「熊無」という地域に、本当に熊はいないのか?

  • 更新日: 2020/12/15

「熊無」という地域に、本当に熊はいないのか?のアイキャッチ画像

熊無の町


石川県羽咋市の歴史民俗博物館に行った時、「熊無」という名前の地名があることを知った。熊に無いと書いて、熊無。

地図を見ると、この地域周辺は明らかに山の中。本当に熊がいないのかな?と疑問が湧いてきた。それで、1日かけて、熊探しに出かけることにした。

▼熊無の場所



そもそもなぜ羽咋市の歴史民俗博物館に来たのかについて話しておこう。僕はもともと獅子舞が好きで、石川県加賀市で獅子舞調査をしており、まとめ冊子を製作中だ。サンポーでも何度か「獅子舞マニア散歩」のコラムを書かせていただいている。それで能登半島から加賀市へ獅子舞が伝わったという記録があり、これを手掛かりに今回(2020年10月)、能登半島の羽咋市にきたというわけだ。

歴史民俗博物館に立ち寄って資料を探っていたところ、獅子舞のことはたくさん知れた一方で、熊無という地名がめちゃくちゃ気になった。博物館で資料を見終えたのが午前10時過ぎ。時間もあったし、いっそ博物館から1日かけて歩いちゃうか、ということで熊無に向けて歩き始めたのだ。




こちらが、歴史民俗博物館。羽咋駅から徒歩20分のところにある。ここから、熊無へと歩いていくことにした。google map上では10kmの道のりとなっているが、どのくらいかかるだろうか。おそらく登りが続く道となるであろう。




ふと道路を見ると、コンクリートの隙間に粘り強く生きる草を発見。自分も徒歩を頑張ろうと思う。




逆さまのUFO?宇宙との交信?妄想が膨らむライトを発見。羽咋市といえばUFO伝説でも有名だ。羽咋市に伝わる昔話で、夜中に山の周りを仏具が怪しげな光を発して飛んでいたという話がある。この仏具、「そうはちぼん」と呼ばれており、楽器のシンバルのような形をしていて、UFOそっくりらしい。それで、「ここら辺には昔、UFO来てたのかも!」と噂されるようになったのだ。




ずーっと続く、「ずーっと」の旗。




道路が赤茶色に染まっているのを見ると、北陸っぽいと感じる。冬は道路が雪に覆われて、色んな所が錆びているのかも知れない。関東ではこの光景をあまり見ない。




様々な階層の草。グラデーションができている。




だだっ広い大地。歩道は無いか、あっても草がボーボーに生えている。この地域の人々は基本的に歩くことはなく、移動手段として車を使っている。田舎では歩いて5分のところでも、車を使うというのはよく聞く話である。




道端に赤い瓦が捨てられている。石川には赤瓦の生産地がいくつかあるのだが、ここら辺の家は黒瓦が多い。島流しにでも遭ってしまったのだろうか。




石川県北部の典型的な家だ。おでこが広くのっぺりとした構造をしている。




いろんなものが貼り付けられた壁。




カタカナで横書きの「トマレ」。縦書きの「止まれ」を見慣れすぎているせいか、とても新鮮に思える。




家の軒先に、豆を干している。干し場が家に付いているとワクワクする。柿とか梅とか玉ねぎとかサツマイモとか、色々干せたら楽しそうだ。




土砂崩れの防止か?と思ったが、崖があるわけでも無い。このコンクリートの役割が気になる。




壊れてしまった石窯を発見。朽ち方が半端ない。




木が真っ直ぐすぎて、思わず凝視する。背筋がピンとなる。




畑の幾何学模様。宇宙人が描いた絵かもしれない。




この家をみていると、獣とか蛇が住み着いているような妄想ばかり湧いてくる。




イノシシが畑に入るのを防止するための柵が張り巡らされている。草と同色なので、人間も間違って触らないようにせねば。イノシシがいるなら、熊もいるのでは?と妄想が膨らむ。




この装置を電源として、柵に電気が行き渡るようになっているらしい。小さい風雨避けまで付いている。




ちょうどイノシシが入るくらいの罠が仕掛けてある。よく見ると、ピンク色のテープの目印が。霧の時などに、人間が柵の場所を認識するためかもしれない。




家からトラックが「こんにちは」と顔を出している。ほっこりする光景だ。




しめ縄のような縄が草と絡まっている。




バス待ちの小屋に貼られている看板。がめねり薬とは、すっぽんを使った薬らしい。それにしても背景のサビ具合がおどろおどろしい。




この小屋は全然使われていないらしく、蜘蛛が巣をたくさん作っている。




地表がむき出しになったダム。ぼーっと眺めていると、喉が乾いてくる。




この家は色々貼り合わせて作った感じが面白い。むき出しになった土壁にペタペタとトタンを貼っていったのだろうか。




焼畑。肥料か何かが燃えて、徐々に土に馴染んでいく。




歩道の段差に置かれているコーン。なぜこの角度で置かれているのか謎である。歩行者にカンチョーをするためだろうか。




神子原という町まで来た。彫刻刀で掘られた看板というのは珍しい。とても手先が器用な人がいたんだろうな。




トイレに行くためにスポーツセンターに立ち寄った。たまたま獅子頭が大事に保管されているのを発見。この地域にも獅子舞文化は根付いているようだ。それにしても、スポーツセンターに獅子頭があるということは、獅子舞はスポーツだと見なされているのだろうか。




