マチノネ#12 三軒茶屋・池尻大橋、灯る都市の動脈をなぞる
- 更新日: 2025/03/18
都市に血を巡らせる大動脈は図太い骨のようでもある
池尻大橋は馴染み深い街だ。ジャンクションとその高架下に広がる街並みが好きで、大学生の頃から度々訪れていた。天空庭園から眺めた遠景、目黒川沿いの桜並木、橋上から見下ろした首都高。茂る自然と巨大なコンクリート群の極端な対比が面白いなと思っていた。
12月27日。今年最後の平日とも言える日に、お隣の三軒茶屋からこの街まで一直線に歩いてみる。


駅出口から程ないところにあるすずらん通りへ。画角外にはキャッチがわらわらと並び、カメラを構えて立ち止まるのを躊躇う緊張感がある。なんとなく今風なチェーンも多いし、昭和風情を感じられる陽気な飲み屋街だって聞いてたのに...。イメージとのギャップに動揺しそそくさと出る。

ぼんやりと灯るアーケードの奥に商店街を見つけた。まず気になったのは建て付けの都合でたまたま空いてしまったかのような隙間の数々。(不覚にも写真を忘れた)このタイルも敷かれてない謎の通路から別の通りへエスケープ出来るようになっている。四方囲まれ閉塞感のあるビジョンだが、某の謎通路から漏れ出る往来の話し声が寂しさを感じさせない。


ブレーカーかはたまた電灯盤か、大事な部分が剥き出しの状態。RPGダンジョンでいうところの謎解き要素である。ザラザラに擦れた電灯も昔から変わらず使われ続けているようだ。

大通りから回って三角地帯の中心部へ。想像した通りの三軒茶屋だ。今年最後の華金、飲み屋から漏れ出た賑いの声が通りに響いている。細い小路のためすれ違う人たちが身を翻して通り抜けていく。

居酒屋の前、買い物カゴに無造作に積まれている。ここから拾われてドリンクの提供に使われるんだろうか。

時刻は21時を回り、ぼちぼち1店目はお開きのタイミング。奥のほうでは今年の務めを労う声が響いている。明確な仕事の納めもなく、ましてどこにも属してもいない自分には今となっては馴染みがない。ファインダー越しに目が合ってしまった誰しもがほころんだ顔で笑っていた。


駅前の巨大な交差点を起点に池尻方面へ。バックライトに焚き付けられ燃えるように靡く晩秋の葉はそこにあるべくしてある色のようだった。

時折カラカラと回る車輪の音とすれ違う。自転車通勤者とおぼしき方々が列を成して帰路に向かっていた。


駐輪場の警備を務めるキリンの赤さん。ポイ捨てに睨みを利かせる木製犬。

モールに降る地下道のようにぽつんとある池尻大橋駅を観測。通行人はほとんど居らず、まるで自分が迷い込んでしまったかのように錯覚する。

いつかの春に眺めた目黒川。街灯を映す川面は電磁波のように光の線を描いている。左方に見切れる天空庭園がコロッセオに見えてきた。

正解のルートであることを暗示するかのように輝く階段。上から道路を見下ろしたらどんな景色が広がっているだろう。

横目に映った、複雑に絡み合う都市の血管。こんなにも無機質なコンクリート群なのに、ごうごうと唸る脈動が生き物のような息遣いを感じさせる。

足元は橋下の唸りと連動して不安定に揺れている。高所がダメなので心拍が速まる。ジャンクションは改めて目の前にすると不自然なサイズ感ゆえに圧倒されるものがある。

童心に還るがごとく気が済むまでカメラを回し続け、寒さが堪えてきた頃にふと時計を見ると23時。何故か延々と居続けても飽きないのは景色が流動し続けるからだと思う。
今回の制作物はこちら。
▼三軒茶屋
▼池尻大橋
ほど近い距離に隣り合わせている街ですが、それぞれ対照的な雰囲気が伝わる動画になっているかと思います。
それではまた次回!
12月27日。今年最後の平日とも言える日に、お隣の三軒茶屋からこの街まで一直線に歩いてみる。


駅出口から程ないところにあるすずらん通りへ。画角外にはキャッチがわらわらと並び、カメラを構えて立ち止まるのを躊躇う緊張感がある。なんとなく今風なチェーンも多いし、昭和風情を感じられる陽気な飲み屋街だって聞いてたのに...。イメージとのギャップに動揺しそそくさと出る。

ぼんやりと灯るアーケードの奥に商店街を見つけた。まず気になったのは建て付けの都合でたまたま空いてしまったかのような隙間の数々。(不覚にも写真を忘れた)このタイルも敷かれてない謎の通路から別の通りへエスケープ出来るようになっている。四方囲まれ閉塞感のあるビジョンだが、某の謎通路から漏れ出る往来の話し声が寂しさを感じさせない。


ブレーカーかはたまた電灯盤か、大事な部分が剥き出しの状態。RPGダンジョンでいうところの謎解き要素である。ザラザラに擦れた電灯も昔から変わらず使われ続けているようだ。

大通りから回って三角地帯の中心部へ。想像した通りの三軒茶屋だ。今年最後の華金、飲み屋から漏れ出た賑いの声が通りに響いている。細い小路のためすれ違う人たちが身を翻して通り抜けていく。

居酒屋の前、買い物カゴに無造作に積まれている。ここから拾われてドリンクの提供に使われるんだろうか。

時刻は21時を回り、ぼちぼち1店目はお開きのタイミング。奥のほうでは今年の務めを労う声が響いている。明確な仕事の納めもなく、ましてどこにも属してもいない自分には今となっては馴染みがない。ファインダー越しに目が合ってしまった誰しもがほころんだ顔で笑っていた。


駅前の巨大な交差点を起点に池尻方面へ。バックライトに焚き付けられ燃えるように靡く晩秋の葉はそこにあるべくしてある色のようだった。

時折カラカラと回る車輪の音とすれ違う。自転車通勤者とおぼしき方々が列を成して帰路に向かっていた。


駐輪場の警備を務めるキリンの赤さん。ポイ捨てに睨みを利かせる木製犬。

モールに降る地下道のようにぽつんとある池尻大橋駅を観測。通行人はほとんど居らず、まるで自分が迷い込んでしまったかのように錯覚する。

いつかの春に眺めた目黒川。街灯を映す川面は電磁波のように光の線を描いている。左方に見切れる天空庭園がコロッセオに見えてきた。

正解のルートであることを暗示するかのように輝く階段。上から道路を見下ろしたらどんな景色が広がっているだろう。

横目に映った、複雑に絡み合う都市の血管。こんなにも無機質なコンクリート群なのに、ごうごうと唸る脈動が生き物のような息遣いを感じさせる。

足元は橋下の唸りと連動して不安定に揺れている。高所がダメなので心拍が速まる。ジャンクションは改めて目の前にすると不自然なサイズ感ゆえに圧倒されるものがある。

童心に還るがごとく気が済むまでカメラを回し続け、寒さが堪えてきた頃にふと時計を見ると23時。何故か延々と居続けても飽きないのは景色が流動し続けるからだと思う。
今回の制作物はこちら。
▼三軒茶屋
▼池尻大橋
ほど近い距離に隣り合わせている街ですが、それぞれ対照的な雰囲気が伝わる動画になっているかと思います。
それではまた次回!