国立(くにたち)を散歩しました

  • 更新日: 2019/12/19

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線路脇のピアノパブ

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国立市、国立駅に来ました。
初めて来た。



言われ尽くされていることではあるけれど、国立という名前。ここは日本国における何なのか、と思うんだけど、戦前ここが開発されたときに国分寺駅と立川駅の間だったから一文字ずつ取って国立駅となり、そのまま一帯が市になったから国立市になったという、それは大丈夫なのか、みたいな由緒を持ちます。

もっとも、複合駅名的に、ふたつの名前を組み合わせるというのはよくあるといえばあるのですが、国立っていう字面はずるい。
何がずるいって、ものすごく公式に見える。



例えばここには国立の写真店がある。
国民が所有するデジカメのプリントなどもやってくれるみたい。



国立の診療所がある。
歯科などを扱う。



国立の風月堂ビルがある。



国立の中村月極駐車場がある。



国立の工房。
国が毛皮の製造にまで手を出している。
共産主義国の可能性が出てきた。労働者よ、団結せよ!



国立のデパート。
グム百貨店というのがロシアにあって、ソビエト連邦時代は国営百貨店だった。
物資欠乏を起こさない店舗として内外に示す役割も持っていたという。



たまに本当の国立もある。
と思いきや、これも国立(くにたち)音楽大学という私立大です。
もっとも、この大学は昭和元年に創立された由緒ただしい大学で、卒業生に久石譲さんなどが居るのだそう。



一方で、こころある者はひらがなに開いて「くにたち」と書く気がする。



まあ、いいのですが。

国立の字面ずるいという話はこのくらいにして、そろそろスタートです。


国立駅前と文教地区



降りてすぐの、文教地区宣言。
文教地区に指定されていて、この街にはパチンコ店やホテル、風俗店が無い。
米軍基地を持つおとなりの立川市が朝鮮戦争で景気が良くなって、国立にもそういう空気が進出してきたときに、市民が運動をはじめたんですって。



駅の南側、放射線状に伸びる道は綿密な都市計画の香りがしますが全くその通りで、ここは1930年代に新しく開かれた高級住宅街でありました。主導した事業者はコクド(西武)です。



学園都市構想に基づき、1927年には一橋大学(当時は東京商科大学)を誘致します。



そんな土地柄ですので、文教地区というのはとてもしっくりくる。



あれもダメこれもダメってわけではなく居酒屋などは普通にあるし、



いきなりステーキもあった。
いきなりステーキが文教地区に引っかかるかどうかは知らんけど。
なんとなく引っかかりそうな気がしたので、あってよかった~!


国立駅の南側

さて、駅南側の放射状からちょっと外れたあたり。
文教地区っぽさは無く、普通の路地裏の感じ。



路地裏には国立の威光は届かないのか、テキサスって書いてありました。
「国立」の反対語な気がします。




ところで住所、このあたり「東」なのです。あとで出てくるのですが、このほかに「中」「西」「北」があります。
あんまりかしこくないAIでも配達業務できそうでいいですね。




いい鋭角だ。
たぶん建築制限のせいで、先端まで建物を建てられず、土地が余ってしまいます。
余った場所で何をするか、というのはとてもセンスが問われるのですが、ここはポスト。素晴らしい。
その後ろに、逆向きの自販機も配置されています。
道のほうに向けると、ちょうどお金を入れるところがポストに架かってしまうからなのかもしれません。

一方で、建物の先端はタバコ屋の窓口になっています。
建物の一番細い部分に窓口もしくは玄関という構造は実はよく見ます。ほかの生活空間を大きく取りやすい。
ただその場合、ふつう、余った土地にものを置かないんです。だって、人の出入りがあるところに何かあったら邪魔じゃないですか。
だからこれは、うわ~置いたな~!!!! という感じのものです。

国立駅の南側は放射状の道があり、一方で碁盤の目の道もありますから、結果的に鋭角がたくさん出来て良いですね。



花壇、室外機。これも良かった。


ところで、放射状の斜めの道がうまいこと碁盤の目の交差点を貫くと、それは六差路になります。
とてもすばらしいことなので見に来ました。

Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA






窓と窓の残留思念。




さて、駅からまっすぐに伸びる大学通り。



もちろん、一橋大学があるからであります。




大学通りの街路樹。
十分なスペースを確保しているから、公園の木のように見事。



というかよく変なマンションがやっつけで作る小さな緑地公園よりは確実に広い。



街の余裕を感じる。




この街に悩みなんてあるの?




