最近本当に寒いから、もっと寒そうな街へ行く

  • 更新日: 2023/01/19

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朝4時に起きて始発列車で丘へ

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寒〜〜〜〜〜い


最近本当に寒い。年の瀬も年の瀬(書いた当初はまだ2022年末でした)、どんどん冷え込んでくる。どうしてこんなに寒いんだろうか。そりゃ、北海道や青森とかと比べたら、僕が住んでいる東京23区は随分過ごしやすいはずなんだけど、それでも寒いものは寒い。毎日布団から出るのが辛くて、昼過ぎまで寝てしまう日もざら。

数日前も布団の中で何も出来ないまま過ごしている時に、ふと思い立った。「もっと寒いところに行ったらどうなるんだろうか?」と。

というわけで都内で寒そうなところとして最初に思い浮かんだのが青梅という街だった。今まで僕が青梅に抱いていたのは、山の方って印象だけ。それ以外は何も知らないまま、4時半に起きて始発電車で青梅に向かっていた。




というわけで早朝6時57分に青梅駅に到着致しました。ホームに降りた瞬間に感じた。本当に寒い。都心とは全然違う、体の芯に来る寒さ。ブルブル震えながら衝動的に自販機でおしるこを買い、改札を出た。

ロータリーに出てみて最初に感じたのは、通勤通学へ向かう人の多さ。青梅は観光地という印象があったが、たくさんの人が住む街らしい。それにしても、こんなに寒い朝に電車に乗ってそれぞれの向かうべきところに向かうなんて、凄すぎるし偉すぎるなぁ〜。皆が自分を誇って欲しい。

本当に寒すぎて、写真を撮る余裕もなかった。とにかくブルブル体を震わして、こんな朝早くにここに来たことを後悔しながらも、無心で山の方向へ歩みを進めた。




少し歩いたところにあった小学校の階段。だいぶ格好良かったので、頑張って一枚撮ってみた。柵がつけられていたので、非常用で生徒たちは使えないんだろうけど、やんちゃな子が勝手に入って叱られたりとか、そんなことあるんだろうなと勝手に想いを馳せていた。

なんてことを考えていると、遠くに見える駅のアナウンスが聞こえてきた。



見づらいとは思うが、この写真の真ん中辺りに電車が見えると思う。そこそこ離れているのにしっかり聞こえてきた。先ほどまでは寒さの中で必死に歩いていたので気が付かなかったが、自分の足音と息づかい以外に音が一切なかった。青梅の冬の朝は本当に静かだ。




階段を登って峠道に入る。




細い道には落ち葉が所狭しと敷き詰められていた。ふっかふかで気持ちいい。もう少し広くて暖かかったら寝転んでいたかもなぁ……




少し歩くと奥には謎の塔が。野焼きのための煙突か、何かのモニュメントか。よく分からないが気になるのでそちらへ向かう。

すると、



だだっ広い公園に出た。どうやらここは永山公園というらしい。早朝でこんなに寒いのに年配の男性三人がゲートボールをしている。本当に芯が凍るほど寒かったけど、早起きして人のいない公園で体を動かすのは本当に気持ちいいんだろうな。犬が原っぱに放たれたら全力で駆け回るのと同じで、人間も広いところで思いっきり動きたくなるもんだ。生き物としての本能が根付いている。




で、さっきの塔の前に来た。見切れてしまってはいるが、手前に柵があって中には入れない。どうやらこれは青梅市忠霊塔というものらしい。戦没者の魂を祀っているそうだ。こんなに静かで綺麗な丘の広場で祀られれば、戦没者の魂も幾許かは救われるのかもしれない。出過ぎた意見かもしれないが。

ちなみにこの公園にある遊具はやたらとビビッドな色使いだった。



こんな感じ。ペンキが剥げている様子もなかったので、ペンキを塗り直したばかりなのかも。




一番奥にあったこの滑り台は秀逸。方向転換する階段と螺旋状のすべり面。写真で見る以上に高さがあり、迫力は申し分ない。子供の頃、家の近くの公園にこれがあったらお尻が擦り切れるほどすべっていただろうな。




上からみた風景はこんな感じ。やはりだいぶ高かった。しかも風に煽られてかなり揺れる。思ったよりもスリリングな遊具だ。

ここから飛び降りるのは本当に怖いだろうな。小さい頃に校庭にあるすべり台から飛び降りて度胸試しみたいなことをしていたけど、ここから飛んだら流石にひとたまりもないだろう…… 言うまでもないですが、読んでいる人は飛び降りないでくださいね。

公園を後にしてさらに丘の上に向かって歩みを進める。駅を出た頃は寒くて寒くて本当に辛かったけど、もうだいぶ体も温まってきたのかも。軽くなった足取りでどんどん進む。




道中にあったベンチ……と思しき木材。ほとんど手入れはされていないようで、随分ボロボロになっているが、こういう無骨なところに腰掛けて少し休むのも粋だなあなんて思っていたが、



めちゃくちゃ釘が飛び出していた。危うくお尻を貫かれるところでした。




欠けた祭りの提灯。割れたと言う方が正しいのかな。2019年までは毎年夏に開催されていた地域のお祭りが、2020年以降は新型コロナウイルスの影響でお祭りが開催されることはなくなり、提灯も放っておいたら朽ちてしまって…… なんて背景があったりしてと想像を巡らせていたが、どうやら2022年の夏にはお祭りが開催されてたらしい。じゃあこの提灯はたったの4ヶ月でこんな姿になってしまったのかな。言葉にしづらいが、なんとも切ないものだな。




