【石川県加賀市】獅子舞マニア散歩vol.2 湖城町のお祭り

  • 更新日: 2019/10/17

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湖城町の獅子舞

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今回は、石川県加賀市の湖城町という所の獅子舞を取材した。

前回は、石川県加賀市大聖寺という歴史ある城下町の獅子舞を取材したが、今回は新興住宅で実施される現代風の獅子舞をご紹介する。伝統的なエリアでは全く見ることができない新しい獅子舞の世界にどっぷり浸かっていただきたい。


湖城町の獅子舞は新しい



石川県加賀市湖城町は、加賀市の北部に位置しており、盛土された台地に新興住宅街として発展してきた。水田、畑、果樹を育てるなどの土地利用も進められ、最近の100年間で様々なものが新しく生み出されてきたという背景がある。そんな中で、いつどんな理由で獅子舞が生まれたのかは定かではないが、比較的新しい獅子舞がこの街で舞われているらしい。今風の獅子舞というのが全く想像がつかなかったので、どうしても気になって青年団の方と連絡を取り、2019年7月27~28の日程でお祭りを取材してきた。




石川県加賀市湖城町はここにある。


実際に訪れてみると、前夜祭が中止



2019年7月27日夕方、加賀温泉駅に到着!さあ、まずは獅子舞の前夜祭を見に行こうと思っていたところ、あいにく大降りの雨……。獅子舞は本当に行われるのだろうかと心配になる。



巨大な観音像がかすれていて、雨の強さを感じさせる。この観音像はめちゃくちゃ大きいので、加賀温泉駅周辺でいつも大きな存在感を放っている。



さて、雨の道を歩いていると、今晩家に泊めてもらう大中さんが連絡をしてきてくださり、ケーズデンキまで迎えにきてもらう。ケーズデンキって改めて見るとめちゃくちゃ目立つので、集合場所にしやすい。



さて、大中さんによれば案の定、獅子舞の前夜祭は中止になってしまったそうで、ひとまず湖城町からほど近い片山津温泉付近のお家に案内していただく。さて、今日はぶらぶら町歩きをしてから、ゆっくり寝るかと思い町に出る。


湖城町近くの片山津温泉エリアを町歩き



片山津温泉エリアには面白い建物がたくさんある。アニメのジブリに出てきそうな小屋があって癒された。何に使っているのか定かでなく、物語の世界に出てきそうで、子ヤギとか出てきたら面白そうだなと妄想を膨らませる。



たまに空き家や空きビルを発見するので、人口減少が進んでいることがわかる。しかし、こういう風景を眺めていると、逆に魅力的にも思えてくる。障子が剥がれて、ツルが建物を覆いつつある風景は、人間の文明が徐々に自然に還っていく感じがして良い。



らばうるってお店があった。ラバウルというのは、パプアニューギニアの奥地の地名だ。ぼくはパプアニューギニアに行きたくて仕方がない人なので、この地名を見た瞬間に凝視してしまった。
この国ゆかりの人でも住んでいるのだろうか。よく見ると、「ラバウル酒保」と書いてある。「酒保」は日用品や嗜好品を軍隊用に提供していたお店だそうで、それと「新幹線ヘッド」は何の関係があるのか……謎は尽きないお店である。



とても可愛らしい名前の喫茶店があった。ころころって響きが良い。全く可愛らしくない外観なのに名前が「ころころ」というのは、由来が気になる……。



温泉が近くなると、道の両脇に「祭りのぼんぼり」が立っている。やっぱり、祭りが盛んな地域なのだと改めて実感する。ぼんぼりの本数の分、地域を想って寄付した人がいるということだ。
こういう風景はなかなか見られない。



足湯があった。地域の人の話によれば、男女の出会いの場にもなるという。とてもロマンがある場所だが、この時は誰も座っていなかった。いや、あまり人がいない方が行った時にたまたま2人っきりになる可能性が高いということかもしれない。



このお店の名前は、「だんご」。由来は、以前飼っていた猫の名前らしい。ただ単に団子を売っているだけのお店だと思っていたので、想像の斜め上をいっていて笑った。



「おたまじゃくし」という名前のお店。看板に書かれている音符がもはや、おたまじゃくしのように見えてきた。カラオケができるスナックっぽいお店だったが、おたまじゃくしを「はい!どうぞ!」と手渡されそうなディープさを感じる。



このお店、主張の強さが素敵すぎる。「寄ってこい」と勧誘をしながらも、「酔って恋に落ちる」という心温まるラブロマンスを連想させる。うーん、この町のネーミングセンスはぶっとんでいる。



さてさて、最後に片山津温泉に入りに行った。温泉の受付で、「今日は森の湯ですよ」と言われた。そう、片山津温泉は男湯と女湯が毎日交互に入れ替わり、「森の湯」と「潟の湯」という2種類の温泉が楽しめる。

しかし、僕は片山津温泉にくると、いつも「森の湯」で「潟の湯」に入ったことがない。柴山潟という湖の綺麗な景色が楽しめるそうだが、残念ながら見たことがないのである。そして、今回も3度目の「森の湯」……。芝生と木を眺めながら、湖の景色を想像するとしよう。

