スイッチする座標平面上の点景

  • 更新日: 2024/10/15

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連続するy軸上の生活雑景

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本郷での史跡巡りを終えた帰り、湯島天満宮の巨大な鳥居を横目に見る。左折で擦りそうな位置に支柱がはみ出ているが間違ってもここで事故は起こせない。






そびえ立つ白い壁のような建造物。湯島ハイタウンという築50年超えのマンションだ。連続する幾何学パーツの美しさについ見入り頭を持ち上げたまま歩く。別にそんな事ないのに巨大な面に沢山寄せ集まると1つひとつが小さく見えるのが不思議だ。




これから山手線沿いを真っ直ぐに進み日暮里方面へ向かう...つもりだが、のんびりほっつき歩くにはあまりにも暑すぎる。道路向かいのワープポイントを使って鶯谷・入谷を丸ごとパスしたくなったが、散歩の主旨がすっとんでしまうためここは耐える。水を1本買って冷静さを取り戻した。






鶯谷駅へ。線路に沿って、やんわりとハンドルを傾け走る高速道路のように変わりない景色の中を進む。




鴬谷を抜け15分ほど歩いただろうか。人通りが多く駅周辺の撮影は難しかったが、日暮里駅の裏手に霊園入口へ続く道がある。ホテル街の猥雑な景色はどこへやら、ここから途端に寺社仏閣然とした厳かなムードに様変わりする。




卒塔婆を脇に抱える人々とすれ違いながら谷中霊園の中を抜けていく。巨大な墓地群、それを横断する公道と境がほぼない不思議な区画。当たり障りのないところで1枚だけシャッターを切る。




住宅街へ。何か大きな蔵のようなものだが、塗り直された上で集会所として再利用されている。真っ黒なのがより蔵らしくて良い。










店横の脇道で隣り合うバラックが囲うフレームの先に魅入られ、吸い込まれるように立ち入る。無造作に張り出したパイプの鉛色が薄暗い中に輝いている。経年変化した金属にしか出せない深みのあるトーンは何とも魅力的だ。




幼稚園の前に巨大な切り株が鎮座する。幹の隙間からイチョウの葉が這い出すように生え、まるで寄生するかのごとく周りを覆っている。幹の太さから察するに伐採し切れない事情があるんだろう。




おヘソが花咲く三輪車犬。そんな目で見ないで欲しい。




谷中を抜けて東京芸大の辺りへ。大きな外堀の隙間から目が輝くのが見えた。なんとかして構いたくて堀の外から右左と追いかけ回るが、猫の姿が見えない通行人の側からは塀の隙間にカメラを突っ込んで狼狽する不審者でしかなかっただろう。




芸大前の通りから上野公園へ入り、本日の終着点・上野駅を目指す。公園はもはや経路として避けられないほどに敷地が広く、何度来ても方向感覚が掴めない。夏の日差しを受けて青々と育つ木々を眺めると、皮面ひとつにも煉瓦のような茶色や苔生した緑など異なるテクスチャと色彩があって、つい足を止め観察してしまう。




間に休憩も入れて計2時間弱歩き、汗でドロドロになりながら上野駅に到着。さっきまでの深緑はどこへやらという感じだ。都心は狭い中に異なる趣の街が地続きで並んでいて、一直線に通りすがっていくだけでもその変わりようが楽しい。そんなことを改めて感じた散歩だった。







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ISLD

フォトグラファー/パン屋Digger

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