石垣島「平久保半島エコロード」は本日、通行止めです。
- 更新日: 2022/11/24
がっかりしすぎて頭が真っ白
何度見ても通行止め。まごうことなき通行止め。少なくともこの日はもう通行止め。事前情報のなかった通行止め。
「行きたかった旅行の目的地」に急に行けなくなったことが確定したとき、人はどういう行動を取るのだろう。
私の場合は、「行ける道を行けるところまでいく」だ。やけくそとも言う。
これは「過ち」と「気合」で進んだ、徒歩23.5kmの旅行記である。
石垣島の…
こっち(北部)の半島は濃い緑の割合が高い。つまり、森や山がたくさんあるってことだ。
調べてみると「北部はまだまだ未開拓」「大自然を感じながらのオフロードドライブができる」との情報がヒットした。
どうやらこの濃い緑の部分のなかに、「平久保半島エコロード」という石垣市が整備した全長10kmの自然散策道があるらしい。車も通れる。
「通れる」といっても、ありのままの未舗装オフロードがウリなので、レンタカーだと傷まみれになるリスクがあるらしい。
でも、車がなんとか通れるってことは、徒歩なら余裕なのでは?
未舗装の自然散策道を散歩するのは大好きなので、直感で「ここに行こう」と決めたのだった。
バスだと1.5時間くらい掛かってしまいそうなので、ひとまず北部の方へタクシーで向かう。
とりあえず、伊原間(いばるま)のハート岩というのが変な名前だったので行ってみることにした。そのあと緑の中の細い散策道も北に向けて伸びているみたいだし。
地元に詳しいはずのタクシーの運転手さんはこのスポットを初めて耳にしたようだった。まじかよ。
「お客さん、なんかすごく疑わしい場所に着きましたけどここであってます?」
「はい…あってます…たぶん」
ついたのは道の行き止まり、いや、砂浜へ続く獣道だけがぽっかり開いた場所だった。
獣道を通り抜けると…
誰もいない真っ青な砂浜!プライベートビーチを所有した気分。
そしてハート岩はというと…
この岩の…
ここの模様!
潮が満ちていて全然近寄れなかったけど、たしかに模様はハート型。いくつかある岩のなかで、なんの案内もなくぽつんと存在してるので、見つけられた特別感がうれしい。
…がこれが間違いだとは。
正しいエコロードはこのへん。
私がこの時歩いているのはこのへん。
そう、そもそも半島さえも違う。Googleマップがあるにも関わらず、本気で間違えてしまった。旅先でテンションが上がるととんだミスをしてしまうものだ。
もはやこれは石垣市が整備したエコロードではない。これはシンプルに未舗装の細い農道だ。
西部劇で転がってきそうな牧草のかたまりもあった。
一応Googleマップでは、この先にも「通れる道」が細い線で書かれている。
まあ…車のあともうっすらあるしなあ…。行ってみよう。
あれ?道ある??
この日のために買っておいた最強レベルの医薬品虫除けスプレーを信じつつも、むやみに草木に当たらないよう慎重に歩く。
普段人が通ることなんて滅多にないのだろうか。私が踏み入ると、蝶もバッタもコオロギもペリカンのようなばかでかい鳥も慌てて飛び立っていく。
この島は特に蝶が多い。一歩進むごとに3〜4羽の蝶がはたはたと舞うのは、少しだけファンタジーな気分になる。
結論、その先にも道はあった。先ほどよりはGoogleマップへの信頼度は上がった。疑ってごめん。
途中、轍が高くなったり、
低くなったりはするが、一応「車が通っていい道」の体裁を守っているように見えた。(後述するが、車が通っていい道ではない。)だからこそ、ここがエコロードなんだと信じ続けてしまった。
道中、(偽りの)エコロードはさまざまな表情を見せる。帰り道にタクシーの運転手さんに聞いたが、沖縄県で1番高い山があるのは石垣島らしい。ここは山も海も共存している島なんだということを自分の足で体感した。
途中、測量をしている人たちに出会った。久々に車や人間というものを見た気がする。
「こんにちは」
「コンニチハ」
「野生〇〇がいるから気いつけてな〜」
「??アッハイ」
人見知りのよくない癖である。急に声をかけられるとうまく反応できないし、聞き取れないところがあっても聞き返す勇気がない。
とりあえず生返事をしてしまったものの、いちばん大事な部分を聞き漏らしてしまった。
野生…ハブ?野生…ヒル?
