知る人ぞ知る、知られざる街【東北沢】~人気駅の隣駅さんぽ~
- 更新日: 2020/07/28
生命の危機
前日譚
ある時、私は各駅停車の新宿行きに揺られながら、シモキタに向かっていた。しかし、あろうことか起きながらにして駅を降りそびれてしまい、東北沢の地に初めて降り立つこととなる。
改札を出て南西方面に歩くと、小高い丘の上から下北沢の雑多な建造物たちを望むことができた。
(この街は......イイ。)
直感的にそう感じた私は、いつかこの街を掘り下げてみたいという気持ちを胸に留め、目的の場所へ向かったのであった。
さて、散歩を始めます。
とりあえずシモキタで下車して、東北沢に向かいましょう。
ついでに波乗りジョニーの生き別れの妹である【風乗りメリー】を見つけました。よろしくやってる?
茶沢通りをゆく
さて、【茶沢通り】なる通りに出ましたよ。
下北沢〜三軒茶屋を繋ぐ通りなので、両者の名前から【茶】と【沢】を取り出し名付けられたそう。考え方はゴテンクスとかと一緒。
そして日曜日の午後は、代沢十字路から三軒茶屋の区間が歩行者天国になります。まさかこんなところにインディーズのホコテンがあるとは知らなんだ。
▼茶沢通りをインディーズ呼ばわり
穴だらけの壁があります。おもしろ形容したいけど出てこないので諦めます。
メスがいるのか...?
下手か...?
この坂を登ると東北沢に着いてしまいます。あまりにもあっさりなので遠回りしていきましょう。
向かいには【下北線路街 空き地】があります。
イベントが開かれたり、ポップアップキッチンがあったりするみたいです。
お店が短期間でいろいろ入れ替わるみたいで、飽きが来なさそう。
ちょっとコンビニ寄ります。
カッコつけてダークモカとか買っちゃってさ。
カフェに行くと、コーヒーをブラックで飲むかどうかで少し迷います。大人って感じでカッコ良いから。でもしっかりミルクとガムシロップを1つずつ入れてしまうんですよね。大人になりたい気持ちと子供でいたい気持ちがぶつかり合う、思春期特有の悩みと言えそうです。(23歳 男性)
茶沢通りが静かになってきましたよ。
もう少し進むと、なだらかな坂になってました。
東北沢駅は小高い丘の上にあるんです。この丘の詳細については後で言及しますので、少々お待ちください。
緑道だ、これはカマキリチャンスかもしれない。
私は無類の虫好き(特にカマキリ好き)で、異性とのデート中でも路肩の植え込みを凝視してしまいます。それが原因で破局しかけたこともありました。何かが破綻しているのでしょう。
1〜3令幼虫だとアジサイでよく見かけたんですが、時期的にいないか。でもなんでアジサイなんだろう、調べたけど出てきませんでした。
カマキリがまだ幼生である時期は梅雨と重なるので、自分に似た細い葉に擬態していると雨に当たって生存できないから、とかですかね。小さな虫がよく集まるとか捕食者から逃れやすいとか、そういう理由でもありそう。博識求む。
いないな。クソッ。絶対別の場所で見つけてやる、悔しいですね。
二宮ぁ、お前そろそろ仕事したらどうだ。
とてもよい小径。
でっかいイチョウ。とにかくでっかい。とにかくでっかいイチョウ
なぜかふと、「垂乳根」という枕詞が頭に浮かびました。本来の意味は母とか親って意味らしいけど、これが垂乳根の新たな定義でもいいような気さえしてきます。
実はこの緑道の下には川が流れています。
森巌寺川(しんがんじがわ)という全長2kmほどの暗渠です。
これは下北沢の南あたりで下北沢西支流と合流するのですが、そちらの支流にはダイダラボッチ伝説(巨人伝説)があるらしく、【新代田】【代田橋】などに見られる代田という地名は、この【ダイダラボッチ】から取られたものだといいます。面白いですね。
緑道を引き返して、茶沢通りを跨いで、暗渠に沿って歩みを進めてみます。
あ、でも暗渠ってなんでちょっと分かるんだろう、水の音かな。足元からジョボジョボ音がします。失禁しているわけではないのに、です。
ブラックベリーが表札を設けていました。由緒正しい。
おっ!いいですね!速水ほそみち!
カマキリは居るかな??
ひと夏の思ひ出って感じの景色。
実を言うと、麦わら帽子をかぶった年上女性との出会いに強い憧れがある。
小径が終わったので茶沢通りに引き返します。カマキリはまた見つかりませんでした。
先ほどの坂を登っていきましょうかぁ。
あ、公園気になっちゃった。なかなか坂を登れない。
お茶割、ビール系飲料、トマトジュース。
なるほど。
登場人物は、
オジサン1、オジサン2、若い娘、だな。
3人とも劇団員。若い娘は結構浮き名を流していて、女優志望というだけあってかなり可愛い。
オジサン2人は何か起こるのを期待して稽古終わりに公園で駄弁ることにしたけど、若い娘はタイプじゃない人にはかなりドライなタチなので、隙を見せないようにノンアルで済ます。明日バイト早いんでとかも言っている。
オジサンは「カラオケ行こうよ〜」とか言っているけど、断られるの分かってるので捨て身です。
結局、中途半端に絡んじゃって「次会うのちょっと気まずいなぁ〜」の痕跡に違いないですね。
つまみであろうからあげクンが虚しく横たわる。
あと、ゴミはちゃんと捨てようぜ。
坂の上の方にデカめの公園がありました。北沢公園というらしい。子連れの方がたくさんいらしてました。
椅子の下に多分食べ物があるんでしょう。
外側向いてるハトさんが見張りで、「看守は俺が見張ってるから、お前ら穴掘っとけ!」みたいなプリズンブレイクごっこ。
どれがマイケル・スコフィールドかな??
