【日暮里】何もない高架下で無を眺める
- 更新日: 2019/02/21
なんもない高架下は今だけかもしれない。
高架下。
特に首都圏の鉄道は、交通渋滞や事故を減らすため、また住宅街などを縫って走るためなどの理由で、高架になることが多くあります。
高架の下には、高架下という空き地ができます。

▲水道橋駅付近
高架下の活用というのは昔から考えられてきました。
例えば山手線は戦前から高架になっていたので、古い高架下店舗があります。

▲中目黒高架下

▲2k540
中目黒高架下や秋葉原の2k540など、あたらしいショッピングモールや文化発信地として活用する事例もあります。
その他には駐車場・駐輪場、何かの資材置き場、鉄道職員さんの事務所などに活用されているのが高架下の基本的な生態なのではないかと思います。
なにかと使われている高架下。
そうなってくると逆に、全然活用されてない高架下はどんなことになっているんでしょうか。
ところで、何も無い高架下って都内にあるかしら。
それで思い出したのが、日暮里です。

京成線の日暮里から町屋までのエリアはお店や住居で埋まっており、その佇まいはカオスでとても味があったのですが、数年前の耐震工事によって現在は無の空間が広がっています。
2019年現在の都心において、これだけまとまった"無"ってなかなかないのでは。

というわけで、無の高架下を眺めるために京成線日暮里駅にやってきました。
ここから、町屋のほうへ歩いてみます。

行くぞ!
エイ、エイ、無~!

常磐線と立体交差する金杉踏切までやってきました。
遠くに新しい灰色の高架がチラッと見えてきます。
無がはじまる合図です。

さて、本当になんにもなくなってしまった高架下。
そこは高いフェンスで完全に覆われています。
このような形で、数年のあいだ、人から完全に隔離された空間がここにはあります。

文明の束縛を離れ、生き物たちが躍動しているようにも見えます。

しかし人間の活動というものは直接的、もしくは間接的に、環境に影響を与えます。

このような断絶状態においても、人の痕跡はフェンス越えることを試み、染み込んでいきます。

ところで、高架下を抜ける道の存在によって、無はいくつもの「小無」に分断され、それぞれがフェンスで囲われています。
付近の住民の活動や立地条件などが、それぞれに、幾ばくかの個性を植え付けます。

例えばこのエリアは、同じ紙がいっぱい捨ててありました。

ははーん。
西日暮里にほど近いあるエリアなので、このフェンス内は「放置自転車撤去警告」が溜まっていく。

一台しかなかったから、この自転車の独り相撲の可能性もあるけど。

別のエリアには、白いプレートが落ちています。

しかもハエがたかっていて、生臭いような匂いもする。

多分だけどこのエリアには猫と猫を愛でる人がいる。

ここにはキャップと、

iTunesカード。

別のエリアにはマスクと、

サクマキャンディ。
ちょっとしたストーリーが想起されそうな取り合わせ。

ここはカフェイン飲料と、

iTunesカード。荒川区はiTunesカード人気なの? ティッシュと一緒に配ってんの?
まあ、このように、それぞれの無に、ほんのり何かしらの個性が芽生えてきているようで楽しい。
まずは、能動的なゴミについて考えてみます。

とかいって、基本的には、繁華街に近いエリアにおいても、フェンス内はとても綺麗でした。
よっぽど民度が高いか、掃除をしているかですが、まあ、きっと後者でしょう。

先ほど「数年間断絶している」と申し上げましたが、定期的に清掃が入っている可能性があります。
それの状況証拠として、保護色のゴミの多さが目につきました。


人間がゴミ拾いをしているとすれば、保護色のために取りこぼしたゴミが相対的に多くなります。




あ、これうまいな、という隠れ方をしているゴミが多かったので、そう思いました。

一部こういう無法地帯もあって、追い剥ぎの住むエリアかな? と思ったのですが、たぶん清掃が入っていないんでしょう。
まったく掃除をしないと、どこもこんな感になるのではないでしょうか。

小さく小さく畳まれたペットボトル。フェンスの穴に入るようにかしら。
上からポンと投げ入れるのは気が引けるとか?
そこまでするなら家で捨てなよ。

不法投棄について明示的に注意書きを貼っているエリア。過去にひどいことをされたんでしょう。

フェンスもちょっと高くなっている。

厳重なエリアでは、植物がのびのびとしていて良かったです。

これはエリアに侵入していると見ていいのか、どうなのか。
テニスでいうところのオンザラインみたいなゴミも多い。

オンザラインというか、ですけども。

何でインとアウトで分かれたのか。
あとから国境ができたの?

