日比谷公園、変化朝顔、首かけイチョウに国会議事堂
- 更新日: 2019/09/10
国会議事堂以外のなにものでもない
ぼくらが東京に行く理由は
ぼくらが東京を目指す理由はなんだろう?新しい流行、そんな街をゆく人びと、高いビル、色んな街。
あったかもしれない青春、違ったかもしれない人生。
そんなものを探すために?
いや、変化朝顔を見るために!
決まってるだろう!
変化朝顔を見る
土曜の朝早く、有楽町。
なぜ朝早いのか。朝顔が、枯れるからだろう!
まったく、有楽町だ。
ちなみにおれは長く神奈川県民をやっているので、有楽町という街の顔を知らない。
日の墓かと思う。
朝早くから立ち飲みをしている人たちがいて、「さすがは東京」などと思うも、店が開いているわけでもなく、自動販売機のあるところにたむろっているだけだった。しかし、「やはり東京」か。
唐突のタイ。
(それだけ)
で、話はこの記事の頭に戻る。どこに戻る。日比谷公園に戻る。ぼくら、というかおれ、というか、おれでもなく、女の目的がこの変化朝顔展示会なのである。東京の若者のすべてもここに集まるに違いない、大イベントだ。たぶん。
伊達政宗終焉の地(討ち死にしたわけでもないからそれほどエキサイティングじゃないよね)を通り過ぎながら「変化朝顔」の話をしようか。変化朝顔は、江戸時代に流行った奇妙な朝顔だ。今は大輪を追求するのが流行ってるみたいだが(それの展示会は8月上旬に行われている)、奇妙な方が面白いとは思う。以上。
なんか口から水を出しているやつの横を通り過ぎながら女と変化朝顔の話をしようか。女は何年か前に園芸の人から変化朝顔の種子を譲り受け、蒔いて育ててみたら、変な朝顔が咲いたので、面白くなってしまったのだ。だから、国立民俗博物館の変化朝顔展に行こうなどと言っていたくらいである。国立民俗博物館ってどこにあるか知ってるか? 佐倉だ。おれは佐倉の正確な場所を知らない。ただ、横浜から佐倉は、遠い。それは知っている。
そうこうしているうちに朝顔の写真だぞ。これは……おれに説明できるわけがないだろう。ただ、花色は「茶」に分類されるのではないか。
こんな、感じだ。こんな、感じのために、おれは、朝6時に起きた。
この葉っぱの縁を見てほしい。内側に包み込むような形をしているだろう? 変化だ。
これなどは、わりと美しいほうだ。朝顔とは思えない。
このあたりの葉を愛でるようになると、かなりマニアックといえるだろう。
これも、花がしおれてこうなってしまっているわけじゃあない。
ちなみに、こういう変化朝顔は種子をつけない。
では、どうして変化朝顔を得るのか。それは、同じ種子の一群の、「変化しなかった朝顔」から種子を採るのである。それを翌年蒔いて、その中から、1/16だの1/64の確率で「変化する朝顔」が花開く。
江戸の園芸家、花好きの連中は、メンデルの法則など知りはしなかったが、経験則でやっていた、という話。
女は早々と種子の購入の列に並び、自分が咲かせた写真を携帯端末で見せるなどしながら、育て方その他について話を聞いていた。
おれは古いミノルタのレンズで写真を撮っていた。うむ、朝顔には見えません。
まあ、夢中になる人がいるのはわかったよ。
これがなんか一番偉そうにしていた。よくわからないが、偉いのだろう。
こんな散斑……吹雪、だっけ? そんなんでも楽しいけれど。
これはそこらの雑草とかでもたまに見られる「石化」というやつだね。なんか散歩のサイトの散歩の記事なのに、植物の写真ばっかりでいいのかな? という気がしてきたよ。
バケツの花にサルスベリの花の散る。
朝顔が変化して伊藤が変化しないという話もない。ああ、変化した伊藤、どんな風に変化した伊藤。「これは伊藤じゃなくて加藤じゃないか?」というくらい変化しているのだろう。
日比谷公園を歩く
さあ、朝顔に別れを告げよう。ちなみに女は数千円分の種子を買った。冷蔵庫で保存して、来年の夏に芽切りして、蒔くのだぜ。
イヌマキの実、だったっけ? ここは、どこだっけ? 日比谷公園だ。
日比谷公園は日本初の官製洋式公園だ。単に日本初の洋式公園となると、外国人が造った山手公園ということになる。このあたりのことは、どこかのだれかが素晴らしい記事に書いているので、リンクを貼っておこう。
「日比谷公園、あるいは明治のモラル」
これが有名な「首かけイチョウ」である。道路拡張で伐採されそうになったところを、日比谷公園の設計をした本多静六が「自分の首をかける」といって移植させたものだ。
