毘沙門天大祭だるま市が実はすごいと知ったのは、実家を離れたあとだった。
- 更新日: 2018/03/15
毘沙門天大祭だるま市は日本三大だるま市のひとつであった。あとから知ったけど。
実はあいつはすごい奴だった、みたいなこと。こういうのは、手の届かない場所に行ってから気づくものと相場が決まっている。
「え? あれがもしや山下画伯!?」と気づいて「画伯! 画伯!」と追いかけても、当の山下清はおにぎりを頬張りながら既に次の街を目指しているのです。
富士市は今井の毘沙門天大祭だるま市が日本三大だるま市のひとつ、と知ったのは、実家を離れたあとでした。
街の規模に比べて妙に賑わってるな、とは思っていたけれど、そうか、あいつ、そうだったか。
子供の頃、僕は毎年2回行っていました。1回目は昼間、友達同士で電車に乗って。2回目は、夜に父親と車で。
2回行っても全部見た気がしない、底の知れないお祭りでした。人の圧で強制スクロールさせられることがあって場所をよく把握できず「あれ、こんなお店あったっけ」みたいな発見があるうえに、似たようなだるま屋が難易度を押し上げる。そして毎年マップがリセットされる。よく出来たダンジョンRPGです。大人になってから行くとそれほど広くないんだけど。
ちょっと話は逸れるけれど、ここらの田舎の子が街へ行く電車といえば、東海道本線のことではなく、岳南鉄道のことです。
この岳南鉄道ってのがまた難儀な鉄道でございまして。片方の終点、吉原駅は東海道線と接続しているのですが、もう片方が江尾というローカルすぎて笑えてくる駅で開発が止まってしまっています。
とはいっても、良い時代もあったんですよ。今は1両だけど、昔は2両編成(倍だね!)で、僕は幼稚園こいつで通っていたんだけど、吉原本町で降りる大人に紛れないように定期を持った手を駅員のほうへぐっと伸ばしていた思い出がある。黒縁眼鏡のしかくい車掌さんはお元気だろうか。
ただこれ、ほんと、のんびりコトコト走るんですね。小学校高学年にもなると、街へ出るまでのタイムにおいて自転車で勝つ奴が現れる。
そんな電車でして、今は、そうねえ、これを足に使う人って殆ど居ないんじゃないですかね。
ただ最近ちょっと岳南鉄道は新たな鉱脈を掘り当てておりまして。
実は、岳南鉄道は比奈~吉原間において、工場敷地内を走ることが多い。
吉原付近では、田子の浦港周辺のゴミゴミした工場を間近で眺めることができます。
工場が好きな方々の間では有名で、夜に乗ると工場の夜景と、それが映り込む田子の浦港が堪能できるとあって、近年そういう売れ方をしている。岳南鉄道側もよく分かっていて、夜景が見えやすいように車内の灯りを消して走る「夜景電車」を走らせている。乗ったことないけど、なんか、そっか。良かったなあ。
あれ、何の話だっけ。だるま市ですよ。吉原駅から毘沙門さんまではわりと離れているのだけど、ずっと出店が続いていて、今考えればあの規模は神田明神の初詣、は言い過ぎか、とにかく、スリにあうから気をつけろだとか、鳥居近くの大きな商店の二階がテキ屋の待機所になっていてヤバい集会が開かれているとか、静かな街に似つかわしくない、騒々しいお祭りであったことは確か。
富士市は製紙工場の街であって、赤白の煙突がにょきにょき生えていて風景としてとてもめでたい。新富士駅で降りると独特の臭いがして、帰ってきたなあと思うのだけど、江戸時代から既に製紙業は盛んで、ここ鈴川地区では和紙を使っただるま作りも行われていたんだとか。そういう歴史があって、だるま市がここにあるわけです。
◆
子供が生まれてから、だるまを買うことが増えました。
きょうび大抵の縁起物は100円ショップでも売られていて、しめ飾り、鏡餅、このあたりはもう100円でいいか、という気になっていて、実家近くの八百屋はもうしめ縄を売らなくなってしまったし、良く餅を配っていた本家も爺婆が亡くなってから餅をついていないらしい。
一方で、だるま市は行くのが面白いし、子供も行きたがる。結局最後に残るのはこういうイベントごとで、しめ飾りなんかも、どっかの朝市で買うとかにすればきっと楽しくなるのだろうけど。
そういうわけで、今年もだるまを買いに、富士見橋を渡ります。
富士見ナントカ、とつく地名の奴らに見せてやりたい、これが富士市の富士見橋じゃい。
