白金高輪・白金覚林寺で本当に「清正公大祭」はあったのか

  • 更新日: 2018/05/23

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都会の真ん中によくもまあ


この連載は「せとゲノム」が祭りの翌日に顔を出し、本当に祭りが開催されたのか、どのような祭りだったのかを痕跡から推理します。




おはようございます。せとゲノムです。
本日は、5月6日、月曜日の早朝です。
港区にある白金高輪駅に来ております。
この近辺にある覚林寺というところで、5月4日、5日に清正公(せいしょうこう)大祭というお祭りがあったとの情報を得ました。

でも、本当に祭りなんてあったのでしょうか。

清正公祭りの清正って、安土桃山時代から江戸時代初期に生きた戦国武将、加藤清正のことですよね。
加藤清正は、肥後熊本藩初代藩主で、熊本と縁の深い武将です。
熊本で清正公のお祭りをやるなら分かりますが、東京の白金と加藤清正に接点があるとは聞いたことがありません。
せめて愛知(清正は尾張出身)です。
これは、祭りの存在自体が怪しいですよ。

本当に祭りがあったのか、実際に現地へ赴いて確かめてみましょう。



む、道中にかき氷のカップが落ちていました。
一体何を意味するのでしょう。
まさか祭りがあって、屋台でかき氷が振舞われていたのでしょうか。
ブルーハワイで舌の色を変にしていたのでしょうか。

もちろん、これだけの証拠で祭りがあったなんて断定するのは早計です。
引き続き、疑い深く練り歩いていきます。



割り箸も見つけました。
片方だけ妙に汚れていますね。
これは、何か食べ物を刺していた形跡です。
ちょうどバナナチョコなんかを作ると、こんな感じになるんですよね。



プラスチックのスプーン。
けっこう大きめでしっかりしたスプーンです。
がっつりした食事を摂るのに使ったのでしょう。

ただ、何を食べたのかまでは特定が難しいです。
カレーを食べたにしては汚れ方が少ないような。



おや。マルカワのコーラガムですか。
白金のような高級住宅街で出会えるなんて思っていなかったです。
ちょっと不自然に感じますねえ。
シロガネーゼのホームパーティで手土産にコーラガムを渡したら、やばい人でしょう。



しかもこれ、普段コンビニで見るタイプじゃないですよね。
駄菓子の問屋から卸してもらうときの、アソートパックみたいなのに入っている形状です。
祭りの実行委員が、子供にあげる用に問屋で注文したのか?

清正公大祭では、子供の育成成就祈祷を行っていたという噂もあります。
5月5日はこどもの日ですし、そう考えると白金にこのガムが落ちている理由に筋が通ります。



ワラも見つけました。
ワラは、かつて産褥(出産の時に産婦が使う寝床)に敷かれていた関係で、これも子供と縁の深い植物です。
お飾りの一種として配ったのでしょう。

ただ、祭りがあった決定的な証拠とは言えません。
決定打があるまで、絶対に祭りがあったなんで認めるもんか。
怯まず探索だ!!!



ぎゃー、決定打が出ました。
祭り、ありました。

清正公大祭は、毎年5月の4日と4日に行われているお祭りです。
この覚林寺を建てた日延上人(にちえんしょうにん)の養父が加藤清正だったため、清正公の名前が付いたんですね。
開山は1631年と、400年近い歴史を持っています。
お守りなどの効能が高いと評判で、樋口一葉の『うもれ木』にも「霊験あらたかなりと人もいう、白金の清正公に日参の、こむる心を兄には告げねど」という一説が登場します。
現在も多くの人で賑わいます。

因みに、清正公を祀る寺院は全国に235寺院、神社149社あるとされています。
熊本に最も多く分布しているのは確かなようですが、全国的に引っ張りだこな様子です。
期待されているご利益も「病除け」「武運」「水難除け」「商売繁盛」と各地で多岐に亘り、大変そうです。
今回の祭りだって育成成就祈祷を任されていますしね。
私が清正公だったら、発狂していることでしょう。

それでは、公堂に行ってみます。



こちらが清正公堂の門です。
吊るしてある提灯に祭りの残り香を感じますね。



手書きの気合入った掲示板です。
毎年書き直しているんでしょうか。
菖蒲入りのお勝守を授与しているのは、菖蒲の節句であるのと同時に、ここが勝負祈願の寺であり、さらに清正公が尚武の神であることに因んでいます。
トリプル。
加藤清正の武運にあやかって人生の苦しみに打ち勝ち、幸運に恵まれるよう祈りが込められています。



境内はこんな感じです。
簡素で整然とした佇まいに好感が持てます。
一見するとゴミ一つ落ちていなそうですが、目ざとく祭りの面影を探していきます。



風船を見つけました。

空気を入れる部分が、通常の風船よりもしっかり作られている印象です。
つまり、口で直接膨らますというよりは、棒やポンプを挿すのかなと予想できます。
ヨーヨー釣りの風船かとも思いましたが、無地(ヨーヨー釣りの風船特有の模様がない)なのでそれは違うみたいです。
ストロー状の棒を付けて膨らますおもちゃの一部だったのかもしれません。



