狭い道が好きだ

  • 更新日: 2020/06/16

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なぜかは分からない

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初めまして。ライターの城戸です。
杉並区に住んでいます。

なんだかここ最近、狭い道が好きで、いまいち理由がわからない。2年前まで住んでいた埼玉県西川口では、狭い道を見つけることすら少なかった気がするから、杉並区には単純に狭い道が多くて気を惹かれてしまうのかもしれない。もしくは、ずっと家に引きこもっていたくはないけれど、かといって外では狭いところにいたい、という隠しきれない根暗な考え方が影響している可能性もある。

梅雨を感じさせる天気が続く中、珍しく太陽が覗いていたので、午前中の用事のあと、阿佐ヶ谷から自宅のある荻窪まで狭い道を探しながら歩いてみることにした。



阿佐ヶ谷のツタヤが好きなので、阿佐ヶ谷と自宅を往復することはよくあるのだけど、今日はいつものルートとは少し外れた、選んだことのない遠回りのルートを歩いてみたいと思う。

それにしても阿佐ヶ谷駅は、北口と南口がたいへん分かりやすくてよい。俺は方角がまったくわからないので、できれば駅の出入り口は『うさぎ口』『かめ口』みたいな名前で統一してほしい。



まずは商店街、阿佐ヶ谷パールセンターを南に進んでいくことにする。前述のとおり俺は方角がわからないが、南口を背にしてまっすぐ行くのは紛れもなく南へ進んでいるということだ。俺は阿佐ヶ谷パールセンターを南に進む。普段、この商店街は中華食堂一番館へ行くためにしか通らない。



商店街の脇にかなり良い道を見つけたけど、奥に重機が見えるので進むのはやめておいた。ピンクの椅子がかわいい。中華一番館はきっと天下を取る。



良いものしか売っていないイメージのあるカルディだ。7,8回入ったことがあるのに、何かを買ったことは一度も無い。「俺にはまだ早い」と思い続けて4年が経つ。まだまだカルディに相応しい男になれる気配は無い。中華一番館が天下を取るのとどっちが早いだろう。



家電同士もソーシャルディスタンスが保たれている。中華一番館はハイボールが100円で飲める。



分かれ道だ。俺には方角がわからないので、ひとまず左へ進むことにする。余談だが、人間は左右の分かれ道があると左に進む傾向があるらしい。確かに、困ったら左へ向かう気がする。この通りではずっと爆風スランプが流れていた。



文明に栄える商店街にいながら、ふと目に入ってくる緑が好きだ。都会で息継ぎをするかのような感覚がある。中華一番館の写真を撮ろうとしていたのに完全に忘れていた。



幾多のちびっ子が操縦してきたのであろう新幹線。胸が苦しくなるほどかわいく、劣化がせつない。



狭い道を見つけたので、脇道に逸れていくことにする。俺は方角がわからないが、まだ自宅の方向に向かっている自信がある。



皆がそれぞれ上を向いていて偉い。俺ならきっと下のほうで横になっていると思う。



南だと信じている方向をとにかくまっすぐ進み続けている。地元で車を運転していた時はこんな道を見つけると積極的に避けていたが、今は胸が躍るぜ



意気揚々と進んでいると、車も通れないような狭い道を発見。最高!民家と民家の間の狭い道を歩くのは少しだけ泥棒のような気分になれてよい。泥棒が犯罪で、人に迷惑をかける行為でさえなければ、俺は泥棒になりたい。怪盗キッドとかルパンとかはずるいと思う。



狭い道がまっすぐ続く。最高。車が絶対に来ないという安心感が落ち着くのかもしれない。俺は車道を歩いているとき、後ろから車が来てないか何度も振り向いて確認するので、もしかしたらいつかキモキモ振り向き男として都市伝説になってしまうかもしれない。



狭く、さらに先の見えない道だ。狭い道と同じくらい、先の見えない道も愛している。先の見えない人生を愛しているから、俺はいま定職についていないのかもしれない。



金太郎だということがギリギリわかる。『遊歩道』という言葉はよく聞くが、まったく意味を知らない。他に、よく聞くけど意味を知らない言葉として、『ゼミ』『単位』『インターン』などがある。



馬橋児童遊園……お約束が8項目もある……一体どんな場所なんだ……







馬橋児童遊園 完



ちなみに、クールな公衆電話もありましたよ。かっこよかった。

気を取り直して進んでいきましょう。



例のワニが死んでから、説得力が格段に増したと評判の注意書き。実際、「とまれ」のメッセージにワニを持ってくるセンスはなかなか鋭いと思う。



狭い脇道以外、ずっとまっすぐ進んでいるはずなのだが、一体ここはどこなのだろう。歩いた時間を考えれば、とっくに自宅に着いていてもおかしくないはずなのに、目の前にはまったく知らない道が延々と伸び続けている。俺は方角がわからない。もしかしたら杉並区を抜け、武蔵野市に突入してしまったのではないか。それは嫌だ。



