巨大白衣観音像の見つめるふたつの街
- 更新日: 2022/04/14
大船観音を訪ね、故郷の高崎白衣観音を思い出す
大船観音を知っているだろうか。大船駅からほど近く、曹洞宗・大船観音寺にある全長約25メートルの巨大白衣観音像だ。
1960年(昭和35年)4月に完成し、以来信仰の対象であると同時に大船の名所となっているらしい。
いつも大船駅を電車で通り過ぎる時に山の緑の上にちょっとだけ青っぽく白いものが見えるのだが、ちゃんと見に行ったことはなかった。今度見に行こう、と思い続けてたぶん5年くらいが経っている。
ある夏の終わりの休日。いきなり「このままでは一生見に行くことはないのでは…」という思いに駆られた。ものぐさな自分ならあり得る。
こういうのはあまり気負わず、ちょっと軽い運動がてら行ってみるのがよろしい。
ということで、大船駅の一駅前である戸塚駅を起点とし、大船観音を目指して歩いてみることにした。
まずは戸塚駅へ。西口の階段をくだり、ここから川に沿って大船駅まで歩く。
駅を出てすぐの柏尾川の河原にはわりと人がいて、それぞれお昼ご飯を食べたり、昼寝をしたり、楽器の練習をしたりなどかなり自由に過ごしていた。
「本当に横浜か?」と思うほどのどかでゆったりとした雰囲気が良い。
郷に行ったら郷に従わないといけないので、近くのコンビニでブリトーを買い、私も柏尾川でお昼ご飯を食べてみた。
ハムとチーズのブリトーはいつでもどこでもどんな時でも美味しいが、食べながら思うことがある。
「ブリトーって、けっこう贅沢な食べ物なのでは…?」
このサイズであの値段。美味しいけど、このサイズであの値段…。
私は4口で食べ終えてしまうので、美味しさはほんの一瞬で目が覚める夢のようだ。
そんなことを考えながら、よく晴れた美しい河原を見渡す。
食後は消化に良くないのでなるべくゆっくりと歩く。
柏尾川沿いは歩きやすく整備され、歩行者用と自転車用の通路が別々なのも嬉しい。
右の自転車用通路は、ママチャリに混じってクロスバイクやロードバイクが駆け抜ける。ちょっとひらけたところではスケボーの練習をしている人もいて、追い越す時に互いに声をかけているのがなんだかいいなと思った。安全。
柏尾川沿いを歩いていくと、途中に「金井公園」という公園がある。
そこまで大きくないながらも緑が多く、座るところも各所にあり、テニスコートや野球のグラウンドもあるいい公園である。
管理事務所兼休憩所には自販機もお手洗いもあり、途中休憩にはちょうどいいけれど、現金しか使えない自販機しかなくすぐ近くにコンビニもないので、そこだけ注意が必要だ。
この日は無印の水ボトルにスポーツドリンクを入れて持ってきていたので一命をとりとめた。(季節関係なく散歩の時は水分を持ち歩くのがおすすめです)
休憩しているベンチから見えるのは、テニスコートで楽しそうに軽快な動きを見せる初老の男女。この暑さの中、自分はあんなに機敏に動けないな…と、若干の敗北感を感じながら10分ほど休憩。機敏に動けない20代後半女性として散歩に戻る。
大船駅に近づいていくと、柏尾川沿いは工業団地的な雰囲気が増す。
(ここはひらがな表記だ)
Googleマップに従い歩いて行くと、通って良いのかだめなのかわからないほど線路に近く狭い道を通ることになってしまった。またしてもGoogleマップに翻弄されているが、駅が近い気がする。
狭い道を抜けると大船駅が出現。戸塚駅からだいたい1時間ほどで到着した。
カレンダー的には夏の終わりとはいえ気温的には全く夏が終わっていないので、急いで飲み物を買う。暑いのは苦手だけど、思い切り汗をかくのは気持ちがいい。
冬の散歩は考え事をするのに向いていて、夏の散歩は考え事をしないことに向いている。
「暑い」以外のことを何も考えられないのがいい時もあるものだ。新しい発見だった。
駅に着いて終わった気分でいたが、まだ散歩は終わりではない。散歩の一番の目的地である大船観音参道へ向かう。
参道入り口からの坂の勾配が容赦無く、思わず「苦行か?」と思ってしまう。気温が高かったこともあり、さらに汗だくになってしまった。
頑張って登って行くといきなり大船観音が現れる。拝観料を払い、より近いところへ。
大船観音は穏やかで優しい顔をしているが、その大きさもあってかなり怖い。
でも、その穏やかな眼差しにどこか懐かしさを感じた。
懐かしさの元は、故郷・高崎市の観音山にある巨大白衣観音像「高崎白衣観音」。
高崎白衣観音は、1936年に実業家・井上保三郎が建立したもので、全長41.8メートルの巨大白衣観音像。大船観音は胸部上だけだが高崎白衣観音は全身像で、内部から観音像の肩部分までのぼることもできる。
どちらが良い・悪いということはないが、大船観音と比べるとかなり観光地っぽいというか、商業施設感が強いのが高崎の白衣観音だ。
それでも市民には「観音さま」と呼ばれ親しまれており、故郷を出て7年も経つ私の記憶にも消えずに残っている。