輪ゴムです。
祭りの定番ですね。
プラスチックのパックを留めたり、金魚すくいの袋を縛ったりとあらゆる場面で活躍します。



仮説トイレがありました。
おめでたい布で隠してくれているのが、いいですね。
配慮を感じます。

「トイレ」の字がでかいのもいい。
ギリシア歩兵が盾の代わりに使っててもおかしくない大きさです。



横からの仮説トイレ。
天気がいいこともあって、スカイブルーと紅白幕のコントラストが鮮やか。



コルク栓ですね。
最初は射的の弾かなと思ったのですが、離れた場所で複数見つかったので、その可能性は低くなりました。
参拝客に渡したものに関係している?



本堂の提灯。
私の当たった写真資料では普段この提灯は付けていないようだったので、祭り用に取り付けたものでしょう。
力強いフォント。



本堂脇には、祭りで使ったと思われるダンボールがありました。
「牡丹」は、どうやらお線香の商品名みたいです。



石の隙間にシャボン液の容器。
子供達がシャボン玉で遊んだ様子が目に浮かびます。



あー、これはおみくじのやつですね。
シャカシャカ振ると底の穴から、大吉とか小吉とかの札が出てくる仕組みです。
商品名は、ストレートに「おみくじキーホルダー」というみたい。
小学生の頃にこれをランドセルのキーホルダーにしている子がいて、毎朝その子に頼んでおみくじをさせてもらっていた記憶があります。



このピンクのは、ラムネの栓かなあと思います。
手の平で押して、ビー玉を下に落とす。



ラムネの瓶に巻くビニールが落ちていたので、さっきのはラムネの栓で確定としていいでしょう。



この小さなピンクや黄色のビーズみたいなのは、多分お菓子ですね。
具体的には、チーリン製菓の「プチみっくちゅみんちゅ」って商品じゃないかなあと思ってます。



これです。
不器用な子がこぼしたのかもしれません。
スライドさせる容器が新鮮で、好きでした。



焼きそばの現物です。
どんな祭りにも登場しますね。
原価が安くて調理が簡単でめちゃくちゃ美味いなら当然か。



壁際の割り箸。
最初に道路で見つけた割り箸と汚れ方の違うのが分かるでしょうか。

こちらは先端部分だけシミになっています。
つまり、挿すという用途ではなく、焼きそばなどを食べるのに使ったと考えることができます。



堂々とした看板。



神社の隅のほうに落ちていたイチゴです。
崩れ方から、落ちてからあまり時間の経ってなさそうな印象です。
ということは、祭りと関係している?
いや、でもこういう痛みやすい果物って、祭りではあまり使わない気もします。

謎イチゴ。



茂みの中に梅。
梅には長寿や幸福の意味を込めることがありますからね。
縁起物として振舞われたのかもしれません。



銀杏の実の殻を見つけました。
中身がないので、食べたんですかね。



社務所的な場所でご朱印がもらえたんですね。
昔は納経の見返りだったのが、今は参拝するだけでもらえるようになったようです。
楽ちん。

この看板は、何年も使い回していることが分かる汚れ方です。



長めの串。
んー、田楽でしょうか。
焼き鳥や唐揚げに見られる肉汁の付着がなかったので、茹でたコンニャク辺りをタレにつけて食べたのかと予想しました。



これは、ソースのフタ部分。
先ほど出た焼きそば用ですかね。



ひしゃげてしまったクレープのようなものです。
バニラと思われる液体が飛び出ています。
こんな強い力で潰されることあるんですね。
プレス機が奉納に来ていたのか?



帰り道に、祭り用の氷を見つけました。
ひゃっほーう、氷だ氷だ!

まとめ

以上です。
祭りの基本を押さえた上で、参拝を楽しむことができる作りになっていたと感じました。
こどもの日のお祭りということで、シャボン玉など子供を意識したものが落ちていたのも印象的です。

お勝守で言えば、歴史の中で「全てのことに勝つ」と武運を拡大解釈していった経緯が面白かったです。
ご先祖たちの勝手さ。
「最初は戦闘だけだったのになあ」という清正公のぼやきが聞こえるようです。

では、また。

参考資料(URL最終確認はいずれも2018/05/09)
『歴史散歩みなと』2015 港区教育委員会
『清正公信仰の研究 : 近世・近代の「人を神に祀る習俗」』福西大輔 2010 熊本大学
『増補 写された港区二(高輪地区編)~三田・高輪・白金・芝浦・台場ほか~』2006 港区教育委員会
『闇桜・うもれ木 他二篇 』樋口一葉 1939 岩波書店
『丸川製菓株式会社』http://www.marukawagum.com/index.html
『株式会社 チーリン製菓』http://www.chirin.co.jp/



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せとゲノム

元・都。散歩がてら大喜利をしたり、祭りの翌日に現れたりと、得体の知れない活動に余念がありません。

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