去りゆく街へエモったらしくお別れを告げよう

  • 更新日: 2021/04/01

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さようなら、赤羽。


どうも一流です。

私事ですが、引っ越しをしました。





つい先日まで赤羽という街に5年ほど住んでいました。





東京23区で最も北に位置する繁華街、赤羽。
ここは、私が初めて一人暮らしを始めた街でした。





『本当に住みやすい街大賞2019』で1位を取っている赤羽。

『本当に』ってところがミソですね。
その肩書きに違わず、とても暮らしやすい街だったと今でも思います。



ここまでの写真を見ておっ?と思った勘の鋭い方はいるでしょうか。

そうです。
今回の記事の写真は全てスマホではなく写ルンですで撮影してみました。

シャッターを巻くあの感覚が懐かしいですね。10年ぶりくらいに使ってみました。


敢えて写ルンですを使ったのは『エモい』写真が取りたかったからです。

陳腐な表現であることはわかっています。
でもお別れを告げる街にはちょうどいいフィルターでしょう?


だって本当にエモい気持ちなんだもん。


それに赤羽の街はノスタルジーな切り取り方の方が似合う気がしたもので。





こうして街の風景を眺めると、初めてこの街に来た日を思い出します。





小うるさくて、小汚くて、ぜんぜんお洒落じゃなくて、だけど活気があって。

雑多で猥雑なその街並みは、僕の地元である蒲田の街とそっくりで。

私は一目でこの街が好きになりました。





このカラオケ横の小道とか本当に蒲田とそっくり。




思い返すこと5年前。

この街に住むことを決意して、緊張とワクワクが入り混じるなか初めて訪れた不動産屋さん。

私の担当となった方も新人のようで、お互い初々しくやりとりをしました。





そこでまず紹介されたのはお墓が目の前にあるアパート。

最初は墓地の前か...と尻込みしていたのですが内見に行ってみると思いのほかいい物件で、愛想のいい大家さんとも軽く挨拶することができました。


「内見ってやっぱり大事なんだな〜」


新たな学びを得たところでいったん不動産屋に戻り次の家を探していると担当の方に電話が掛かってきました。聞いてみると先ほどの大家さんからでした。

「あの...大変言いづらいんですけど、先ほどの大家さんからNGが出てしまいまして...。」

「え、NG?どうしてですか?」

「理由は教えていただけなかったんですけど、どうしてもダメだということで...。」


なんじゃそりゃ。
初っ端から不可解な理由で新生活の夢がかき消されました。
不思議です。とても優しそうなおばあちゃんだったのに...。


もしや墓の近くであることが関係しているんでしょうか。
ひょっとすると大家さんは私の周りに何かを見てしまった...とか。

自分、墓の近くに住んではいけない人間なのかも。わーん、こわいヨー。



いやいや、むしろそれであれば断ってくれた大家さんには感謝しないといけません。
そう思い直し、気を取り直して二軒目を見に行くことにしました。





次に紹介されたのは元々ラブホテルとして使われていたというマンション。


いや、ちょっと待て。
さっきから初めて一人暮らしする人間に勧めるラインナップか!?これ。


内見したらやっぱり風呂めちゃくちゃデカかったぞ。あとキッチンないし。




憧れに憧れた独り立ちデビュー。
新生活でいきなり冒険する勇気がなかった私は、結局三軒目に紹介された家に住むことに決めました。





半ば消去法で決まった家でしたが、思い返せば数え切れないほどの思い出が詰まった場所となりました。


1Fの角部屋で隣の部屋は空いていて、それでいてやけに広くて。

とにかく人を呼んでワイワイやるにはうってつけの場所だったのです。


最大で11人が一度に来たこともありました。パーティールームかなにか?