それにしても、新しい町の獅子舞を取材しよう!と意気込んできたはいいけど、古くてレトロな街並みの魅力にどっぷりはまり、まったく頭が整理できていない。次の日の朝7:00から本番の獅子舞が始まるそうで、すぐに寝た。


祭りの当日は快晴、感動の獅子舞



獅子舞のお祭りの当日は、昨日までの天気がまるで嘘のように、快晴となった。朝6:30に起きて、獅子舞の集合場所に向かう。



湖城団地口。ここの信号から、湖城町に入る。



湖城町は坂の多い町だ。遠くに山々を眺めながら、下って行く道はとっても気持ちが良い。木造の古い建物は少なくて、基本的に現代風の建物が多い印象だ。



さあ、いよいよ祭りが始まる雰囲気が出てきた。鳥居をくぐるとすぐに町民会館があり、そこから獅子舞は出発するらしい。



朝7:00頃。町民会館に着くと、青年団や地域の団体の人たちがたくさん集まって、わいわいしていた。小学生からお年寄りまで、様々な人が集っている。小学生が着ている衣装はとてもカラフルでかわいらしい。まるで絵本の世界から出てきた妖精のようで、凝視してしまう。



獅子舞の胴幕(人が入る部分)を獅子頭に取り付けていた。この床のつるっとした感じとか、ホワイトボードの新しさとか、獅子舞の胴幕のパキッとした色づかいと新しさとか、やっぱりこの新興住宅の街ならではだと感じる。



町会長さんが、スターウォーズの格好をして現れた。これからやるのは獅子舞では?とツッコミたくなると同時に、ユーモア溢れる演出にワクワクした。古くて伝統が色濃い町では、こういう服装で獅子舞の祭りに参加する人はいないので、ある意味緩くてクリエイティブさを感じる。


お祭りが始まる前に獅子の鼻を撮影



僕はいつも、初めて訪問する町では、「獅子舞の鼻」を撮影させてもらっている。獅子舞の鼻を見ていると、激しくて男性的な印象の獅子舞がとても可愛らしく見えてきて和むので、これは取材では欠かせない。



まずは、実際にこんな風に太鼓とか、胴幕とか、いろいろな小道具をセッティングさせてもらい、いろいろなポーズで写真を撮らせてもらう。「床の色が反射して歯が緑に光っているな……どうしようか。」とか、「部屋の証明が明るすぎる。」とか、いろいろ頭を悩ませた後、写真を撮りまくる。多い時は100枚以上獅子頭の写真を撮ってしまって、どれを使おうか写真の整理に困る。



クライマックス!ということで、最後に獅子舞の鼻をこのようなアングルで撮影する。湖城町の獅子舞の鼻まわりは非常にすっきりとしており、素朴である。無駄に飾りがない。鼻の穴は少し小さめで、控えめな印象を受ける。眉毛は金色で太くて格好が良い。鼻下のシワが、おじさん感を出していて見惚れる。


いよいよお祭りの開始



朝の8:00頃。獅子舞の鼻を撮影しまくっていたところ、「もうすぐで御神酒飲みが始まるよ!」と言われて、行ってみた。地域の神主を招いて、祭りの成功を祈る神事だ。地域の代表の方が一人一人前に出てお供え物をしていき、最後にみんなでお酒を飲むという流れである。



僕も少しお酒をいただいた。朝8時から飲むお酒は意外とあっさりしていて美味かった。基本的に獅子舞の祭りを主催する青年団の皆さんは朝から晩までずっとお酒を飲んでいるので、自分も耐性をつけておく。



町民会館の前から、獅子舞の踊りが始まった。舞い手(棒振り)は基本的に綺麗な衣装を身にまとった小学生が務める。「ぴ~らりら」という笛、「ドドン!」という太鼓、獅子舞の中に入る舞い手たちと息がぴったり合った演技に息を飲む。それにしても踊り方を忘れずに真剣に踊っている小学生たちはすごい。



1つの場所が終わったら、次の場所へ。町民会館、高齢者施設、一般の住宅など、本当に様々なところを回っていく。全部で100軒弱の場所を回るというので、訪れる軒数にびっくりする。基本的にご祝儀を出したところを回っていくことになるのだが、みな獅子舞に来て欲しいし、獅子舞が大好きなので、100軒の人々からご祝儀がどっさり集まってくるというわけである。朝の8:00から夕方の18:00まで、ずっと町内を周回しているらしい。この獅子舞集団についていけば、町の全体像も見えてくるのだ。



赤いTシャツを着ているのは、OBOGの中学生だ。普段は笛を吹いていて裏方に回ることが多いが、獅子舞の棒振り(舞い手)を担当することもある。例えば、いろんな家々を回る中で、知り合いの家の前に来ると踊りを担当するということもあるようである。



休憩中は、こんな感じで世代に関係なくみんなで話をしている。こちらは、福祉施設の目の前にある道路なのだが、休憩の時には施設の人が飲み物やお菓子の差し入れしてくれるので、とてもありがたい。



