観光地全無視・食べ歩き全振り旅行記 大阪~京都
- 更新日: 2026/09/24

食べて、歩きます
私の父親は、自分の価値観というものを持ったことがなく、世間で良いとされているものが良いものだという思想の持ち主なので、(子どもの意思とは関係なく)休日は家族旅行に行くのが正しい家族像であるという信念のもと、ほとんど寝たままの子どもを積んで、よく早朝に車を走らせていた。私はそんな父親を憎み、軽蔑しており、また、一日を通して彼と行動をともにしなけらばならない旅行についてもまた嫌悪していたので、前日の夜は必ず、すべての布団を重ねて中に潜り込み、汗をかいて、汗が冷えることで風邪を引き、体調不良を理由に旅行を回避しようと試みていた。それが上手くいったことがあった気もするが、よく覚えていない。
そんな幼少期の体験が影響したのかは分からないが、大人になってからも旅行に興味が持てず、ごく稀に人から誘われて付いていくことがある程度だったのだが、中年になり、興味のあることだけをやっていても人生の間が持たなくなってきたので、去年、ほとんど思いつきで、お盆休みに(JR東日本が打ち出す、夏場の避暑地への旅行を推奨する「避暑旅」キャンペーンを完全に無視して)京都への一人旅を決行したのだった。
ただ、私は、歴史および地理に関する教養に乏しく、また無風流な人間で、名所旧跡を訪れても「そうですか」「分かりました」としか思えないことがほとんどなので、(即物的な快楽を得ることができる)飲食店のみを目的地に設定した。今年も同様に、食べ歩き特化型の旅程を組んだ。一般に「食べ歩き」と言った場合、歩きの部分は付随的な要素とみなされるが、食べと同等に歩きも重視する。これは「誰かの散歩マガジン サンポー」の記事だ。
8:16 新大阪駅着、早速駅構内で、京都のソウルフードであり、『Believe -君にかける橋-』での活躍が記憶に新しい木村拓哉さんが
”京都限定らしいこのパン!ヤバいですぞ!うんまっ!”
と独特の表現で絶賛した「カルネ」と、大阪名物「とん蝶」を捜索、どちらも消費期限が当日中なので県・府外ではなかなか食べる機会がない。カルネはすぐに見つかったものの、とん蝶は販売店リスト記載の店舗を巡っても、商品棚が空だったり写真だけがあったりするだけで見つからず、一旦退却してまた時間ができたときに探すことにした。

スライスオニオンのシャキシャキが良い。開発当時は、担当者の間で玉ねぎ入れる・入れない論争があったらしいが、正しい判断を下されたと思う。
9:00 新大阪から御堂筋線に乗ってモーニングを目指して本町駅で下車、「Udon Kyutaro」で一番人気のABURIを(暑さは私には効かないので )温で注文。

打ち立て茹で立て、いりこもバチバチに効いている。
一発目にしては肉にパンチがありすぎたかもしれないが、確かマルクスが言っていた「こなもんは 関西の誇りやでー!」という言葉に納得する美味しさ。
引き続き、広義の粉ものであるパンを目指して徒歩20分弱、靭(うつぼ)公園へ移動する。
9:45 公園の側にある「UTSUBO BAKERY PANENA 」でパンやスコーンを購入。夜になると「うらパネ」と屋号を変えてパン飲みの店になるらしく、そちらも気になる。

靭公園の地図を見ていたらバラ園の記載があったので、バラを鑑賞しながらパンを食べるなんてオツじゃないですか、と機嫌よく園内に突入するも、よく考えたらこの真夏の猛暑の中でバラが咲き誇っているわけもなく、いくつか焦げた花が残っているのみだった。
取り急ぎ、傷みやすそうな「ももとアールグレイのクリームチーズのロデヴ 」から。
ロデムであれば爆笑問題カーボーイのCD田中のコーナーでよくかかるバビル2世の曲に出てくるので馴染みがあるが、ロデブは聞いたことがなかったので調べてみると、高加水の生地を高温のオーブンで一気に焼き上げるパンで、カンパーニュより酸味があってみずみずしいとのこと。具がゴロゴロで豪華なんだけど、東京のお店よりは断然お手頃。