もうちょっと言うと、市内どの橋でも富士山は見えると思うから、富士市において"富士見"はアイデンティティーにはならない。なんでこの橋にあえて「富士見」とつけたのか謎が残ります。むしろ富士山が見えないことのほうが珍しいと思うので「富士見えない橋」とかなら存在していいと思う。
このあたりは日本製紙の鈴川工場跡地で、いまは廃工場になっています。
数年間こんな感じでうち捨てられているんだけど、最近一部を火力発電所にして稼働を始めたらしい。火力発電所! 近所に火力発電所! まあ、既に製紙工場の煙突がにょきにょき建っているので、煙をもくもく出しても、あれ、なんか1本増えたなあ、くらいの感覚かもしれない。
東海道線の線路。吉原駅から二駅先の原までほぼ真っ直ぐなので、昔速度試験が行われたことがあるそう。
人と地球と自動車の共存を願って、具体的な行動に出ていて良かった。
このあたりから人がすごい。
大型貨物どころか、今日はこのあたりは通行止めになっています。
ここ参道っていうか、普段はなんでもない道で、脇は民家なんですよねえ。帰宅の難易度高そう。
奥に「学進塾」と見えるけど、この状況で勉強できたらすげえや。逆に勉学に休みは無い、とか言って通常営業してそう。でも子供はもう祭り気分なので、余白にかき氷とかフランクフルトとか書いたり。
ドネルサンドって最近はすっかりお祭りの常連になっていますね。もともと肉が派手に見えるし、本場も屋台で売られていることもあって、親和性高いよね。スッと入ってきたな。
この七味唐辛子は毎年出してる。七味唐辛子は売り口上が楽しいんだけど、ここはそこまでまくし立てる感じではない。
階段を上がって、
右に折れたあたりからだるま屋が軒を連ねている。
写真見返すと人少ないな。これ昼間で最終日だからかなあ、子供の頃は押すな押すなの賑わいだった気がするんだけど。
この杉山だるまが地元のだるま屋で多分一番有名。
眉もひげも太く短い。僕は、だるまといえばこれだなあ。だるま描いてって言われたらこんなの描く。
あとはすごくでかくてマジの髭がボウボウ生えてるやつがよく売られてるんだけど、一回それを父が買ってきたことがあって、高いし置き場所が無いと母がめちゃくちゃ怒っていた。
清水次郎長でおなじみの清水から、清水だるまのお店。
これは群馬県は高崎のだるま。眉毛が鶴、ひげが亀になっているのが特徴。選挙事務所のだるまは、わりとこれなんじゃないかしら。
各地のだるまが見られるのも楽しい。
達磨大師を、せんたくばさみで!
こういう修行の最中だと思えば成立しそうな気もする。
息子がこの修行中のカラフルなのがいいっていうから、今年はこれを買うことにしました。
息子は黄色のだるま、娘はピンクのだるま。おじいちゃんはお金を出す係。
あの煙は、例の火力発電所です。祭りを祝していつもより多めに発電していることと存じます。
だるまの開眼待ち30分。
毘沙門さん、と呼ばれているから僕も調べるまで知らなかったんだけど、正式には妙法寺という名前のお寺です。
千年前より、海抜ゼロメートルから富士山に登る山伏の修行があって、その禊ぎの道場だったんだと。
今も本堂の裏は海が近い。
その本堂の裏側はちょっとした広場になっていて、父の話によると、このあたり昔は見世物小屋が出ていたらしい。
僕が子供の頃あったかなあ。そういえばあんまり裏に来た覚えがない。
ビールやおつまみを売っていたり、表がディズニーランドだとするとこちらはディズニーシーだと思う。
あと最近は、ご当地アイドルのステージをやっていたりして、最近はオレンチェがよく出ています。
オレンチェご存じですか。吉村卓三さんという動物学者がプロデュースしたアイドルユニットで、まあ、この時点で、はての? と思う方が多いと思うんですけど、2004年にデビューしていて、Wikipediaによれば、いわゆるローカルアイドルとしてもとても早いほうです。もちろんAKBよりも早く、有吉反省会に出た吉村卓三さんは「AKBはオレンチェのいいところを真似した」と仰っておりました。動物学的にはそうかもしれません。
まあ、全国放送へ行くと、方向がおかしいだとか、アイドルっぽくないとか、そういうところでいじられてしまうのがローカルアイドルの宿命なんですけど、正直ねえ、営業でオレンチェ見ると、よく喋って会話つなげるし、お呼ばれした祭りのヨイショの仕方も上手いし、パフォーマンスとか、営業やりすぎてめちゃくちゃ安定感あるので、地元では好感度高いんじゃないかしら。
なんとなくの名残か、裏側のお店は買うというより楽しむ感じの店が固まっています。昔ながらの射的。