小学生は自分が出番でない時、団地の駐車場で棒振りの練習をしていてとても熱心だ。高校生の男の子にもインタビューをしてみたところ、獅子舞の魅力は「大人の人に色々教えてもらえて、成長できるところ」だと話していた。



訪問先のお家で、個人的に一番面白かったのはここ。ハローキティなどの大量のぬいぐるみが窓際に所狭しと飾られており、道を歩く人を圧倒する。ここのお家の人にインタビューをしてみたかったが、タイミングを逃してしまったのが残念。



車屋の前を通り過ぎる青年団の皆さん。やっぱり、並木が広がる大きな道路沿いにはコンビニや、企業、公共施設などが広がっており、そのような場所で獅子舞を見るのはとても新鮮で面白い。



家の前にプールを用意してくれているお家があった。とても暑かったので、青年団の方々は、すかさずプールに飛び込む。ところどころ、はっちゃけ感が溢れていて楽しい。お祭りの雰囲気は普段静かな街に賑わいをもたらしている。



ぼくも、カメラを持ってててもらって、ちゃっかりプールに飛び込んだ。やはり、立場上では取材する身であるけども、せっかくだから地域の人と同じ目線でいたい。どんどんこういういう無茶振りにも挑戦していきたい。



さて、15:00頃。獅子舞のチームから離れて、町民会館横の広場に戻ってみると、夕方以降の準備が着々と進められていた。イベントが色々行われるようである。町の中心の広場が人工的な芝生が広がり、鉄骨で舞台が組み立てられ、わかりやすい横断幕と黄色いTシャツを見ていると、新しい都会のお祭りを眺めているような気分にもなってくる。



出店もたくさん立ち並んでいる。コーヒーやキーマカレー、ガパオライスなど、エスニック感がありおしゃれだ。普通祭りといえば、手軽なたこ焼きとか焼きそばとか、ポテトとかそういうものばかりを想像していただけに、この品揃えにはテンションが上がった。



他の出店も見てみると、なんとポップコーンが無料らしい。旅人感の抜けない自分にとってはとても嬉しい一品である。ありがたく1ついただいた。獅子舞の祭りにポップコーンというのも面白い組み合わせである。



17:45頃。獅子舞が町内を全て回って、広場に帰ってきた。ここで、今年の夏最後の大盛り上がりを見せる。小学生6人が今年で引退だそうで、3人での舞も見せてくれた。町中を回った後、最後にきちんと町中の人を集めてお披露目するということである。棒振り(舞い手)が3人の獅子舞を初めて見たのでかなり興奮した。



最後は、かんぱ~い!と見せかけて、みんなでビールを掛け合っていた。これは毎年恒例らしい。
やはり、お祭りにお酒は欠かせない。朝から晩までお酒を飲んで最後に掛け合うという……何と楽しい祭りなんだ。「伝統には縛られずに、徹底的に楽しみ尽くす」というのがこの湖城町の獅子舞のスタイルのようだ。

それにしても、青年団の皆さん、お疲れ様でした!青年団長のみきおさん、そして繋いでいただいた前田さんをはじめ、今回は取材させていただき本当にありがとうございました。


獅子舞取材のその後



祭りを後にして、大中さんのお家へと帰る。良い一日だったと振り返ってみてポケットを探ると、びしょ濡れになった財布やメモ帳などが出てきた。そうだ!特に何も考えずに、プールに飛び込んだことを忘れていた。まあ、楽しかったからいいかということで、パスポートもびしょびしょになっていたが、扇風機で乾かしたら元どおりになった。



その日の夜、「汗もかいたし、温泉に行くか」などとと思っていたところ、大中さんにカッパが出没するバー(カッパ堂という名前)があるというので、連れていってもらった。このバーでうなぎやビール、なか伸というお店のお好み焼きなどをいただき、最高の夜を過ごさせてもらった。
すっかり、温泉に入るのも忘れて、カッパたちと語り明かした。



次の日の早朝、温泉に入り忘れていたことに気がつき、再び片山津温泉に入りに行った。温泉の受付で、「今日は森の湯ですよ」と言われた。「えええええ、また森の湯じゃん!」というわけで、芝生と木を眺めながら、4度目の森の湯を堪能してきた。僕はネタに困らない人間らしい。



温泉に入った後、柴山潟の美しい湖を眺めながら物想いにふけった。新興住宅の獅子舞とはいかなるものかというお題をひっさげて、祭りに出かけてみて感じたこととしては、伝統的なエリアとの違いは「はっちゃけ感」であった。獅子舞の歴史とか背景とかを知る人は少なかった反面、どれだけ祭りを盛り上げるかを考え尽くして、ノリの要素もありつつ、楽しくお祭りが実施されていた。獅子舞は神社で重厚感がありつつ行われているという印象が強かった分、衝撃的な獅子舞取材だったが、自分も地域の人と同じ目線で楽しむことができて本当に良かった。次回も引き続き石川県加賀市の1つの町に絞り、獅子舞と地域の魅力を取材することとする。





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稲村行真

文章を書きながらも写真のアート作品を製作中。好奇心旺盛でとにかく歩くことが好き。かつてはご飯を毎食3合食べてエネルギーを注入していた。

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