志村坂上から下る
- 更新日: 2019/09/12
武蔵野台地を下る
板橋区に志村坂上という駅があって、それはきっと坂の上にあるに違いないと思っていました。
(東京時層地図 段彩陰影、オレンジは筆者)
事実それはとても坂の上で、武蔵野台地の端で、荒川の低地へ一気に下る坂が中山道にある。
坂の下にはそのまま「坂下」という地名があって、とても分かりやすい。
「桃太郎」くらい分かりやすい名前。
あれ、桃太郎は分かりにくいか?
桃太郎、分かりにくいな!
例えば同僚の女性が「子供に桃太郎ってつけたんですよ」って言ってきたらまずは「あっ桃の季節に生まれた子かな?」とか思いますもんね。まずそこですよ。まさか、一発目で桃そのものからとは思わない。「桃から生まれた」ってそれ、79番目くらいの選択肢でしょう。
何の話でしたっけ。
坂上だ。志村坂上。
志村坂上から坂下へ下ることは、なんとなくお江戸でないどこかへ下る感じがある。
もっとも、江戸朱引図によれば江戸とは北は石神井川までで、このあたりは既に江戸では無いんだけども。
というわけで志村坂上に降り立った以上、下るしかないのです。
全然関係ないけど、この屋根のアールすごく良くないですか?
肌に優しくなさそうな素材もいい。
駅前すぐに「志村一里塚」があります。
一里塚とは街道に一里ごとに作られた塚です。ここは中山道が通っていましたので、中山道の一里塚です。
残っているのは珍しいとのこと。
ただこの一里塚、歩道の真ん中に鎮座しているものだから、歩道がややこしい感じになっています。
こんな感じでなんとか通って!
一里塚の前は、一里塚通り。
一里塚とは道標であり、点であることに意味があるわけだけど、その概念を線に拡張してきた。
すごい、と思いました。数学の発展が寄与しているのでしょうか。
志村坂上から南のほうへ下る
ところでもういちど段彩陰影図を見ると、志村坂上とは岬のような形をしていて、北のほうだけでなく、南(下)のほうにも急に低地があるのでした。
池のような窪みも見えます。池なのか、池の跡なのか。
それで、なんとなく今日は南へ下ってみようと思ったのでした。そこも「坂下」なのかしら。
おっ、どうしたどうした。
凸版印刷の何かみたいですが。どうしたどうした。
几帳面。
草木萌ゆる季節、公園の名前が読めない事案が増えます。
あとから見次公園だと知る。
その公園に入ったら突然の崖。
これが先ほど確認した、南側の段差だ。
坂下が見える。坂下なのか?
川のモチーフがある。このあたり川だったのかしら。
魚の砂場。やはり水がらみで、ここが池の跡かしらね、と撮っていたら、後ろにでっかい池があることに気づいた。
はずかし~!
あるわー。池あるわー。現存するわー。
おっさんが釣り糸を垂らしている。ヘラブナ釣りができるのだそう。
亀ものびのび暮らしている。
バイク等の板橋区。
俺達のメロディー。
さて、志村の坂上から下りきったところ。
しかし残念ながらここは志村坂下ではなく、前野町というエリアでした。
低地を首都高が走っている。低いのか、高いのか。
とにかくここは坂下ではなかった。
下ったからには、上らなければいけない。
公園脇の坂を上る。
階段上りたいけど、完全にこの家専用の階段だな。
このあたりの壁、横に線が入っているんだけど、これが水平ではなくて、ちょっと右肩上がりなのは何の跡だろう。
左のパイプ断絶してない?
良い入り口。
パワポで描けそうなアパートはかわいい。
さっき居た見次公園がはるか下に。
ベンチがあんな不自然に曲がっているの、下に居るときは気づかなかったな。
暑さでぐにゃってなったんでしょうか。
はい、ふたたび坂上。
延命寺、という普遍的な願いみたいな名前のお寺に来ました。
すみません、すごくいいお寺です。
お寺の駐車場には無造作に良さげな石が使われていることがある。
余ってたのかな。
このあたりの壁もずっとそうだな。
あっ、良い石が枯渇した。
また公園がある。志村第三公園。
滅亡のあと、みたいな感じで良かったです。
また崖だ! 坂下かもしれない!
ところでこの崖の上の突き出た部分、なんか溝になってるし、あっちの断面が排水溝にでもなってるのかしら思ったんで回り込んでみたんですけど、
なんにもなくて、ただの展望台的なやつでした。それだけです。
おっ?
やったね!
坂を下りきった。ここが坂下……?
田んぼのようになった砂場がありました。
これで収穫するってこと?
さて、坂を下りきったのですがここも坂下ではなく、志村というエリアでした。
下ったので、上らなければいけない。
公園脇の坂を上る。
里芋?
坂上。
戻ってきた。
あれ、サントクがある。安くはないんだけど、充実しているスーパー。
これは住みやすさレベルを上げるやつですね。
その向かいにサントークがあった。
城山通り
城山通りというのがあって、これは志村坂上駅前も通っていて、おそらくこのあたりで一番栄えていました。
濁点のまるみ、リボン、リンゴのてかり。
表現がひとつひとつ平和すぎて切なくなる。
菓歩区。かっぽくかなあと思ったら、かぽっくと読むらしい。
かばん屋さん。
魚屋さん。
パン屋さん。ひととおり揃うな。いい商店街。
この配線は何だ。
これのせいでこの駐車場に高さ制限が出来ている。
ワープロ文字かな。いいな!
