マチノネ#1 真鶴、囲われた枠の向こうには

  • 更新日: 2022/08/17

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日暮れ前、仕事を終え静まる漁港にて

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常日頃イヤホンを手放さないわたしは、街や景色が変わるごとにそこに似つかわしい音楽を選ぶ癖がある。イヤホンの外からたまに漏れ込んでくる外の音が曲と混ざる瞬間が好きで、それがマッチしていればより雰囲気を醸してくれる。目と耳の情報がリンクした時景色がより輝いて見える。



そんなことにこだわるうちにひとつ試してみたいことが浮かんだ。往来に響く話し声、木々のざわめき、列車の走行音…などなど、様々な環境音を題材にして見ている景色を音楽として切り取ってみたい。
この記事では到着駅から目的地へと向かう道中で景色が変わるごとにハンディレコーダーをかざしてフィールドレコーディング=自然音・環境音の採集を行い、その成果物として録音物を使いイメージに沿う音を足しながら楽曲を制作する。初回は神奈川・真鶴。端にある港を目指して歩いていく。




駅を出る。この日はとても強い風が吹いていて、帽子を飛ばされないように守る手が外せなかった。こんな中で音なんか撮れるのかと早速不安になる。古民家に絡み付く蔦が生き物のように蠢いていた。




昼過ぎの到着だったのでとりあえず腹ごしらえにカレー屋さんへ。畳に座卓を置いた昔ながらの趣の居間へ通してもらい、祖母の家もこんなだったなあと思い出してついくつろいでしまう。
カレー屋さんの真向かいの道沿いに植木鉢がずらりと列をなしていて、公道と私有地の境目が曖昧なさまにこの街の和やかさを見た気がした。




伸び盛りのおばけサボテン。地面からひょいと抜け出て歩いて来そうな雰囲気がある。車通りの少ない路地では、強風に揺れる並木のざわめきと自分の足が地面を擦る音だけがよく響いて聞こえる。




潮風にあてられた金属が錆びてどこもかしこも赤茶けているのはここに海があることを遠巻きに知らせるサイン。




囲われた景色の枠の向こうにずっと海がある。これを見失わないうちは地図も要らないし、近付けばあとは潮香を頼りに距離をはかる。




結果、ちゃんと道を間違えた。海は海でもここから海岸には降りられないようだし、そもそも目指していたのは港なんだった。おとなしく地図アプリを見ながら迂回する。




まさかここから降りないだろうという場所に海への下り口がある。高所恐怖症のためこれ以上は近づけない。






暑さにうなされながら急勾配を登っていく。登るほどにカラスやカモメの鳴き声が耳につくようになる。気づけば街を見下ろせるところまで来ていた。




植木に挟まれた先を覗くと港らしきものが見えた。もうすぐらしい。






真鶴港に到着。昼過ぎだからか船着き場には人の気配がなく、仕事を終えた漁船が端に着いて休んでいる。地面には置き去られて干物になった小魚が転がっていたり、まだ土地勘の無さそうな子ガニがひとりでフラフラと歩いていたりする。




辺りをぐるっと歩き回りながら音を採集する。コンクリートの突堤に打ち付ける波の音は海岸で聞こえるそれとは違った響き方をする。




気づけば15時をまわり、駅へ向かうバスは最終の時刻を過ぎていたので頑張って歩くことに。本当は乗りたかったけど、帰りの景色もまた違って見えるだろう。


そんなこんなで録音したものを持ち帰り、長閑な波音をヒントにミニギターやカホンの音を加えて出来た楽曲がこちら。採集の様子も分かると良いかなと思い動画にしてみた。


こうして楽曲の制作を通して歩いた街を再び振り返ることで、目で見た以上の”その街らしさ”が感じられる気がする。次は人気の多いところへ行ってみようかな。








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ISLD

フォトグラファー/パン屋Digger

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