数十年ぶりに地元をうろうろしてみる

  • 更新日: 2022/07/28

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休憩中の「駐車禁止」

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こんにちは。広島生まれだけど2週間ほどで大阪に引っ越したので、「出身はどこですか」と聞かれたら広島と大阪、どちらと答えるべきか迷って45年。高下龍司です。真夏に真冬のかっこうで失礼します。



大阪の住吉という地域に実家があり30年ちょっと過ごしたのだけど、高校生にもなると地元をうろうろする機会は減り、社会人になろうものなら家と駅の往復だけになってしまった。

さらに実家を出て、この町にも年に1度帰るかどうかになり、はてには5年前に実家が引っ越してしまったので、もはや訪れる理由がなくなった。

散歩することにより生まれ育った地の、いやだから生まれてないんだって。育った地の“今”を確認し、過去に思いを馳せつつ折り合いをつけようと最寄駅である南海電鉄・住吉大社駅に降り立った。





え、ちょっと待って。なに、すみっコよし大社って。



どういうこと??

すみっコぐらしと南海電車のコラボレーション

期間中は、沿線での楽しい催しやコラボ企画が目白押し。


そういうことでしたか。ネーミングライツを導入したのかと思った。
気をとりなおして改札を出る。




毎週月曜、学校へ行く前にジャンプを買ってた売店がセブンティーンアイスになっちゃった。




階段を降りると高架下にはショップ南海という商店街のような商業施設がある。南海電鉄沿線各駅にチェーン展開し、物心ついたときからあったのでその歴史はなかなかに長い。
カメラ屋さんが携帯ショップになったりレンタルビデオ店が100均になったり、時代にあわせて変化しつつ存続している。



ただこのロッテリアはずっとあって、おそらく小学校低学年のときに突如としてオープンし、ついにおらが村にもハンバーガーショップっちゅうハイカラなもんができたっぺと大騒ぎになった覚えがある。



駅前のデイリーヤマザキは元々サンチェーンというコンビニだったと思っていたけど、あらためて調べるとサンチェーンはローソンに吸収されているので、もしかしたらサンエブリーだったかもしれない。

しかし吸収以前にサンチェーンが潰れ、そこにデイリーヤマザキが入った可能性もあるので、かならずしもそうとはいえない。だめだ、語り継いでいくには記憶力がなさすぎる。




左を向くと目の前には住吉大社が見える。
全国の住吉神社の総本社だけあって、初詣ともなると全国でも5本の指に入るほどの人手になり、周辺はえらいことになる。

実家も徒歩で5分もかからない場所だったので、正月と夏祭りの日はもみくちゃになった。「もみくちゃ」ってすごい表現だな。もんでくちゃくちゃになるんだぜ。




居酒屋の排煙ダクトがかっこいい。ブラックテイルダブルドラゴンみたいな名前で遊戯王カードにあってもおかしくない。




かたや味わい深い「クツの病院」。イラストと文字のかけ離れかたがいい。いわゆるギャップ萌えのたぐいではないか。文字の感じからして裏側に「みつを」って書いてないかな。




路地に入り、元実家の方に進む。毎朝駅まで全力ダッシュしてた思い出しかない道。
もともとあった民家がリフォームしてきれいにはなっているが、ほぼ変わりない風景である。




そういえば高校生くらいまでこのあたりにラブホテルがあったんだけど、住宅地だからかビジネスホテルのようなシックな看板だった。

ではビジネスホテルなのではと思うかもしれないが、いちゃいちゃした男女が入っていく場面を何度も目撃しているのでまちがいないだろう。いちゃいちゃした男女はビジネスホテルには入っていかない。




よく見るとどちらもタイヤの空気が抜けていたりサビや塗装のはげ具合がここ最近のものとは思えない。10数年前からここに放置されていてどんどん風化しているような、ミステリー要素を見出そうと思えば見出せるけれど、見出さずに進もう。




道路にはみ出さぬよう徹底されたななめ駐輪。
あと、高校の友達が家に遊びに来て帰るとき、乗ってきた自転車の前輪が「く」の字を超えて「6」の字まで曲がっていて絶望する友達を横目に大笑いしたこともこの道の思い出に付け加えておこう。




そこに南京錠がついているとは思わなかった。




あっ、あれは……



景観に配慮したていねいな仕事だ!




細いから細井川ってなんてそのまんまなんだろうと思っていた川。近くには同名の路面電車の駅もある。



うそ!? 細江川だったの?? いつから??