ちょっと見てたけど弾が全然前に飛ばないのすごいな。あれで戦争やったら両軍イライラして戦争すぐ終わりそう。
コアラではなかった。ボケが巨大すぎて見落としかけた。
出店は海のほうまで続いてる。
どこまでがお寺の敷地なのかイマイチ分からないんだけど、かなり広いことは確か。戦国時代には武田氏の陣になったこともあるそう。
防風林のあたりも寺所有なのかな。
防風林の脇の鳥居。これ昔からあるな。未だに何か分からない。
千年も続いてたら、隠し事もあるだろうな。
突然の野良だるま。これ以上行ったらどうなるか、だるまの威圧感は雄弁です。
毘沙門天って書かれた自転車はなかなか見ないから撮った。
ここか、あとそういう暴走族くらいだと思う。
この一角は便利そうだから撮った。
裏の海はいつも荒ぶっている気がする。
今日もめっちゃ怒ってるじゃないですか。お供えが足りないんじゃないでしょうか。
誰かたいやき投げてやって。
人さらう気満々じゃないですか。たいやき投げてやって。
防波堤より高いもの。富士の御山と発電所。
◆
総じて賑やかなんだけど、やっぱり子供の頃と比べて露店は減った気がするな。
昔は盆栽屋なんかもたくさん居たんだけど、今は居ないみたい。
そういえば僕は、ここで苗木を買いかけたことがある。
当時、佐藤さとるさんの「おおきなきがほしい」という絵本が好きで。これ、主人公かおるの想像が9割の話なんだけど、大きな木があったらしたいことをあれこれ考えるっていう。木の上に家を作ったり、四季がめぐったり。村上勉さんの絵も最高にマッチしている。
かおるは最後、実際に木の苗を買ってもらって、育て始めるところで話は終わります。
それで、僕も大きな木を育てたい! と言ったところ、父親も乗り気になって、本と同じく、まてばしいの苗木をここの露店で買いかけたことがあるんだけど、植木屋に「庭に植えるのか。家より高い木は家相が悪くなるからやめておけ」と言われて売ってもらえなかった。
買い求めようとするものを売ってもらえない、なんてことがあるのか、というのを初めて知ったし、家相とか持ち出されたら、こちらも黙って引き下がるしかない。家相かあ。かおるの家も家相悪くなったんだろうか。
今年買った子供たちのだるま、去年のよりひとまわり大きい。
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参考資料
富士毘沙門天
「え? あれがもしや山下画伯!?」と気づいて「画伯! 画伯!」と追いかけても、当の山下清はおにぎりを頬張りながら既に次の街を目指しているのです。
富士市は今井の毘沙門天大祭だるま市が日本三大だるま市のひとつ、と知ったのは、実家を離れたあとでした。
街の規模に比べて妙に賑わってるな、とは思っていたけれど、そうか、あいつ、そうだったか。
子供の頃、僕は毎年2回行っていました。1回目は昼間、友達同士で電車に乗って。2回目は、夜に父親と車で。
2回行っても全部見た気がしない、底の知れないお祭りでした。人の圧で強制スクロールさせられることがあって場所をよく把握できず「あれ、こんなお店あったっけ」みたいな発見があるうえに、似たようなだるま屋が難易度を押し上げる。そして毎年マップがリセットされる。よく出来たダンジョンRPGです。大人になってから行くとそれほど広くないんだけど。
ちょっと話は逸れるけれど、ここらの田舎の子が街へ行く電車といえば、東海道本線のことではなく、岳南鉄道のことです。
この岳南鉄道ってのがまた難儀な鉄道でございまして。片方の終点、吉原駅は東海道線と接続しているのですが、もう片方が江尾というローカルすぎて笑えてくる駅で開発が止まってしまっています。
とはいっても、良い時代もあったんですよ。今は1両だけど、昔は2両編成(倍だね!)で、僕は幼稚園こいつで通っていたんだけど、吉原本町で降りる大人に紛れないように定期を持った手を駅員のほうへぐっと伸ばしていた思い出がある。黒縁眼鏡のしかくい車掌さんはお元気だろうか。
ただこれ、ほんと、のんびりコトコト走るんですね。小学校高学年にもなると、街へ出るまでのタイムにおいて自転車で勝つ奴が現れる。
そんな電車でして、今は、そうねえ、これを足に使う人って殆ど居ないんじゃないですかね。
ただ最近ちょっと岳南鉄道は新たな鉱脈を掘り当てておりまして。
実は、岳南鉄道は比奈~吉原間において、工場敷地内を走ることが多い。