数え切れないほど歩いた家への通り道。
初めて我が家に来る人には正面のあの塔が自分の家だよと毎回ボケていました。

6割くらいの人が笑ってくれ、1割はいやお前ラプンツェルかい!と言ってくれました。





家に誰かが遊びに来る時といえば、欠かせないのが買い出し。

赤羽はスーパーが非常に充実しているのですが、もっとも利用していたのがこの西友です。ウォルマートカードが擦り切れそうになるくらいここではよく買い物をしました。

これは豆知識なんですが、実は西友ってこの赤羽店が本社なんですよ。





あとこの公園にも友達とよく行きました。
バドミントンしたりポケモンGOしたり。

この辺りには他に大きい公園がないため、朝から晩まで子供たちの賑やかな声がこだましているのどかな場所でした。

休日の昼にここでぼんやりと過ごすのも好きだったな〜。





ここで一緒に夜が耽るまでくだらないことや人生のことを語り合った人もいました。


その人とはもうめっきり会えていません。

どうか元気でいてくれてるといいな。





ところで赤羽といえば飲み屋の街です。

私が一人暮らしを始めた頃はちょうど「せんべろ」ブームの火付け役として注目されはじめた時期でした。





このアーチをくぐればそこは別世界。

ほんの一年とちょっと前までここは昼間から飲み歩きを楽しむ大勢の人で溢れていました。





いつ見ても明るいうちから酔いどれている赤羽のオヤジたち。
この街ではありふれた光景ですが、彼らを見ているといつもなんだか不思議な気持ちになりました。

あんなに酔っ払ってだらしないなぁと思う反面、どこか憧れも感じるような。





自分があの歳になった時、あんなに楽しそうにお酒を酌み交わせるのかな。





あのオヤジたちもこんなご時世となった今ではひどく恋しく懐かしい情景です。





まだ自由に飲み歩けたあの頃はいろんなお店にいろんな人と行きました。

この街に住んだ者の宿命、あるいは義務と呼んでもいいかもしれません。





友達と飲み歩いてたら別の友達とたまたま鉢合わせたりとか、
酔った勢いで数年ぶりの友達に連絡したらすぐ飛んできてくれたりとか、
1日で何軒回れるか挑戦して9店目でみんな財布が空になったりとか。


毎回あんなに楽しかった記憶はあるのに、何を話してたかは全部忘れちゃったね。





温かいおでんの店、魚が美味しい店、珍味の店、おばちゃんがものすごい手際で回している店、とにかく安い店、赤羽のくせにオシャレな店。

赤羽の飲み屋は個性と人情味に溢れていて、どこも大好きでした。


また一日中飲み歩けるような世界が早く戻ってくるといいな。




そうそう、赤羽のいいところがまだありました。
土手です。この街には土手があるんです。





県境となっている川に大きな土手。これもまた私の地元とそっくりな点です。





思えば17時のチャイムが鳴るまで毎日ひたすら土手を走り回っていた子供時代でした。

虫取りをしたり、秘密基地を作ったり、ソリで滑ったり。

土手には無限の楽しみ方があります。





「あ、家に帰らなきゃ。」


土手の夕暮れを見ると今でもそう思ってしまいます。




そういえばこの赤羽の土手を語る上では欠かせない場所がありました。



岩淵水門です。本流である荒川はここで支流の隅田川と分岐しています。

氾濫が起きれば東京の機能が麻痺するほどの甚大な被害が出るという荒川。
それを食い止める最後の砦の役割を果たすのがこの水門です。


2019年の台風19号の際はまさに氾濫する本当に瀬戸際のところまで川の増水が起きていました。
避難準備をしながらこの水門のライブ映像を固唾を飲んで見守ってたのを覚えています。


この水門は私たちの命と街を懸命に守ってくれました。






居酒屋やスーパー、公園に土手。そして初めて住んだ自分の家。

この魅力溢れる街で過ごした5年間は長いようであっという間でした。






『街とは、そこに暮らす人々の営みが作り出すその瞬間限りの共同作品である。』


この言葉を知っていますか?
今とっさに考えた私の名言です。



初めてこの街に来た日。誰かと飲み明かした日。料理をして失敗した日。夜中に外に繰り出した日。疲れて何もしなかった日。

5年の間に私が過ごした全ての1日はこの街の歴史や文化となり、景色の一部として組み込まれていきました。


私のなんでもない日常は、確かに赤羽を構成する一つの要素となっていたのです。





私はこの街を去ります。


当然ですが、私がここを去っても街は私のことを追いかけてはくれません。
どんなに後ろ髪を引かれる思いで振り返っても、付いてくる素振りさえ見せてくれないのです。


だけど街は、ここから離れることも決してありません。


どんなに景色が様変わりしたとしても、街は必ず同じ場所にあり続けます。

新しい建物が建っても。住んでいた人が去っても。
世界がひっくり返るような事態が起きたって。


この街はずっとここにあり続けます。



私はまた必ずここに来ます。


ここで得たことを次の新しい生活に活かして
またもっと楽しい思い出を作りにこの街に戻ってきます。





だからその時までどうか待っててね、赤羽。

今まで本当にお世話になりました。




これから私は次に住む街で新しい景色の一部になっていくつもりなのでよろしくです。







おわり




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一流

歩くことに特化した足を持っています。東京を愛し東京に愛される男を目指して。

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