女風セラピストと120分『高田馬場』散歩

  • 更新日: 2022/08/30

女風セラピストと120分『高田馬場』散歩のアイキャッチ画像

おすすめのラブリーなデートが「散歩」? AV男優しみけんプロデュースの女性用風俗『スイートスポット』所属のセラピスト・哉太さんに連絡してみたぞ~!

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 まさかサンポーで「女性用風俗」にふれるとは思っていなかった。
 なぜならここは独自の視点をもった散歩マニアの集まる媒体であり、生々しいエッチなネタってほとんどないところだから。しかし、散歩好きのわたしから見てひとりどうしても気になる男性セラピストさんができてしまい、TwitterのDM(ダイレクトメール)からアタックしてしまった。今ここを読んでいるあなたが風俗と縁のある人でもない人でも、なぜ気になったたのか興味をお持ちなら少し立ち止まって読んでほしい。


 女性用風俗(女風・じょふう)とは女性向けの派遣型ヘルスのことで、実店舗は持たず、自宅やホテルなどで金銭を介して性的な行為を受けられるサービスである。顧客は女風ユーザー、従事者はセラピストまたはキャストと呼ばれることが多い。

 彼/彼女らはユーザーの希望に沿って年上や年下の彼氏/彼女のようだったり、先生やご主人さまのようだったり、飼い主やペットのようだったり、その時々でふるまいを変えながら接してくれる。希望があれば性的な行為のみでなく、デートや旅行など外出全般をともにすることもできる。

 そこで気になったのが、個人的な推しの女風店『スイートスポット』でのセラピストたちが掲げる「おすすめのデートコース」である。推しであるのをサラッと書いているが、つまりわたしは元々ユーザーだということだ。

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 『スイートスポット』でデートコースを利用できる相手は、これまで一度も個人指名をしたことのないセラピストのみ。場所は東京23区限定で、自宅やホテル利用は不可。料金は60分5,000円、90分7,500円、120分10,000円、延長30分ごと+7,000円 で、性感マッサージありの通常コースと比べると約半額という割安な設定だ。
 いきなり密室でふたりきりになるのではなく、外で会ってどんな人柄なのかを見極めたいユーザーに向いているとおもう。デートで気に入れば、セラピストの予約の空き次第ではそのまま通常コースに進むこともできる。それはもちろん、施術と称した性的な行為が含まれるものだ。

 公式プロフィールでは各セラピストが「ラブリーなデートプランを考えてみてください」という項目に回答をしており、そこで想像をふくらませることができる。具体的には、

・水族館で手をつなぎながらゆっくり見てまわる。カフェでくつろげたら最高
・箱根までスポーツカーでドライブ。温泉でふたりだけの時間を過ごす
・河口湖の「オルゴールの森美術館」で演奏を聴き、一緒にオルゴールを作る
・浅草のデートスポットを散策。東京ソラマチの夜景が見えるレストランで夕食
・ディズニーリゾートで遊んでオフィシャルホテルに泊まる
・おいしいものとお酒をもってビーチ集合。夕日を眺めながら食事、夜は線香花火
・横浜で中華街デート。食べ歩きや占いスポットを楽しんで江ノ島までドライブ

 ……など。もれなくイチャ甘な雰囲気になれそうだし、異性を口説くようなコンセプトがうっすらみえる。ユーザーがドキドキ感やきゅんきゅんするきもちを味わえるよう留意してくれている。
 しかし、問題はここから。ひとりだけようすの違う回答を見つけてしまったのだ。

「サウナで整ったあと、一緒に散歩」

 ……さうなでととのったあと、いっしょにさんぽ……?

 相当ざっくりしている。具体的な場所の指定もない。サウナ必須なのだろうか。有料デートなのに別々でというわけはない、きっと男女混浴だろう。でも、もしかしてサウナを省いて散歩だけでもいいのだろうか。だとしたら、なんてユニバーサルな提案なんだ。

