業務命令で横浜市外へ【2020.5.23の日記】

  • 更新日: 2020/06/25

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いつもの喫煙所は閉鎖されていた


5月22日 15時台
「あしたは現場に行くぞ!」
と、上司に言われ、私は急遽、藤沢の現場へ行くことになった。
コロナ騒動始まって以来の横浜市外だ。


5月23日 9時台
某駅のホームはビックリするくらい、ガランとしている。
ここから横浜駅で東海道線に乗り換えをして、藤沢市の辻堂まで向かう。
しかしやだ、どれだけぶりの電車だろう。ロングシートの硬さすら懐かしい。

横浜駅を出て、大きな窓ガラス越しの町をジッとみつめる。
国道1号との並走区間なんて我が家の近所だし、この緊急事態後は特に見飽きてる風景のはずだ。
でも列車の窓から見える我が町は、普段見ている・散歩している風景とは別アングルで、車窓の町は、まったく違う表情に感じる。
「まだまだ見飽きない町だな」
町を歩いている時とは、また違う刺激が私の中を駆けていく。


電車はいつの間にか我が町を過ぎ、我が町を背にしながら、速度をぐんぐんと上げ、線路を進んでいく。

窓から見える、看板の内容・すこし変わったかたちの集合住宅・線路と並走するロードサイドの世界について……と、私はいろんなことを考えていたいんだけど、流れる車窓に対して、脳の処理は一向に追いつかない。

車窓の町並みに食らいつこうとしても、車窓の町並みは、歩道や車道の速度とは、まったく比べ物にならない速度で飛び込んでは、あっという間に飛び去ってしまう。私の脳の処理速度より、電車の方が断然速い。
メモする暇も、カメラを構える隙もない。電車は問答無用で我が町の外側に飛び出していく。






なにを撮ろうとしてたんだろうか、なにを感じていたのだろうか。今となってはロクに思い出せない。
でも瞬きすらロクにできなくて、眼球でも細かい刺激をたくさん浴びて、その刺激は痛覚にもすこし似てた。


けどその、車窓ばかりも見てられない。
列車内で見知らぬ人と、こんなに長い時間・同じ空間にいることも、なんだか懐かしいな。会った事ないけど、久しぶりだ。

赤の他人をまじまじと観察するのも変だけど、観察すればするほど、妙に情が入ってしまうのは、まるで町のことみたい。
もはや、対象はなんだっていいんだ。
目に飛び込むもの全般に対して「そこにある意味」だとか「そこにいる意味」だとかを勝手に考えては、勝手に親しみを感じて、勝手に情を感じてる。
どうしようもなく車内はガラッガラだし、大抵の人は寝てるか、スマホ見てるか、みたいな感じで静まりかえってるけど、普段着の人も作業着の人も、衣服で季節は巡っていて、厚手の衣服はクローゼットにしまった後かな。
でも今日はやたらと、列車内の見知らぬ人にすら情が入ってしまう。どうしてしまってるんだ。


大船駅に着いて、エナジードリンクを開栓して、あと10分もすれば目的地だ。
藤沢市に入って、市外局番0466の世界で、湘南を謳う看板が増えて、「ああココは横浜じゃないんだな」ってことにも思わずジーンとする。
ココまで、たった20分そこらの移動だったけど、いま見ている車窓も夢オチじゃなかろうかって、どこか現実を疑ってる。
よくよく考えると、それくらい「夢みたいな世界」に私はいるのか。

市をまたぐ電車移動も、すこし前までは当たり前だったのに、(個人的に)自粛してから3か月以上経つ。
……そういえば、この車窓だって藤沢の友人たちに会いに行く時、いつも見ていた車窓だけど、その友人たちにもしばらく会えてないな。
いつだって会えるのが、当たり前だったのにな。


5月23日 9:56
辻堂駅。ヨコハマから、ちょっと遠くにやってきた。



(駅構内で見かけた。私の頭も茹だってる)

駅前で上司と合流して現場に向かい、私はひと仕事をした。けっこうな作業で、汗もかいた。
お昼ごはんは牛丼屋で焼肉定食を頼んで、甘口の焼肉のタレをこれまでか!と、牛肉にからめて白飯をかき込んでいった。
でもマスクを外さないとご飯は食べられない。マスクを外して嗅覚ごと食事してる。至福。


5月23日 16時台
仕事を終え、藤沢駅前で上司に車から降ろしてもらった。
久しぶりの藤沢駅。



自粛ムードも若干ほころんできているのか、駅前には意外と人が多い。
でも駅前も人の出入りというより、お日さまを浴びながら、ただ屋外に滞在してるだけの人が多いのか、平時とは違う賑わいかたをしている。



さいか屋の入ったビルは、幕が何にもぶら下がってない。無だ。入口は閉ざされ、駅前の超一等地が封鎖されている。



でも通路に面したタリーズコーヒー(カフェ)は営業を再開していて、店頭の貼紙にはいくつかの注意書きと共に、「コロナ収束に伴い、告知なく営業時間を変更させていただくことがあります」とも書かれている。
初夏の日差しに対して、店内はすこし涼しそうで、私もひんやりとした、フローズンドリンクが飲みたい。