続いて、とりあえず軽く味見だけのつもりで「栗バター」。
全体にようしゅんでるバターの塩味と、渋皮栗、マロンペースト、ホワイトチョコの甘みの組み合わせ、そして、こちらも高加水で中はモチモチ、外パリっと香ばしく、とりわけ底面は溶け出したホワイトチョコかあるいはバターのせいか、薄いじゃがりこを敷いているかと思うほどバリバリの食感、ひとくちのはずが止まらなくなり、美味しいうちに食べたほうがいいですからね、とかなんとか言いつつ結局完食。


あとから考えるとこれがよくなかった。冷静になって写真を見返すとどちらのパンもけっこうデカい。
初めてのお店で混雑が読めなかったので並びを考慮して余裕のあるスケジュールを組んでいたが、どちらも並びなしですんなり入店でき、時間に余裕ができたので、再びとん蝶を捜索すべく、御堂筋を北上して徒歩で40分、阪神梅田に到着。1階「うまいもんみっけ」にてついに発見したのだが、バリエーションが4種もある。ベーシックとん蝶を食べたことがないものの、せっかくなので一番レアっぽい錦松梅エディションを購入、いま食べるわけにはいかないので、まだ食べていないパンと同じく保冷バッグへ投入。

ハチワレ「とん蝶がよっつある~」
都会の街並みは東京とそれほど差異がなく、大阪に来たことを最も感じさせてくれたのは、あらゆる店舗に貼ってあるやすとものポスターであった。


効かないとはいえ少し暑いな……(最高気温37℃)
11:10 再度、大江橋方面に南下して、グリル樹林亭へ。
人気店と聞いていて、念の為かなり早めに着いたが、平日ということもあり、またしても並びはゼロだった。

限定10食のハヤシライス、食レポでしばしば誉め言葉として使われる「口の中でとろけてしまう」肉なんてお呼びでないと思っているので、玉ねぎと肉を食わせる(噛ませる)気概があって良い。ただ、濃厚でビターなソースが大人の味とは聞いていたが、私の舌が赤ちゃんであることを差し引いてもいくらなんでも苦いのではないかと感じた。ラーメンのスープみたいにブレがあって苦い日に当たったのだろうか。とはいえ、よくあるハヤシの美味しいやつを食べるよりずっと良い。
食べ終えてまだ12時だったが、水を飲むのさえ苦しいくらいの満腹になってしまい、手詰まりに。飲食店だけを目的地にするということは、食べられなくなった時点で旅の目的を失うということなのだ。あのときパンをひとつでストップしておけば……
当初の予定では十三まで歩いて喜八洲総本舗のみたらし団子を食べる予定だったのだが、それどころではなくなったので、その予定の団子抜きを実行することに。
ひとり旅がいいのは、食べすぎて具合が悪くなるような凡ミスを犯しても、誰にも迷惑はかからないし、好きに予定を変更できるところだ。

でんでん「社本くん、ちょっと暑い」

『ブラック・レイン』 でマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシア演じる刑事コンビが暴走族に絡まれた商店街、彼らは道頓堀から歩いたのだからなかなか大したものだ。撮影当時と同じ場所で営業しているのは画面右端の丸三寿司くらいらしい。
13:30 そこそこ歩いたのに苦しさがほとんど和らがず、一旦、十三サカエマチ商店街を抜けた先にある十三公園で休憩、傘で鳩を追い払う正義のおじさんや蚊がいたりしたが気にしておられず、ゴツゴツした石のベンチに寝そべってしばらく空を見上げる。

そうこうしているうちにホテルのチェックイン時刻が近づいてきたので、十三駅から大阪天満宮駅まで電車で移動、入口に鎧兜が置いてある怪しいホテルへ。

15:00 まだぐったりしていたものの、部屋に入るや丸正餃子店 本店の電話予約にトライ。大阪一、あるいはしばしば日本一ともいわれる餃子店で、持ち帰りもイートインも当日15時からの電話予約が必須。なかなか繋がらないとは聞いていたが、12分間かけ続けてなんとか19時からの枠で予約を完了。

