てのひらフレンズ探訪記 白楽編
- 更新日: 2025/01/28
お前を見ていたぞ、ここに来る前からな
雑貨屋、陶器店...ふらりと立ち寄った先で偶然に出会う。ふと目が合い、物言いたげなその顔に人間味のようなものを見出しては連れて帰りたい衝動に駆られてしまう。
てのひらサイズのそれらを私はフレンズと呼んで愛でている。
けっしてどこでも出会えるものではない。ただ居そうな場所を嗅ぎ付ける嗅覚には自信がある。
皆に愛されるようにデザインされた有名キャラクターには感じ得ない、作り手のご機嫌がたまたま乗ってしまったかのような表情。そんな顔付きがたまらなく好物である。愛嬌とも可愛さとも似て非なる魅力だ。

▲写真 : 激昂するハゼ、貝殻製の脆そうなカメ、ツインシーサー
フレンズたちは我が家でひとところに集い談合している。徐々にこの輪を広げ、ゆくゆくはど◯ぶつの森よろしく小さな村のように仕立てていくことが野望である 。
まだ見ぬフレンズたちと出会い、生活のさまであったり彼らの目を通して覗く街の景色を勝手に想像してみることが本企画の目的である。
◆

今回向かうのは東横線・白楽駅。今日は祝日なので駅前が程よく賑わっており、馴染みないながらアットホームな雰囲気。

足元を見て歩く癖があるが、地面に細く差し込む光の先には大体こういう景色がある。街歩きもすっかり玄人じみてきたこの頃は路地裏センサーが鋭敏。

ステンドグラス風にレトロポップな書体があしらわれた可愛らしいアーケードはこの通りに漂う空気感をよく表している。家族連れや年配者だけでなく近くにある神奈川大学の学生とおぼしき若者たちが多く居て活気があるふうだ。


「居酒屋かめちゃん」の電光看板のところで曲がり商店街の中へ。奥にある「キッチン友」はかつて孤独のグルメでも登場した名店である。

多分君がかめちゃんで間違いないだろう。


強い陽射しが雲間で乱反射する今日、まばらに空いたテント屋根の隙間から漏れる光がほんのり場内を照らす。カメラ越しの視界で吊るしの蛍光灯がチカチカとフリッカーを起こす。LEDにすっかり馴染んだ今、この明滅に懐かしさを覚える。時が止まったかのような景色の中には出来たばかりのテナントもちらほら見える。

いる。間違いなくいる。昭和レトロな空気が漂うおもちゃ屋さんを発見しリーチが発動。


撮影をご快諾いただいたので陳列を順に見ていく。ペットボトルキャップに付いたフィギュアやガチャガチャのチャーム、キャラクターマスコットなどミニチュアサイズのフレンズたちが所狭しと並んでいる。ちょうど自分の子供の頃にタイムスリップしたみたいだ。

見つけてしまった。小憎たらしいしたり顔である。もしアニメの中ならとんでもないスピードで飛ばしていそうだ。これは何の商品かと店主さんに伺うと「昔のマックの...何だったかな...」と困っていた。なんか見た事ある気がするけどギリギリ思い出せないこの子を連れていこう。

そもそもここはどんなお店なんだろう。お会計をお願いしながら少しお話を伺う。すると店主さんはペヤングを食べる手を止めてアルバムを手に取り、開業当時の写真を見せながらゆっくりと話してくれた。
ここを始めて30年余り、きっかけは体調不良による仕事のリタイアだった。初期は自身が今までにコレクションしていた品々を並べており、ブリキ製品など価値の高い品もあったそう。元々はおじさんのフレンズギャラリーから始まったというわけだ。

店内は閉店売り尽くしの最中で、今年いっぱいで店を終うと聞いた。出会いと同時に別れを告げられるようで切ない気持ちになったが、この街にこんな店があったことをずっと覚えていたいと思う。きょう来れて良かったです、とだけ挨拶をして店を後にする。少しでも多くのフレンズたちが良い嫁ぎ先に貰われて欲しいものだ。


軒下から出る瞬間のコントラスト差に目が眩む。一定間隔でアーケードは途切れているが全てひっくるめて商店街ということで合ってるんだろうか。

連なる店の隙間に目を奪われる。高さの分だけ減光した明かりがトタンの青を返し美しいグラデーションを描く。

自らヤミ市を標榜していくスタイル 。商店街を抜け、駅を超えた先にある白幡池公園に向かう。


池の周りをぐるっと釣り人が囲っている。ビールを煽り片手間で竿を振る。端の水路で子供がザリガニを探している。自分もこんな余生を過ごしたいと思っているし今だってタモを持って水草の根元をほじくりたい。

商店街にあるパン屋さん「ラ ブティック ドゥ マモル」で買ったデニッシュを食べる。バターたっぷりの生地が陽にあたりきらめく。香ばしいピスタチオペーストが間に混ざりたまらなくおいしい。何か前から視線を感じる。