お前だけなぜアウトなのか。
いや両方アウトだけども。
ゴミ問題について擁護、擁護にはならないかもしれないけど、ひとつあるとすれば、フェンスの一面がゴミ集積所になっていることが多くありました。

それでまあ、ゴミを引き寄せてしまう、みたいなことは、あると思います。オンザラインのゴミのいくつかは、それかもしれません。
多分能動的に捨てたのとは違うんじゃないかな、と思うものです。


干してたんですね。
フェンス、便利ですもんね。
この日は風がめちゃくちゃすごかった。
道路側に落ちてくれれば良かったのにねえ。これどうするんだろ。

裏のお宅から飛んできたんでしょうか。

I am a ball.

I'm from school.

靴もあった。蹴ったときすっぽ抜けたか、ふざけてたら入っちゃったか。

椅子もね。うっかり入ることありますね。
無いわ。なんだこれ。不法投棄?

にぎやかなフェンス。フェンスの使い方にも個性が出そうです。

母の日にもらったにしても、そのまま路上デビューさせる?
あ、えっと、京成高架下におけるフェンスの個性、以上です。
えーっ! って、僕も思った。
いや、驚くことに、フェンスで何かをしている、というのが日暮里~町屋間で、本当にこれくらいしか無かった。
これは異常事態です。
荒川区ですよ?
こんなにフェンスがあったら勝手に使って園芸みたいなのガンガン仕掛けてくるじゃないですか。
どうしちゃったの?
あるはずのものが無いことは怖い。なんの力(パワー)だろうか。

一方で常磐線沿線はフェンス越えて攻めていた。
なんというか、文字通り一線越えてるからね。
荒川区はこのくらいのポテンシャルはあるんですよ。
京成沿線、どうしちゃったの?

日暮里ちかくの道は「ルートにっぽり」と書かれていた。
なんだろ、この平和な感じ。
にっこりと似てるからかな。

出るのか。
全然にっこりできないな、日暮里。

この遠近の感じから推定すると、身長5mくらいあるんじゃなかろうか。
巨人の子供。
まあ、巨人の子供も判断力とか未熟だから飛び出すよね。
道の向こうのお母さん巨人見たら飛び出しちゃうよね。

新三河島の駅と明治通り。

高架下近くにお寺がある。真昌寺だって。

これめちゃくちゃびっくりした。こういうのやめてほしい。

佇まいよ。額にゴルバチョフみたいなシミがあるのもいい。

これ、 尾竹橋通りと京成が交差する花の木交差点なんですけど、このままプラモで売ってるんじゃないかってくらい出来上がっている。
京成町屋駅の開業は昭和6年で、高架はそれからずっとある。

頭上も良かった。

ちなみに高架の側道は藍染川通りという名前。
藍染川という川というか人工水路が大正時代にできて、京成の高架はそこに沿って作られました。
藍染川は今は暗渠になっていて、町屋の三河島水再生センターへ続いているとのこと。

このあたりは駐車場のまま残されていた。入り口はなかったので閉鎖されていそう。
駐車場なら、耐震工事終了後すぐに再開できそうなものだけど、なんか事情があるんだろうか。

一方で、すでに使われている駐車場もあった。
タクシーの駐車場になっている。
あれ、無じゃない!

駐輪場が稼働している。
有~!