少し仮眠を取ったあと、西天満まで歩き、器と生活雑貨/道具のセレクトショップ「moyi store」で翌日京都で和菓子を乗せるためのお皿を購入。

大阪天満宮駅まで引き返し、東西線・学研都市線でひたすら東へ、丸正餃子店最寄りの住道(すみのどう)駅まで移動。
若干、緊張しつつ19時10分前くらいにお店の扉を開けると、客が誰もいない……
19時の枠の残りは全員持ち帰りだったのか?
ともあれ、聞いていた通り、19時ジャストに餃子2人前が提供された。パリパリ薄皮に牛ひき肉と野菜の旨味、ニンニク生姜も効いていて止まらない。あっという間に食べ終えて退店し、時計を見るとまだ19時6分で一人でウケてしまった。12分も電話したのに。

4~5人いる店員は各々自分のなすべき仕事をこなしていて良い職場だ。

メニューは餃子とビールだけ、クールだぜ。

20:30 まだ時間はあるのでここから挽回、電車で大阪駅まで戻り、大阪旅行感を出すアリバイ的に「はなだこ」でたこ焼きをスタンディングでいただく。「にいちゃん味足らんかったら言うてな」これこれ~。

21:30 そこから1時間ほどひたすら南下、グリコサインも無視し、金龍ラーメン 御堂筋店でこちらもスタンディングで金龍ラーメン。飲みの〆用だ、もっとベロベロで食べたら気持ちよさそう(お酒はほとんど飲めないのでベロベロという状態にはなり得ないのだが)。

23:15 あとはホテルのある天満宮までまた1時間ほどかけて徒歩で帰り、消費期限22時ちょい過ぎのとん蝶を押し込んで初日は終了。

CMでやっているような炊き立てのみずみずしいお米がNG、コンビニのおにぎりも赤飯を選ぶこともあるカチカチ米派なのでこれはドストライク、また食べたい。
振り返ってみると、この日食べたもの、茶色過ぎない?
あと、(特に夜は)お酒が飲めないと旅行って十分に楽しめなくないですか?

京都駅から烏丸線に乗って鞍馬口駅で下車。
8:00 「TOM」で薬膳スープ2種をオーダー、昨日のパンのミスがあったので主食はなし、滋味ぶけー。古民家をリノベした店内はイエローの壁が鮮やか、京都は建物自体もステキなお店が多くて羨ましい、さすが日本の首都。


知らないと入れない

9:20 好天の中、出町ふたばの行列を横目に鴨川を超え、京都大学・吉田キャンバスを突っ切り、吉田東通沿いのカフェjeté(ジュテ)へ。取り壊し寸前の元理髪店を改装したお店の雰囲気は大変好みで、後の予定がなければもっとダラダラ読書でもしていたかった。アフォガードとアイスコーヒーという焦げた体を冷ますためのデッキになってしまったが、どちらもとても美味しい。


飛び出したまこ

二日目も少し暑い(最高気温36℃)
10:00 平安神社を通り過ぎ、更に南下して、瓢亭別館でようやくモーニング。瓢亭はミシュラン3つ星を獲得し続けている料亭で、本館に比べて別館は店構えも料理の構成もややカジュアルなのだが、そもそも本館は一名の予約の選択肢が存在しなかったので別館を予約していた。「朝がゆ」は、三ツ重ね鉢(和え物、蒸し物、炊き合わせ)、八寸(瓢亭玉子、季節の取肴)、椀物、粥がセットになっていて、店名を冠するゆで卵が有名だが、個人的には賀茂茄子の田楽が感動的で、グランメゾン東京で木村拓哉演じる尾花夏樹が美味しいものを食べたときにする天を仰ぐムーブが出てしまった。



ふだん、特に夏場にウォーキングをするときは、機能性ウェアで上から下まで固めるのだが、この日はこの予定に合わせて半袖シャツとコードレーンの長ズボンという装備で挑んだため、前日よりも暑さによる影響を受けやすく、汗が滝のように流れる。
鴨川方面に少し戻り、築110年を超える町家を改装した複合施設[Com-ion]にある陶芸ショップ「時の端」に寄り道し、もうお皿なんて足りているのに、「一期一会ですからね」と、なぜかこのときはお金が無限にあると勘違いしていたため小鉢を購入。

11:00 そして同施設内のカフェ「ほとり」で熱っちぃ体を冷ます。


ほとりクッキーとオーツミルクブリュー
この日は土曜日で、せっかくなので木曜と土曜にしか営業していないパン屋を覗いてみようと、京都御苑方面へ戻り、「du pain(デュ パン)」を訪れると、