よかった、駅は細井川だった。




同じ駅なのに屋根とイスがあったり掲示物が充実していたりと、片側の優遇っぷりがすごい。




川の上は鉄橋になっているのだけど、ここだけ柵がないからナチュラルに恐い。
小学校のころ、度胸だめしで渡って向こうまで行こうという話が幾度となく出たが、成功した者はいなかった。誰もチャレンジしていないから。

ルートを決めていなかったけど、とりあえず学校のほうへ向かおうか。




あっ、友達の家が駐車場になってる!




あっ、交番がクリーニング屋さんになってる!



いや、あった。




スーパーじゃなかった場所にスーパーができると、そこはもう立派な知らない場所である。ここどこ!?




オパールのロゴがかわいい。「オハール」と読んでしまいそうになるほど大きい◯がデザイン的だ。看板の具合からしてたぶん昔からあったんだろうけど、まったく目に入ってなかったな。




これは完全に見覚えがある。ベルサイユ宮殿みたいな門扉がめちゃめちゃしびれる。




やった、かっこいい四叉路だ!




ものすごい鋭角。グングニルくらいとんがってるな。オーディンもびっくりである。




学研のホーム百科事典がまとめて捨てられている。なにかふんぎりがついたのだろうな。




あの角が中学校なのだけど、工事をしているようだ。
潰してマンションでも建てるのかな。



無事だった。
ちなみにちょうど下校時間で学生がわらわらと出てきたのだけど、奇跡的に誰もいないタイミングで写真が撮れたのでこれが本日の奇跡の1枚である。




こんなかわいいキャラクターが盗もうとしているのかと思った。




こぼれイクラ丼を彷彿とさせる生えかた。




全国的に減少している一灯点滅式信号機がLEDに変更されていた。撤去されずにがんばってほしい。




壁に埋め込むタイプの新聞受けだ。「新聞受」の書体がかっこいい!




コロナ禍において「人形+マスク」という新たなユーモアのテンプレートができあがっている。このたぬきも謎の高熱が流行ったらおでこに熱さまシートを貼られるのだろうな。




本屋さんが閉店してなお主張する「本」の文字。なにか既視感があると思ったらキン肉マンの「肉」と同じことだな。




2色印刷かと思うくらい色褪せたポスターが逆にかっこいい。




警察の電話番号を貼り出しているだけでめちゃめちゃ物騒に思えてくるから不思議だ。
町で警察官を見かけたら姿勢を正しちゃうのとなにか関係があるのだろうか。




気になる小窓。ひさしがついているということは開いてなにかが出てくるのだろうか。質屋の窓口だったらいやだな。




ハイセンスな当て字店名。ニコライさんが中華鍋をふるっていてほしい。




小学生のころ「ゴーゴーマンション、フッフー ゴーゴーマンション、フゥワフゥワ」と勝手にテーマソングを作って、前を通るたびに歌っていたものである。友達が住んでいるわけでもないマンションのテーマソングを勝手に作るんじゃない。



ちなみにマンション55は壁のタイルの切り替えが美しい。




リップスライムを辞めてから駐車場の経営をはじめたのかと思った。




かわいらしいフォントや装飾テントとはうらはらに扉のメタル感よ。




遊び尽くされたバッタ。うんていになった触角だけが塗り直されたのかきれいになっている。本体も塗ってあげたい。




背中に乗るんじゃなくて口の中で遊ばせる発想はなかった。




ガス管ステッカーがボーイスカウトの追跡サインみたい。
「遅くなるので晩ごはんいりません」とかじゃない?




中畑清が若い!




こちらは休憩中の「駐車禁止」。もしくは駐車奨励勢にやっつけられたかどちらかだ。
どちらにせよ今なら駐車してもバレなさそう。




大きく迂回してここからまた駅への道。
少し高いところにある踏切を渡るために階段とスロープが設けられている。この短い階段と長いスロープのバランスがとてもいいのだけど、上りも下りも駅が近く、特に上り側は駅に停車する前から警報が鳴りだしてしまう。

ゆえに上りがもたもたしている間に下り電車が来て、上りが通り過ぎたと思ったら急行なんかがぶわーっと走ってきていわゆる開かずの踏切となってしまうのだ。スロープに自転車が列をなす姿は圧巻である。