 そのデートプランの提案者は、セラピストの哉太(かなた)さんである。


 当時わたしが知っていた哉太さんの情報といえば、「セラピストになるために岐阜県から上京してきた26歳」「上京3ヶ月で自転車2台を盗まれた」「自転車で移動が多く局地的に東京の地理に詳しくなっていそう」「新宿駅の複雑さが苦手」「美容器具で表情筋を鍛えている美意識高め男子」「官能小説を読むのが好きな実況プレイ好き」くらい。いっぱい知ってるじゃん、ファンかよ! とおもわれそうだが、哉太さんの日誌やTwitterでの発信をときどきチェックしていれば分かることばかりだ。
 『スイートスポット』公式のリアルイベントで数分だけ直接話したことはあるが、何かの拍子に「そうなんですよ~」と困った顔をしていた記憶は強くあるのに、どうしてそうなったのかは覚えていない。他のセラピストと同じように動向を見守っていたものの、きもちの上ではほとんどノーマークの相手だったのだ。
 でも、例のデートプランに気づいてしまってからは「哉太さんて発想がちょっと違うな、おもしろそう……」と、注目の的に。他と回答が大きく違ってみえるのは、することだけ書いてあってコースが見えない点である。どこに行ってもいい、行かなくてもいい、なにをしてもいい、しなくてもいい。もはやコースが目的ではなく、哉太さんと一緒にいることが目的みたいにもおもえてくる、天才か(だいぶ盲目になってきた)。

 そんなわけで正式ルートで取材を申し込み、ご本人・『スイートスポット』運営さん・プロデューサー(AV男優しみけんさん)の許可を得て、「デートコース利用で一緒に散歩してください!」という、エロい施術一切なしの日がやってきたのである。


 なお、哉太さんから取材OKをいただくまでに丸1日はかかっている。心のどこかに引っ掛かりがあるままではやりにくいだろうとおもい理由をたずねたら、「迷ったのは、僕を気にかけてくださっているユーザーさんや、何度かお会いしてくださっているお客さまに不快なおもいをさせてしまわないかということです。でも、この企画だと散歩の提案だけだし、嫉妬のような感情をもたせてヤキモキさせることはないかなあって(笑)」
 要するに、セラピストと行動をともにした女風ユーザーの存在を具体的には知りたくない人もいるわけだ。この取材で「利用の被り」や「行為や関係性のにおわせ」をふりまくようなら、場合によっては記事そのものが嫌悪感の対象になるかもしれず、今後の活動にプラスにはならない。もちろん、そこはわたしも考えているのでお伝えすると、「デートコース120分を散歩する」以外のことはないので安心してほしい。

 待ち合わせたのはJR高田馬場駅、中央改札口。この地域を散歩エリアに指定したのは哉太さんのほうである。ご本人がよく訪れるので紹介しやすいのだとか。
 予定より早く到着したわたしは、「あまり訪れることのない23区内の駅周辺」に来たら必ずやる「東京風紀委員会のステッカー探し」をした。かつてサンポーでも取り上げられた謎の集団によるものである。「ダメよ。ゼッタイ。」と、何がいけないのか明記していないのがミソで、渋谷や新宿では路上でエンカウントしやすい。





 これを見つけただけで「おっ、あった~!」と満足してしまうわたし、写真を撮ってTwitterにハッシュタグ付きで投稿してから待ち合わせの目印として分かりやすいところを探した。

 鉄道開業150周年JR東日本「LEGOスタンプラリー・たかだのばば・馬のトレーナー」の看板の前にいます、とDMで言えるようスタンバイ。何それ? ってなると困るので現物をパシャる。だいたいこういう駅スタンプラリーって、どのコラボでも駅とそこに割り振られたモノの関連性がよく分からなくてイイ。問い合わせたところで「とくに関係はないです」って回答がきそうなのもイイ。



 「馬のトレーナー」前でにっこりしたままで待っていたら、TwitterのDMから連絡が。振り向くと、哉太さんがいた。人参をもっているLEGOの人と同じ表情でたたずんでいる、というワザは使えなかった。お互い、こんにちはと挨拶をして少々立ち話になった。

くーりー:今日、ちゃんと寝てないんじゃないですか?

哉太:はい、実はお泊りコースで急な指名があってあんまり(笑)。でも、お会いするの楽しみにしてましたし、女風のお仕事も本当に好きなのでこれくらいなんともないですよ!

 実は、哉太さんに注目し始めてから出勤スケジュールをたまにチェックしていたのだが、意を決して取材を申し込んだ6月初めはわりとお茶をひいている(=あまり指名されていない)ようにみえたのだ。それもあって依頼しやすくていいなという下心があったのに、その後みるみる「予約済」の出勤枠が増えていき、ツイキャスやTwitterや日誌などでの露出も伸びていった。

くーりー: この2ヶ月くらいで新規やリピートのお客さんをつかむようになった理由って、なにかあるんですか?