侵略者だ。小さめの侵略者がいる。

確実にパンが狙われている。トンビに代わってドローンに旋回されているようでかなり嫌だ。

ヤン車並に隣でフカしまくっている。動力源は何なんだ。いつか空飛ぶ車が発明されたら上から横からとこういう嫌がらせを受けるのだろうか。


妄想もほどほどに、日差しも強まってきたので退散。もう10月なのに焼けそうなほど暑い。駅へ向かう通りにあるたばこ屋は壁という壁を見えない部分まで使い切り何かを描いてある。
今回は遊び心溢れる街のおもちゃ屋さんでナイスな出会いに恵まれた。次なるフレンズをパーティに加えるため引き続き活動していきます。
てのひらサイズのそれらを私はフレンズと呼んで愛でている。
けっしてどこでも出会えるものではない。ただ居そうな場所を嗅ぎ付ける嗅覚には自信がある。
皆に愛されるようにデザインされた有名キャラクターには感じ得ない、作り手のご機嫌がたまたま乗ってしまったかのような表情。そんな顔付きがたまらなく好物である。愛嬌とも可愛さとも似て非なる魅力だ。

▲写真 : 激昂するハゼ、貝殻製の脆そうなカメ、ツインシーサー
フレンズたちは我が家でひとところに集い談合している。徐々にこの輪を広げ、ゆくゆくはど◯ぶつの森よろしく小さな村のように仕立てていくことが野望である 。
まだ見ぬフレンズたちと出会い、生活のさまであったり彼らの目を通して覗く街の景色を勝手に想像してみることが本企画の目的である。

今回向かうのは東横線・白楽駅。今日は祝日なので駅前が程よく賑わっており、馴染みないながらアットホームな雰囲気。

足元を見て歩く癖があるが、地面に細く差し込む光の先には大体こういう景色がある。街歩きもすっかり玄人じみてきたこの頃は路地裏センサーが鋭敏。

ステンドグラス風にレトロポップな書体があしらわれた可愛らしいアーケードはこの通りに漂う空気感をよく表している。家族連れや年配者だけでなく近くにある神奈川大学の学生とおぼしき若者たちが多く居て活気があるふうだ。


「居酒屋かめちゃん」の電光看板のところで曲がり商店街の中へ。奥にある「キッチン友」はかつて孤独のグルメでも登場した名店である。

多分君がかめちゃんで間違いないだろう。


強い陽射しが雲間で乱反射する今日、まばらに空いたテント屋根の隙間から漏れる光がほんのり場内を照らす。カメラ越しの視界で吊るしの蛍光灯がチカチカとフリッカーを起こす。LEDにすっかり馴染んだ今、この明滅に懐かしさを覚える。時が止まったかのような景色の中には出来たばかりのテナントもちらほら見える。

いる。間違いなくいる。昭和レトロな空気が漂うおもちゃ屋さんを発見しリーチが発動。


撮影をご快諾いただいたので陳列を順に見ていく。ペットボトルキャップに付いたフィギュアやガチャガチャのチャーム、キャラクターマスコットなどミニチュアサイズのフレンズたちが所狭しと並んでいる。ちょうど自分の子供の頃にタイムスリップしたみたいだ。

見つけてしまった。小憎たらしいしたり顔である。もしアニメの中ならとんでもないスピードで飛ばしていそうだ。これは何の商品かと店主さんに伺うと「昔のマックの...何だったかな...」と困っていた。なんか見た事ある気がするけどギリギリ思い出せないこの子を連れていこう。

そもそもここはどんなお店なんだろう。お会計をお願いしながら少しお話を伺う。すると店主さんはペヤングを食べる手を止めてアルバムを手に取り、開業当時の写真を見せながらゆっくりと話してくれた。
ここを始めて30年余り、きっかけは体調不良による仕事のリタイアだった。初期は自身が今までにコレクションしていた品々を並べており、ブリキ製品など価値の高い品もあったそう。元々はおじさんのフレンズギャラリーから始まったというわけだ。

店内は閉店売り尽くしの最中で、今年いっぱいで店を終うと聞いた。出会いと同時に別れを告げられるようで切ない気持ちになったが、この街にこんな店があったことをずっと覚えていたいと思う。きょう来れて良かったです、とだけ挨拶をして店を後にする。少しでも多くのフレンズたちが良い嫁ぎ先に貰われて欲しいものだ。


軒下から出る瞬間のコントラスト差に目が眩む。一定間隔でアーケードは途切れているが全てひっくるめて商店街ということで合ってるんだろうか。

連なる店の隙間に目を奪われる。高さの分だけ減光した明かりがトタンの青を返し美しいグラデーションを描く。

自らヤミ市を標榜していくスタイル 。商店街を抜け、駅を超えた先にある白幡池公園に向かう。


池の周りをぐるっと釣り人が囲っている。ビールを煽り片手間で竿を振る。端の水路で子供がザリガニを探している。自分もこんな余生を過ごしたいと思っているし今だってタモを持って水草の根元をほじくりたい。

商店街にあるパン屋さん「ラ ブティック ドゥ マモル」で買ったデニッシュを食べる。バターたっぷりの生地が陽にあたりきらめく。香ばしいピスタチオペーストが間に混ざりたまらなくおいしい。何か前から視線を感じる。

侵略者だ。小さめの侵略者がいる。

確実にパンが狙われている。トンビに代わってドローンに旋回されているようでかなり嫌だ。

ヤン車並に隣でフカしまくっている。動力源は何なんだ。いつか空飛ぶ車が発明されたら上から横からとこういう嫌がらせを受けるのだろうか。


妄想もほどほどに、日差しも強まってきたので退散。もう10月なのに焼けそうなほど暑い。駅へ向かう通りにあるたばこ屋は壁という壁を見えない部分まで使い切り何かを描いてある。
今回は遊び心溢れる街のおもちゃ屋さんでナイスな出会いに恵まれた。次なるフレンズをパーティに加えるため引き続き活動していきます。