西太子堂を散歩しました

  • 更新日: 2017/09/14

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目青不動尊、知ってる?

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今日は世田谷区、西太子堂に来ております。



西太子堂のことを話す前に、もしかしたら世田谷線についてご存じない方がいらっしゃるかもしれないので、そちらから話したほうがいいかもしれません。



2両編成の路面電車です。
以前散歩した三軒茶屋から下高井戸を結んでいます。路面電車とはいえ、道路と併走している区間はないそうです。



運賃は前払いで、車内で払います。東急バスと同じ運賃箱が設置されてます。
両端の駅以外には改札が無いので、初めての人は「あれ? お金払ってないけどホームに着いてしまった……いいのか……」とフワフワした気持ちのままホームに立っていて、電車が来ても若干の迷いがあるのですが、もたもたしてると電車が遅延するので、車掌さんは「まずはお乗りください!」と、とにかく詰め込もうとしてくるのも鑑賞ポイントです。

この世田谷線、実は歴史は古く、渋谷から玉川(二子玉川)を結ぶ路面電車・玉電の支線でした。玉電が廃線になったあと、世田谷線だけが名前を変えて残っているんですね。
渋いところをつなぐバス路線のような電車でして、世田谷線三軒茶屋駅の鄙びた感じとかも良かったそうなのですが、



現在の世田谷線の三軒茶屋駅はわりと立派でして、キャロットタワーの1Fにあります。新しい駅なのですが、レンガ造りがレトロな感じを醸し出す、いい構えの駅です。
ここからローカルな路面電車が発車するとか、ちょっといいでしょ。



とかいって数分揺られるとマジでどローカルな駅に放り出され、そこが西太子堂です。はい、西太子堂、スタートです。
ちなみに降りたのは私だけでした。



何故誰も降りないかといいますと、三茶から西太子堂まで、歩いて5分だからです。さっき乗ったキャロットタワー、すぐそこに見えます。
線路に沿って道が続いてまして、西太子堂の住民は、三軒茶屋まで歩く文化です。

従いまして、西太子堂の住民が「三軒茶屋に住んでる」と言い張るのは全然大丈夫です。さらに隣の若林くらいまでは許されると思います。


西太子堂の西側

というわけで、ちょっと駅前をうろうろしようと思ったのですが、



駅前ですよね……?



駅前30秒で路地でした。
実はこの辺りの雰囲気こそ古き良き世田谷でして、昭和初期の地図を見ても殆ど変わっていません。


(昭和3-11年 陸地測量部 2万5千分の1地形図)

今青い矢印の道を歩いてます。西太子堂は開業時は「西山」駅という名前でした。

ちなみに、このあたりはかなり住みやすいエリアだと思いますよ。というのも、ここって三軒茶屋の主要なメイン通りのうちの2つ、世田谷通りと茶沢通りのちょうど間なんですよね。



2つの繁華街に挟まれし肥沃な土地。歴史上、こういうところには文明が勃興するのですが、ここは再開発を免れている秘境みたいな位置づけです。



警察官の絵柄も古いです。




挟まりそうな路地と、



室外機専用窓。いいですね。




これは何だろう。井戸かな。それとも自作マンホール蓋かなあ。




左卜全の住居跡だって。



ぜんっぜん知らなかったですけど、老人・変人役とかでキレッキレだったそうで、黒澤映画にも結構出ている。
76歳で「老人と子供のポルカ」を出して、これがオリコンチャートに入ったそうなんですけど、


目的が不明ですごい。ぼくもこういう不明なことやってから死にたいな。




世田谷区でおなじみ、自動車通れません看板。
まあ、すでに自動車通れない道ずっと歩いてきたはずなんですけどね。




この「なんでなんで幼児」を使った若干腹が立つ犬くそ看板は、品川区でよく見るやつなんですけど、ここは世田谷区だぞ。
って、よく見たら、「世田谷区」のところがテプラで、



ちょっと剥がすと「品」の文字が見える。うわわわわー。どういうことなの……?
ちなみに、世田谷を代表する犬くそ看板として、怒っている人にスポットをあてたやつとかあるんですよ。