哉太:それが……Twitterとか日誌での自己アピールはしていたけど、それ以外ずっと受け身だったんですよ。指名してくださった方にお礼の挨拶はしても、新しくフォローしてくださった方に挨拶のDMを送るってことはまったくしていなくて。ささやかでもやりとりが発生することの大切さについて、考えてもいなかったというか。はっきり言って僕のリサーチ不足だったとおもいます。男性用風俗と女性用風俗では求められることが違うんだなって、先輩から教えてもらってだんだん分かってきて。

 そこまで話したところで、じゃあ行きますかとエスコートされながら歩きだした。わたし自身は高田馬場にはたいしてゆかりがないので何がどこにあるのやら……。駅の中央改札から歩道にでて左折。炎天下のなか、ゆるやかなのぼり坂をゆく。しばらくは背景が飲食店でおおわれていた。

哉太:セラピストになる前、まだ岐阜にいた頃のことですけど、男性用風俗が大好きだったんですよ。僕自身が風俗嬢との心のつながりやアフターケアなどを求めることがなかったものだから、女風ユーザーもそういう感覚だろうと無意識に思い込んじゃってたんですよね。

 哉太さんの公式プロフィールには、ソープ街「金津園」、ストリップ劇場「まさご座」といった岐阜周辺の遊び場の名前が登場する。そのあたりがスッと語られるのが実体験の伴ったものだからとは、想像していなかった。
 女性用風俗『スイートスポット』でセラピストとユーザーが個々にやりとりできるツールは、TwitterのDMのみ。店舗によっては専用LINEを用意しているケースもある。使い方は皆それぞれだが、予約の打診や日時・場所の相談だけでなく、お互いのことを知るためのキャッチボールを事前にしておく人も多い。
 ちなみに、哉太さんとわたしのDMは簡素なものだ。それはなるべく「哉太さんが考えてくる散歩の提案」に色付けをしないためであった。

くーりー:きっと個人間のやりとりが発生するほうが相手の雰囲気が伝わりやすいですよね。自分を気にかけてくれる人のほうを見てしまうきもちも分かります(笑)

哉太:お互いのことを知り合うきっかけになるのはだいじですね。DMのやりとりだけでも、僕を選んでくれるなんて本当にありがたいと思っています。今はまだセラピストを専業にできるほどの実績がないけれど、もっともっと指名がいただけるよう努力していきたいですね。

 ゆるやかなのぼり坂は終わらない。果たして、高田馬場を選んだことに意味はあるのか? という疑問が発生するくらい、ずーっと会話ばかりしていた。「自分は腰を据えて話を聞くタイプで、じゃんじゃん話題をふるほうではない」と哉太さんは言うが、1つの質問からエピソードをひきだせる人なので、それを聞いているのが楽しかった。

哉太:日射しがキツいですね、大丈夫ですか。というか、くだけたかんじでおしゃべりできるとうれしいから、そろそろタメ口にしてもいいですか(笑)

くーりー:どうぞどうぞ。でも、わたしは敬語フェチなので、このままいってもよいですか?

哉太:いいよ。僕はラフなかんじにするね。

 そうこうしているうちに、『手塚プロダクション』前に到着。



くーりー:前にも来たことあるんですか?

哉太:いや、実はない(笑)。今回の散歩は、僕が高田馬場をまわっていてずっと気にはなっているけど入ったことのない場所も含めて紹介して、本格的にデートするとき誘ってほしいな、と。

くーりー:なるほど、ふたりで一緒に初めてなことを体験するコースの一例ってことですね、やるなあ(笑)。その発想はなかった。

哉太:もちろん、相手の希望にあわせてプランを練るつもりだけど、こういうのもあるよって。



 ちなみに、『手塚プロダクション』は会社なので、観光気分で館内を見てまわるところではなさそうだ。ただ、ファンにとっては聖地巡礼。ショールームや映写室が備わっているそうで、一度は中を覗いてみたくなるきもちは分かる。哉太さんは手塚治虫の『火の鳥』シリーズを学生時代に読んで深く感銘を受けたそうだ。アニメトークをしながらの散歩もいい。

手塚プロダクション

手塚プロダクション公式WEBサイトです。


くーりー:そういえば、自転車まわりの被害は最近どうなんですか。

哉太:それが、また運がわるくて。1月末にスイートスポットの面接を受けて上京してから3ヶ月で自転車が2回も盗まれてへこんでたけど、今度は同じ自転車で3回パンクしてる(笑)