なんと夏季休業、リサーチが足りなかった。
12:00 13時から清水五条駅近くのお店を予約していたので、暇を潰しながら南下、まずはUCHU wagashi 寺町本店でお土産を購入、かわいいものに目がないので。

京都市役所を抜け、ユナイテッドアローズ京都店で仕事用のスラックスの試着をするというわざわざ旅行先でやる必要のない非常に贅沢な時間の使い方をするなどし、

京都市役所

いちじく食いてー
13:00 「Harmonika」に到着、4種類ほどのメニューの中からマンゴーのタルトを選択。
注文を受けてから丁寧に作る、カウンターのアシエットデセールのお店で、一皿3千円前後するので、会話を楽しめてもろもろ余裕のある人にはおすすめ。

14:15 先に少し触れた、朝時点で大行列していた出町ふたばの豆大福だが、事前に予約をしておけば、高島屋でも受け取ることができる。少し余裕を持って京都駅に向かっている途上で、もしかしたら駅で迷うかもしれないし、と思い、念のため地図アプリで高島屋を検索すると、京都河原町駅付近の訳の分からない場所を指し示している。しばらく放心した後、いつからか、京都駅に隣接している伊勢丹と、高島屋を混同していることに気付いた(伊勢丹でも同様に予約・受け取りが可能)。顔面蒼白のまま、踵を返し、真夏の真昼の京都をシャツ・スラックスで全力疾走する。結局、汗でズブ濡れになりながらも何とか予約時間の14:30に売り場に到着できたのだが、「予約」というのは、14:30以降に、予約取り置きしていた分を、予約なしの人と同じ列に並んで受け取る、という意味だったらしく、多少遅れても問題はなかったようだ。この日も勝手にミスして勝手に挽回、一人旅の利点を発揮した。
15:30 京都駅発のつもりだった予定を四条駅発に変更、烏丸線に乗り、朝降りた鞍馬口よりも一駅北の北大路駅で下車、10分ほど歩いて、こちらも予約していた「嘯月(しょうげつ)」で上生菓子3種を受け取り。美しい……
「いちばん食べごろのものを買っていただくために、当店ではつくり置きは一切いたしません」というポリシーのもと、電話での事前予約のみの販売としている。その心意気に答えるべく、と言うか、それ以外に美味しく食べる手段がないので、品がないのを承知で、隣の公園で購入即イート、取り分けシグニチャーメニューのきんとんは絶品で、私のような和菓子ぼんやり層も一度は体験してみる価値があるだろう。良いお茶と合わせるべきなんだろうけど、異常スケジュールの旅行者にはなかなか難しい。

きんとん(正式名称不明)

想い草

青もみじ
続けてそのままストリートで、先ほど受け取ったふたばの名代豆餅をとりあえず一つだけ食べる。
10年前に食べたときは、さほど食べ物に興味がなく、なんか、たまこラブストーリー(たまこまーけっと未見のまま映画を見てボロ泣きした)の餅屋のモデルらしいね、くらいの温度で食べて、いつかの舞台挨拶のときの沢尻エリカくらいの感想だったので期待していなかったのだが、美味い……
モチモチの皮もなめらかな餡もそうだけど、塩っけのある豆(赤えんどう)が良い。豆だけほじって集めて食べても美味しいはず。

東京でも買えるっちゃ買えるが
その後は同じく北大路駅が最寄り駅で、今宮神社の東門前にある「一文字屋和輔」まで約20分のウォーク、通常はバスが推奨されるが大した距離ではないので当然無視。
16:00 創業が西暦1000年という、ふざけて適当な数字を言ってるだけかと思うほど歴史があり、日本最古の飲食店とされている。メニューはあぶり餅のみ、竹串に刺してきな粉をまぶした餅を炭火で炙り、白味噌のタレをかけたもの。甘じょっぱくて止まらなくなるやつって1000年前からやってたんだ。昔の人はハニーローストピーナッツとか他の選択肢がない状況でこんなものを食べて正気を保てたのだろうか。小ぶりなので、もうひとつ、もうひとつと、ポイポイ口に運んでいるうちに気付くとなくなっていた。

17:00 若干お腹に余裕があったので烏丸線で五条まで戻って「this is ormary store 」へ。お寺の倉庫をリノベーションしたパン屋(と書いていて改めて思ったけど、古い施設を当世風にリノベした瀟洒な店好きすぎだろ)でパン飲みして締め。