それから少し歩くと、ゴミ捨て禁止の看板が。描かれているキャラクターは獅子舞だ!楽しげにゴミを拾っている。これを見たらゴミ拾いも楽しくなるかも。




ここにもゴミ捨て禁止の看板があった。先ほどの看板と違うのは、ゴミ拾いをしているらしい企業のお名前。先ほどは盛進工業だが、こちらは小倉建設である。誰がゴミを拾っているのかを明らかにすることで道が綺麗に保たれるし、ゴミを捨てる人も減るかもしれない。




羽咋市の端まで来た。ここから間も無く、富山県氷見市熊無に突入する。さて、熊は見つかるだろうか。




シェルター状のトンネル。この中で熊に出会ったら、逃げ場がないんだろうな。という妄想が湧いてくる。




ジ、ジビエ料理があった!今営業しているのかわからないけれども。ここで熊が食べられるなら、即、熊いるじゃんということになるだろう。




熊無の町はこんな感じ。道路沿いに家はまばらである。背後に山があり、森が広がっている。基本的には坂の多い地形だ。皆車で移動している人が多いのか、歩道に人がいない。


ここで、決定的な事実を発見する。




なんと「熊出没注意」の看板が!


え、熊無なのに、熊いるの..!?


この看板があるということは、熊無にはほぼ確実に熊がいる。

はっきりと「熊出没注意」と書いてあるのだ。




よーく見せてもらうと、やっぱり熊だ。

能ではない。

ちゃんと足が生えている!




右を見て、左を見て。はい、熊に気をつけて歩きましょう。




近くに、熊無簡易郵便局があった。地名を確認するまでもなく、やっぱりここは熊無である。




空は青々。疑問が解決されて、はあ、スッキリした。




また、建物からひょっこり顔を出している車に出会った。




熊無から歩いて30分くらいのところにある氷見獅子舞ミュージアム。STAFFの方に獅子舞の話を聞くついでに、一応聞いてみた。

僕:この近くに熊無っていう地名があると思うのですが。熊無に熊って本当にいないんですかね?

博物館STAFF:さあ、どうでしょうねえ(笑)

このように、流されて終わってしまった。




自分の影が長く伸びる。もう夕暮れ時だ。帰りは来た道を引き返すのは気が遠くなると思ったので、富山県の氷見駅まで歩いて電車で帰ることにした。




道端の家の前に船が置かれており、海が近いことを知った。まだ海まで数キロはあるだろうが、ここら辺には漁師が住んでいるのかもしれない。先ほどまで山に囲まれていたが、海の町に来たということだ。




日も暮れてきた。商店街の多くの店は既にシャッターが閉まっており、一日の終わりが非常に早いことを知る。もしかすると、新型コロナウイルスの関係で休業しているのかもしれないが、詳しいことはよく分からない。ひとまず、氷見市の中心部にたどり着くことができた。




熊鍋でも食べたいところだが、そういうお店は特に見当たらなかった。結局、夕飯はお寿司や今川焼きを食べた。昼ごはんを食べるのを忘れていたので、ご飯を食べられてほっとした。




夜7時、氷見駅から電車に乗って帰った。歩行距離23km、歩行時間8時間。長旅だったような気もするけど、あっという間だった。熊を実際に発見することはできなかったが、熊無に熊がいることが分かり満足である。

この日、実は氷見市の図書館に行って文献調査もしたのだが、熊無の地名の由来に言及している本は無かった。なぜ熊がいるのに「熊無」という地名になったのか。昔は熊がいなかったということなのだろうか。誰か知っている方がいたら教えて欲しい。まあ、すぐに解決されてしまうというのも味気ない。次に来る機会があれば、ぜひ熊鍋を食べに来たい。






このサイトの最新記事を読もう

twitterでフォローFacebookでフォロー

つながり散歩

#富山県の散歩 #氷見市の散歩 

いなむ

文章を書きながらも写真のアート作品を製作中。好奇心旺盛でとにかく歩くことが好き。かつてはご飯を毎食3合食べてエネルギーを注入していた。

関連する散歩

フォローすると最新の散歩を見逃しません。

facebook      twitter      instagram      feedly