋です、デカいから。
一方でオフィス街の高層ビル群も好きです。
ガラスに覆われた巨大コンクリートの塊に圧倒されます。クールな存在感でかっこいい。そんな巨大物体が規則的に並んでいるのがオフィス街の高層ビル群です。”群”と書くとなんだか生物っぽい。よくタイムラプスでビルの建設風景が動画にされているじゃないですか。あれを見ていると地面からビルが生えていくようでより生物っぽく感じられます。ちなみに高層ビルと超高層ビルの違いですが、明確な定義は無いものの一部の法律では60mを越えるか否かが基準となっているらしいです。話が本題から逸れそうなのでこれぐらいにしておきます。
どちらも好きな街なのですが、両方を同時に楽しむのはなかなか難しいです。海のすぐ横に高層ビルってあんまり見かけません。横浜は条件的に近いものの本記事で私の言っている海沿いの町っていうのは、のほほんとした田舎っぽい海沿いなのです(最初に書いておくべきだったか)。高層ビルなのに田舎って相反しています。一致するのはネットで有名な山形の某高層マンションでしょうか。それですら海は近くにありません。
そんな2つの町を同時に楽しめる方法があるのです。それがGAN散歩。
GAN散歩とは
(抽象的すぎる図)
GAN(敵対的生成ネットワーク)という機械学習の技術を使うことにより、海沿いの田舎町と高層ビルが並ぶオフィス街の両方の良さを同時に味わうことができる(かもしれない)のです。具体的に書くと、海沿いの町と高層ビル群の写真をシャッフルしてAIに学習させます。するとそれら両方の特徴を学習したAIが中間ぐらいの謎町風景写真を生成してくれるようになる(かもしれない)のです。そんなAIが生み出したジェネラティブな町を散策するのがGAN散歩です。ちなみに前回は生田っぽいけど生田ではない町を散歩しました。
そんなGANの学習には大量の画像が必要です。1枚ずつ写真を撮っていては季節が巡ってしまいそうなので、今回もAIの学習対象とする町で撮影した動画から画像を書き出すことによりデータ量を稼ぎます。そんな学習対象として私が選んだのが、東京都の「丸の内」と神奈川県の「二宮」です。どちらも好きな町なのでざっくりご紹介します。
クールな丸の内
こちらは有名な東京駅の丸の内駅舎前。近代的なビル群の中にあるレトロな雰囲気の建物。観光客たちがみな広場中央で写真を撮ろうとするので、譲り合いの微妙な雰囲気になる場合があります。
都内には高層ビルがたくさんありますが、丸の内はクールでスタイリッシュな印象の建物が多い気がします。皇居が近いから景観に気をつかっているのでしょうか。新宿のような雑居なビルは見かけません。丸の内の良いところでもあり悪いところでもある(つまり個性)。今回は田舎町と対照的なそのカッコ良さを踏まえて学習データに採用しました。
クールなオフィスビル群といえど人の営みはあります。
変なライオンもいるし……
リーチマイケルもいます、それが東京丸の内。また話が逸れそうなので丸の内の紹介はこれぐらいにしておきます。
エモい二宮
こちらは神奈川県中郡二宮町にある二宮駅です。東京駅とのギャップがすごい。とはいえ駅構内にNewDaysもあるのでそんなに小さな駅ではありません。
二宮は海と山に囲まれた自然あふれる町。良い呼び方なのか分かりませんが程よい田舎という感じでしょうか。いや、私の地元(九州)と比べると都会ですね。大都会二宮。
ちなみに二宮はアイドルマスターに登場する天海春香さんが住んでいるといわれています。アイドルの実家がある町、二宮。
東京駅すぐ東側のエリアである日本橋から74kmらしいです。近いような遠いような。
二宮の個人的おすすめポイントは写真のような「お、この先に海がありそう」的な抜け道です。エモすぎる。
「お、この先に海がありそう」的エモさを文章で説明するのは難しいですね。クレヨンしんちゃんの映画1作目を見るとその感覚が味わえた気がします。二宮は海へ向かう道中に駄菓子屋さんもあるんですよ、ヤバすぎる(わかる人にはわかる)。
このままだと二宮で1つ記事を書いてしまいそうです。
