冷戦期ドイツのオールドレンズが写す街:妙蓮寺

  • 更新日: 2026/05/07

冷戦期ドイツのオールドレンズが写す街:妙蓮寺のアイキャッチ画像

西陽を受けて湖面が輝くゴールデンアワー

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オールドレンズという言葉を耳にした事があるだろうか。かつてフィルムカメラで使われていたレンズをそう呼び、アダプタを介せば現代のデジタルカメラで取り付けて使う事が出来るのだ。
当然ピント合わせや絞りは全て手動で行うので慣れるまでは大変だが、まるでタイムスリップしたかのようなノスタルジー溢れる画が作れるのが魅力だ。
表題にある通り、本企画で持ち出したのはMeyer-Optik Görlitzという80年代冷戦期ドイツのメーカーが開発したレンズ。背景の丸いボケが連なって重なる「バブルボケ」が特徴だ。しかしこのボケは特定の日照条件下かつ適した対象でないと発生せず、前回は曇りだったこともあり見られずに終わってしまった。今回は上手く出せるだろうか。



撮影地に選んだのは妙蓮寺駅。何か撮りたかったものがあるのかと言われると特にそういうわけではなく、駅前に食べログ上位の絶品パン屋が向かい合わせで2件あると聞いてつられただけである。




レンズが表現する以上に目の前の景色がノスタルジーに溢れすぎている。古き良き街には昔ながらのカメラ屋さんが残っていることが多い気がする。






児童書を置いている昔ながらの書店かと思ったらどうやら違う。本屋・生活綴方(つづりかた)という、有志の方々で運営されている場所なんだそうだ。変わるがわる様々な方が交代で店主を務めているそうで、選書にも個性が溢れておりかなり見応えがあった。軒先の今はすっかり見なくなった四角いガシャポン機もたまらない味がある。




店構え以前に「まちのでんきやさん」がまずノスタルジーの一端である。きょうは平日だが、通り沿いの店先では往来の人々と度々挨拶を交わす様子を見かける。散歩中の奥様と立ち止まって話したり、群れる中学生に「きょうは休みなの?」と聞いていたりどこもそういう雰囲気。ホーム感があるというか、暮らす人々の繋がりや親しみが垣間見える。






この先の公園へと続く池畔商店街。スタイリッシュな造形の屋根にすだれが張られているのが何ともいい。靴屋の軒先では年配の店主がスピーカーから歌謡曲を流している。




商業組合か、はたまた町内会か。






この辺りの掲示物から街のあたたかさが溢れているし、「みょうれんじじょうほう」のあどけない筆跡には子どもたちと街との関係値が伺える。




見逃せなかったナイスフォント標識。




某のパン屋で己のキャパシティを忘れ狂ったように買い漁り、菊名池公園の畔でいよいよありつく。もう誰も私を止められない。




気付けば午後3時、煌々と黄金色に輝く西陽が湖面を照らす様子をレンズ越しに見る。このレンズは経年による不良で中央に白っぽいもやがある。本来ネガティブな要素だが、中央に被写体や構図の重点を持ってきたとき少し光の滲み=グロー効果が生まれるという恩恵もあることに気付いた。




寄った湖面では先ほどと対照的なキレのある画を写した。滲みがあるとはいえ、そもそもの描写が数十年前のものとは思えないほどシャープなのでこういう像も作れる。本当に面白い。つい機材レビューのような語り口になってしまうがオタクの性なので許してほしい。




公園をあとに菊名を目指して路地へと入っていく。下へと入り組んだ不思議な通路を見つけた。




マンホール下から水流の音が聞こえる。ここはかつて存在した菊名川が地下化した痕跡で、そういった場所のことを「暗渠」と呼ぶらしい。




そう言われてみると確かに川らしいつくりだ。仄暗さもあいまって川底を歩いているような感覚になる。




上がったところには答え合わせのように橋名の碑が刻まれていた。




関所の番人が監視している。




いぶかしい目線を向けられている。カメラを向けているのだから無理もない。




踏切で東横線が走り抜けていくところを眺める。かつての祖母の家のあたりを思い出すような懐かしい景色。




菊名周辺はこういった低めの線路下通路がいくつもあって見応えがある。




ちょうど3月も下旬に差し掛かるころ。街路の木々を覗きながら春の芽吹きを感じる。そして最後に美しいバブルボケを描くことが出来た。








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ISLD

フォトグラファー/パン屋Digger

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