くーりー:どうなっているんですか……やっぱり仕事でもプライベートでも利用して走行距離が長くなると、何か踏んづけちゃったりするのでしょうか。

哉太:Uber Eatsの配達を兼業でやっていて、高田馬場も僕のテリトリーなんだけど、乗ってるときにしゅるしゅるしゅる……っていっちゃう。障害物があったかんじではないのがこわい。駐輪しているときにイタズラされたとかじゃないからまだいいけど、厄払いが必要だなあとおもって。あとで神社にも行くつもり。

くーりー:パワースポットで清らかな空気を浴びておくの、デートとしてもいいかもしれませんね。

哉太:うんうん。ところで、ここ僕がよく自転車で通ってる戸山公園なんだけど、なにか感じたりする?



 到着したのは都立『戸山公園』の入口。公衆電話ボックスの破損(破壊?)が目につく以外は、これといって変わった点のない、よくある風景にみえる。

哉太:実は、通り抜けるたびに変なかんじがするから調べちゃったんだけど、大量の人骨が発見されたことのある心霊スポットでもあるらしくて。知らなきゃよかった~(泣)。夜とかもう、本当に怖くて。でも通るんだけど。

くーりー:なんやかや言って生活圏から外せない公園なんですね。Uber Eatsで配達するときの最短距離を考えるとここを利用しないと損、みたいなときもあるのでしょうか。

哉太:そう。便利なのよ。でも、女風の仕事をしているのもあって、もしかしたら僕自身がそういうのを惹きつけちゃってたりしないかも考えちゃって。生霊っていうのかなあ。自転車のタイヤ、なんもしてないのに割れるし。

くーりー:憑かれるような心当たりがあるわけじゃないけど、ってことですよね。人と肌をかさねることが多い職業だから、どうしたって生身の人の心のさみしさを無意識に引っ張ってきちゃったり。

哉太:うん、そんなこともあるのかもなあ、くらいの感覚。本気でそうおもってるわけじゃないけどね。あっ、そんなこと言いつつここで休憩をとろうと思ってるんだけど、平気(笑)?

くーりー:えっ!! ……は、はい。休むところなんてありますかね?

哉太:あるよ、公園だもの。はい、お茶とお水どっちがいいかな。



 お茶をチョイス。
 女性用風俗では、ユーザーにソフトドリンクを用意しておくという暗黙の了解がある。本来はサービスに含まれていないものだが、どこかの店舗で提供し始めたらそれが好評で、行為がじわじわ拡散された結果、業界的に常態化したというのが実情だ。
 よって、店舗側から指示を受けたわけではない自発的な無料サービスにあたるので、セラピストは自腹で購入しているケースがほとんどだ。デートで発生する料金はユーザー負担が当然だが、これだけはセラピストの好意で負担してくれている、というかんじ。
 これが指名を2回以上重ねている本指名の相手になると、好きな種類や商品名を覚えてくれて、わざわざ準備してくださることもある。



くーりー:冷たいお茶がおいしい。けっこう歩きましたよね。

哉太:セラピストと散歩ってことで、雰囲気をだそうとおもってちゃんといつものリュック背負ってきたからなあ、ちょっとゆっくりしよう。

くーりー:商売道具がパンパンに入ってるやつですよね。大きめのタオルとかローション、大人のおもちゃも。そういえば哉太さんって、日誌でドエロいSMグッズ紹介してませんでしたか(笑)

哉太:してるねえ。でも、まだ手枷(てかせ)くらいしか使ったことなくて。需要がないはずないんだけど……。



くーりー:憶測ですが、使ってみたかったら声掛けて! とアイテムを並べられるより、これ全部使うよ~っていうプレイの提案を具体的にしてくれたほうが、アッ分かりましたお願いしますう~ってなる気がするんですよね。まあ、わたしの理想ですけど。

哉太:なるほど(笑)。僕を指名してくれたらこんなことできるよっていう、個人的なオプションを考えて伝えていきたいなとはおもってるよ。ツイキャスでそういうのも質問してみようかなあ。ユーザーさんとの交流が本当に楽しくてためになるし。

 『スイートスポット』では毎週水曜21時から公式ツイキャスを公開しており、そこでは基本3名のセラピストが登場して質問コーナーやエピソードトークをしている。そして、それとは別に、セラピストが個人的にソロでツイキャスをすることもあり、哉太さんも開始したばかりだ。



くーりー:こないだのツイキャスで、店舗所属前にはYouTubeでアダルトグッズに関する動画投稿をしていたこともあると伺いましたが、あれはどういうやつなんですか(興奮気味)