語尾が「u」なのは分かったんだけど、ハブやヒルはそもそも野生だろうし、わざわざ「野生〇〇」と言わないよなぁ。
答えは数十分後に知ることになる。
轍はまた高くなり、遠くには街が見えた。まだ5kmくらいしか歩いていないのに、街が見える。エコロードは10kmの道。真ん中の地点で街が見えるのはどこかおかしい。早すぎる気がする。
と、思ったら終わりは急に訪れた。エコロードらしきものは途切れた。ここから戻る方が危険だと思ったので、仕方なくくぐって抜けた。
なんと…
さっきのおじさんの言葉、「野生牛(ぎゅう)」だったということか…。凶暴な野生化牛にたまたま出会わなくて本当によかった。
ここ付近のGoogleマップのレビューを後から見たら、こんなことが書いてあった。
昔は通れる道だったから、車の轍が残っていたのか…。
Googleマップにある道だからと、徒歩でノコノコと引き返せないところまで来てしまったけど、たぶん徒歩でも来るべきではない。
追い払ったりせずに、心配して声をかけてくれたおじさんは本当に優しかった。
もしこれを読んで「ここに徒歩で行きたい」と思った人がいるのなら、野生化牛の沈静化を待つか、自己責任でどうぞ。
途中、野生ではない牛の牧場があった。じっとお互いに目をあわせていると…
総立ちになった。凶暴に向かってくるのかと怯えたけど、このあと背を向けて一斉に逃げていった。どうやら怖がっていたのは牛のほうだった。急にじっと見てくる見知らぬ人間は、たしかに怖いかもしれない。
これからの撮れ高に期待したのだろう。その後、写真フォルダには優美に咲くハイビスカスの接写しかなかった。
エコロードの入口についた。最初に戻る。
え??
どういうこと???
ここも通行止めになっていた。間違って通っては行けない道を通って来てしまったうえに、本来行きたい道も通行止めだった。かなしい。ひたすらにかなしい。
大きな国道でもないので、「本日は通行止め」なんてニュースはない。行って見てみるしかないのだ。
ただ、思い返せばこの前夜にはスコールのような雨が一時的に降っていたし、台風接近のニュースもあった。フラグは立っていたということか。
本来はこの扉を開けて進む。サファリパークみたいでワクワクする導入だ。ここを開けて進んでいくイメージを何度もシミュレーションしてきたのに。
次、石垣島に行くことがあれば、必ずリベンジしたい。
それならもう、配車しやすい目立ちそうなところまで歩こうと思った。これからエコロードの10kmを歩く気でいたので、まだ体力が残っているのは好都合だ。
平久保崎灯台。この石垣島北部において、一番目立ちそうな「最北端の灯台」。ここがいいだろう。不覚にも、「エコロードじゃないほう」の道を踏破することになりそうだ。
平久保崎灯台を目指して歩き始めた。
二車線の広い道。人間の文明を感じてとてもほっとする。得体の知れない虫に噛まれるリスクはかなり軽減しただろう。
途中、砂浜に続く道を発見した。石垣島に来てこういう道はだいたい砂浜に続く、ということを学習した。
大当たり!
