雑司が谷で本当に「鬼子母神御会式」はあったのか

  • 更新日: 2018/11/06

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建設か撤収か


この連載は「せとゲノム」が祭りの翌日に顔を出し、本当に祭りが開催されたのか、どのような祭りだったのかを痕跡から推理します。




おはようございます。せとゲノムです。
ただいま10月19日、金曜日の早朝です。
東京メトロ雑司が谷駅に来ております。
こちら近辺の雑司が谷鬼子母神(ぞうしがやきしもじん)というところで、10月16日から18日にかけて鬼子母神御会式(おえしき)というお祭りがあったと聞いて来ました。

でも、本当に祭りなんてあったのでしょうか。

私ね、7月に入谷鬼子母神を訪れたばっかりなんですよ。
朝顔祭りでね。
そうそう何回も鬼子母神関連で祭りがありますかという話です。

まあ、御託を並べていても何も解決しません。
実際に街を歩いて祭りの形跡を探っていきましょう。



む、一軒家の軒先に宗祖御会式と書かれた提灯とテントが。
奇しくも今回の祭りも「御会式」という名前ですが、個人の趣味という可能性もあります。

決定的な証拠がない限り祭りがあったとは認めませんからね私は。
大正時代のお父さんが恋愛結婚を認めないくらいの認めなさですからね。
気持ちの上では、「KATAKUNA(頑な)」と書いた鉢巻きをしてますからね。

いいですか?
よほどの証拠がない限り、祭り認定しませんよ!



すみません、祭りありました。

雑司ヶ谷鬼子母神御会式は江戸時代から続いている年中行事です。
法華宗の宗教行事が由来ですが、今は単なるお祭りという側面が強くなっています。
最も古い資料で元禄時代から庶民の間で御会式は親しまれていました。

毎年10月の16日から18日の日付固定で行われます。
鬼子母神堂と法明寺を中心に、屋台や人々で賑わいます。

練供養という、地元の人々が提灯や太鼓を持って練り歩くイベントが特徴的です。



では、鬼子母神境内に入っていきましょう。



手書きのメモですね。
どうやら、りんご飴の材料を把握するために使っていたようです。
たまらんですな。

現場名を書く欄があることから、他の祭りでも使うことが分かります。
祭りの現場に派遣されて屋台をやるようなビジネスがあって、そこの会社からもらうフォーマットなのでしょうか。

パイン、いちご、ぶどう、みかんに加え、マンゴーやキウイのような変わり種まで用意していた形跡があります。



ラムネのふた。
祭りの常連ですね。
気温が下がってきたとはいえ、まだまだ需要はあります。



屋台の残滓。
本体がオレンジ色なことから、食べ物系の屋台なのかなと想像します。
食べ物系なら食欲が増すように暖色をチョイスしている可能性が高いはずです。
寒色を使うと食欲が減るみたいな実験があった気がするんですよね。



朝の静かさと、紅白の幕のおめでたさが同居している。
祭りの翌日にだけ見られる贅沢な風景です。



わーい氷だ氷だ!
なんだか久々に見た気がします。
飲み物を冷やすクーラーボックスに入れたりして使ったんでしょう。



うおおお、違うタイプの氷!
肉のような要冷蔵の食品の下に敷いて、即席の冷蔵庫のようにして使ったのでしょうか。



氷フィーバー!
い、いいんですか?
こんなに様々な氷を見せてもらっていいんですか?
バチとか当たりませんか?
この幸せの反動で、一生喉にモチが詰まったような感覚のまま生きなくちゃいけないとか?
興奮と不安で目が回ってきました。



ピンですね。
貼り紙などを留めていたのでしょう。



祭りがあるところには輪ゴムがあります。
でも、逆は偽です。
輪ゴムがあるところに祭りがあるっていうんなら、文具屋さんが毎日祭りってことになりますからね。
よさこいマッキー。
わっしょいフリクション。
砂消し音頭。



お、祭りの灯りに使っていた電線ですね。
他の祭りでも見ますが、絶対丸く束ねていますよね。
この形状が最適解なんですかね。
それとも関東地方は丸で関西地方は四角とかあるんでしょうか。



出たよ。ローカル七福神。
一発で分かってもらえる便利さが重宝され、色んな土地に駆り出されています。
「とりあえずおめでたい感じがする」っていうのは、大事なことですね。

鬼子母神信仰のお膝元で堂々と展開するのはすごい。



七繋がりで。
こういう物販もあったんでしょう。
調味料だけ売るとは、中々渋いです。



割り箸も落ちています。
何か食べ物の屋台があった証拠ですね。
先端以外ほとんど汚れていないので、一口か二口食べて落っことしてしまったのかもしれません。
サイコメトリーしたら、おっちょこちょいな人の映像が見える。



地元の警察が警備するための仮の詰め所ですね。
きちんと届出を出しているからこそです。
警官の方も運営陣もお疲れ様です。



電球のソケット部分ですね。
夜に落とすと、色が暗くて見つけづらいですよね。
余分に用意してくれているといいのですが。



灯篭にもたれかからないように棒と板でカバーしているのでしょうか。
朝日も相俟って、ピラミッド的な神聖さを感じます。
日本の宗教がエジプトに上書きされてしまう。



ちょっとした櫓もありました。
踊りを踊ったり、太鼓を叩いてムードを盛り上げたりしたんですかね。
手前のポールにかかっているタオルが汗を想起させていいですね。
当日の熱気が間接的に伝わる。