ありそうだな。
信号まもれ。守らない人が居るから書かれる。




路上喫煙をする人がいるから書かれる。
そして剥がれる。




さっき出せば良かったんだけど、今日いちばんスケールの大きかった国立。
国立地球屋。


国立駅の西側



中だ。
遂に国立の核~コア~に到達したのだ。
そこには何があるのか。




そこには、白黒きっちりついたバーミヤンの裏側があった。




終端で木が駆り出されているチェーンがあった。




百の位が隠れてドキドキする駐車場があった。
えっ、幾らなの??



あ、安。




いい根押したい。




おおっ。おお。おお~。
なんだろう。この建物。一橋大学関係のようだけど。




職員宿舎なのかな。




入れないから周りをうろうろする。
築50年くらいだろうか。




ベランダに雨よけの庇が一律でついてたのかな。
衛星チャンネルのパラボラアンテナから人の気配はする。




白線ってこんな自由度あったっけ。




ちょっと古い町並みになってきたな。


中商店街



ここで広い通りに出る。中商店街ですって。住所「中」の商店街なんでしょう。
ところで「微笑みの」って何だろうな。




まさかドラッグストアスマイルのことだろうか。




国立の顔。




なんだろう。
うまく言えないが、この奥に、闇にうごめく何か動物性のものを感じた。




いつのまにか道路の名前が「富士見通り」になってる。富士山見えるのかな。




商店街もすぎ、また高級な住宅街。




自転車もお高く停まっています。
お高すぎませんか?




自転車のドラッグアンドドロップでしょうか。


国立駅の北側



そろそろ高架を潜って北へ行くか。




「北」についた。
分かりやすくていいと思う。




あれ? 国分寺市だって。
実は国立駅の北はすぐに国分寺市になってしまう。




しかし高級住宅街であるところの国立を名乗る建物たちがいる。




ひねくれ男がおりまして、ひねくれ道を歩いていくと



パキッ



ファサッ




こうやるとバスが来ない魔除けかな。


鉄道総合技術研究所と引き込み線跡



そうだ。
この辺一帯に、JRの鉄道総合技術研究所がある。



そういえばさっき見た地名「光町」は新幹線ひかり号のことらしい。
町名整理のとき、東海道新幹線の開発研究をここで行っていたのだそう。




かつて中央線から研究所まで引き込み線があって、その跡がまだ残っている。




研究所へ向かう側。




こちらが中央線へ向かう側の線路跡なんだけど、これ見て。
線路跡すれすれにアパートが建っていて、そこの階段が、おそらくJRの土地である線路跡を跨いでいる。
これは私設の跨線橋と言っていいのでは。
素晴らしいものを見た。




さらに中央線のほうへ歩くと、線路跡は「ぽっぽみち」という歩道になっている。




自転車進入禁止。
かつて電車が通ってたくせにかい!?




自転車が通っては駄目なわりに、自転車の速度を下げるかのような蛇行。
なんか線路っぽさが全然残ってない。



あっ、これ枕木で作ったとかかなあ。



全然違ったですね。中村製作所の製品でした。
ぽっぽみち、線路感ゼロかよ。東急見習ったほうがいい。



あっようやく線路跡っぽいのが出てきた。
やればできるじゃん!




軌道がちゃんと残っていた。
JR中央線が見える。
中央線はもう高架になっているけれど。




片手袋かなと思って近寄ったら片手袋前だった。




おっ。こんにちは。




駅が近い。
nonowaってのは中央線の高架下でたまに見る商業施設。




そんなこんなで国立駅に戻ってきましたとさ。


高架沿いの路地が良かった



JRの高架に沿ってある、富士そばを含む薄い建物。
これは高架化の前からありそう。
線路脇の建物だったんじゃないかしら。



その建物と高架の間には微妙な隙間があって、おそらく高架化したことで成立した谷。
これが良かった。



きっとこれは、かつての車窓からの景色。



ピアノパブだって。もうやっていなさそう。



確かな線と、ふたしかなせん。



庇があったよう。





住居っぽい作りになっているところもある。





とても良い隙間でした。




目のバランスをとるために駅前のでっかいコメダを眺めよう。



もう帰る。



さようなら国立。
さようなら。







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ヤスノリ

街の歪み研究家。1年に100駅以上降りる。駅を制覇する系のアプリは本気出せば結構なとこまでいくと思うのだけど、毎回起動を忘れる。

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