【本駒込】ちょっと三角地帯を見てくる vol.2

  • 更新日: 2018/12/11

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三角形のお時間です。


三角地帯になんとなく惹かれる。

"川に挟まれた肥沃なデルタ地帯は文明が発達する"
僕らは子供の頃にそう習います。
三角地帯というのはなんとなく、特別な何かのように刷り込まれている気がします。

そのせいか、三角形に見えるエリアが街にたまたまあったとき、頭の中の三角形ニューロンが「ひよくなだいち!」「ぶんめい!」と騒ぎ出します。
三角形の内部や境界に行ってみたい気持ちになります。
これは、街の三角形を勝手に見つけて勝手に盛り上がる散歩です。


本日の三角形は本駒込




今日は、南北線、本駒込駅の南西に位置する三角形です。
縦に延びるのは本郷通り、横に伸びるのは神田白山線(都道452号線)。
そして本駒込から南西の白山上交差点へショートカットするような細い直線で構成される、直角三角形です。

実はこの三角形、少なくとも江戸時代から存在する、由緒正しい三角形です。



これは明治の地図ですが、あまり変わっていない。
醸成された、鑑賞に値する三角形だと思います。




本駒込駅で降りたのは実は偶然で、移動中にお仕事の電話がかかってきたからあわてて降りた。
そのあとなんとなく地図を見ていたら、三角形が目に入ってきたので、のこのこ地上にやってきたというわけです。
このあたりは白山の散歩で一度来ていて、好きな場所のひとつです。




駅の壁をカウンター的に使って、アルコールとソフトドリンクで五次会をやった奴がいるな。




駅前は本郷通り。三角形はどっちだ。




ブレーメンムラカミだって。
"ブレーメン"だけじゃダメだったのかな。




二つとなりにドライクリーナムラカミもあった。同族だろうか。
こちらは"ドライクリーナ"だけだと確かに何かおかしい。
ドライクリーナムラカミに引っ張られての、ブレーメンムラカミだろうか。




そんなことはどうでもいいんですけど、早速、北の頂点が見えてきました。
駒込警察署 浅嘉交番です。三角形の頂点を国家権力がしっかり抑えております。
仮にこの交番をどかすと三角形は崩壊し、弛緩した楕円になると思います。

何の話でしたっけ、そう、ここから三角形を一周します。
まずは、右の細い道に行きたい気持ちがすごいので行きます。


細い商店街


©OpenStreetMap contributors / CC BY-SA

ということで、最初にこの"辺"を歩く。



細いくせに、人通りすごくて詰まりそう。
いやここね、本駒込から白山方面へ抜ける最短経路なんですよ。
近くに東洋大学があることもあって、このあたりは学生も多い。




喫茶店もあったり、



入ったりした。
おいしかった。



かみさまだと思ったら、みまさかだった。
美作(みまさか)かなあ。美作って、字も美しいし、かみさまのアナグラムだし、ずるいな。



八百屋もある。
この角の屋根最高じゃないですか?



勇ましい名前だけどうす皮のたこ焼きのお店もある。



ここは完全に商店街なんだよな。
文京区のこのあたりは寺がめちゃくちゃ多くて、江戸時代から寺地が多いんだけど、この三角形の中は昔から町人地だったみたい。




三角形の中に唯一ある、こぢんまりとしたお寺、潮泉寺。
ちょうど、中心あたりに位置する。






裏手にひょろ長いマンションが迫っている。
このあたりの豪族の墓標の可能性もある。




駐輪場に対してここまで手の込んだ看板作るのすごくない?




細い道抜けた。ここは白山坂上の交差点。






ここの頂点は、小田原屋さんでございました。
お惣菜屋さんでいいのかな。



これは、何だ。
柄じゃないよね。持ちにくいし。
柄だとしたらミニーの首キュッてなるし。


白山を主張する通り


©OpenStreetMap contributors / CC BY-SA

次は横に進む。



にぎやかな通りなんす。



白山上向丘商店街。
ここは、住所は本駒込なんだけど白山という自覚がものすごい。



白山どら焼き。



白山くれーぷ。



白山ゴミ。

白山を名乗るものがたくさんある。



南天堂書房は歴史ある本屋で、南天堂という名前の本まで出ているらしい。
読んだことは無い。ここに紹介があった。

店主は松岡虎王麿(トラオウマロ)、その父は寅男麿(トラオマロ)という名前。
小説だったら「ちょっと詰め込み過ぎでは?」となるやつ。
虎王麿はなんとなく、魁!男塾の王大人みたいな風貌を勝手に想像しています。

ともかくもこのトラ・トラ・トラの親子が大正6年に、本郷は白山上に南天堂という1階が書店で2階がカフェレストランであるような店を開いた。そこに集った連中がかなりダダっぽく、ずいぶんアナーキーだった。
松岡正剛の千夜千冊