気がつけばだいぶ高いところまで来てしまった。市街地はだいぶ下に見える。写真を撮っている時は気が付かなかったが、紅葉が色めいていて素晴らしい景色だ。秋になれば人々が紅葉狩りに興じる様子を横目に、紅葉なんて見たとて何もならないと思ってたけど、いいもんだねえ。




見晴らしのいい所にある休憩所。写真だと見えづらいが、真ん中の辺りに富士山が見えた。ちょうどこの日は快晴だったので、くっきり見える富士山頂は美しかったし、巨大だった。

写真を何枚か撮った後、ベンチに座って休憩しながらなんとなくスマホを開いて気温を確認してみると、




この日の青梅市の7時の気温は-3°らしい。氷点下ということで、そりゃ震えるほどに寒いわけだ。自分が寒さに弱すぎるわけじゃないとうことを知りつつも、この散歩のテーマである、”最近本当に寒いから、もっと寒そうな街へ行く”をしっかり達成出来ているということだ。嬉しい。

まだまだ歩きたい気分だったので奥に進む。




400メートル進むと、”青梅の森”というエリアに到達するらしい。今僕が歩いている場所も木々が生い茂っているから青梅の森じゃん!なんて屁理屈みたいなことを考えてしまいながら奥へ。




先ほどの小学校の隣では、静かすぎてだいぶ離れた駅からアナウンスが聞こえてきたけど、ここはもっと静かだった。僕が呼吸をする音と、時々落ちる葉っぱが擦れる音、あとは空気が流れる音。それ以外は本当に何も聞こえなかった。そのことを理解した途端に急に怖くなってきた。もしここで蛇やら熊やら猪やらに出会ってしまったらと思うと…… そう考えると山を歩く時にラジオを流した方が良いという理由を初めて理解できた。

日々生きていると多くのことを学ぶが、自分で経験して学んだことは深みが違う。山を歩く時にラジオを云々ってのは知識として知っていたが、「好きなラジオを流している時に知らない人とすれ違ったら恥ずかしいんじゃないか」なんていらん心配をしていたが、こうして実際にその状況にあっているとそうも言ってられないな。生きるか死ぬかの前では恥とか関係ない。実際にはそこまで危険な状況でもないんだけれどね。


色々考えを巡らせ切ったのちに歩き出すと……



ん?



何かが……



いる!!!!!!!!

なんだこの生き物。ヤギ?シカ?人襲う???逃げた方がいい?????頭をフル回転させて色々考えたが、何もわからない。とりあえず”青梅 山 野生動物”で検索してみると、どうやらカモシカという生き物らしい。人を襲うこともない穏便な性格なようで、安心しながらゆっくり横を通った。



分かりづらいですが真ん中にいます
こちらをじっと見つめているカモシカ。ヘビ・ハチに注意!!というメッセージが重く感じる。当たり前だが、僕らが住んでいる世界には人間以外の生き物がたくさん住んでいるので、お互い気を遣いながら生きていたいな。


ここから先にある青梅の森に向かって、いいところに着いたら写真を撮って帰ろうと思っていた。が、だんだんと腹が痛くなってきたのでトイレに行くために一旦道を引き返すことに。先ほどカモシカがいた辺りまで戻ると、地元の人と思われる男性がカモシカの写真を撮っていた。彼の話すところによると、今日は一匹だが家族でいる日もあるそうだ。本当はもっと色々なことを話したかったのだが、本当に本当に便意が限界だったので、トイレの場所を聞いて足早にこの場を去った。




広場にあるトイレ。山の中の公衆トイレということで、汚い和式を覚悟していたが、ウォシュレットと温かい便座を完備したとても綺麗なトイレでした。本当に助かったな……




トイレの目の前の池には氷が張っていた。




氷をの下を鯉が悠々と泳いでいる。そういえば、僕の好きなサリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』では、主人公のホールデンがセントラルパークの池にいるアヒルたちが、冬の間はどこに行くかを気にしていたが、ここの鯉は池に氷が張っても泳ぎ続けているらしい。寒いのに大変なことだ。苦しくないのかな。




不安になる文字。動植物ってどう書くかが分からなくなりそう。


というわけで少し進むと民家が見えていて、



市街地に辿り着き、





東青梅駅に到着しました。

始発で青梅に行ってみた感想、ちょっと辛くても朝早起きして活動した方がいいということ。

この時期は布団から出て着替えるまでが本当に辛い。とにかく何をするにも寒くて寒くてやる気が起きないが、無理やり体を動かして外に出てみると、朝とも夜とも言えない景色に出会える。まだまだ街の人が寝ている時間に出歩くのは、言葉にならない喜びがある。大袈裟だけど、人類が滅んだ後の地球を歩んでいるような気持ちになれる瞬間もあった。

夜道で好きな音楽を聴きながらMVごっこをするような人は、早起きして誰もいない街に行ってみたほうがいいと思う。本当に静かで、自分の世界に没頭出来るから。








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深山往

眉毛を剃ると雨水や汗が目に入ったり、強く日差しを感じたりして何かと不便です。

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