ひと休みしたいところだが、今日は子供たちに譲ってやることにする



こんなことを言うのは失礼にあたるかもしれないが、住宅街にひっそりと佇むこういうお店って、ちゃんと利益が出ているのかしら。小さい酒屋とか、古本屋とか、それでもしっかりとそこに在り続けているのが何よりの証拠か。俺は方角と、経営の仕組みがわからない。



フォント萌え…すばらしい…



とうとう何が書いてあったのか判別不能な遊歩道の入口を発見。狭く、先の見えない道をとにかく進んでいく。



ヤッホー



サイダーを購入。そういえば、自販機ごとに飲み物の値段が違うのはどういうことなのか。俺は値段が高いほど、そこの土地レベルが高いということだと思っている。この500mlサイダーは110円だったけど、自宅の近くの自販機では130円する。俺はこの場所より土地レベルが20高い場所に住んでいる。人間レベルは1しかない。



サイダーの冒険

このまままっすぐ、狭い道を進む。



片方が緑の道っていいですね。ここから狭く曲がりくねった道が続いている。



原付の三兄弟が並んでいてかわいかった。次男だけ黄色である。



夏♪



狭く曲がりくねった道を抜け、完全にまっすぐな道に突入。さすがに、まだ家についていないのはおかしい。ここがどこなのかわからないが、体感では三鷹に突入している気すらある。俺は方角がわからないので、当然地図もわからない。



狭い道だ!おそらく人が歩くために、砂利の上にカバーのようなものが敷かれてある。優しい狭い道。これ以上道を外れると怖いので、往復してきました。



しばらく大きい道を歩くと、また狭めの道が現れた。ここはウォーキングを楽しむ方々が多く、写真を撮れるタイミングをしばらく伺う必要があった。



これは何だろう。



きた!最狭(さいせま)道!人と人がすれ違うのも一苦労な、土地と土地の間に何となく発生してしまった小道。狭い道の魅力として、車が通る心配がないという点があるが、これくらい狭いと正面から人が来る心配が発生してしまう。

人とすれ違うとき、どういう顔をしているのが正解だろう。じっと見つめるわけにもいかないし、かといって「こんにちは」と挨拶をするのも気が引ける。挨拶は素晴らしいことであるはずなのに、たまたま道ですれ違っただけの他人に挨拶をすることは、少々非常識のようにも感じられる。だから結局「あなたには特に関心はありませんよ」なんて表情でやり過ごすしかないのだが、やはり猛烈な一瞬の気まずさを感じずにはいられない。狭い道で人とすれ違うのは難しい。こんなことを考えているのは俺だけかもしれない。



とにかく狭い。すばらしい。



本当にここを歩いていていいのか不安になるほど、民家に近い。



最狭道も終わり、何やら賑やかそうな予感が。



あれ?見覚えがあるな…



pal…?



噓だろ



えええ???



なんと、高円寺に着いてしまいました。



阿佐ヶ谷から荻窪に向かっていたのに、どうして高円寺に着くんだ?

方角って何なんだよ…

うぜえ…



かなり疲れてしまったので、とりあえず喫茶店でひと休みすることに。

もはや滅多にない、喫煙のできるお店で、後から入ってきた中年女性が「は~やっと吸える」と煙草に火をつけていたのが印象的だった。



さあ、店を出て、またまた歩き始めることに。俺は方角がわからないが、俺なりの南の方向に進んでいくことにする。



うおー!狭い!!めちゃくちゃ狭い!!



ガラが悪くて最高



狭い



無事、狭い道を抜けることに成功。こんなにも狭い場所にいることが好きなのに、どうして物件には広さを求めてしまうのだろう。人間というのはよくわからない。



行き止まりだと思うか?俺はそうじゃないほうに賭けるぜ



ほらな



一瞬だけ人の庭を通るような感覚がたまらない



あー狭い!これくらいの狭い道が一番落ち着く。あー!狭い!良い!



ひとつ心配なのは、もう高円寺から歩き始めて30分以上が経つのに、未だにアパートやマンションが「高円寺」を名乗っている事。もうとっくに高円寺を抜け出しているはずなのに、一体どういうことだろう。

とりあえず、歩き続けてみよう。



ということで、高円寺を出発してからおよそ40分。

高円寺に到着。



日も暮れ始めたので、知ってる道で帰るとします。
めちゃくちゃ楽しかった。杉並区が好きだ。



花を育ててくれてありがとう。






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城戸

電車代をケチって何駅分か歩くことを散歩と呼んでいます。杉並区が大好きな日と大嫌いな日があります。

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