HAPPY!!!
振り返ると、営業自粛するパチンコ屋の上にいる、類人猿仲間が「しあわせってなんだ」と、哲学を投げかけていた。
仕事帰りとはいえ、こうして町をホッツキ歩けることも、しあわせなのかな。




「自粛は闘・・・」



「自粛は闘いだ・・・べ。」と、垂れ幕を垂らしていたのは、横浜は伊勢佐木町に本店のある書店・有隣堂さんとフジサワ名店ビルさんだった。魅惑の頑固商店街・フジサワ名店ビル。

でもここいいんだよね。地下の食品売り場もにぎわってるし、本日休業だったけど、名店ビルの一階で昔からやってる、「海」って名前の喫茶店も味があっていい。
喫茶店「海」の入り口には食品サンプルがびっしりと並んでて、大きな窓越しに東海道線の線路が見えて、メニューはガッツリとした軽食から、舌が青くなるブルーハワイみたいな飲み物まであって、懐かしくも、たのしい気分になれるお店なんだよな。また行きたいな。





フジサワ名店ビルを抜けて、いつもの喫煙所はコロナのあおりで閉鎖されていた。
ハゼの木広場の喫煙所は、喫煙者のたまり場で、飲みの帰り道だとか、友人と「もう少し話したいな」って時、ココで足を止めて、タバコ一本分の立ち話をしたもんだ。
だけどその友人たちとも、しばらく会えてないし、また会いに行けるかな。
ぼんやりすれば、往時の残像か残影がみえそうだけど、まあいいや。
この場所は薄暗いけど昼間だし、真っ昼間から酔う必要も当然無いや。





これはタコ焼きとハイボールを出す立ち飲み屋の店頭だけど、コロナ後、各所でマスクを着用したオブジェの姿が随分と増えたな。
飲食業の方々、いろんな角度から「頑張ってるな」って思うし、私も「頑張れ」って思ってる。



駅前の路上に面した八百屋さんにて。言ってることはわかるんだ。
けど「オサワリ、ダメヨ」なんて言われてしまうと妄想も膨らんで、ありもしない下心を刺激されてしまう。
キャベツなんて、ただの野菜だろうし、誘っても応えてくれないのに、妙に誘ってくるというか、色気漂うキャベツだこと。
我が家の冷蔵庫が広ければ、連れて帰ってもよかったのにな。



・・・なんてこう、駅前をすこし歩いていたら、夕焼け小焼けの音楽が流れてきた。
私の住む町とは違う町で、夕焼け小焼けが流れてる。私の家の近所ではこんな音楽流れないから、改めていつもと違うところにいるんだなって感じる。




これは江ノ電の藤沢駅と直結している小田急のビル。
窓の形とか、建物内の階段もおもしろくてすき。建物内の画像は上げられないけど、機会あれば見て欲しい。



路地にあった飲食店の看板。
真面目に文字を読もうとすると、左側に首をかしげる姿勢になり、平衡感覚を軽く狂わせてくる。
酔ってたら危ないな。



駐車場の精算機の雨除けがヨットの帆にもみえて、湘南っぽい。
何が湘南かわからないけど、色合いから湘南の日差しに映えるグッドデザイン。



換気のために出入り口を開けたままにしている不動産屋さん。
水色のアロハシャツを着たアンパンを模したヒーローは、非常に湘南っぽいし、「湘南が大好き。」と、湘南藤沢エリアに対する愛情も強め。



ああ、いやでもたのしいな。何度も来たはずの駅前だけど、藤沢駅前ってこんなところだったっけな。
ひとりなのはすこし寂しいけど、あさってには緊急事態宣言が解除されるだとかいう噂も聞くし、そしたらまた、色んなところを歩こう。そして会いに行こう。


帰り際、藤沢駅を南口の小田急側経由で、JRの改札に向かおうとしたんだけれど、小田急ロマンスカーの運行予定の画面を見たら、真っ暗に消灯されていた。
画面の下側には「2020年5月31日までの土日祝は特急ロマンスカー、全運休」と紙も貼りだされていた。



そうだよな。今はすこしだけ、まだ自粛。



5月23日 17時台
私しかいないボックス席で、窓枠に肘を置きながら、ボーっと車窓を眺めてる。
疲労感も相まって、頭はロクに回らない。けどその当たり前のように少し遠くの街を散歩したり、会いに行ける日が、また来て欲しいな。



街は昼間でも、ところにより、薄ら眠っている状態だ。しかし、日に日に状況や情勢はよくなってると信じたい。
電車はぐんぐんと速度を上げて、日常の我が町まで、私の身体を運んでいく。






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熟女

はじめまして新人の熟女と申します。
町を歩いたり、駅の思い出を集めるのが趣味です。

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