新宿の朝を征く 〜太陽のきらめきに目を灼かれながら〜

  • 更新日: 2023/09/05

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明るいですね。何故でしょう。

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30歳、ゴールデン街でオールする

実は数ヶ月前、【角の丸い窓】を偏愛する者として、とあるテレビ番組の密着取材を受けました。

ほんの10分ほどのミニコーナーでしたが、嬉し恥ずかしテレビデビュー。
平静を装いながら、かなり浮かれておりました。


【角の丸い窓】を集めている者です。|ジモトぶらぶらマガジン サンポー

はじめまして。『くちくら』と申します。ペンネームの由来はキューティクル(cuticle)より。写真家を生業としつつ、詩人でもあり歌人でもあります。

▲角の丸い窓について分かった気になれる記事です。


さて、その取材の為の二泊三日東京の旅。

一日目はせっかくの東京だからと写真展など巡り。
二日目は終日取材(のちゴールデン街)。
ですので両日は割愛。


さあ、三日目の朝です。時刻は五時を回っています。




二泊目は宿を取らずにゴールデン街で夜を明かすと決めていました。
この田舎者、浮かれております。

結論から申しますと、意外といけました。まだまだ私も若いもんです。


▲目が灼かれる。




お店にいる間から外が明るくなっていくのに気が付いていましたが、見てみぬふりをしていました。
見てみぬふりが出来ないくらい明るくなってきた為、ようやくお店を出る決心がつきました。




一緒に呑んでいた知人たちと別れ、本日まず目指すは新宿駅

……と言いたいところですが、酒に煙草に汗に大変なのでひとまずシャワーを浴びたい…
このままでは帰りの新幹線どころか移動の為に電車に乗るのも億劫です。



スマホで探すと少し離れたところにスーパー銭湯、またシャワーだけでも借りられる女性専用カプセルホテルなどがあるようでした。
信じていたわよ新宿。なんて都合のいい街なの新宿。



二者択一…
スーパー銭湯も惹かれますが、シャワーを借りるのは700円で済むとのことで実質一択でした。



おまけにここは本来、夜の街。
昭和の良きビルの群生地ではないですか。
【角の丸い窓】も多いはずです、寄らずにおらいでか。



ということで今回の散策ルート。
ちょっと遠回りではありますが

ゴールデン街→(角の丸い窓)→レンタルシャワー→(角の丸い窓)→新宿駅

に決定です。


いざ出発。




ゴールデン街からの脱出

ちなみに信じられないくらい重い荷物(撮影機材がメイン、あと着替えやお泊まりセット等)を背負って歩きます。
正気の沙汰じゃない。怖いので重さは計りません。


▲向こうで若者達が騒いどる。元気やな。




まずは大通りに出ました。



第一角の丸い窓発見!壮観です。

道路に面しているところはほとんど角の丸い窓。
面白い形のビルですね、五角柱?いや六角柱か。

窓がなんだか歪んで見えるのですが、もしかして素材がガラスではない?
そんなことないか。どうなんでしょう。
こうした部分も今後は詰めて調査していきたい。




角の丸い窓の波動(※過去記事を参照)を感じ路地へ。



あ り ま し た 。
己の嗅覚が恐ろしい。



可愛い!

角の丸い窓辺で飲む酒は旨かろうて。
モルタルのくすみや屋上のあちこち錆びた様子すら絵になります。

レンガ調のタイル張りはどこかカントリーな可愛らしさがありますが、こちらはモルタル(コンクリート?)の窓枠の無骨さとのバランスが絶妙です。




目線をちょっと下へ。
焼き鳥屋だけど海老……昔は海鮮系だったのかしら。




サイドへ回り込みます。

こちらの角の丸い窓はスライド式のようです。
空いた時に角の丸が無防備にも見えるところ、可愛くないですか?分からなくても大丈夫です。

ちなみに細長い窓は回転式、窓ひとつとってもデザイン性の高い建築。




体力は消耗しているが舐め回すように眺める。

街灯との相性が良すぎます。ここはパリか?
パリに角の丸い窓はあるでしょうか。




さて次。


こちら道を挟んでお隣のビルですね。



カラーリングがいい。
階段がそこにあるなと分かるデザインも面白いです。



こちらもレンガ調ビルのお隣。



隅切り面に出窓。段々になっている側面。
片側のみにあしらわれたタイル壁もニクい。

この周辺は特に渋い低層ビルが多く眼福ですね。
夜はどんな表情だろう。




さて散策を再開。



でかいこわいフクロウ。陰謀のかほり。
何屋さんなのでしょう。






どうしてこのビルだけちょっと離れてぽつんとあるのでしょう。ずっと気になっている。
あと夜に派手なネオンカラーになるの何?




と、そうこうしている間にシャワーがあるとこに着きました。(シャワーがあるとこ?)