哉太:ああ~! 観る(笑)? 当時のものを今のセラピスト活動と紐づけて発信するってことはしたくないから、ここだけの限定公開ってことで……。ただ、アダルトグッズそのものは好きだし、ツイキャスで新しく展開するのはありかも。

くーりー:(過去動画を視聴しつつ)すんごい面白いじゃないですか。お蔵入りは惜しいなあ(笑)。やっぱり、ツイキャス観てても話し方が落ち着いていて似たようなことを何度も言ったりしないし、説明が分かりやすくて目線が自然だったりするから、なんかやってたんだろうなとはおもってたんですよ。

哉太:褒められるのはうれしい、ありがとう。ツイキャスかあ~。ユーザー視点で、どんな企画が観てみたいとかある?

くーりー:哉太モデルのデート案やプレイ案をもっと聞きたいですね。たとえば、秋葉原のエムズデパートみたいなアダルトグッズ専門店にお客さんをエスコートして、ふたりのあいだでしか使わないアイテム選びをしてみるのはどうですか(笑)。わざわざ物色しにいくなんてきっと恥ずかしくなるだろうけど、サンプルを見たり触ったりしながらお互いの性癖について話しあうと、じゃあやってみる?みたいな新しい扉をひらくきっかけになったりしそうで……。

哉太:あっ、それめちゃくちゃ興奮しそうだなあ。実はドンキホーテのアダルトコーナーしか行ったことがなくて、研究したいとおもってたところなんだよね。デートで一緒にリサーチしながら、<僕とあなた>っていう特別な関係性を育んでいくのはよさそう。

くーりー:わたしはどうしても、提案できるラインナップの豊富さに目を奪われるんですよね。ささやかな要望を哉太さんらしく掘り下げたり拡げたりして、僕とこんなことをしてみませんかって日誌やSNSで表現していただけると妄想がふくらんで楽しそうです。

哉太:他のセラピストとのコラボも考えているけど、そういう話題をピックアップしていくのもよさそうだね。

くーりー:うんうん。余談ですが、自宅にアダルトグッズを収納するのが難しい方のために、ボトルキープじゃないですけどふたりでしか使わないアイテムをセラピストさん側が保管してくれると助かるなあ、なんて考えます。哉太さん的にアイテム保管がOKかどうか分からないけど(笑)

哉太:なるほど、僕としては問題ないかなあ、需要があるなら。アダルトグッズをしっかりきれいに洗ってから保管しようねっていう動画も作っていたし、得意だよ。

くーりー:本格的で笑う。まあ、ここで話したことはすべてアイデアってことで、実際どうするかは哉太さん次第ですけども。というか、散歩しながらとか公園でこんな話をしてるの、どうなんですかね。正直イヤじゃないですか?

哉太:そんなことないよ。取材を受けたりツイキャスやろうとおもった理由には、やっぱりお客さんとコミュニケーションをとる機会を増やしたいからっていうのが大きいし、僕のところにきてくださる方はみんなエッチだと信じているから(笑)、いろんなことを知りたいし、知ってほしいな。



 この後、神社に立ち寄り参拝。デート利用で発生する料金は客が持つものだが、「さすがにお賽銭は自分の財布からだすよ、ばちがあたる」とにっこり。わたしはどこで願いを告げるにしても健康第一を優先にするのだが、哉太さんは「いいセラピストになれるよう頑張るので見ていてくださいねって気持ちを伝えた」と言う。したいことを宣言して、その努力は怠らないから、あたたかく見守っていてほしい……という姿勢でいるのは、見習いたい。



 そこから高田馬場駅の方向へぐるりとまわって名画座『早稲田松竹』へ。ここも、哉太さんが気になっているものの入ったことのない場所のひとつだ。公式サイトによると、「ロードショーの終了した映画や過去の名作を厳選し、二本立てで上映」しているという。入場券1枚の購入で作品を2本鑑賞できる。もちろん、片方を観るだけでもよい。

哉太:正直な感想を伝えるのが難しい作品もあるだろうし、僕の感覚が相手にとってマイナスにひびくことがあるかもしれないとおもうと、ちょっと怖い。映画は好きだし、観たいんだけどね。うまく言う自信がないんだよなあ。

くーりー:けっこう気にするんですね。わたしは相手の反応をみてもし微妙そうにしていたら、むしろ真っ先にどこがどうつまらなかったか言うタイプ。もうちょいこれがほしかった、とか。それな~ってきもちを共有できたらオッケー、みたいな。