観音像を背に、丘の上から街を眺める。
全然違う街だし全然違う風景なのに、故郷の土や緑のにおいがした気がした。
1960年(昭和35年)4月に完成し、以来信仰の対象であると同時に大船の名所となっているらしい。
いつも大船駅を電車で通り過ぎる時に山の緑の上にちょっとだけ青っぽく白いものが見えるのだが、ちゃんと見に行ったことはなかった。今度見に行こう、と思い続けてたぶん5年くらいが経っている。
ある夏の終わりの休日。いきなり「このままでは一生見に行くことはないのでは…」という思いに駆られた。ものぐさな自分ならあり得る。
こういうのはあまり気負わず、ちょっと軽い運動がてら行ってみるのがよろしい。
ということで、大船駅の一駅前である戸塚駅を起点とし、大船観音を目指して歩いてみることにした。
まずは戸塚駅へ。西口の階段をくだり、ここから川に沿って大船駅まで歩く。
駅を出てすぐの柏尾川の河原にはわりと人がいて、それぞれお昼ご飯を食べたり、昼寝をしたり、楽器の練習をしたりなどかなり自由に過ごしていた。
「本当に横浜か?」と思うほどのどかでゆったりとした雰囲気が良い。
郷に行ったら郷に従わないといけないので、近くのコンビニでブリトーを買い、私も柏尾川でお昼ご飯を食べてみた。
ハムとチーズのブリトーはいつでもどこでもどんな時でも美味しいが、食べながら思うことがある。
「ブリトーって、けっこう贅沢な食べ物なのでは…?」
このサイズであの値段。美味しいけど、このサイズであの値段…。
私は4口で食べ終えてしまうので、美味しさはほんの一瞬で目が覚める夢のようだ。
そんなことを考えながら、よく晴れた美しい河原を見渡す。
食後は消化に良くないのでなるべくゆっくりと歩く。
柏尾川沿いは歩きやすく整備され、歩行者用と自転車用の通路が別々なのも嬉しい。
右の自転車用通路は、ママチャリに混じってクロスバイクやロードバイクが駆け抜ける。ちょっとひらけたところではスケボーの練習をしている人もいて、追い越す時に互いに声をかけているのがなんだかいいなと思った。安全。
柏尾川沿いを歩いていくと、途中に「金井公園」という公園がある。
そこまで大きくないながらも緑が多く、座るところも各所にあり、テニスコートや野球のグラウンドもあるいい公園である。
管理事務所兼休憩所には自販機もお手洗いもあり、途中休憩にはちょうどいいけれど、現金しか使えない自販機しかなくすぐ近くにコンビニもないので、そこだけ注意が必要だ。
この日は無印の水ボトルにスポーツドリンクを入れて持ってきていたので一命をとりとめた。(季節関係なく散歩の時は水分を持ち歩くのがおすすめです)
休憩しているベンチから見えるのは、テニスコートで楽しそうに軽快な動きを見せる初老の男女。この暑さの中、自分はあんなに機敏に動けないな…と、若干の敗北感を感じながら10分ほど休憩。機敏に動けない20代後半女性として散歩に戻る。
大船駅に近づいていくと、柏尾川沿いは工業団地的な雰囲気が増す。
(ここはひらがな表記だ)
Googleマップに従い歩いて行くと、通って良いのかだめなのかわからないほど線路に近く狭い道を通ることになってしまった。またしてもGoogleマップに翻弄されているが、駅が近い気がする。
狭い道を抜けると大船駅が出現。戸塚駅からだいたい1時間ほどで到着した。
カレンダー的には夏の終わりとはいえ気温的には全く夏が終わっていないので、急いで飲み物を買う。暑いのは苦手だけど、思い切り汗をかくのは気持ちがいい。
冬の散歩は考え事をするのに向いていて、夏の散歩は考え事をしないことに向いている。
「暑い」以外のことを何も考えられないのがいい時もあるものだ。新しい発見だった。
駅に着いて終わった気分でいたが、まだ散歩は終わりではない。散歩の一番の目的地である大船観音参道へ向かう。
参道入り口からの坂の勾配が容赦無く、思わず「苦行か?」と思ってしまう。気温が高かったこともあり、さらに汗だくになってしまった。
頑張って登って行くといきなり大船観音が現れる。拝観料を払い、より近いところへ。
大船観音は穏やかで優しい顔をしているが、その大きさもあってかなり怖い。
でも、その穏やかな眼差しにどこか懐かしさを感じた。
懐かしさの元は、故郷・高崎市の観音山にある巨大白衣観音像「高崎白衣観音」。
高崎白衣観音は、1936年に実業家・井上保三郎が建立したもので、全長41.8メートルの巨大白衣観音像。大船観音は胸部上だけだが高崎白衣観音は全身像で、内部から観音像の肩部分までのぼることもできる。
どちらが良い・悪いということはないが、大船観音と比べるとかなり観光地っぽいというか、商業施設感が強いのが高崎の白衣観音だ。
それでも市民には「観音さま」と呼ばれ親しまれており、故郷を出て7年も経つ私の記憶にも消えずに残っている。
観音像を背に、丘の上から街を眺める。
全然違う街だし全然違う風景なのに、故郷の土や緑のにおいがした気がした。