町田のあたりはすでに店舗が入っていました。
新しいお店、新しいプレハブ。

保育園もある。認可保育園とのこと。
最近、高架下保育園はたまに見るようになったな。

この新しいエリアも保育園のような気がする。


いま作り終わった感じ。
無から有へ。

こんな感じで、京成高架下はだんだん立ち上がってきていた。

無は、今だけかもしれないなあ、と思いました。
特に首都圏の鉄道は、交通渋滞や事故を減らすため、また住宅街などを縫って走るためなどの理由で、高架になることが多くあります。
高架の下には、高架下という空き地ができます。

▲水道橋駅付近
高架下の活用というのは昔から考えられてきました。
例えば山手線は戦前から高架になっていたので、古い高架下店舗があります。

▲中目黒高架下

▲2k540
中目黒高架下や秋葉原の2k540など、あたらしいショッピングモールや文化発信地として活用する事例もあります。
その他には駐車場・駐輪場、何かの資材置き場、鉄道職員さんの事務所などに活用されているのが高架下の基本的な生態なのではないかと思います。
なにかと使われている高架下。
そうなってくると逆に、全然活用されてない高架下はどんなことになっているんでしょうか。
ところで、何も無い高架下って都内にあるかしら。
それで思い出したのが、日暮里です。

京成線の日暮里から町屋までのエリアはお店や住居で埋まっており、その佇まいはカオスでとても味があったのですが、数年前の耐震工事によって現在は無の空間が広がっています。
2019年現在の都心において、これだけまとまった"無"ってなかなかないのでは。
日暮里の無

というわけで、無の高架下を眺めるために京成線日暮里駅にやってきました。
ここから、町屋のほうへ歩いてみます。

行くぞ!
エイ、エイ、無~!

常磐線と立体交差する金杉踏切までやってきました。
遠くに新しい灰色の高架がチラッと見えてきます。
無がはじまる合図です。
無のなかの個性

さて、本当になんにもなくなってしまった高架下。
そこは高いフェンスで完全に覆われています。
このような形で、数年のあいだ、人から完全に隔離された空間がここにはあります。

文明の束縛を離れ、生き物たちが躍動しているようにも見えます。

しかし人間の活動というものは直接的、もしくは間接的に、環境に影響を与えます。

このような断絶状態においても、人の痕跡はフェンス越えることを試み、染み込んでいきます。

ところで、高架下を抜ける道の存在によって、無はいくつもの「小無」に分断され、それぞれがフェンスで囲われています。
付近の住民の活動や立地条件などが、それぞれに、幾ばくかの個性を植え付けます。

例えばこのエリアは、同じ紙がいっぱい捨ててありました。

ははーん。
西日暮里にほど近いあるエリアなので、このフェンス内は「放置自転車撤去警告」が溜まっていく。

一台しかなかったから、この自転車の独り相撲の可能性もあるけど。

別のエリアには、白いプレートが落ちています。

しかもハエがたかっていて、生臭いような匂いもする。

多分だけどこのエリアには猫と猫を愛でる人がいる。

ここにはキャップと、

iTunesカード。

別のエリアにはマスクと、

サクマキャンディ。
ちょっとしたストーリーが想起されそうな取り合わせ。

ここはカフェイン飲料と、

iTunesカード。荒川区はiTunesカード人気なの? ティッシュと一緒に配ってんの?
まあ、このように、それぞれの無に、ほんのり何かしらの個性が芽生えてきているようで楽しい。
無の高架下とゴミ問題
すでにゴミばっかり扱っていて今更感ありますが、フェンス内に染みこんだ人の痕跡は以下の2種類に大別できます。・能動的に捨てたもの
・うっかり入ってしまったもの
まずは、能動的なゴミについて考えてみます。

とかいって、基本的には、繁華街に近いエリアにおいても、フェンス内はとても綺麗でした。
よっぽど民度が高いか、掃除をしているかですが、まあ、きっと後者でしょう。

先ほど「数年間断絶している」と申し上げましたが、定期的に清掃が入っている可能性があります。
それの状況証拠として、保護色のゴミの多さが目につきました。


人間がゴミ拾いをしているとすれば、保護色のために取りこぼしたゴミが相対的に多くなります。




あ、これうまいな、という隠れ方をしているゴミが多かったので、そう思いました。

一部こういう無法地帯もあって、追い剥ぎの住むエリアかな? と思ったのですが、たぶん清掃が入っていないんでしょう。
まったく掃除をしないと、どこもこんな感になるのではないでしょうか。

小さく小さく畳まれたペットボトル。フェンスの穴に入るようにかしら。
上からポンと投げ入れるのは気が引けるとか?
そこまでするなら家で捨てなよ。

不法投棄について明示的に注意書きを貼っているエリア。過去にひどいことをされたんでしょう。

フェンスもちょっと高くなっている。

厳重なエリアでは、植物がのびのびとしていて良かったです。

これはエリアに侵入していると見ていいのか、どうなのか。
テニスでいうところのオンザラインみたいなゴミも多い。

オンザラインというか、ですけども。

何でインとアウトで分かれたのか。
あとから国境ができたの?

