ベトナムのローカルカフェをはしごする

  • 更新日: 2024/06/27

ベトナムのローカルカフェをはしごするのアイキャッチ画像

稲に囲まれた“カフェ”に行ってみたけど……

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ベトナムに住んで、気づいたら10年目になる。

ベトナムの建国記念日(国慶節)の祝日に、特にすることもなかったので友人が"いなカフェ”と呼んでいるカフェに連れて行ってもらうことにした。
ちなみに稲に囲まれた場所にポツンとあるから"いなカフェ”と命名されたらしい。
「稲が青々としててとてもゆっくりできる。いい感じの映えスポット!」とのこと。


▲素敵ないなカフェ 友人撮影

ベトナムといえば世界有数のコーヒー豆生産国で、ロブスタ種では世界1位。
そんなベトナムはカフェ大国なので、街の至る所にカフェがある。稲畑の中にカフェがあっても不思議ではないが、これは是非私も行ってみたい。

ベトナムの祝日はお休みになる店も多いので、念の為行く前に営業しているか問い合わせたところ「やってるよ!」とのこと。
今回ガイドをしてくれるいなカフェ命名者のほかに友人夫婦もお誘いして、みんなでいなカフェを目指して出発した。


“いなカフェ”はダナンからバイクで40分くらい。
私の住んでいるダナン市内のホアバック村という、山岳&農村地帯だ。

途中、鼓笛隊の様な音楽と共に渋滞にはまる。
政府の偉い人のお葬式パレード?だったみたいだ。

ベトナムでは、要人を乗せた車が通ったりするだけで交通規制が行われる。
2017年に行われたAPEC首脳会議の時は大通りも全部封鎖、誰も走るな・渡るな状態だったが、そこまで大ごとではないような、ちょこっとした交通規制がよくあって、巻き込まれる。

ついこの間も職場に向かってバイクを走らせていたところ、いきなり後ろから要人を乗せた集団がやってきた。
図らずも私は箱根駅伝の白バイのような位置になってしまい、先導している警察車両に「どけー!」と言われた。
隣を走っていたおじさんとゆるゆる減速して「俺ら何もしてない善良な市民なのにな……?」と顔を見合わせた。


▲思い出としてメモした、要人を先導する自分の図

ちなみに私の統計によると、ベトナムの要人はTOYOTAを好む気がします。

さて、話は戻り、いなカフェへ向かう。
都会から一転、民家がちらほら、大自然の中を進む。牛ももちろんいるよ。







道の両側の赤い旗は祝日を祝って並べられたもの。ダナンだと橋に沿って旗を立てたりする。ちなみに祝日は家やお店の前に国旗を掲げないといけない。(掲げてないと近所のおじさんから「忘れてないかい?」と連絡がくる笑)


いなカフェに到着

いなカフェに着きました。はい。稲、ほぼ刈られています。
ここまで走ってくるまでの田んぼが全部こんな感じだったので、途中から薄々気づいてはいました。




▲ハゲ散らかした田んぼといなカフェ

稲の季節だったら多分、とても良いというのはわかる。しかし、あるべきものが無い。
青々とした稲の景色を楽しむにはタイミングが大事だ。ちなみに私が行ったのは9月です。

ところで、いつ来れば良かったのだろうか。​​
ベトナムは三毛作なのだけど、在住10年目にしてもいまいち“いつ頃”ってのはわかっていない。今回も正直賭けだった。
いい加減三毛作がいつなのか把握しようと思い調べたら、農林水産省のレポートを発見した。


農林水産省 海外農業情報調査分析 P165 より引用

ダナンは熱帯モンスーン気候に属するので、南部・メコンデルタと大体同じ模様だ。(北部が二毛作なの初めて知った)
例えば冬春作の11月、12月、1月、2月、3月、4月くらいが確実にいい感じの稲っぽい。私が行ったのは9月。ダメじゃん。

せっかく来たので、とりあえず座ろう。ライムジュースを注文し、ダナン市内で買ってきた朝マックもこちらでいただく。



「他所のものをカフェで食べて大丈夫なの?」と思われる方もいるかもしれないが、ベトナムのローカルカフェは基本的に持ち込み大体OK。判断基準としてはローカル感が強ければ強いほど大丈夫。大手チェーンやきっちりした建物だと持ち込み不可なところもあるので注意が必要。

ちなみに朝マックは日本とそんなにメニューが変わらないが、グランドメニューにはご飯と肉のセットがあるのが特徴だ。ちなみにマクドナルドに限らず、どこのファストフードにも“ご飯セット”がある。ロッテリアにもケンタッキーにも。
米文化の国ならではなのかもしれない。日本だとライスバーガーとかあるけれど、こちらASEAN諸国ではご飯はご飯のままだ。