二日間やりきったあとはこの状態に。
なにごとも、ほどほどに。
※猛暑日の長距離ウォークは命に関わるので絶対に避けましょう。
そんな幼少期の体験が影響したのかは分からないが、大人になってからも旅行に興味が持てず、ごく稀に人から誘われて付いていくことがある程度だったのだが、中年になり、興味のあることだけをやっていても人生の間が持たなくなってきたので、去年、ほとんど思いつきで、お盆休みに(JR東日本が打ち出す、夏場の避暑地への旅行を推奨する「避暑旅」キャンペーンを完全に無視して)京都への一人旅を決行したのだった。
ただ、私は、歴史および地理に関する教養に乏しく、また無風流な人間で、名所旧跡を訪れても「そうですか」「分かりました」としか思えないことがほとんどなので、(即物的な快楽を得ることができる)飲食店のみを目的地に設定した。今年も同様に、食べ歩き特化型の旅程を組んだ。一般に「食べ歩き」と言った場合、歩きの部分は付随的な要素とみなされるが、食べと同等に歩きも重視する。これは「誰かの散歩マガジン サンポー」の記事だ。
1日目:大阪編
6:00 品川から始発ののぞみに乗車。なぜ始発かと言うと、別に乗れるから。8:16 新大阪駅着、早速駅構内で、京都のソウルフードであり、『Believe -君にかける橋-』での活躍が記憶に新しい木村拓哉さんが
”京都限定らしいこのパン!ヤバいですぞ!うんまっ!”
と独特の表現で絶賛した「カルネ」と、大阪名物「とん蝶」を捜索、どちらも消費期限が当日中なので県・府外ではなかなか食べる機会がない。カルネはすぐに見つかったものの、とん蝶は販売店リスト記載の店舗を巡っても、商品棚が空だったり写真だけがあったりするだけで見つからず、一旦退却してまた時間ができたときに探すことにした。

スライスオニオンのシャキシャキが良い。開発当時は、担当者の間で玉ねぎ入れる・入れない論争があったらしいが、正しい判断を下されたと思う。
9:00 新大阪から御堂筋線に乗ってモーニングを目指して本町駅で下車、「Udon Kyutaro」で一番人気のABURIを(暑さは私には効かないので )温で注文。

打ち立て茹で立て、いりこもバチバチに効いている。
一発目にしては肉にパンチがありすぎたかもしれないが、確かマルクスが言っていた「こなもんは 関西の誇りやでー!」という言葉に納得する美味しさ。
引き続き、広義の粉ものであるパンを目指して徒歩20分弱、靭(うつぼ)公園へ移動する。
9:45 公園の側にある「UTSUBO BAKERY PANENA 」でパンやスコーンを購入。夜になると「うらパネ」と屋号を変えてパン飲みの店になるらしく、そちらも気になる。

靭公園の地図を見ていたらバラ園の記載があったので、バラを鑑賞しながらパンを食べるなんてオツじゃないですか、と機嫌よく園内に突入するも、よく考えたらこの真夏の猛暑の中でバラが咲き誇っているわけもなく、いくつか焦げた花が残っているのみだった。
取り急ぎ、傷みやすそうな「ももとアールグレイのクリームチーズのロデヴ 」から。
ロデムであれば爆笑問題カーボーイのCD田中のコーナーでよくかかるバビル2世の曲に出てくるので馴染みがあるが、ロデブは聞いたことがなかったので調べてみると、高加水の生地を高温のオーブンで一気に焼き上げるパンで、カンパーニュより酸味があってみずみずしいとのこと。具がゴロゴロで豪華なんだけど、東京のお店よりは断然お手頃。

続いて、とりあえず軽く味見だけのつもりで「栗バター」。
全体にようしゅんでるバターの塩味と、渋皮栗、マロンペースト、ホワイトチョコの甘みの組み合わせ、そして、こちらも高加水で中はモチモチ、外パリっと香ばしく、とりわけ底面は溶け出したホワイトチョコかあるいはバターのせいか、薄いじゃがりこを敷いているかと思うほどバリバリの食感、ひとくちのはずが止まらなくなり、美味しいうちに食べたほうがいいですからね、とかなんとか言いつつ結局完食。