哉太:いいねえ、ポジティブ。共感を得るってけっこう上級テクニックなんじゃないの。

くーりー:図太さで乗り切ってるだけですよ。感想のニュアンスも、数打ちゃどこかピンとくるだろう、と。

 高田馬場駅まで戻ってくると、今度はすぐ近くにある「さかえ通り商店街」へ。この奥に、青春スポーツ漫画『ピンポン』(作・松本大洋)の舞台となった卓球場『山手卓球』があるという。わたしはどちらかというと宮藤官九郎さんが脚本を書いた実写映画のほうのファンだが、元ネタとなった場所が実在するのは知らなかった……!





くーりー:あ~ッ、臨時休業! いつからだろう? 今日だけなのかな。やってたらここだけは訪問しておきたかったなあ。

哉太:本当だ、残念~! ちなみに向かいの建物は駅周辺でいちばん近いラブホテル。いろいろ探したけど、高田馬場からすぐだとここにアクセスすることになるかなあ。

くーりー:ええっ(笑)、このタイミングでラブホの存在を知らされるとはおもいませんでした。意外です。でも、確かに駅近ですね。

哉太:うんうん。横に2件ある。手前のHOTEL EXCELSIOR(ホテル エクセルシオ)と、奥のホテルニュー高田。まあ、今日は外観の見学だけになるけど。



 実は、デートコース120分のほとんどを「散歩とおしゃべり」で過ごしていたので、この時点で残り15分ほどしか余裕がなかった。ラストは、高田馬場のゲーセン『ミカド』をめざすという……が、最後になって道に迷って「あれ~、どの道を曲がるんだったかなあ」と慌てる哉太さん。

くーりー:迷子も散歩の醍醐味ですよねえ。

哉太:そう言ってくれると助かる。

くーりー:ついていってるだけなので気楽です(笑)

哉太:そういえば、ちょっと汚い話になるけど、高田馬場って学生の街かつ飲み屋が多いのもあって、夜になると酔っ払いがけっこういるんだよね。Uber Eatsの配達途中に、きもちわるそうにしてる女性とそれを介抱する男性のカップルらしき姿がみえて、自転車でシャーッと通りすぎたその瞬間に、女性がちょうど吐いて。

くーりー:おおっ、そういうこともあるんですね。

哉太:でも僕、はじめて女性が吐く姿を見てちょっと興奮しちゃったんだよね。本当は傍に寄ってもっと眺めていたいくらいだったんだけど、知らない人だし、介抱する人はいたし、僕は配達中だし、立ち止まれなくて(笑)

くーりー:え~、どういうあたりに引き込まれたんですか。

哉太:きれいな人が吐瀉物をだすっていう対比にぐっときてしまったというか。初めて気づいたけど、性癖のひとつなのかもしれない……あっ、見つけた~!



 高田馬場にあるレトロなゲーセン『ミカド』。もっと時間があれば自由に対戦して遊んでいたはずだが、店内のようすを見てまわってデートコース120分のタイムリミット。「指名時間の延長はしないガチンコおすすめ散歩」と決めていたので、お互いに時計をチェックして「終わっちゃった~!」「ほとんどしゃべってましたね」と頷きあった。



 この後は、高田馬場駅まで送ってもらい、またねと手をふって解散。哉太さんはさらなる予約へと向かっていったのだった。すごい。
 わたしは引き返してソロでデートコースを歩き直そうかと考えたりもしたが、「撮影写真の少なさ」が「会話の密度の濃さ」だったとおもうことにした。いやはや、文字ばっかり! 実際はこの10倍はしゃべっていたはずだが、プライベートなことだったりアダルトすぎることだったりしてほとんど書けない内容である(お察しくださいの域)。
 散歩してみておもったのは、やっぱり柔軟性があっておもしろい人なのだなということ。先輩や同期、後輩にあたるセラピストのこともけっこうよく見ていらっしゃる。書いたり、しゃべったり、いろんな発信していくなかで「いつかバズりたい」とも漏らしていたので、「今バズってる女風セラピストとただただ散歩だけしたことある」と謎のマウントをとる日がくるのを期待している……。
 女性用風俗『スイートスポット』所属の哉太(かなた)さん、ありがとうございました!








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Cooley Gee

ジャンルを問わず好奇心の赴くままにコンテンツへの「突入」「徘徊」「対戦」「攻略」をする人

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