なんでわざわざ品川区のものを流用したんだろ。
まあ、どうでもいいので散歩続けます。



住民の仲よさそう。休日にみんなでツーリングとか行きそう。

ところで、西太子堂って、賃貸目線で言うと「安い三茶」なんですよね。昔、物置としてみんなで安い部屋を借りよう、みたいなことになって、渋谷に近くて最安、みたいなの探したとき、このあたりの物件でした。築40年とか、そのあたりの物件がゴロゴロあって、とにかく安い。共同トイレ、みたいな最近はめったに建てられないような物件もこのあたりにはちらほらありまして、昔から安くて住みやすいエリアだったんですね。
さっきから若い人とよくすれ違うのですが、こう見えて若者の街なのかもしれません。




きれいなマンションもちょいちょいあります。ただ、再開発されている感じは一切ないので、全体的にほんとに静か。




赤外線だからな!
昼夜見張ってるからな!
という脅しの付け足し。




ここで世田谷線の踏切にぶつかる。のどか。



渡ります。あっちに三軒茶屋が見える。


西太子堂の北側



さて、北側へやってきましたが、こちらもせまっこい道、世田谷ダンジョンです。こまめにセーブしないと死にます。




なんとも川っぽい道に着きました。川ですよね。



ここは烏山川の緑道です。
水車橋跡ですって。




猫がペットボトルを怖がる、というより、ペットボトルにより物理的に歩行領域を塞ぐ、という意図を持った置き方。




子供の作品があります。かつてこんな水辺だった、みたいなのがテーマでしょうか。



こんな感じだったかもしれませんね。



あー。うん。太古の昔はこうだったかもしれませんね。



なんでもいいみたいでした。




ちょっと広い道に出た。全然広くないけど、ちゃんど道路標識があるし、車が通れそう! 世田谷にしては広い道。




創業70年って書いてるけど、この看板自体めちゃくちゃ古そうなので、今何年だろう、と思ってちょっと調べてみたけど、今は無いみたい。
ちなみに「太子堂銀座通り」とは、今の茶沢通りのこと。




そうこうしているうちに、太子堂八幡神社に着きました。




「お手洗」の達筆さと、地図のビロビロ感。弘法大師も地図書かせたらビロビロだったりして。




木々の間に公園が見える。なんとなくだけど、ここで遊ぶと身体能力高まりそう。なんとなくです。




立派な神社でして、今日も御朱印目当ての人が数人居ました。




神聖な掃除用具。




幸せうさぎ?



飼われていた。まあ、外敵も居ないし、ご本人たちは幸せなのではないでしょうか。




ところで、性別を一端「?」にしたのは何だろうな。




これは、誰かが勝手に置いて、そのうち最初からあった風になって片付けると罰当たりそうだしずっと置いてあるパターンなんじゃなかろうか。




甘酒会という寄り合い。優しそうでいいな。仕事の愚痴とか漏らしても「いいよいいよ~」「しょうがないよ~」って言ってくれそう。




太子堂商店街と「うちのタマ知りませんか」がコラボしてたときの看板が神社に保管されてた。
太子堂商店街ってのは、茶沢通りの、烏山川緑道から西側を言うみたいです。茶沢通りは、三茶の駅からそこまでは「三茶しゃれなあど」っていう商店街があるんですけど、連続して賑やかなので、街ユーザとしてはどこからが太子堂商店街なのか全く分からないレベルです。僕も初めて知りました。



ちなみにここが茶沢通り「三茶しゃれなあど」で、そのまましばらく歩きまして、



このあたりから太子堂商店街みたい。分かるかーい。



ちなみに「太子堂中央会」ってのが茶沢通りと直交してあります。ここはここでいい味の商店街です。
西太子堂はちょっと歩くと商店街に恵まれている。




このへん。



茶沢通りを横断してさらに北東へ行くとまた路地。宅配便の手押しが大活躍です。
既に、ここは果たして西太子堂なのか? みたいなところまで来てしまっているんですけど、太子堂っていう地名の由来みたいなのがあるんで、行かざるを得ない。禁じ得ない。



子供がぴょんぴょんするのを真正面から鑑賞しなければならない拷問みたいな公園があった。




そうこうしているうちに円泉寺がありまして、



その一角に聖徳太子を祀る太子堂ってのがあって、これがこのあたりの地名の由来になってます。



聖徳太子の持ってるやつの色みの工具感がすごいので、いっそのこと全部同じ色で良かったんじゃないだろうか。




それよりも木の室を利用した庚申さんが居て、こっちのほうがうおおってなった。




知りたい! 魅せたい! 伝えたい! 世田谷、なし!




