いすみ鉄道乗りに大原へ行ったけれど結局ずっと大原に居た日

  • 更新日: 2024/08/06

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外洋こわいよう

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早朝の豊洲に始発で出かけて午前8時くらいに解放されるパターンの日が年に1回か2回ある。

この用事に関してはまたどこかで話したいんだけど、とにかく、その日は家族も家に居ないので夕方まで一人になる。

何してやろうか?

何してやろうか? っていつも思うんだけど、僕はこういう、ごくたまに手に入る自由時間の使い方というのが超絶にまずい。前回はそのままフラッと豊洲のマクドへ行ってやけに細長いのが多いポテト(もしかして豊洲名物?)を食べながら本を読んでいたら半日終わっちゃった(ポテトの長さと時間の速さは関係している?)。(思考が漏れ出ている?)

それはそれで唯一無二な過ごし方な気もするけど、もっとこう、生きていて良かった! みたいな体験をしたいじゃないですか。そんなものはないかねと考えていたところ、そういえばいすみ鉄道に乗ってみたいんだった、というのを思い出したわけです。

数年前に千葉の外房へ車で行く機会があって、そのときに田園の遙か向こうをコトコト走る黄色い電車があって、あれは何だろうと思って調べたらいすみ鉄道というらしくて、案の定人気のローカル電車だった。あれに乗るのは絶対正義だ。豊洲名物細長ポテト1億本分くらいの価値がある。

豊洲から新木場経由で千葉へ行くのは簡単だしちょうどいい。それだ! ウヒョウイ!


ウヒョウイ! と思ったけど外房ってハチャメチャに遠いんだな。豊洲からディズニー近いし、くらいの感覚で出発したけれど、外房の大原へ行くには千葉を"横断"しないといけないんだった。




蘇我から外房線に乗り換えたあと、こんな風景がずっとループしている。そのうちエラー発生してWindowsのブルースクリーン画面とか出そう。



こういうイメージです。僕が行ったときは調子よかったみたいで大丈夫だったけど。




なんだかんだでいすみ鉄道の始発駅であるところの大原に着いたのは12時前だった。
思った感じの倍くらいかかった。



いすみ鉄道の駅舎はJRの駅舎とくっついているけれど乗り換えるためにはいったん改札の外に出ないといけない、結婚しても口座は分けようみたいな作り。

それでは早速乗り換えようと思ったけれど、ローカル電車の性として本数がめちゃくちゃ少ない。調べると40分ほど待たなければいけないことが分かった。
それでちょっとそのあたりをうろうろしようとしたのがいけなくて、結論から言うと大原が面白すぎていすみ鉄道には乗らなかった。

以降、大原おもしろ! という話です。よろしくお願いいたします。


パラレルワールドとしての商店街めぐり



駅前から少し歩くと県道175号線にぶつかって、そこが商店街になっていた。
看板建築と言われるやつが多い。建物前面だけを銅板やモルタルで装飾している。



看板部分が分厚くて看板以上の機能をもっていそうな建物も多くて、これを看板建築と言っていいのかは僕はちょっと分かんない。
後方は住居スペースとして、せり出しているところの二階は倉庫なんだろうか。




マイクラの顔みたいで面白い。
色もいい。ボーダー柄のところが左右で反対になってるのもすごくいいし……今日はずっと大原に居るだろうなと確信しました。




右端がこう脇に廻ってるのすごくお洒落じゃない?




菓子とフルーツの店の場合、菓子の文字を暖色、フルーツの文字を寒色で書く。



くだものと野菜の店の場合、くだものの文字を暖色、野菜の文字を寒色で書く。

なんとなく、分かる気がする。




おいしい精肉店という名前ならば、



買うしかないじゃないですか。




ホワイトベースみたいでかっこいいなと思った。




芋が甘くて旨いです。




セルフのガソリンスタンドかと思いきや、隣の青い装テンの商店が運営しているようで、車両が入ってくるたびに隣のお店から人が出てくるシステムだった。




何のみそのだったんだろう。みそ屋だったら「みそのみその」になって良いな。




先を見たくなっちゃう期待値のすごいカーブってずるくないすか。
このあたりで引き返してたらいすみ鉄道間に合ったんすよ。




カーブの先では、赤と白の花が咲いていました。




商店街が野生に負け始めている。




同じ椅子のはずなのに個性が出始めている。
古道具の妖怪化とはこういうことなのかもしれない。




委託公衆電話だ。昭和46年に出た新しいほうの赤電話ですね。




いすみって「夷隅」か、というのを今更知る。
"夷"ってけっこう強い漢字ですよね。まつろわぬ民でも居たのかしらと思ってちょっと調べたけどそういうわけでもないっぽい。




