マチノネ#4 西葛西、鈍色アーチと二輪車天国
- 更新日: 2023/02/22
西葛西
【本企画について】
到着駅から目的地へと向かう道中で景色が変わるごとにハンディレコーダーをかざしてフィールドレコーディング=自然音・環境音の採集を行い、その成果物として録音物を使いイメージに沿う音を足しながら楽曲を制作する。制作した楽曲は採集風景の映像とともに動画として公開する。
通勤客に紛れて地下鉄へ飛び乗る。東京を離れてから暫く縁の無い東西線。かつてポートレート撮影のため中川沿いに赴いたことがあり、川辺から見渡す景色がとても美しかったことを鮮烈に覚えていた。今もあのままがあるのだろうか。
駅を出て程なく歩くと総合レクリエーション公園の区画へ入る。どこまでが公園か分からないほど広い。メカニカルなオブジェが虹を掲げている。
その麓、タイル池を群れて泳ぐブロンズ金魚。
木々の間から顔を覗かせるなんとかザウルス。
砂場から抜け出るトリケラトプス。剥げた塗装がまた本物じみている。
陸橋の中伏から往来を眺める。広い道を自転車が気持ち良く抜けていく。自転車専用道がそこかしこにあり、ロードバイクからママチャリまであらゆる二輪が行き交う。気持ち良く開けた平地なのでさぞかし走りやすいことだろう。
ずいぶん前に来たぶりなので道はもう忘れてしまった。どこか広場へ続いていそうな緑道を進む。
茂みの中で鳴く主を探す。このブチネコは前にもここで見たような気がする。ついでに声を採取。
人の手で造られた小川が自転車道に並んで伸びている。タモを持って水底をつつく子供、列を成して泳ぐカモの親子。確かにここに憩いを生んでいる。
そのまま公園に接続。湖に張り出ているがここはカヌー場なんだそうだ。河川がここを経由して双方向に果てしなく伸びているので沿って歩いてみる。
ところどころ南国感のある景色。
乱立するバーはカヌーのためのものらしい。スラロームという不規則に並んだゲートを潜りながら進む競技に使われるそうだ。
停泊スペースにぴったりと収まる漁船たち。
高速が見えたということは向こうにサイクリングロードが待っているはず。しかしどうやって反対に渡ればよいのかさっぱりわからない。そもそも対岸に歩道らしきものが見当たらない。
とりあえず横断ポイントが現れるまで道沿いを歩き続ける。向こうに眩しい河川敷が見えているというのに...。
しばらく行ってようやく渡れた。鈍色の巨大なアーチを潜りサイクリングロードへ。下からの眺めは迫力満点。
かなり先まで伸びていたはずの道は工事のため途中から封鎖されており、それもあってか人通りがほとんどない。自分しかいないのをいいことに白線に沿って我が物顔で進む。
向こうの中洲を自転車が通っていったので行こうと思えば行けるらしい。
煌めく水面と遥か遠くに望む街並み。何度でもシャッターを切ってしまう。
線路と高速と自転車道の混線ポイントを抜けて駅へ向かう。入り乱れる直線情報の多さに焦点の置き所を見失う。
今回出来た楽曲はこちら。
無機なコンクリート群と美しい水辺の風景が調和する街の造りからイメージを起こし、手弾きのアコギをカットアップしたグリッヂーなエレクトロニカを製作しました。
今回から街の雰囲気をよりリアルに伝えるためにレイアウトや見せ方を再考してみましたがいかがだったでしょうか。これにより表現出来ることの幅を増やしていけると思うので、今までとは異なる切り口の街歩きにもトライしていけたらと思っています。それではまた。