……星議長は、この大木が専門の植木職でさえ移植見込みなしとサジを投げたのに、いかに林学の専門家であっても完全な移植は見込みなしとみて容易に承諾しない。博士も負けずに「一尺大のハンコを押して保証する」、星「そんなハンコだけではだめだ」、博士「では私の首をかけよう」、星「そこまでいうのならやって見給え」ということになった。
―『日比谷公園』前島康彦著
星は星亨、博士は本多静六である。元の場所からレールをひいて450mを25日かけて持ってきたという。現在、樹高20m、幹周り6.5m、単純に言って、あまりにもでかい。過激派の火炎瓶で燃えたこともあるというが、立派なものである。
こちらは「国際連合三十周年記念植樹」だ。なぜ樹がだめになったとき、こっちの石柱も片付けなかったのか。
日比谷公園にはツツジ山がある。はるか昔はもっと盛大なものだった。今は、ちょっとこんもりした感じのこんもりになっている。そこに古くからの品種が植えられている。もちろん、8月下旬に咲いているわけもない。ところで、こういうのを調べたり、こういうものを作るのを仕事にしている人もいるんだよ。
まあいい、日比谷公園はそれなりに広い。都会の喧騒というものを遮蔽している。……というか、まだ朝早すぎて、都会の喧騒もないのだけれど。
ところで、この公園のスズメ、ハト、あんまり逃げない。都会だからだろうか。
セミは鳴いていたっけ。
これがなにかというと、馬用の水飲み場だという。わりと小さいな。
ブシューって。水を吐かせるのが好きな公園だ。真冬にはこの鶴に氷柱ができるのが名物だと解説板にあった。ちなみに、昔は鉄製の台座だったが、戦時中の供出でコンクリートになってしまった。
ソーラー時計。壊れている。こんな時間ではない。まだ、朝早い。ふだんの土曜日のおれなら、まだ夢の中だ。ところでおれは、あまりいい夢は見ない。
各ベンチには寄贈板みたいなものが貼り付けられていた。「上市」とはあまり使われない言葉(業種によってはよく使うのかもしれない)だが、市場に出すことをいうらしい。では、プランティーナとはなんなのか、「いいな」なのか。そんなもの、各自調べられたい。
日比谷公会堂。……という言葉を知っていても、それがなんなのか、おれは知らなかった。実物を目にして、なお、おれにはこれがなんなのかわからない。変形とかするのだろうか。
これは市政会館である。何市? 東京市だろう。おそらく、東京都だの特別区だのを認めない東京市守旧派が日夜会議を行っているのだ。
HIBIYA CITY、午前何時だったかな? 正直、人通りもないし、店もあいてないし、タピオカも売ってないし、なにが東京か、という。
NIPPON PRESS CENTER、なんだったかな? なんか地方紙が集まっているところだったかと思う。この瞬間にも日本は動いている、という。
こういう仕事を(以下略)。
霞ヶ関から国会へ行く
そして、いきなりの伊藤野枝。
伊藤野枝がどこにいたのか? 経済産業省の真ん前! アナーキーじゃねえか日本。すばらしい。というか、目的なしに歩いていない。おれはこの目で中央省庁を、そして国会議事堂を見ようと思ったのだ。理由? そんなものは、ない! でも、各省庁の前に大杉栄とか、荒畑寒村とか、村木源次郎とか、和田久太郎とか、中濱哲とか、古田大次郎の写真が貼ってあったらおもしれえよな(ありませんでした)。
……しかし、なんだね、なんかこう、もうちょっと、こう、その、税金というのは大切なものであって、きちんと使わなきゃいかんのはわかるけれど、一応は日本の経済とか産業とかをあれしたりこれしたりしている場所なのだから、この看板くらいきれいにしても、貧しい納税者のおれは文句言わんのだけど。
そこに唐突のマリ……いや、今は呼び方が違うのだっけ? 朝からテンション高いな!
外務省。かなり昔の芸術新潮だったかで、石川九楊だったかが、各省庁の看板の揮毫(だいたい大臣が書く)を評論していて、おおよそけちょんけちょんだったっけな(あまりにおぼろげな記憶)。そして、外務省は大臣が書かなかったのだ。マシな判断かもしれない。しかし、なんかこう、バランス悪いよな。なぜ、センターでないのだろうか。なにか、下の方に、不安を覚える余白がある。
霞が関跡。なんとなく「霞ヶ関」と思っていたけれど、言われてみれば関所だったのよな。
総務省。この字は……、いや、おれはかなり悪筆な上に、もう文字がろくに書けないので、なにも言えない。うーん、どうだろうか?