「キュギイ!!」という甲高い鳴き声とボチャンという音がした。
カエルではないと思う。商店街が完全に溶けた。




生活している人のための商店を巡るのは、パラレルワールドに迷い込んだ感じがして面白い。
今まで縁のなかった土地で、ずっと前から何かがよろしくやっていた、というまことに勝手な感慨もある。




そういえばある店でせんべいを買った。地元のお菓子かと聞いたら「そうそう」と言うので買ったんだけど、



栃木のお菓子だった。ワオ。
これは誰が悪いとかそういう話ではないです。誰も悪くない。伝わりますでしょうか。
強いて言えば、製造者を見た僕が悪い。うまいうまい食ってろ。ばか。




しかし外房線って、何の遠慮も無いな。強いギャルかよ。


自作ゴミステーションめぐり

もうひとつ大原で足止めを食らった(勝手に食らったんだけど)理由として、ゴミステーションがある。



このあたりのゴミ捨て場には必ずゴミステーションが設置されていた。
海も山も近いので鳥害が多いのかもしれない。

ところでさっき出した写真は駅近くで見つけた市販品のゴミステーションなんだけど、散歩中には、既製品ではなくて自作と思われるゴミステーションをよく見かけた。
特に畑の広がる農業エリアと、港付近で見つけた。材料も技術もある人たちが住んでいるからかしら、と安易に考えたんだけど、もしそうであれば作り方に地域差が現れるのではないかと思って、散歩の途中からゴミステーションばかり探していた。

以下、見つけたゴミステーションです。雑に、農エリアと港エリアで分けてみた。



▲農業エリア①

これは商店街が途切れたあとの農業エリアで見つけたものだけど、プラスチックトタンなど、農で使いそうな素材を転用して、それっぽく作っている。



▲農業エリア②

これも屋根はプラスチックトタン。周りはなんだろう、こういう既成の合板があるんでしょうか。
組合のなかに大工さんが居るとかだといいな。



▲農業エリア③

カラスに突かれなければ良いんでしょう? という最低限の作りで好き。金網を張れば鶏も飼えそう。



▲農業エリア④

最低限かつコンパクトにまとめてきた、ミニマリストのゴミステーション。ミニマリストだからゴミも殆ど出ない。



▲農業エリア⑤

これは風呂桶? それとも水槽?
風呂桶を農地の水溜め等に転用する事例は先行研究がいくつかあるけれど、ゴミステーションはどうだろう。
蓋に使われている部品は何だろ。


さて、次は港エリアで見つけたゴミステーションたち。



▲港エリア①

配色が、海のゴミステーションだ! と思った。観賞に耐えうるすばらしい作品。
ちなみに取っ手は多分タオル掛けで出来ている。中が見える工夫など、実用面でもすごい。




▲港エリア②

海のゴミステーションの隣にあった鉄板製のもの。ふたの作り方が同じなので同じ作者だと思う。



▲港エリア③

木。「生ゴミ」と書いてあるので通気性を考えているんだろうか。



▲港エリア④

なんとなく船を思わせる雰囲気がある。



▲港エリア⑤

すのこみたいに作られていて通気性が高い。特筆すべきは道路端の側溝を考慮して側面が階段状になっているところ。



▲港エリア⑥

正面は建築材っぽい。側面は簡素な鉄板。これはゴミステーションの看板建築だ。



▲港エリア⑦

先ほどと同一人物の作品か。素材が一緒だけど天井がフラット。


犬の散歩をしていたおじさんに、このゴミステーションは住民の自作なのかねんのため伺ったんだけど「はて……ずっとあるからなあ」という感じで要領を得なかった。
気が向いたらもう一度ちゃんと調査に行きたい気がする。

とにかく、大原が面白いということが分かってもらえれば今日のところはそれでいいです。


以降は、そのほかでふらふらした記録です。


どっかの路地



用水路のような溝。もとは田んぼだったかしら。




教会があるけど、左の屋根の十字架はいいとして、右の電柱も十字になってる?



本当に必要なパーツなのか、十字を表現するためだけのパーツなのか。



表札をメッセージに使っていました。それかこういう名字。




なんか煙突あるなと思って近づいたけどこれ以上行けなかったときの写真です。




ぐるっと回って分かったのですが木戸泉さんという酒蔵でした。



あとから調べたら千葉を代表する醸造所のひとつらしい。行けば良かった。ほらな。こういう奴がやってる散歩です。




かつて国鉄が郵便に対抗して小さなカードサイズの紙片を駅から駅まで無料で届けるLINEというサービスをやっていて、それが国民的チャットアプリ「LINE」の語源という話がある。全部嘘ですけど。




なんかの碑があって、



秩父だなんだ書いてあるんですけど、いまそれはどうでもよくてですね、



その後ろのこのポール見てよ。草がピンって外に出ている。草、よく出てきたね! ここまでけっこうかかったよね?
ものすごく不安だったと思う。土から出てもちっとも明るくないし、っていうか世界赤いし、聞いてたのと違う! みたいな。