お前だけなぜアウトなのか。
いや両方アウトだけども。
ゴミ問題について擁護、擁護にはならないかもしれないけど、ひとつあるとすれば、フェンスの一面がゴミ集積所になっていることが多くありました。

それでまあ、ゴミを引き寄せてしまう、みたいなことは、あると思います。オンザラインのゴミのいくつかは、それかもしれません。
そうなってしまったもの
次に、ゴミではないもの。多分能動的に捨てたのとは違うんじゃないかな、と思うものです。


干してたんですね。
フェンス、便利ですもんね。
この日は風がめちゃくちゃすごかった。
道路側に落ちてくれれば良かったのにねえ。これどうするんだろ。

裏のお宅から飛んできたんでしょうか。

I am a ball.

I'm from school.

靴もあった。蹴ったときすっぽ抜けたか、ふざけてたら入っちゃったか。

椅子もね。うっかり入ることありますね。
無いわ。なんだこれ。不法投棄?
フェンス

にぎやかなフェンス。フェンスの使い方にも個性が出そうです。

母の日にもらったにしても、そのまま路上デビューさせる?
あ、えっと、京成高架下におけるフェンスの個性、以上です。
えーっ! って、僕も思った。
いや、驚くことに、フェンスで何かをしている、というのが日暮里~町屋間で、本当にこれくらいしか無かった。
これは異常事態です。
荒川区ですよ?
こんなにフェンスがあったら勝手に使って園芸みたいなのガンガン仕掛けてくるじゃないですか。
どうしちゃったの?
あるはずのものが無いことは怖い。なんの力(パワー)だろうか。

一方で常磐線沿線はフェンス越えて攻めていた。
なんというか、文字通り一線越えてるからね。
荒川区はこのくらいのポテンシャルはあるんですよ。
京成沿線、どうしちゃったの?
京成高架下を彩るものたち
ところで今回は、日暮里から町屋を越えて荒川まで歩いたんだけど、高架下沿いの道も味わい深かったから見てほしい。
日暮里ちかくの道は「ルートにっぽり」と書かれていた。
なんだろ、この平和な感じ。
にっこりと似てるからかな。

出るのか。
全然にっこりできないな、日暮里。

この遠近の感じから推定すると、身長5mくらいあるんじゃなかろうか。
巨人の子供。
まあ、巨人の子供も判断力とか未熟だから飛び出すよね。
道の向こうのお母さん巨人見たら飛び出しちゃうよね。

新三河島の駅と明治通り。

高架下近くにお寺がある。真昌寺だって。

これめちゃくちゃびっくりした。こういうのやめてほしい。

佇まいよ。額にゴルバチョフみたいなシミがあるのもいい。

これ、 尾竹橋通りと京成が交差する花の木交差点なんですけど、このままプラモで売ってるんじゃないかってくらい出来上がっている。
京成町屋駅の開業は昭和6年で、高架はそれからずっとある。

頭上も良かった。

ちなみに高架の側道は藍染川通りという名前。
藍染川という川というか人工水路が大正時代にできて、京成の高架はそこに沿って作られました。
藍染川は今は暗渠になっていて、町屋の三河島水再生センターへ続いているとのこと。

このあたりは駐車場のまま残されていた。入り口はなかったので閉鎖されていそう。
駐車場なら、耐震工事終了後すぐに再開できそうなものだけど、なんか事情があるんだろうか。

一方で、すでに使われている駐車場もあった。
タクシーの駐車場になっている。
あれ、無じゃない!

駐輪場が稼働している。
有~!


町田のあたりはすでに店舗が入っていました。
新しいお店、新しいプレハブ。

保育園もある。認可保育園とのこと。
最近、高架下保育園はたまに見るようになったな。

この新しいエリアも保育園のような気がする。


いま作り終わった感じ。
無から有へ。

こんな感じで、京成高架下はだんだん立ち上がってきていた。

無は、今だけかもしれないなあ、と思いました。