▲ケンタッキーのご飯セットは充実している


▲蓮畑があるな


▲ちょっと枯れてるけど咲いてる子もいる


若者がギターを弾いていたり、オーナーさん?の子供がカフェ内で遊んでいたり、長閑な雰囲気がこのカフェの特徴だ。





しかしながら、いかんせん、特にやることがない。
何もないがあるカフェ。きっと稲の季節なら写真撮影に興じたりするだろうけど、今は朝マックに集中する他、何もないのだ。ナゲットはうまい。

事前に営業しているのか聞いた時に、稲についても聞けばよかったのでは?と後々思ったが時既に遅し。
辛うじて蓮畑は楽しめたので、いなカフェというより私にとっては“蓮カフェ”かしら。


カフェをはしごする

気をとりなおし、近くにもうひとつカフェがあるので行ってみることにした。

ここは仲間内では「川の中のカフェ」と呼ばれており、文字通り川の中にある。

田んぼの中のカフェに続き、川の中のカフェ。このあたりで一旦、読者の皆様の考える「カフェ像」とのずれを解消しておきたい。

ベトナムでの「カフェ」の概念は曖昧で、ちょっとした椅子とテーブルがあり、飲み物を提供していていればそれは「カフェ」なのだ。

ちなみにこの「川の中のカフェ」は過去に一度訪問したことがある。そのときは絶賛修理中でベトナム基準のカフェの定義すら満たしていなかった。今回はカフェなのか。カフェでないのか。


▲川の中のカフェへ行くためにバイクで川を渡る




果たして、やってた。しかもめちゃくちゃ混んでる。バイクの数がすごい。郊外型コメダ珈琲の駐車場みたい。



川遊びに見えますが、カフェです。信じてください。




これが「川の中のカフェ」の核、商店です。ちなみにコーヒーは売っていない。

川床や屋根などが用意され、このあたり全体をこの商店が仕切っているようだ。権利はどうなっているんだろう。京都の鴨川に川床の文化があるが、あそこは占用使用料を払っているそうだ。「川の中のカフェ」がそのあたりをどうやっているかは知らない。

カラオケが至る所から聞こえてくる。人が集まるとカラオケ機械を持ち込んではじめるのがベトナムの文化。ちなみに機械は自前だったりレンタルだったりする。



てか、人多すぎて座るところなくないか? 商店の人にスペースが空いてないか聞いてみると、さらに山を登れと言われる。


▲おじ「あっちに上ったらスペースあるから!」

結構川上の方を指差している。カフェへ来たのにまさかの山登りがスタートした。ビーサンで来てしまって辛い。

おじさんの指差す方、山道を登る。
結構な傾斜と虫、よく育った草や木々。割とガチ登山だ。

20分ほど登ってきたが、日陰は全て陣取られている。結構な岩場にも人がいる。




▲日陰、羨ましい……



各々が食べ物やビールをケースで持ちこんでいる。カラオケの機械も自力で運んでいる。というか、どこまでがこのカフェの陣地なのだろう。ここまで登ってくるとさすがにカフェの圏外で、おじさんに川遊びスポットを紹介されただけなのでは……という気もしてくる。




大人数のグループや子供連れなど次々に人がくる。レジャーへの熱量がすごい。
ベトナムの祝日を舐めてた。ベトナムは祝日が少ない分、みんな全力で出かける。
日本の祝日が年間16日なのに対し、ベトナムの祝日は年間11日。日本にいた頃、祝日が少ない国だなぁ!なんて思っていた頃の自分をぶん殴りたい。


なんとか場所を見つけて川遊びを開始。

天然のドクターフィッシュ?もいた。


▲写真ではわからないが、めちゃドクターフィッシュ?に突かれる


▲子供は浅いスペースで遊び、大人は深いところ、とうまく使い分けられている



何しに来たんだっけ。下山しよう。

帰りの山道で、傾斜に耐えきれずに私のサンダルが崩壊した。鼻緒部分が根こそぎ取れてしまい、履いている方が返って危ないので仕方なく裸足になる。

自然豊かなところにはやけど虫も多いので裸足は割と危険なのだ。特にやけど虫(ハネカクシ)は見た目は赤と黒の蟻のように見えるが、気づかず払い除けて体液が人間の皮膚についてしまうとやけどのような皮膚炎を起こすから注意だ。



片足裸足でなんとか下山に成功。カフェの核部分(商店)まで戻ってきた。

商店でコーヒー飲みたかったけれど、例によってこのお店にコーヒーはないのでコーラで休憩をすることに。ついでに足も洗う。カオス。

ちなみに川床の利用に商店での買い物は必須ではない。実質かかったのはバイクの駐車料金(1台10,000vnd)だけ。採算取れているのだろうか…?


▲コーラと山道を歩いた足を洗う私 友人撮影

サンダルはその場のゴミ箱に捨てた。


▲裸足でバイクに乗る。友人撮影


2つのカフェへ行った結果、わたしは裸足でダナンに戻ってきた。








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寺内真実

2014年よりベトナム在住。
ベトナムや東南アジアメインの散歩を書いて行けたらと思います。

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