さて、散歩続けます。




二重人格。




消化器を見せる家。新作を買って嬉しいのかな。




これなんだろ、と思ったら



小学校だったんですけど、禁止とか録画中とかの文字が大きすぎて何なのか全然わかんないのすごくない?




もっとも、さっきのは裏口で、こちらが正面だったので良いんですけども。
ちなみに、最近世田谷区では小学校に「○○の学び舎」みたいなキャッチフレーズつけるの流行ってるってのをライターの山川さんから聞いた。ここは大志の学び舎。太子堂だけに。




ちょっと折れると路地、そして坂。宅配便も手押しです。




危ないのが落ちてた。大丈夫でしょうか。




のどかの極み。




白黒はっきりしている。




このシール貼ったのなんでだろな。せっかく貰ったしな、みたいなことかな。




路地ですが、人通りがあります。おそらく、三軒茶屋へ行く最短ルートだと思います。




最勝寺には目青不動尊。五色不動って言って、江戸に張られた結界なんですよね。
目黒と目白は山手線の駅名になってるので有名なのですが、そのほかに青、黄、赤があるのはあまり知られてない。




お墓への扉がなんとなくウエスタン。
バーボンでお清めしたい。




お寺を出たら線路沿いに出たのですが、



こんな看板が。ここも境内?




線路沿いの道の、おそらく枠で囲った部分が、お寺の土地なんだと思う。




ちなみに後ろを振り返ると先ほど出発した三軒茶屋駅でびびる。帰ってきてしまった。
もうちょっと散歩続けたいので、見なかったことにします。




これいいデザインだよなあ。ちゃんと怖いもんね。




一番大きな文字で書かれている生ゴミは、出してはいけない。難しい。


西太子堂の南側



世田谷通りに出ました。
ここはまあ、にぎやかで何でもあるエリアです。三軒茶屋の世田谷通りなんて、ほかのメディアで紹介し尽くされてると思うので、特に私が拾うものも無いんですけど、



あれ、おにぎり屋なんてあったっけ。



しかもめっちゃSPAM推し。わたくしフレッシュネスバーガーではスパムバーガーしか食べないと決めているほどでございますので、ここだけちょっと寄ってみます。



SPAM売り切れ!



からの、なんとその場で作ってくれる!
あ、なるほど、俵型か。



味は、SPAMです。当たり前ですけど。これ、あれですね。コンビニに売ってる「焼きソーセージにぎり」の上位互換ですね。
油っぽさがゼロなことと、ご飯が炊きたてでめちゃくちゃ旨いので、SPAMにぎりの圧倒的勝利です。卵焼きの優しさが塩っ気を抑えているのも良いです。ガッツリ行きたいときに最高の握りの一つですね。ごちそうさまでした。
あ、写真は、SPAMにぎりの形は世田谷線から着想を得たのではないか、と思って比較したところです。特に似てませんでした。




世田谷通りから、この辺が西太子堂駅なんじゃないか? という路地を曲がります。特に標識は出ていません。




壁が欠けていて、ガムテで補修してあって、レンガ取れたのかな、って思ったのですが、



すぐ隣に「タイルサンプル」っていうのが貼ってあった。
どういうことなの? っていうか、その、サンプルで、補修すればいいじゃん。




古賀マンション有明。
どっちかに絞れなかったんだろうか。




使いづらそうな形で土地が余っている。




そんなこんなで、西太子堂に戻ってきました。


雑感

西太子堂は、三茶の隣でありながら開発を免れている現代の秘境なのだと思います。
世田谷の面白いところは、繁華街から外れると、急激にのどかになるところかなと思います。ディープではなく、のどか。もともと農村地帯であったからかもしれません。世田谷線沿線はだいたいそんな感じで進みます。
ところで、私の実家付近には、ローカル線として一部マニアの間では名の知れた岳南鉄道が走っているのですが、あの、雰囲気がどことなく似てるんですよ。東京に、しかも渋谷の近くにこんな場所あったなんて! みたいな、初めて来たときはそんな驚きを禁じ得なかったわけですが、このあたりの雰囲気に郷愁を覚える人は、意外と多いのでは、と思うのです。
寂しくなったら世田谷線に乗れ。というわけで、今日は西太子堂でした。またねー。



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ヤスノリ

街の歪み研究家。1年に100駅以上降りる。駅を制覇する系のアプリは本気出せば結構なとこまでいくと思うのだけど、毎回起動を忘れる。

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