これは、スーパーボールの一種ですね。
たまたま手元にある2012年と2013年の産道・境内露天商等の配置を見ると、両方でスーパーボールすくいの露店が出ているので、定番なのでしょう。

ラグビーボールのような形状をしていることで、ランダムに跳ねるタイプです。
調子に乗った子供が台所とかで跳ねさせて、両親を迷惑がらせる様子が目に浮かびます。



御札所。札も売っていたみたいです。
マルティン・ルター激怒案件。

鬼子母神は、特に子授け・安産・子育ての御利益で信仰を集めてきた歴史があります。



万灯(まんどう)という、大きな提灯ですね。
モチーフは、枝垂れ桜。
祭りの当日には、地元の人がこれを担いで練り歩いたりします。

重さは40kgほどあります。
しかも軽量化(持ち手を木製からアルミにする)に成功してこの重さだっていうんですからね。
私は眺めるだけにします。



梅干しとポップキャンディ。
どんな組み合わせだ。
すっぱいものと甘いものを交互に味わおうとして両方落としたんでしょうか。
梅干しの泥のつき方から、梅干しの方は一回口に入れていると思うんですよね。
あまりにすっぱくて、手に持っていたものを全て放り出した?



本院への看板。
こういうオフィシャルな掲示物で「近道」とか言われるとくすぐったいです。
文字は手書きなのに、矢印だけパソコンの図形なのが不思議。



目白睦というのは、「講社」と呼ばれる地元の青年会のような組織の一つです。
他には若葉睦や三嶽中島講などがあって、○○睦あるいは○○講と付きます。
有志で集まっていて、町会などとはまた別の扱いです。

御会式で自分たちだけの万灯や太鼓が欲しいと思って他の講社から独立して発生するパターンが多いみたいです。
祭りにかける思いがすごい。

これは、祭り期間中に万灯を閉まっておくための仮の物置です。



ビールケースですね。
もしかしたら、「直会」と呼ばれる祭りの打ち上げで飲まれたものかもしれません。
本数の多さから、宴会会場のガヤガヤ感を感じます。



鉄骨を積んだトラック。
業者さんも朝早くから大変ですね。



祭りって18日で終わったんですよね?
なのに23日まで駐車禁止なんですか?長くない?
祭りを口実に自転車やバイクを寄せ付けたくないのか。
それとも、祭りの持続判定みたいなのが残っているのか。



本院も行ってみましょう。
せっかく近道を教えてもらったのでね。



10月13日?
なるほど、法明寺の行っている宗祖御会式と、鬼子母神御会式は元々別物なんですね。
宗祖御会式が13日開催で、鬼子母神御会式が16-18日開催。
しかし、鬼子母神御会式の練供養のゴールが法明寺だから、同時開催っぽくもなっていると。

意図せず二つの祭りに跨って探索していたようです。
同時に二つの祭りの翌日に来れてラッキーだなあ。

10月13日は、法華宗の宗祖である日蓮聖人の忌日です。



いよいよ本院である威光山法明寺に着きました。
元々天台宗のお寺だったのが法華宗に転じた経緯があります。
名前がいかつい。

入ってみましょう。



えっ、犬の着ぐるみ?
こんなのが落ちていたのは初めてです。
一体何が行われていたというんだ。
名前のいかつさからのギャップに脳が揺れます。



手ぬぐいですね。
各講社で、違ったデザインのものを作っています。
青地に白模様という特徴なので、青葉睦のものでしょうか。

この手ぬぐいは、平成二十四年から一般向けにも販売されています。
コンプリートする楽しみが生まれますね。



このお寺では、複数の銀の皿が落ちていました。
共通の規格だったのでしょうか。



祭りを支えた屋台骨たち。
「軽量ですが丈夫です」って顔してますね。

まとめ

以上です。
江戸時代から続いているだけあって、会場の設営にノウハウの蓄積を感じました。
3日間開催で200近くの屋台が出ていたにも関わらず、ゴミが散乱していなかったのもお見事。

屋台の資料を見ていると、あんず飴やソースせんべいなど懐かしのものと、カリカリチーズやタピオカジュースのような比較的新しいものが混在していて面白いです。
伝統を守りながらうまく新しいものを取り入れているんですね。
元禄時代にタイムスリップして、ドネルサンドを見せびらかしたい。

ではまた。

参考資料
『ぞうしがや―鬼子母神門前とその周辺―』豊島区郷土資料館 2006 豊島区
『雑司ヶ谷鬼子母神堂開堂三百五十年・重要文化財指定記念 雑司ヶ谷鬼子母神堂』威光山法明寺 2016 勉誠出版
『雑司ヶ谷 鬼子母神』日本女子大学総合研究所 2016
『雑司ヶ谷鬼子母神御会式調査報告書』豊島区教育委員会教育総務課文化財係 2004 豊島区教育委員会



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せとゲノム

元・都。散歩がてら大喜利をしたり、祭りの翌日に現れたりと、得体の知れない活動に余念がありません。

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