広い道と農エリア



なんか広い道に出た。




知らないスーパーだ。



おもいっきりスーパー ガッツ。



もしかしてでかい魚屋? と思って入ったら、海がテーマの大型スーパーだった。
具体的には「1番レジ」「2番レジ」の代わりに「タコ」「イカ」とか呼ばれていた。
もしかして数字が苦手なのかも? と思ったけど、おにぎりの値段は普通に数字で書いてありました。

そう、ここでおにぎりと水を買った。
歩いた感じ、もう飲食店とかないかな……?みたいな雰囲気だったんですよ、マジで。あと暑いし。

ほんで、ガッツのベンチでおにぎり食べるじゃないですか。
この直後から大原は「ねえ、おなかすいてない~?」みたいにいろいろ出してきた。







"多い"アメリカンカフェ。外観が多いな~と思ったけど、あとで調べたら料理も多いのが売りらしいです。



コーヒー&ランチ。
おい良い感じじゃんか。



くるまやラーメンあるじゃん。くるまやラーメンってめちゃくちゃありそうなのに自分の生活圏には皆無なんだよな。出店計画が僕の形でへこんでるのかも。

このほかにもそば屋とかすき家とか出てきた。あらゆる食が出てきた。大原よ。




駐車場がいやに広くてファミマ本体が霞んで見えるくらい。
先ほどのスーパーガッツもそうだったんだけど、このあたりはぜんぶ畑か田んぼだったと思う。




ちょっと路地へダイブ。




びっくりチキンみたいな花




「もうちょっと」の状態って初めて見たかもしれない。




透かしブロックの実用




黄色いパイロンが良い味を出しています




平地に突然あるこんもり神社、いいよね。




熊野神社だ。全国にいっぱいある熊野信仰ですかね。



社殿はちょっとした高台にある。



いまは一面に敷き詰められたソーラーパネルを見守っている感じがある。


海がある



交差点名「大原漁港入口」だって。漁港もあるのかあ……
この日は36度あって、すでに3時間弱歩いていた。もうさすがに帰ろうと思っていたんだけど、駅近くの交差点でこれを見つけてしまった。

生命と漁港を天秤にかけて、行くことにしました。




その信号脇にあった建物の配管と配線が完成されていたので見てほしいです。




この先に海があるそうなんですけど嘘だと思う。




門かぶりの松だ。このあたりでいくつか見かけたので多分流行っている。




海の美容室の感じしない?




長寿の人たちが言うのだから守ったほうがいいな。




標識がくいっと曲がった標しくぃ、もしくは暑さで視界が歪んできている。




まだ全然海の感じしないけれど「小さな海」を見つけたので海が近いと思います!
僕はこういうのを見つけるのが得意です!




ほら、釣り船屋が出てきた。近いぜ、漁港。




漁港付近の家と家の隙間がすごく狭かった。猫が設計したそうです。




そんなこんなで、ほんとに漁港があった。




漁港の何らかの建物。
広い空間にポンと建物がおいてあるとマイクラっぽさが出ると思う。




「フクー」という文字が若者の落書きにも見えるけど、右奥に「福一丸」とあるので福一丸の所有物という意味だと思う。




まあ漁港、こんなもんかと思っていたんだけど「景勝地」の貼り紙がけっこう出ていたので、行ってほしいのかな? と思って提案に乗ることにした。
岬に高台があって、八幡神社になっているらしい。
これが良かった。




そんなに無理してそこを透かしブロック塀にする必要ある? みたいな斜面を登っていく。




おお、さっき居た漁港が一望できる。こんな感じだったか。もっと狭いと思ってた。

さらに登れるっぽいので行ってみる。




突然の暗い山道。切り立った岬。遠くに果ての無い海。
原始的な恐怖のジャンルを複数味わえてお得です。




人が造った長い防波堤の向こうに太平洋が見える。外海を久しぶりに見たけれど怖いな。人知のおよぶ範囲外という感じがする。




反対側の海は丹ヶ浦というらしい。小さなビーチになっていて、静かで良さそう。
降りてみたかったんだけど、このとき視界がぼやけて生命の危機だったので行かなかったです。
あと急に睡魔が襲ってきて、神社の東屋で三十分ほど、中学校の夢を見るくらい寝ました。皆様も盛夏の散歩は熱中症に十分お気を付けください。

今度こそ帰ります。




まっすぐ駅を目指していたのですが、帰りがけに道幅一杯の鳥居があって行かざるを得なかった。



それ言う必要ある?




そんなこんなで駅まで戻ってきました。
大原楽しかったな。



何しに来たんだっけ。









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ヤスノリ

街の歪み研究家。1年に100駅以上降りる。駅を制覇する系のアプリは本気出せば結構なとこまでいくと思うのだけど、毎回起動を忘れる。

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