ダダとアナーキーって同居するのかしら、よく分からないけれど、初期の南天堂には、アナーキストの大杉栄や伊藤野枝らが出入りしていたらしい。
やっぱり大杉栄すごいなと思ったのは大杉栄と伊藤野枝の間にできた子供の名前がそれぞれ長女魔子、次女エマ、三女エマ、四女ルイズ、長男ネストルで、大正時代ですよ? あとエマかぶってんですよ。さすが本場フランスに渡ってアナーキズムを叫ぶインテリはキマってんな! と思っていたんだけど、さらに夜は変な長い名前の人のお店に出入りしてるとか、めっちゃいいな。

大杉栄と伊藤野枝は関東大震災のどさくさで憲兵に殺されてしまうんだけど、その後子供達はそれぞれ真子、幸子、笑子、留意子、栄と改名して引き取られていく。あっ普通に戻った! とか僕はすぐ興味本位で見てしまうんだけど、当たり前だけど当の本人達はとても苦労している。二代目栄は野枝の実家に引き取られたあとすぐに亡くなってしまうし、フランスのアナーキストであるところのルイズ・ミッシェルの名をつけられたルイズの人生を追った本は重い。



昭和初期は天皇が神格化した時代であったので、折に触れて逆賊の娘として扱われたり、ルイズの就職事情が新聞に載ったりする。でもこの本からは、大変だった私、というような熱はあまり感じられなくて、淡々と暮らしを綴っている。大正から平成(平成8年までご存命であった)にかけて真面目に生きた人の暮らしの本ですごく良いです。エマが被ってる理由もちゃんとある。

ちなみに大杉栄と野枝を殺したとされる甘粕正彦という憲兵大尉の生涯もとても興味深くて、その後なぜか大陸に渡って満州国のフィクサー的存在になる。これも小説だったら「ちょっと詰め込み過ぎでは?」となるやつ。義経かよ。






そうこうしているうちに本郷通りにぶつかった。この辺はここまで。
この道路は千駄木、そして上野へと続く。


本郷通りを北へ


©OpenStreetMap contributors / CC BY-SA

最後の辺だ。これで終わりにしよう。
本郷通りを六義園のほうへいく。



そういやさっき、三角形の頂点を紹介していなかった。
えっと、プランターです。



よく手入れされているのか、見事なバラが咲いている。



こちらは鉢 in 鉢。



アロエ三銃士。



気をつけろ。アロエは暴走する。



本郷通りは住宅街なんですね。
文京区の住民は、都道であろうと路上園芸の手を緩めない。




建物側はいいですけども、



道路側に松。風流バイク。
何でしょうね、意地でもやる、やっていくぞ、みたいな、そんな空気を感じる。
これは、アナーキズムなのではないかしら。



アベリア自体は公式植え込みでたまに見かけるんだけど、ここのそれはなんだか解放されている気がする。



振り向けば高いマンションが建ってる。



アールヴェール文京白山。さっきお寺の境内に迫ってたやつかな。

さて、これで、本駒込駅付近の三角形を一周しました。
細い本駒込の商店街、白山を名乗る本駒込の商店街、文京区民の路上園芸の意地、そんな三角形でございました。
前回もそうだったけど、わりと近くをくるっと回っただけにもかかわらず、三辺はそれぞれなんか違う文化と接続しているのが良い。


三角形の重心を決める

すべての三角形には重心がある。
本駒込三角形の重心、トライアングルパワーの源泉的なものを勝手に決めて終わりにしたい。




やっぱり中心にある潮泉寺にあるんじゃないかなあと思って戻ってきた。
重心重心……



この、不安定な鉢も良いかなと思ったんですけどね、



奧にひっそりとあった、これ。



このかっこいい自転車を、重心と決めます。


終わりに



交番の貼り紙を見ていたら、三角形が2つあることに気づいた。
今日回ったのは下の小さな三角形だけど、北側により大きな三角形が浮かび上がっていた。
なるほど。
中学校で習う相似三角形の証明みたいな感じだ。
X(エックス)のように交差する直線と横に伸びる直線が三角形を作る場合、その反対側にも三角形が存在する可能性を考えないといけないな。

帰るけど。


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参考

文京区駒込の寺地の変遷
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/79/697/79_837/_pdf

松岡正剛の千夜千冊 / 南天堂
https://1000ya.isis.ne.jp/0954.html

松下竜一 / ルイズ 父に貰いし名は
https://amzn.to/2RQ10q3





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ヤスノリ

街の歪み研究家。1年に100駅以上降りる。駅を制覇する系のアプリは本気出せば結構なとこまでいくと思うのだけど、毎回起動を忘れる。

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