ここは小さなヤドカリがたくさんいる砂浜だった。
そういえば小さいころ、ヤドカリを飼っていた。うちのヤドカリはプライドと負けん気が強く、とにかくぴりついていた。共食いするし、朝には脱走して網戸を登っているし。
ここにいるのはそんな思い出とはあまりにも違う、臆病でか弱いヤドカリだった。近づくとヒョッっと引っ込んでしまい、なかなか出てこない。
思い返せば、ここまで出会ってきた石垣島の生物はすべて、私のことを怖がっていたかもしれない。蝶も、牛も、ヤドカリも。部外者が暮らしの邪魔をして申し訳ない。
そんななか人間や車にビビらない胆力のヤギもいた。急に目の前を横断し始めたから、慌ててシャッターを切った。
歩きやすい道だけれど、とにかく距離が長く感じた。いや、実際長かった。
道中、
川にどっぷり浸かったマングローブを見たり、
ポツンと立つ自販機で脱水症状を免れたりした。
Windowsの壁紙のような景色を眺めながら丘をじわりじわりと登っていく。
やっとついた!と思ったけれど…
まだまだ…
ぜんぜん…
つかない。
30分くらい足を引きずり、やっとの思いで峠の駐車場まで着いた。
ブルーシールのキッチンカー。あとで行こう。
もう一息登って…
やっと着いた…。エコロードには行けなかったのに、妙な達成感があった。
このあと雨が降り始めた。なんとかギリギリに登り切れてよかった。
雨のなか25分タクシーを待った。ほぼ車でしか来ないエリアらしく、運転手さんに「行きはどうやって来たんですか?」と聞かれて、「徒歩で」と答えると、ひたすらにすげ〜すげ〜と褒めてくれた。
自転車で来た観光客はいたけど、徒歩は聞いたことがないらしい。噂好きの運転手さんだったから、今頃には「徒歩で平久保崎灯台まで来た人を乗っけた」という話を同僚としているのかもしれない。
想定通りに進まなかった石垣島旅行だけど、野生化牛に襲われず、虫に刺されず、遭難せず、無事帰って来れただけで満足だ。
ただ、北側のことしか知らない。歩いてみて分かったけれど、石垣島はほんとうに広い島だ。次はもう少し連泊して、他のエリアをまわってみよう。
観光地はちっともまわれていないので、「石垣島のおすすめスポットは?」という質問には答えられないので悪しからず。
とりあえず、
「農道を歩くときは自己責任で本当に気をつけて歩いてください。」
帰り道のブルーシールアイスは、人生で一番美味しかった。
「行きたかった旅行の目的地」に急に行けなくなったことが確定したとき、人はどういう行動を取るのだろう。
私の場合は、「行ける道を行けるところまでいく」だ。やけくそとも言う。
これは「過ち」と「気合」で進んだ、徒歩23.5kmの旅行記である。
石垣島旅行と平久保半島エコロード
石垣島にひとり旅に行くことにした。どこを観光するかは、いつもだいたいGoogleマップで決める。石垣島の…
こっち(北部)の半島は濃い緑の割合が高い。つまり、森や山がたくさんあるってことだ。
調べてみると「北部はまだまだ未開拓」「大自然を感じながらのオフロードドライブができる」との情報がヒットした。
どうやらこの濃い緑の部分のなかに、「平久保半島エコロード」という石垣市が整備した全長10kmの自然散策道があるらしい。車も通れる。
平久保半島エコロード
「通れる」といっても、ありのままの未舗装オフロードがウリなので、レンタカーだと傷まみれになるリスクがあるらしい。
でも、車がなんとか通れるってことは、徒歩なら余裕なのでは?
未舗装の自然散策道を散歩するのは大好きなので、直感で「ここに行こう」と決めたのだった。
中心街から「伊原間のハート岩」へ
中心街があるのは石垣島の南部。よく分からないままホテルを取ってしまったけれど、空港からも北部へも遠い。そしてしゃれたバーやカフェが立ち並びとても都会的だった。バスだと1.5時間くらい掛かってしまいそうなので、ひとまず北部の方へタクシーで向かう。
とりあえず、伊原間(いばるま)のハート岩というのが変な名前だったので行ってみることにした。そのあと緑の中の細い散策道も北に向けて伸びているみたいだし。
地元に詳しいはずのタクシーの運転手さんはこのスポットを初めて耳にしたようだった。まじかよ。
「お客さん、なんかすごく疑わしい場所に着きましたけどここであってます?」
「はい…あってます…たぶん」
ついたのは道の行き止まり、いや、砂浜へ続く獣道だけがぽっかり開いた場所だった。
獣道を通り抜けると…
誰もいない真っ青な砂浜!プライベートビーチを所有した気分。
そしてハート岩はというと…
この岩の…
ここの模様!