坂を上り切ったところに横たわる【鮫洲大山線】は、品川から板橋までを縦断する特例都道で、環状六~七号線を補完する役割を持ちます。
入口の主張。
大作戦て、かいけつゾロリか。
しかしまあ、わかりやすくて大変よろしいかと思います。
調べてみると、この辺にはかつて開かずの踏切があって5~20分くらい足止めをくらうような環境だったらしいのです。それが、2013年に東北沢駅〜世田谷代田駅が地下化された事によって解消されたようなので、この辺をよく利用していた方からすると悲願達成といった感じなのでしょうか。先ほど見かけた【下北線路街 空き地】も、先述の地下化によって出来た線路跡なんです。
近代化の恩恵、計り知れませんね。
ちなみに【踏切すいすい大作戦】は大小様々な自治体や鉄道会社が参加している全国的なプロジェクトらしいです。ゾロリとか言ってすいませんでした。
さて、到着!!
小田急小田原線の東北沢。
駅舎が小綺麗で、ちょっと浮いています。
住所は世田谷区なんですが、渋谷と世田谷のちょうど狭間あたりに位置していて、
さっき通った鮫洲大山線を超えると渋谷区に突入してしまうんですよね。ほんとに狭間だ。
西口側から、下北沢が見える。
曲者の香りが鼻をくすぐる。
東口側は渋谷方面。
「イグジ〜ッ」て音がうっすら聞こえる。
先ほどほのめかしましたが、駅がある台地は北沢川と宇田川の分水嶺でもあるんです。
東北沢から流れた水が三軒茶屋方面まで流れていたようで、
この場所はかつての農耕において重要な役割を担っていたのかもしれない。
と、思ってリサーチを進めてみました。
この台地の尾根上には玉川上水の分水である三田用水が通されていて、駅の下を流れていたといいます(現在は廃止済)。
もともとこの付近を流れていた北沢川は流量が少なかったのですが、この分水によって水量が補填され、田畑が潤い、江戸時代の下北沢村開拓に大きく寄与することとなったそうです。
なるほどなぁ。
明治時代以降は付近の市街化に応じて、水車動力や工業用水としての役割が強くなっていったそうです。
メソポタミア・エジプト・インダスなどのいにしえカルチャーからはじまり、水辺は文化の拠り所であったんだということが改めて認識できました。
東北沢駅は、地味ながら非常に実用的なアングルから世田谷の歴史を支えてきたのです。
このフォントは、ベテランの遊び心だな。
玉置浩二みたいな、もう普通じゃ満足できないやつ。
これ、下北線路街のところで見た坂道です。だいぶ遠回りしたんですね。
To 池ノ上
もう終わってもよかったんですが、カマキリと白黒付けたいので、池ノ上方面にほっつき歩く。
めちゃ広い駐車場。
条件揃えれば伝説のポケモンに遭遇できそうです。
ありがたいものにしては、資材と同じ扱いを受けている。
富士講の人が50回富士山を登ったことを記念しているっぽいです。
着いちゃった。特に緑道なども見当たらず、戦いの機会さえ与えてもらえなかった。
地図を見てみると、右の方にうっすら緑が見えます。
私はまだ諦めない。待ってろよ。
ちゃんと上目遣いは忘れない。モテるタイプ。
大人しい街並み、なんだろう、しんなりしている。はんなりでもない。
明らかに意味は違うんだけど、しんなりという文字列がとてもよくあっているので、もう思い切って使っちゃいます。しんなり!
パルムの死骸があります。この先はひょっとすると危険かもしれない。
どうでもいいんですけど、パルムって読むのにちょっと抵抗があるんですよね、スペル的にはパームっぽいから。
この先にヤツはきっといる。
リストラされたら来たい公園ランキング堂々の1位。めちゃくちゃ人通りが少ない。
結構歩いたのでちょっと休憩して行こう。麺類をすする音が近くの家から聞こえた。絶対そうめん。
ここも暗渠っぽいんですが、マップに記載はないですね。
いないな〜、トカゲが急に動き出してちょっと大きめの声出しただけの道でした。カマキリはいない。
近くに東大の先端科学技術研究センターがありました。隣で頭脳明晰な人たちが先端科学技術を研究しているときに、私ときたら何をしているのだろう。虚無。
To 下北沢
まだ諦められない。このままシモキタに歩いて戻りましょう。
この線路沿いの道を捜索してみましょうかね。こんなのは通る用の道じゃないでしょうが。
このサナギは壁の色に合わせて変色しているのか、白いサナギにしかなれないので白いブロックを探したのか。
もし前者だとすると、サナギになる瞬間に何色に擬態するか決められるってことになりますよね。
は?
いやーダメダメ、細すぎよ。通る用じゃないって。
ダメダメ!速い!恐い近い!!
命からがら、シモキタに帰ってくることができました。
以下、閲覧注意です。
マイターン。
俺の勝ちだ、坊や達。
それではまた。