満室と書いてあったけど店員さん呼んだらいけました。
サボんないで……


スッキリ復活です。不思議とまだ眠くない。
さっぱりしたし気分もいいし晴れてるし最高!
おそらく躁状態になっています。




シャワーがあるとこを出たとこ正面。



実は角の丸い窓でした。



アールの角度は結構きつめ。私でなきゃ見逃しちゃいますね。
主張しない角の丸い窓、控えめな君も素敵です。



▲朝の光が爽やか。





ここで唐突に皆様に質問です。
建物の正面とは隅切り面でしょうか、それとも側面でしょうか。
さあ、どっち派?

私は通常は隅切り面派です。
ただこちらの建物はサイドが角の丸い窓ですので悩みどころですね。




心機一転、新宿駅へ

さて、いざ新宿駅へ向かいます。



シャインマート。斜体にしたくなりました。
カラーリングがまたいいですね。目がチカチカする。





▲街がそこかしこ輝いている。






どこかの床かわいい。


床かわいいので待ち受け画面をつくりました。



こういうことをしてよく遊んでいます。







▲るんるんの朝犬。






閉めたところか、開けるところか。
店主らしき方がいるのでやってるっぽいですね。

すごい斜めだ、スープこぼれそう。
小林賢太郎さんの「斜めのバーテンダー」を思い出しました。





▲さっき見た“ヤツ”が遠くに。






これは!突き刺す十二月と伊勢丹の息が合わさる衝突地点!
というか伊勢丹自身。
まあこの時は五月だったのですが…



実は数年前、一瞬だけ銀座のはずれの着物屋さんでアルバイトしていました。
その頃に催事で来たことのある新宿伊勢丹。

バックヤードもさぞ華美であろうと期待していたらその実かなり無機質で、休憩中の店員さん達が所狭しとぎゅうぎゅう詰めで、なんだか刑務所みたいでした。
刑務所は幸いまだお世話になったことがないのでイメージですが…


みんな裏のつらさしんどさを隠しながら表では素敵に振る舞ってくれている。
忘れてはならないことですね。


建物自体は大好きです。荘厳。





▲朝あ〜まごうことなき朝。








前日、人がすごくて入れなかった銀座ライオン。
寝てないから前日というのも変ですが。


角の丸い窓のショーケースです。
潰れたかまぼこ型タイプ(と勝手に呼んでいます)。


こちらも素敵ですが、銀座ライオンといえばやはり銀座七丁目店…
もう内装がすんごいらしいのです。
いつか行ってみたい憧れの場所。








文字が可愛くてずっと好き。
でも一度しか行けたことないです。

移転するとの噂を見かけましたが、マジ…!?!?








気になっているけれどまだ行けていない喫茶店、多いです。焦る。



これは五年前の写真。
謎のショーケースが新たに置かれてはいますが、外観はほぼ変わらず、ずっとそこにいてくださって嬉しいです。
次回こそは…






この写真のここ、もうどこか覚えていません。
街灯がかわいいね。


光を発するものが光に照らされている光景はなんだか皮肉めいていて好きです。




そしてついに!



新宿駅に到着しました。




当方すっかりシラフです。
なんで大都会で早朝にこんな大荷物でこんな歩いてんの?




元々はオール明けて何処かで仮眠をとり、写真展など寄りたいところに寄れるだけ寄り、夕方東京を経とう、という計画。

この後、新宿駅から恵比寿へ写真展を見に向かいましたが、ついに限界が来て、大荷物をコインロッカーに押し込み、駅前の朝マック食べながら寝て、美術館付近に着いてもベンチで寝ました。


…うん。計画通り。計画通りですよ。
ケチらずスーパー銭湯に行っていればゆっくり仮眠出来たのにとか思っていません。



▲恵比寿の犬。

都会の犬はこちらに見向きもしなくて賢いかわいい。
多分私の着てるものよりいいものを着ている。




まとめ

新宿あたりは東京に暮らしていた頃に結構歩いたつもりでしたが、意外と知らない道もまだまだありますね。



東京人に聞くと、やはり新宿近辺はまだまだ素人が近寄るには憚られるエリアもあるそうですし、生きてるうちにこの街を知り尽くすことはきっと出来ないのでしょう。悔しい。


しかし“知り尽くせない”ということもまた街の魅力かも知れない。
恋愛のようですね。適当なことを言っています。




「宿をとって飲みに繰り出しておいて宿では寝ない」となってしまったら宿代もったいないな…と貧乏性を発揮してのオール決行でもありましたが、そんな無謀すら許容される街、“新宿”。
大都会の懐の深さ、あるいは危うさを物語っているようだと感じました。




おわり!










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くちくら

写真家です。くちくらとはすなわちキューティクル層のことです。自身の写真作品と並行して「角の丸い窓」とその周りの景色を中心に、街歩きをしながら撮り集めています。

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