吉原付近では、田子の浦港周辺のゴミゴミした工場を間近で眺めることができます。
工場が好きな方々の間では有名で、夜に乗ると工場の夜景と、それが映り込む田子の浦港が堪能できるとあって、近年そういう売れ方をしている。岳南鉄道側もよく分かっていて、夜景が見えやすいように車内の灯りを消して走る「夜景電車」を走らせている。乗ったことないけど、なんか、そっか。良かったなあ。
あれ、何の話だっけ。だるま市ですよ。吉原駅から毘沙門さんまではわりと離れているのだけど、ずっと出店が続いていて、今考えればあの規模は神田明神の初詣、は言い過ぎか、とにかく、スリにあうから気をつけろだとか、鳥居近くの大きな商店の二階がテキ屋の待機所になっていてヤバい集会が開かれているとか、静かな街に似つかわしくない、騒々しいお祭りであったことは確か。
富士市は製紙工場の街であって、赤白の煙突がにょきにょき生えていて風景としてとてもめでたい。新富士駅で降りると独特の臭いがして、帰ってきたなあと思うのだけど、江戸時代から既に製紙業は盛んで、ここ鈴川地区では和紙を使っただるま作りも行われていたんだとか。そういう歴史があって、だるま市がここにあるわけです。
子供が生まれてから、だるまを買うことが増えました。
きょうび大抵の縁起物は100円ショップでも売られていて、しめ飾り、鏡餅、このあたりはもう100円でいいか、という気になっていて、実家近くの八百屋はもうしめ縄を売らなくなってしまったし、良く餅を配っていた本家も爺婆が亡くなってから餅をついていないらしい。
一方で、だるま市は行くのが面白いし、子供も行きたがる。結局最後に残るのはこういうイベントごとで、しめ飾りなんかも、どっかの朝市で買うとかにすればきっと楽しくなるのだろうけど。
そういうわけで、今年もだるまを買いに、富士見橋を渡ります。
富士見ナントカ、とつく地名の奴らに見せてやりたい、これが富士市の富士見橋じゃい。
もうちょっと言うと、市内どの橋でも富士山は見えると思うから、富士市において"富士見"はアイデンティティーにはならない。なんでこの橋にあえて「富士見」とつけたのか謎が残ります。むしろ富士山が見えないことのほうが珍しいと思うので「富士見えない橋」とかなら存在していいと思う。
このあたりは日本製紙の鈴川工場跡地で、いまは廃工場になっています。
数年間こんな感じでうち捨てられているんだけど、最近一部を火力発電所にして稼働を始めたらしい。火力発電所! 近所に火力発電所! まあ、既に製紙工場の煙突がにょきにょき建っているので、煙をもくもく出しても、あれ、なんか1本増えたなあ、くらいの感覚かもしれない。
東海道線の線路。吉原駅から二駅先の原までほぼ真っ直ぐなので、昔速度試験が行われたことがあるそう。
人と地球と自動車の共存を願って、具体的な行動に出ていて良かった。
このあたりから人がすごい。
大型貨物どころか、今日はこのあたりは通行止めになっています。
ここ参道っていうか、普段はなんでもない道で、脇は民家なんですよねえ。帰宅の難易度高そう。
奥に「学進塾」と見えるけど、この状況で勉強できたらすげえや。逆に勉学に休みは無い、とか言って通常営業してそう。でも子供はもう祭り気分なので、余白にかき氷とかフランクフルトとか書いたり。
ドネルサンドって最近はすっかりお祭りの常連になっていますね。もともと肉が派手に見えるし、本場も屋台で売られていることもあって、親和性高いよね。スッと入ってきたな。
この七味唐辛子は毎年出してる。七味唐辛子は売り口上が楽しいんだけど、ここはそこまでまくし立てる感じではない。
階段を上がって、
右に折れたあたりからだるま屋が軒を連ねている。
写真見返すと人少ないな。これ昼間で最終日だからかなあ、子供の頃は押すな押すなの賑わいだった気がするんだけど。
この杉山だるまが地元のだるま屋で多分一番有名。
眉もひげも太く短い。僕は、だるまといえばこれだなあ。だるま描いてって言われたらこんなの描く。
あとはすごくでかくてマジの髭がボウボウ生えてるやつがよく売られてるんだけど、一回それを父が買ってきたことがあって、高いし置き場所が無いと母がめちゃくちゃ怒っていた。
清水次郎長でおなじみの清水から、清水だるまのお店。
これは群馬県は高崎のだるま。眉毛が鶴、ひげが亀になっているのが特徴。選挙事務所のだるまは、わりとこれなんじゃないかしら。
各地のだるまが見られるのも楽しい。
達磨大師を、せんたくばさみで!