塗るもの、塗らないもの。
室外機のホースは塗らない傾向はあるんだけど、パイプと一緒になってから塗ってるの面白いな。
中山道を下る
さて。
南のほうの坂を下ったのですが、そこは坂下ではありませんでした。
それで仕方なく、本命であるところの中山道の坂を下ります。
はじめからそうすれば良かったのでした。
ところで中山道脇のこれ、すごく目を引きます。
1975年築の小豆沢ローズハイム。
坂に沿って段々低くなっているのもいい。志村坂の体現です。
この丸のところ、エレベーターかと思ったら、カーテンされている丸もあったので、部屋なのかもしれない。
自分の部屋の窓が丸かったらすごくいい。
コーヒーカップを窓枠にうまく置く練習で1ヶ月くらい楽しめる。
意外な建物が出てきた。
オリエンタルイーストの工場。
中山道の脇でイースト菌が繁殖している。
坂の名を冠したビルが中腹にあった。
小さく、いらっしゃいませ。
そう。わかりにくいけどね、下り坂なのよ。
そろそろ坂下着く頃かしら。
坂下!
坂下坂下!
下!
実際下ってみればあっけなく、志村坂上から10分ほどで坂下の表記を見つけました。
ただその10分が、文化を断絶している気はする。
坂下は蓮根や西台の圏内であって、巨大団地が目立つようになってくる。
このあたりの団地は、戦後田んぼを埋め立てたパターンであったり、いったん工場が出来てそれが立ち退いたパターンであったりします。
古くから人が昔から住んでいたエリアもあって、そういうところはなんとなく分かる。
例えば路上園芸が目立つ。
らーの速度に、麺はついて行けるのか。
こんなところでひっそり国有地売ってる。
ほんとかな。
新河岸川のほうへ
北側に、新河岸川という川が流れています。これはもうちょっと下流へ行くと「隅田川」と呼ばれはじめる川です。
ちょっと見に行きます。
新河岸川の近くは工場が多い。特に印刷関係が多い気がする。
さっきあった凸版は新河岸川沿いではないけど、西台のほうには大日本印刷がある。
中央社。ここは出版取次の会社らしい。
園芸が多肉植物だった。
ナショナル製本。製本会社。
こんな感じでいっぱいある。
新河岸川の上流から紙を流したら下流で本が出来てるんじゃないか。
印刷関連以外の工場もある。
日本チョコレート工業共同組合だって。
ここからすごくいいにおいがする。
板橋はこれのおかげですごくいいにおい。
そういえば蓮根を散歩したときに見つけたかりんとう工場もこのあたりだった。
板橋はいいにおい。
あれっ、これは川の跡っぽいな。
帰って調べたら、出井川らしい。
ちょっと行ってみますね。
この下は暗渠になっていて、このまま新河岸川にぶつかると思う。
川見よう。川見て終わろう。
うおおーん。川筋がフェンスにガッチリガードされている。
無駄な南京錠が腹立たしい。入れないというアイコン。
あれっ入れる!?
あっでも新河岸川は見えない。
期待させないでくれよ!
うーん。
これが出井川の樋で、ここから向こうの新河岸川に水が出ていると思うんだけども。
なんの、新河岸川を見たい一心で回り込む。
回り込んでみたものの、どうしても川が見えない。
高い壁に阻まれる。
人生みたい。
この高い壁は防潮堤。
まあ、このあたりは浸水のおそれがあるので仕方ない。
先ほど地形で確認したとおり、このあたりは荒川が作った低地なのでした。
あれ、あっちの側道がせり上がっている。
あそこ上れば壁の向こうが見えそう。
ここまで引っ張って、向こう一面カブ畑とかだったら面白いからそうであれ!
新河岸川でした。
がっかりだよ。
いや、ついさっきまでは新河岸川求めてたけども、いまはカブ畑を期待してた。
あっちの橋は新河岸大橋だって。
そう書いてあるから、そうなんでしょう。
手!
川見たさで無計画に歩いたから今どこに居るか全然分からない。
駅こっちって書いてあるから、そうなんでしょう。
帰りますね。
志村ポンプ所だって。
志村~! ポンプポンプ!
どっかのマンション。
ブロック崩しみたい。
それに併設されたセブンタウンという業態初めて見た。
セブンアンドアイを中心としたモールみたい。
こんなのあるんだ。
ただこのラインナップだと、モールの楽しさの90%はビバホームが作ってそうだな。
私見だけど。おもっくそ私見だけど。
この木、そのうち鉄柱になるつもりでは。
大きな目と小さな目。
志村坂上に帰るから、志村坂を上っている。
もうすぐ坂上。
今日、何回坂の上と下を行き来しただろう。
さすがに、暑いし上若干目がかすんできた。
おっ何これ。何よこれ?
薬師の泉。何よ?
おう。ここ入ればいいのか。
下るのかよ! いま上ってきたぶんを! 下るのかよ!
志村坂上は、実にいろいろな下り方がある!
下ってしまった~。
また坂下だ~。
影を見て、餌の時間と勘違いした鯉が近づいてきた。
それよりも、薬師の泉の裏にあるアパートが気になって。
都営小豆沢三丁目アパートというらしいんだけど、これがどうやらこの29号棟しか存在していなさそうだった。
どういうことだろうな。
まあいいか。暑すぎてセブンが曲がって見える。
暑い日に坂を上ったり下ったりするもんじゃあない。