潮が満ちていて全然近寄れなかったけど、たしかに模様はハート型。いくつかある岩のなかで、なんの案内もなくぽつんと存在してるので、見つけられた特別感がうれしい。
散策道に入る
「さあエコロードへ!」と思ってわくわくしながら細い散策道へ。…がこれが間違いだとは。
正しいエコロードはこのへん。
私がこの時歩いているのはこのへん。
そう、そもそも半島さえも違う。Googleマップがあるにも関わらず、本気で間違えてしまった。旅先でテンションが上がるととんだミスをしてしまうものだ。
もはやこれは石垣市が整備したエコロードではない。これはシンプルに未舗装の細い農道だ。
西部劇で転がってきそうな牧草のかたまりもあった。
一応Googleマップでは、この先にも「通れる道」が細い線で書かれている。
まあ…車のあともうっすらあるしなあ…。行ってみよう。
あれ?道ある??
この日のために買っておいた最強レベルの医薬品虫除けスプレーを信じつつも、むやみに草木に当たらないよう慎重に歩く。
普段人が通ることなんて滅多にないのだろうか。私が踏み入ると、蝶もバッタもコオロギもペリカンのようなばかでかい鳥も慌てて飛び立っていく。
この島は特に蝶が多い。一歩進むごとに3〜4羽の蝶がはたはたと舞うのは、少しだけファンタジーな気分になる。
結論、その先にも道はあった。先ほどよりはGoogleマップへの信頼度は上がった。疑ってごめん。
途中、轍が高くなったり、
低くなったりはするが、一応「車が通っていい道」の体裁を守っているように見えた。(後述するが、車が通っていい道ではない。)だからこそ、ここがエコロードなんだと信じ続けてしまった。
道中、(偽りの)エコロードはさまざまな表情を見せる。帰り道にタクシーの運転手さんに聞いたが、沖縄県で1番高い山があるのは石垣島らしい。ここは山も海も共存している島なんだということを自分の足で体感した。
途中、測量をしている人たちに出会った。久々に車や人間というものを見た気がする。
「こんにちは」
「コンニチハ」
「野生〇〇がいるから気いつけてな〜」
「??アッハイ」
人見知りのよくない癖である。急に声をかけられるとうまく反応できないし、聞き取れないところがあっても聞き返す勇気がない。
とりあえず生返事をしてしまったものの、いちばん大事な部分を聞き漏らしてしまった。
野生…ハブ?野生…ヒル?
語尾が「u」なのは分かったんだけど、ハブやヒルはそもそも野生だろうし、わざわざ「野生〇〇」と言わないよなぁ。
答えは数十分後に知ることになる。
轍はまた高くなり、遠くには街が見えた。まだ5kmくらいしか歩いていないのに、街が見える。エコロードは10kmの道。真ん中の地点で街が見えるのはどこかおかしい。早すぎる気がする。
と、思ったら終わりは急に訪れた。エコロードらしきものは途切れた。ここから戻る方が危険だと思ったので、仕方なくくぐって抜けた。
なんと…
さっきのおじさんの言葉、「野生牛(ぎゅう)」だったということか…。凶暴な野生化牛にたまたま出会わなくて本当によかった。
ここ付近のGoogleマップのレビューを後から見たら、こんなことが書いてあった。
昔は通れる道だったから、車の轍が残っていたのか…。
Googleマップにある道だからと、徒歩でノコノコと引き返せないところまで来てしまったけど、たぶん徒歩でも来るべきではない。
追い払ったりせずに、心配して声をかけてくれたおじさんは本当に優しかった。
もしこれを読んで「ここに徒歩で行きたい」と思った人がいるのなら、野生化牛の沈静化を待つか、自己責任でどうぞ。
エコロードを目指す
無駄に多く歩いてしまったけれど、エコロードの始まりはこの少し先。気を取り直して進もう。途中、野生ではない牛の牧場があった。じっとお互いに目をあわせていると…
総立ちになった。凶暴に向かってくるのかと怯えたけど、このあと背を向けて一斉に逃げていった。どうやら怖がっていたのは牛のほうだった。急にじっと見てくる見知らぬ人間は、たしかに怖いかもしれない。
これからの撮れ高に期待したのだろう。その後、写真フォルダには優美に咲くハイビスカスの接写しかなかった。
エコロードの入口についた。最初に戻る。
え??