あとから考えるとこれがよくなかった。冷静になって写真を見返すとどちらのパンもけっこうデカい。
初めてのお店で混雑が読めなかったので並びを考慮して余裕のあるスケジュールを組んでいたが、どちらも並びなしですんなり入店でき、時間に余裕ができたので、再びとん蝶を捜索すべく、御堂筋を北上して徒歩で40分、阪神梅田に到着。1階「うまいもんみっけ」にてついに発見したのだが、バリエーションが4種もある。ベーシックとん蝶を食べたことがないものの、せっかくなので一番レアっぽい錦松梅エディションを購入、いま食べるわけにはいかないので、まだ食べていないパンと同じく保冷バッグへ投入。

ハチワレ「とん蝶がよっつある~」
都会の街並みは東京とそれほど差異がなく、大阪に来たことを最も感じさせてくれたのは、あらゆる店舗に貼ってあるやすとものポスターであった。


効かないとはいえ少し暑いな……(最高気温37℃)
11:10 再度、大江橋方面に南下して、グリル樹林亭へ。
人気店と聞いていて、念の為かなり早めに着いたが、平日ということもあり、またしても並びはゼロだった。

限定10食のハヤシライス、食レポでしばしば誉め言葉として使われる「口の中でとろけてしまう」肉なんてお呼びでないと思っているので、玉ねぎと肉を食わせる(噛ませる)気概があって良い。ただ、濃厚でビターなソースが大人の味とは聞いていたが、私の舌が赤ちゃんであることを差し引いてもいくらなんでも苦いのではないかと感じた。ラーメンのスープみたいにブレがあって苦い日に当たったのだろうか。とはいえ、よくあるハヤシの美味しいやつを食べるよりずっと良い。
食べ終えてまだ12時だったが、水を飲むのさえ苦しいくらいの満腹になってしまい、手詰まりに。飲食店だけを目的地にするということは、食べられなくなった時点で旅の目的を失うということなのだ。あのときパンをひとつでストップしておけば……
当初の予定では十三まで歩いて喜八洲総本舗のみたらし団子を食べる予定だったのだが、それどころではなくなったので、その予定の団子抜きを実行することに。
ひとり旅がいいのは、食べすぎて具合が悪くなるような凡ミスを犯しても、誰にも迷惑はかからないし、好きに予定を変更できるところだ。

でんでん「社本くん、ちょっと暑い」

『ブラック・レイン』 でマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシア演じる刑事コンビが暴走族に絡まれた商店街、彼らは道頓堀から歩いたのだからなかなか大したものだ。撮影当時と同じ場所で営業しているのは画面右端の丸三寿司くらいらしい。
13:30 そこそこ歩いたのに苦しさがほとんど和らがず、一旦、十三サカエマチ商店街を抜けた先にある十三公園で休憩、傘で鳩を追い払う正義のおじさんや蚊がいたりしたが気にしておられず、ゴツゴツした石のベンチに寝そべってしばらく空を見上げる。

そうこうしているうちにホテルのチェックイン時刻が近づいてきたので、十三駅から大阪天満宮駅まで電車で移動、入口に鎧兜が置いてある怪しいホテルへ。

15:00 まだぐったりしていたものの、部屋に入るや丸正餃子店 本店の電話予約にトライ。大阪一、あるいはしばしば日本一ともいわれる餃子店で、持ち帰りもイートインも当日15時からの電話予約が必須。なかなか繋がらないとは聞いていたが、12分間かけ続けてなんとか19時からの枠で予約を完了。

少し仮眠を取ったあと、西天満まで歩き、器と生活雑貨/道具のセレクトショップ「moyi store」で翌日京都で和菓子を乗せるためのお皿を購入。

大阪天満宮駅まで引き返し、東西線・学研都市線でひたすら東へ、丸正餃子店最寄りの住道(すみのどう)駅まで移動。
若干、緊張しつつ19時10分前くらいにお店の扉を開けると、客が誰もいない……
19時の枠の残りは全員持ち帰りだったのか?
ともあれ、聞いていた通り、19時ジャストに餃子2人前が提供された。パリパリ薄皮に牛ひき肉と野菜の旨味、ニンニク生姜も効いていて止まらない。あっという間に食べ終えて退店し、時計を見るとまだ19時6分で一人でウケてしまった。12分も電話したのに。