こういう修行の最中だと思えば成立しそうな気もする。
息子がこの修行中のカラフルなのがいいっていうから、今年はこれを買うことにしました。
息子は黄色のだるま、娘はピンクのだるま。おじいちゃんはお金を出す係。
あの煙は、例の火力発電所です。祭りを祝していつもより多めに発電していることと存じます。
だるまの開眼待ち30分。
毘沙門さん、と呼ばれているから僕も調べるまで知らなかったんだけど、正式には妙法寺という名前のお寺です。
千年前より、海抜ゼロメートルから富士山に登る山伏の修行があって、その禊ぎの道場だったんだと。
今も本堂の裏は海が近い。
その本堂の裏側はちょっとした広場になっていて、父の話によると、このあたり昔は見世物小屋が出ていたらしい。
僕が子供の頃あったかなあ。そういえばあんまり裏に来た覚えがない。
ビールやおつまみを売っていたり、表がディズニーランドだとするとこちらはディズニーシーだと思う。
あと最近は、ご当地アイドルのステージをやっていたりして、最近はオレンチェがよく出ています。
オレンチェご存じですか。吉村卓三さんという動物学者がプロデュースしたアイドルユニットで、まあ、この時点で、はての? と思う方が多いと思うんですけど、2004年にデビューしていて、Wikipediaによれば、いわゆるローカルアイドルとしてもとても早いほうです。もちろんAKBよりも早く、有吉反省会に出た吉村卓三さんは「AKBはオレンチェのいいところを真似した」と仰っておりました。動物学的にはそうかもしれません。
まあ、全国放送へ行くと、方向がおかしいだとか、アイドルっぽくないとか、そういうところでいじられてしまうのがローカルアイドルの宿命なんですけど、正直ねえ、営業でオレンチェ見ると、よく喋って会話つなげるし、お呼ばれした祭りのヨイショの仕方も上手いし、パフォーマンスとか、営業やりすぎてめちゃくちゃ安定感あるので、地元では好感度高いんじゃないかしら。
なんとなくの名残か、裏側のお店は買うというより楽しむ感じの店が固まっています。昔ながらの射的。
ちょっと見てたけど弾が全然前に飛ばないのすごいな。あれで戦争やったら両軍イライラして戦争すぐ終わりそう。
コアラではなかった。ボケが巨大すぎて見落としかけた。
出店は海のほうまで続いてる。
どこまでがお寺の敷地なのかイマイチ分からないんだけど、かなり広いことは確か。戦国時代には武田氏の陣になったこともあるそう。
防風林のあたりも寺所有なのかな。
防風林の脇の鳥居。これ昔からあるな。未だに何か分からない。
千年も続いてたら、隠し事もあるだろうな。
突然の野良だるま。これ以上行ったらどうなるか、だるまの威圧感は雄弁です。
毘沙門天って書かれた自転車はなかなか見ないから撮った。
ここか、あとそういう暴走族くらいだと思う。
この一角は便利そうだから撮った。
裏の海はいつも荒ぶっている気がする。
今日もめっちゃ怒ってるじゃないですか。お供えが足りないんじゃないでしょうか。
誰かたいやき投げてやって。
人さらう気満々じゃないですか。たいやき投げてやって。
防波堤より高いもの。富士の御山と発電所。
総じて賑やかなんだけど、やっぱり子供の頃と比べて露店は減った気がするな。
昔は盆栽屋なんかもたくさん居たんだけど、今は居ないみたい。
そういえば僕は、ここで苗木を買いかけたことがある。
当時、佐藤さとるさんの「おおきなきがほしい」という絵本が好きで。これ、主人公かおるの想像が9割の話なんだけど、大きな木があったらしたいことをあれこれ考えるっていう。木の上に家を作ったり、四季がめぐったり。村上勉さんの絵も最高にマッチしている。
かおるは最後、実際に木の苗を買ってもらって、育て始めるところで話は終わります。
それで、僕も大きな木を育てたい! と言ったところ、父親も乗り気になって、本と同じく、まてばしいの苗木をここの露店で買いかけたことがあるんだけど、植木屋に「庭に植えるのか。家より高い木は家相が悪くなるからやめておけ」と言われて売ってもらえなかった。
買い求めようとするものを売ってもらえない、なんてことがあるのか、というのを初めて知ったし、家相とか持ち出されたら、こちらも黙って引き下がるしかない。家相かあ。かおるの家も家相悪くなったんだろうか。
今年買った子供たちのだるま、去年のよりひとまわり大きい。
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参考資料
富士毘沙門天