こちらは住宅街で見かけた写真(ちなみに取材日は4月頭でした)。またまた話が長くなりそうなので二宮の紹介はこれぐらいにしておきます。
丸の内と二宮を混ぜてみた
そんなクールな丸の内とエモい二宮のデータをAIに学習させてみました。学習にかけた時間は前回と同じく1週間ほど。上の動画は学習中の様子です。良い感じに2つの街は混ざってくれるのでしょうか。さっそくGAN散歩してみましょう。
こちらは東京駅前の広場から見た高層ビル群のようです。ただビルの形がぐにゃぐにゃしています。リアルではクールなオフィス街が力の抜けたふにゃふにゃタウンとなってしまいました。また画像の中央下辺りにある黒いつぶつぶは人っぽいです。千と千尋の神隠しにも出てくる黒い人影のようにも見えます。彼らに”個”は存在するのでしょうか。
そういえば丸の内や大手町あたりはほぼ人が住んでいないそうです。千代田区の住民基本台帳を見ても一桁人ぐらいしか記載がない。都内のオフィス街ってそんなものです。そうなるとジェネラティブ丸の内に通勤している黒い人影たちにも帰る家があるのかもしれません。
こちらには三角形の尖ったビルがたっています。もちろん丸の内にこんな形のビルはありません。あと何気に窓の並び方もすごいですね。ビル施工担当の人たちがフィーリングで窓枠をはめていったのでしょうか(ふにゃふにゃタウンですし)。左側の白いビルなんかは集合体恐怖症の方は少し閲覧注意かも。
がっつりビルが傾いています(もうめちゃくちゃ)。それでもジェネラティブ丸の内はオフィスビル街としての様相を保っているようです。もう少し二宮要素が欲しいところ……
続いてこちらは二宮町を通る国道1号線のようです。前回のジェネラティブ生田と同じく、道路に謎のBLACK BOXが落ちています(あぶない)。あとは電柱がぐにゃぐにゃしているぐらいでそんなに変なところは無いように思えます。GANの出力を見すぎて私の感覚がおかしくなっているのかも。写真右側に写っているのはおそらく吾妻山で、地球が丸く見えるぐらいの大絶景がオススメです。
自然あふれる良さげな雰囲気の道です、この先に海がありそう。本記事13枚目の写真にも写っている抜け道がベースになっていると思われますが、ここまで緑は多くありませんでした。ジェネラティブ二宮では緑化が進んでいる。丸の内の歩道にも木がたくさん植えてあるので、意外とその辺から侵食してきた可能性もあります。
ジェネラティブ二宮の海だ!写真に写っている高架はジェネラティブ西湘バイパスみたいです。右側に謎建築物がありますがリアル空間にこんな大きな建物はありません。高層ビルの一部かも。もっと引きのアングルで見たいですね。
砂浜まで出てきました、ジェネラティブ梅沢海岸。現実の海岸は消波ブロック(いわゆるテトラポッド)がたくさんあって楽しいです、こちらの写真にもありますね。おかしいところで言えば海面が階段状になっています。地球の物理法則を無視した海面変動。
ぐにゃぐにゃの海。ぐにゃぐにゃでも海は良いですね。
砂浜にまた黒い人影があります。ジェネラティブ二宮には人の営みがある。もしかしたらジェネラティブ丸の内に通勤しているのかも(この世界では混ざっていますが)。都会にも田舎にも良さはありますね。
住んでいる世界は違いますがジェネラティブな子どもたちには健やかに育って欲しいです。リアルとGANの潜在空間を行ったり来たりしているうちに、そういった気持ちには場所や人種、生物か否かという垣根は存在しないのかなと思いました。
最後にGAN散歩の様子(動画ver)を載せておきます。
以上で今回のGAN散歩は終わりです。海のど真ん中に高層ビルが生えてる的なビジュアルを期待していましたがそう簡単にはいかないようでした。使用している機械学習モデルの性質上、出力を完全にコントロールすることはできないので難しいところです。しかしそれがGAN散歩の良いところでもあるなと感じます。旅行でもそうではないでしょうか。目的としていた観光名所より住宅街の路地裏で思いも寄らない発見をすることありますよね。今回は2つの街を混ぜることで出会いの可能性が広がったのだと思います。行き慣れた土地であろうとも、GAN散歩は新しい可能性を提供してくれる(かもしれない)。