4~5人いる店員は各々自分のなすべき仕事をこなしていて良い職場だ。

メニューは餃子とビールだけ、クールだぜ。

20:30 まだ時間はあるのでここから挽回、電車で大阪駅まで戻り、大阪旅行感を出すアリバイ的に「はなだこ」でたこ焼きをスタンディングでいただく。「にいちゃん味足らんかったら言うてな」これこれ~。

21:30 そこから1時間ほどひたすら南下、グリコサインも無視し、金龍ラーメン 御堂筋店でこちらもスタンディングで金龍ラーメン。飲みの〆用だ、もっとベロベロで食べたら気持ちよさそう(お酒はほとんど飲めないのでベロベロという状態にはなり得ないのだが)。

23:15 あとはホテルのある天満宮までまた1時間ほどかけて徒歩で帰り、消費期限22時ちょい過ぎのとん蝶を押し込んで初日は終了。

CMでやっているような炊き立てのみずみずしいお米がNG、コンビニのおにぎりも赤飯を選ぶこともあるカチカチ米派なのでこれはドストライク、また食べたい。
振り返ってみると、この日食べたもの、茶色過ぎない?
あと、(特に夜は)お酒が飲めないと旅行って十分に楽しめなくないですか?

2日目:京都編
6:30くらいに起床して京都へ移動。なぜ早朝に起きるかというと、起きることができるから。京都駅から烏丸線に乗って鞍馬口駅で下車。
8:00 「TOM」で薬膳スープ2種をオーダー、昨日のパンのミスがあったので主食はなし、滋味ぶけー。古民家をリノベした店内はイエローの壁が鮮やか、京都は建物自体もステキなお店が多くて羨ましい、さすが日本の首都。


知らないと入れない

9:20 好天の中、出町ふたばの行列を横目に鴨川を超え、京都大学・吉田キャンバスを突っ切り、吉田東通沿いのカフェjeté(ジュテ)へ。取り壊し寸前の元理髪店を改装したお店の雰囲気は大変好みで、後の予定がなければもっとダラダラ読書でもしていたかった。アフォガードとアイスコーヒーという焦げた体を冷ますためのデッキになってしまったが、どちらもとても美味しい。


飛び出したまこ

二日目も少し暑い(最高気温36℃)
10:00 平安神社を通り過ぎ、更に南下して、瓢亭別館でようやくモーニング。瓢亭はミシュラン3つ星を獲得し続けている料亭で、本館に比べて別館は店構えも料理の構成もややカジュアルなのだが、そもそも本館は一名の予約の選択肢が存在しなかったので別館を予約していた。「朝がゆ」は、三ツ重ね鉢(和え物、蒸し物、炊き合わせ)、八寸(瓢亭玉子、季節の取肴)、椀物、粥がセットになっていて、店名を冠するゆで卵が有名だが、個人的には賀茂茄子の田楽が感動的で、グランメゾン東京で木村拓哉演じる尾花夏樹が美味しいものを食べたときにする天を仰ぐムーブが出てしまった。



ふだん、特に夏場にウォーキングをするときは、機能性ウェアで上から下まで固めるのだが、この日はこの予定に合わせて半袖シャツとコードレーンの長ズボンという装備で挑んだため、前日よりも暑さによる影響を受けやすく、汗が滝のように流れる。
鴨川方面に少し戻り、築110年を超える町家を改装した複合施設[Com-ion]にある陶芸ショップ「時の端」に寄り道し、もうお皿なんて足りているのに、「一期一会ですからね」と、なぜかこのときはお金が無限にあると勘違いしていたため小鉢を購入。

11:00 そして同施設内のカフェ「ほとり」で熱っちぃ体を冷ます。


ほとりクッキーとオーツミルクブリュー
この日は土曜日で、せっかくなので木曜と土曜にしか営業していないパン屋を覗いてみようと、京都御苑方面へ戻り、「du pain(デュ パン)」を訪れると、

なんと夏季休業、リサーチが足りなかった。
12:00 13時から清水五条駅近くのお店を予約していたので、暇を潰しながら南下、まずはUCHU wagashi 寺町本店でお土産を購入、かわいいものに目がないので。