どういうこと???
ここも通行止めになっていた。間違って通っては行けない道を通って来てしまったうえに、本来行きたい道も通行止めだった。かなしい。ひたすらにかなしい。
大きな国道でもないので、「本日は通行止め」なんてニュースはない。行って見てみるしかないのだ。
ただ、思い返せばこの前夜にはスコールのような雨が一時的に降っていたし、台風接近のニュースもあった。フラグは立っていたということか。
本来はこの扉を開けて進む。サファリパークみたいでワクワクする導入だ。ここを開けて進んでいくイメージを何度もシミュレーションしてきたのに。
次、石垣島に行くことがあれば、必ずリベンジしたい。
平久保崎灯台へ
このあとどうしようか、しばらく考えた。ここでタクシーを呼んでホテルに行く?それもありだけど、なにせここは牧場と住宅しかない場所。配車をお願いするにも「いま○○にいます」と説明しにくすぎる。それならもう、配車しやすい目立ちそうなところまで歩こうと思った。これからエコロードの10kmを歩く気でいたので、まだ体力が残っているのは好都合だ。
平久保崎灯台。この石垣島北部において、一番目立ちそうな「最北端の灯台」。ここがいいだろう。不覚にも、「エコロードじゃないほう」の道を踏破することになりそうだ。
平久保崎灯台を目指して歩き始めた。
二車線の広い道。人間の文明を感じてとてもほっとする。得体の知れない虫に噛まれるリスクはかなり軽減しただろう。
途中、砂浜に続く道を発見した。石垣島に来てこういう道はだいたい砂浜に続く、ということを学習した。
大当たり!
ここは小さなヤドカリがたくさんいる砂浜だった。
そういえば小さいころ、ヤドカリを飼っていた。うちのヤドカリはプライドと負けん気が強く、とにかくぴりついていた。共食いするし、朝には脱走して網戸を登っているし。
ここにいるのはそんな思い出とはあまりにも違う、臆病でか弱いヤドカリだった。近づくとヒョッっと引っ込んでしまい、なかなか出てこない。
思い返せば、ここまで出会ってきた石垣島の生物はすべて、私のことを怖がっていたかもしれない。蝶も、牛も、ヤドカリも。部外者が暮らしの邪魔をして申し訳ない。
そんななか人間や車にビビらない胆力のヤギもいた。急に目の前を横断し始めたから、慌ててシャッターを切った。
歩きやすい道だけれど、とにかく距離が長く感じた。いや、実際長かった。
道中、
川にどっぷり浸かったマングローブを見たり、
ポツンと立つ自販機で脱水症状を免れたりした。
Windowsの壁紙のような景色を眺めながら丘をじわりじわりと登っていく。
やっとついた!と思ったけれど…
まだまだ…
ぜんぜん…
つかない。
30分くらい足を引きずり、やっとの思いで峠の駐車場まで着いた。
ブルーシールのキッチンカー。あとで行こう。
もう一息登って…
やっと着いた…。エコロードには行けなかったのに、妙な達成感があった。
このあと雨が降り始めた。なんとかギリギリに登り切れてよかった。
雨のなか25分タクシーを待った。ほぼ車でしか来ないエリアらしく、運転手さんに「行きはどうやって来たんですか?」と聞かれて、「徒歩で」と答えると、ひたすらにすげ〜すげ〜と褒めてくれた。
自転車で来た観光客はいたけど、徒歩は聞いたことがないらしい。噂好きの運転手さんだったから、今頃には「徒歩で平久保崎灯台まで来た人を乗っけた」という話を同僚としているのかもしれない。
想定通りに進まなかった石垣島旅行だけど、野生化牛に襲われず、虫に刺されず、遭難せず、無事帰って来れただけで満足だ。
ただ、北側のことしか知らない。歩いてみて分かったけれど、石垣島はほんとうに広い島だ。次はもう少し連泊して、他のエリアをまわってみよう。
観光地はちっともまわれていないので、「石垣島のおすすめスポットは?」という質問には答えられないので悪しからず。
とりあえず、
「農道を歩くときは自己責任で本当に気をつけて歩いてください。」
帰り道のブルーシールアイスは、人生で一番美味しかった。