もちろん反対側も同じように。
自転車を全力でこいでスロープをくだるのが爽快なのだけど、小学生当時は子ども用のモトクロスタイプの自転車が流行っていたこともあり、あえて階段をワイルドにくだるのがかっこいいと信じてやまなかった。歩行者には迷惑な話である。




当時と建物がほぼ全とっかえになってしまったんだけど、懐かしい雰囲気が残っているのはどこかで記憶を重ねているのだろうか。




ここで再び細井川(細江川)が登場。あいかわらず細い。




橋を越えると昔はここに「電気温泉」という少しばかり広めの銭湯があり、よく通っていた。その名の通り電気風呂がウリとしてあって、あとは湯がカラフルなライトで照らされたジェットバスなんかがあったと記憶している。

風呂上がりはきまって当たりつきの瓶のスコールを飲んでいた。むしろスコール飲みたさに行ってた可能性は否めないが、飲み物としてより「当たりつき」のほうに夢中になっていたのは秘密である。軽度のギャンブル依存症だ。




川と元銭湯の間が細井川よりも細い路地になっていて、なんとか通ることができるようになっている。



ただ大人がなんとかすれ違えるくらいの幅しかない。向かいからヌーの群れが来たら完全にアウトである。




これこそボーイスカウトの追跡サインじゃない!? 「大きいほうのスーパーに行ってます。母より」みたいな。




路地を抜けると堀に囲まれた神社が出現。かっこいい。




これ水堀だったらドラクエ3のアリアハンの城みたいなのにな。




神社に火の用心川柳。




この浅澤社は住吉大社の末社にあたり、道路を隔てたすごそこに住吉大社がある。なお、その住吉大社は全国約2,300あまりある住吉神社の総本社らしい。そんなにあったら数えるのがたいへん。




その住吉大社に裏口から潜入。入って左手に大きな武道館があり、その隣には弓道場もある。小学生のころはクラスメイトがこぞって少林寺拳法を習いに行っていた記憶がある。私は習わずにファミコンばかりしていた。




南京玉すだれも教えてくれるって! あ、さて!あ、さて!




ここは仲間内で「ハゲ山」と呼ばれていて、当時は草も生えておらずこれの5倍くらいの高さがあり、まさに山だった。それがいつからか、危ないから削られたのかわからないけれどこの高さになってしまった。これは山ではなく丘だ。ハゲ山が緑ヶ丘になったのだ。今の小学生には「グリーンヒル」と呼ばれててほしい。




灯籠がめちゃくちゃあって、そのなかでもこの二連のやつは遊ぶのにちょうどいい広さと隠れやすさを兼ね備えていて人気だった。登っておにごっこしたり腰掛けてゲームボーイやったりしたけど、灯籠って登っていいんだっけ?




参道と参道じゃない道が交差するところに毎日たこ焼きの屋台が出ていて、おそらく定年退職しているであろう夫婦がきりもりしていた。昨今のお祭り屋台の風情ではなく、おじいさん先生がやっているそろばん教室みたいな趣きの屋台。たこ焼きは10個100円だった。




灯籠に登ったら怒られるよ。




神社を出て路地を行く。このあたりの町並みはそう変わっていなくて安心する。




こんな狭い道にまで玉出を押し込むんじゃない。




「まわる」を強調するということは回転寿司がまだめずらしかった頃の看板なのだろう。
ただ、お寿司はそんなアストロ球団に出てくる変化球みたいな回り方はしない。




引いて建物全体を見ると、回転寿司の面影を残したまま玄関が付いて家になっていた。1階はブランド品買取のお店に。時代の流れだ。




散歩のシメとして、情報量の多い薬局を心ゆくまで堪能する。私が物心ついたときにはもうこのテンションで営業していたから、その歴史は相当なものだろう。




無事住吉大社駅に帰還。

地元の風景は若干の懐かしさを残しつつも想像以上にアップデートされていた。

はたして今日の散歩でこの町に折り合いがついたかどうかはまだわからないが、これにてもう来る用事がなくなったのは確かである。唯一可能性があるとすれば、当サイトで「10年ぶりに地元を散歩してみた」という記事を書くときだろう。10年って長ぇ〜。

それではロッテリアで絶品チーズバーガーのポテトLセットを食べて帰ります。
さようなら。









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高下龍司(koge)

「まあいっか」「わかっちゃいるけどやめられない」「他力本願」を心のクリーンナップに据える会社員。隙あらばアルコールを摂取するので基本電車か徒歩移動。

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