京都市役所を抜け、ユナイテッドアローズ京都店で仕事用のスラックスの試着をするというわざわざ旅行先でやる必要のない非常に贅沢な時間の使い方をするなどし、

京都市役所

いちじく食いてー
13:00 「Harmonika」に到着、4種類ほどのメニューの中からマンゴーのタルトを選択。
注文を受けてから丁寧に作る、カウンターのアシエットデセールのお店で、一皿3千円前後するので、会話を楽しめてもろもろ余裕のある人にはおすすめ。

14:15 先に少し触れた、朝時点で大行列していた出町ふたばの豆大福だが、事前に予約をしておけば、高島屋でも受け取ることができる。少し余裕を持って京都駅に向かっている途上で、もしかしたら駅で迷うかもしれないし、と思い、念のため地図アプリで高島屋を検索すると、京都河原町駅付近の訳の分からない場所を指し示している。しばらく放心した後、いつからか、京都駅に隣接している伊勢丹と、高島屋を混同していることに気付いた(伊勢丹でも同様に予約・受け取りが可能)。顔面蒼白のまま、踵を返し、真夏の真昼の京都をシャツ・スラックスで全力疾走する。結局、汗でズブ濡れになりながらも何とか予約時間の14:30に売り場に到着できたのだが、「予約」というのは、14:30以降に、予約取り置きしていた分を、予約なしの人と同じ列に並んで受け取る、という意味だったらしく、多少遅れても問題はなかったようだ。この日も勝手にミスして勝手に挽回、一人旅の利点を発揮した。
15:30 京都駅発のつもりだった予定を四条駅発に変更、烏丸線に乗り、朝降りた鞍馬口よりも一駅北の北大路駅で下車、10分ほど歩いて、こちらも予約していた「嘯月(しょうげつ)」で上生菓子3種を受け取り。美しい……
「いちばん食べごろのものを買っていただくために、当店ではつくり置きは一切いたしません」というポリシーのもと、電話での事前予約のみの販売としている。その心意気に答えるべく、と言うか、それ以外に美味しく食べる手段がないので、品がないのを承知で、隣の公園で購入即イート、取り分けシグニチャーメニューのきんとんは絶品で、私のような和菓子ぼんやり層も一度は体験してみる価値があるだろう。良いお茶と合わせるべきなんだろうけど、異常スケジュールの旅行者にはなかなか難しい。

きんとん(正式名称不明)

想い草

青もみじ
続けてそのままストリートで、先ほど受け取ったふたばの名代豆餅をとりあえず一つだけ食べる。
10年前に食べたときは、さほど食べ物に興味がなく、なんか、たまこラブストーリー(たまこまーけっと未見のまま映画を見てボロ泣きした)の餅屋のモデルらしいね、くらいの温度で食べて、いつかの舞台挨拶のときの沢尻エリカくらいの感想だったので期待していなかったのだが、美味い……
モチモチの皮もなめらかな餡もそうだけど、塩っけのある豆(赤えんどう)が良い。豆だけほじって集めて食べても美味しいはず。

東京でも買えるっちゃ買えるが
その後は同じく北大路駅が最寄り駅で、今宮神社の東門前にある「一文字屋和輔」まで約20分のウォーク、通常はバスが推奨されるが大した距離ではないので当然無視。
16:00 創業が西暦1000年という、ふざけて適当な数字を言ってるだけかと思うほど歴史があり、日本最古の飲食店とされている。メニューはあぶり餅のみ、竹串に刺してきな粉をまぶした餅を炭火で炙り、白味噌のタレをかけたもの。甘じょっぱくて止まらなくなるやつって1000年前からやってたんだ。昔の人はハニーローストピーナッツとか他の選択肢がない状況でこんなものを食べて正気を保てたのだろうか。小ぶりなので、もうひとつ、もうひとつと、ポイポイ口に運んでいるうちに気付くとなくなっていた。

17:00 若干お腹に余裕があったので烏丸線で五条まで戻って「this is ormary store 」へ。お寺の倉庫をリノベーションしたパン屋(と書いていて改めて思ったけど、古い施設を当世風にリノベした瀟洒な店好きすぎだろ)でパン飲みして締め。


二日間やりきったあとはこの状態に。
去年もそうなったんだけど、もう外食も旅行もウンザリだな。
— 日 (@kusakabe1986) August 8, 2026
なにごとも、ほどほどに。
※猛暑日の長距離ウォークは命に関わるので絶対に避けましょう。