で、この調子で全省庁回ったりするのかというと、そんな気ははなからないので。
と、いきなりの手配写真。東アジア反日武装戦線・狼!……いや、こいつは、さそり! 貼られているのはどこかといえば、警視庁の前。ここに貼られるということは、なんというか警察がすごく捕まえたい容疑者ということだろう。手配の一等地だ。
一等地の一番高いところには、それはもうこのくらいの大物が並ぶ。オウム真理教の事件で逃亡者が捕まっていなかったころには、この近くに貼ってあったのかもしれない。
とか、手配写真見てテンション上がってたら、そりゃお巡りさんも「なんだこいつ?」って思うよな。いや、変化朝顔を見たあと、国会議事堂を見に行く田舎者です。
というわけで、法務省の赤れんが棟とか見たりします。きれいですね。
とか油断していたら、国会議事堂が見えた。あ、見えちゃった。はとバス越しだけど見えちゃったよ。予定としてはね、色んな省庁を巡ったあと、いよいよ、ドーンと出てくる予定だったんだよ。しょうがねえなあ、日本の国会も(言いがかり)。
議事堂近くにはなんか警察官が詰まったバスとか、こんな強そうなカーが。ナンバーがもうちょっとで4649だったのに(どうでもいい)。
そしたら、屋根なし観光バスが通り過ぎていった。楽しいのかな。ちょっと楽しいかもな。天気がよければな。でも、よすぎても日焼けしちゃうよな。
そんで、はい、着いちゃった。つーか、よく見るとロードバイクのやつ信号無視してねえか? こんなお巡りさんだらけのところで。
衆議院。なんか、下に垂れちゃってる汚れは、汚れじゃなくて味わいないの? もし、単に汚れているだけだとしたら、国民の税金は大切だけれども(以下略)。
ハッと振り返るとシーンとしている。不思議な感覚。もっとも、こんな朝早くからブラブラ国会見に来てるわれわれのほうが「不思議」と警察官に思われている可能性もある。
参議院。汚れ(以下略)。
覗き込むと、刈り込みがピッシーっとしてんのな。
門の横の仕立物もな。このあたりには金かけてんだな。
ところで、今更だけど、国会議事堂ってちょっとインドっぽくね? いや、エジプト?
憲政記念公園から旅の終わりまで
いきなり巣箱が出てきて驚いた。あ、なんというのか、写真を見返しながらリアルタイムでお届けしています。いや、リアルタイムじゃねえか。まあいいや、憲政記念公園いうところよ。小鳥がくわえてるなにかが気になりますね。
水準基標。なんか日本のすべての基準になる……と書こうとしたが、No.2だ。近くにNo.1がある感じだけれど、よくわからん。まあいいや。
ちなみにこの憲政記念公園、さくら祭りというのをやっているのかどうか知らないが、日本さくらの会が色んな品種を記念植樹している。結構な種類のサクラが見られるはずだ。咲く時期が違うので、一度で全てというのは無理かもしれないが。あと、今は真夏のピークが去ったあたりなので、もちろん花は見られません。
立法・行政・司法を表した、三面の時計塔。どうせなら、あの太陽の塔のように色んな顔ならもっと面白いのにとか思った。
憲政記念館団体休憩所。ちなみに、憲政記念館は土曜日だからこそ「むしろ」やってないみたいだった。小中学生とかが社会科見学とかで来るところだからね。
で、驚きなのは、この休憩所、飲み物が安い! 賞味期限近いサンガリアばっかりだから、なんてことはない。ちゃんとしたものが、安い。日本の烏龍茶というのを買ったら、500mlどころか525mlもあったので、量も確かだし、ちゃんと冷えてる。なんだこのサービス。あと、この付近はほとんど自販機がないので、ここで水分補給するのが吉。
ロードバイク乗りも休憩に……って、なんかパンク直してました。ただ、このあたり、平日の昼間とかはしらんけど、休日なんかは道も広いしサイクリングに向いているかもね。
ええと、だからその、記念樹の方がだめになったら、看板も外そうよ……。
やけに立派な造形物だが、なんの説明もない。
コブシの実。まあたしかに拳って感じだよな。ところで、コブシを漢字で書くと辛夷だったり、サルスベリを漢字で書くと百日紅だったりして、それはそれで中国語が入ってきてて面白いのだけれど、拳、猿滑でもいいよな、とか思ったりする。
いきなり場所は切り替わって皇居外周。左回りのランナーが多数。外国人も少なくない。こっちは目的地に向かって歩いているので逆周りだけど、ランナーではないので別にいい。写真はヨウシュヤマゴボウ。毒。
なんというか、わりと外周の方は街路樹の手入れがなされていなかった。
TOKYO FM。おれの職場で一日中流れている。そういえば半蔵門だとかなんだとか言ってたっけな。スカイロケットカンパニーのマンボウやしろも皇居の周り走るとかよく言ってたっけな。そうか、こんなところから。やっぱり東京は有名な会社があると思いました。
そして、なんかの像。平和の群像、というらしい。由来は……べつにおもしろくねえか。なんというか、このあたりは「裏」という感じがする。国会側が「表」だ。
「そんな裏でお前なにしてんの?」
「いや、散歩してんだよ」
……そして、おれの目的地であったエリックサウス東京ガーデンテラス店にたどり着いた。もう、昼になっていた。おれはビリヤニを食った。ビリヤニはうまい。悪くない。ビリヤニについてはどっかのだれかが(以下略)。
そのあと、ビルに繋がっている永田町の駅から東京駅まで行って(東京の地下鉄に詳しい人ならわかるかもしれないが、なんで乗り換えでこんなに歩くのだ?)、八重洲ブックセンターで女が変化朝顔の本を買ったりした。そんなところだ。とくに、なんもねえなあ。まあ、そんなもんか。そんなもんだよ。
それじゃあ。