トンネルマニアと行く横須賀トンネル巡り ~横須賀中央編~

  • 更新日: 2018/10/09

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中里トンネルはかわいい

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身近にトンネルマニアが居る。
小1の息子のことなんだけど。

「トンネルの風景」という写真集があって、写真集団「岬」というグループが横須賀のトンネルを淡々と撮影したものなんだけど、これを僕が買ったあと、リビングに放置したことから話は始まる。



息子が、横須賀のトンネルを全部覚えてしまって、潜りたいトンネルがあると言い出した。
それで、いいなと思うトンネルに行って潜る活動、トン活をしています。

トンネル巡りは基本的には車で行ったほうが捗ります。建設費のかかった重厚なトンネルは車道に多いし、トンネル同士が離れているので数をこなすなら車が圧倒的に便利です。
ただ、車で行ったときの致命的な欠点としては、じっくり見ることができないのです。車道には流れというものがありますので、やっと着いたと思ったら時速50キロで駆け抜けざるを得なかったりする。そんな鑑賞方法ある? 例えば、上野の西洋美術館の扉を開けたら小さなトロッコに乗せられ時速50キロで館内を一周、最後いらん水しぶきかけられるとかどう? ぜんっぜん入ってこないでしょ。濡れるし。ワーみたいな顔してる写真売りつけられるし。

じっくり鑑賞するには、やっぱり公共交通機関で行ったほうがいいと思っています。
前回は、JR横須賀線の駅から徒歩10分以内のトンネルをいくつか紹介しました。
今日は、京急線の横須賀中央駅に限定してやってみたいと思います。


横須賀中央駅とトンネル



横須賀中央駅は京急の駅です。



JR横須賀駅からはすぐに海と護衛艦が見えてガチさを醸し出す一方で、京急の横須賀中央駅付近は商業エリアであり、少々浮かれています。
ここらは海軍の街として栄えて、近くに遊郭もあったらしい。



栄えているし、浮かれている。
「カプリチョーザのビアガーデン」という文字が躍るくらいには浮かれている。
え? この雰囲気でトンネルあるの? みたいな風景だけど、ちゃんとある。
駅から海までは平地なのですが、背後に山が控えていて、汐入に出るにも衣笠に出るにも、トンネルを掘るしかなかったようです。
こんな浮かれた駅のわりとすぐ近くに、普段使いのトンネルが点在しているのです。

そんなわけで、横須賀中央は素晴らしいエリアなのですが、一点問題があるとすれば、それを見るために横浜から京急に乗って横須賀中央を目指すとして、その間が既にトンネルの宝庫で、わりと満足してしまう。



もうトンネルとかいっかな、と思う頃に、横須賀中央に着く。なんならちょっと見過ぎて、陰と陽の連続に酔っている。



極めつけには、ホームから先にも別のトンネルが見える。この頃になるとトンネルの有り難み、一つ一つ、山を貫通させたのだなあ、みたいな思いは立ち消え、ちょっと笑えてくる。ありすぎて。
さらにここから歩いて別のトンネル見に行くとか、どうかしている。でも息子が行くというから行く。隧道道はかくも厳しい。大食いバトルの人の気持ちが少し分かる気がする。


横須賀中央駅のすぐ裏、若松トンネル

駅前は栄えているんだけど、裏には山が迫っていて、



崖に鳩がくっついている。磁力?



汐入のほうに向かうと、お目当ての若松トンネルはすぐ見えてきます。




二重の煉瓦アーチ、のタイルは前回の大明寺トンネルと一緒。というか横須賀のトンネルは大体この見てくれ。
とはいえ、これは補修工事の結果こうなったようで、開通は昭和22年とのこと。戦時中は防空壕だったらしい。
若松トンネルは電気が二列あって、それで配線がちょっとごちゃごちゃしてる。
とはいえ僕のモバイル充電コーナーよりはちゃんとしてる。




では。
おじゃまします~。




人多いな。このトンネルは、人通りがとてもある。
あとで調べたら、ここ、山の方から汐入のほうに向かう唯一の道なんですね。
おそらく汐入町のみなさんは、横須賀中央へ買い物に行くためにここを通る。




村畑も通る。




なんか水湧いてんなー。
山であることを思い出させる湧き水。



自然の恵みはそのまま下水溝へ。



もったいないな~の顔。




配線が無骨だよね。所々電気消えてるし。




抜けた。こちらは汐入町。
こっちから見た方が、若松トンネルはシュッとして見える。トンネルに表と裏があるとすると、こっちが表だと思う。
木があるからか、トンネル内へ引く電線が全然目立たない。




ほんとに汐入町だ。あっという間に山一つ越えた。便利だなあ、トンネル!
潜りすぎるとトンネルの意味がよく分からなくなってくるけれど、トンネルは便利ですごい。生活を変えるインフラなのです。


上町、そして中里トンネル

ちょっと遠いけど、是非見て欲しいトンネルがあって。歩いて10分ほど。
中里トンネル、というトンネルがひっそりとあるので見て。



横須賀中央駅の駅前から、繁華街が広がっているんだけど、



横須賀中央駅の西口あたりはちょっと落ち着いている。



そこから、山へ向かって、上町(うわまち)の商店街が続いている。
海軍の下町に対して、山のほうは上町と呼ばれ、陸軍の施設が多かったらしい。





上町は古い商店街で、やってたりやってなかったりする。




季節料理だって。



これは、何を伝えたかったのだろう。四季がめぐるということを、我々に?




アーケードができる前からあったっぽいお店。
壁もいいんだけど、雨樋見て。最高じゃないですか?



雨樋良い~。



最後、幼児がストロー噛んじゃったみたいにグシャってなってるのも良い。
これちゃんと排水できるんだろうか。




「印」で通じるから印の字は強いな。



居抜きであたらしいお店が入ってたりもする。
僕の超絶推理によると、ベーグルのお店とみた。




今歩いてた道は三浦街道というらしい。
後ろに控えるよこすか美容室いいな。




ここから中里通り商店街に入る。
中里という地名はもう無くて住所は上町なんだけど、町内会の名前に残っていたり、まだまだ使われているみたい。
これから行くトンネルも、中里トンネルといいます。
中里通り商店街のサイトにはこんな記述がありました。

いつの頃からかは分からぬが明治22年まで中里村があり、昭和25年までの一時期中里町があった。そして今は俗称が正式名称となり上町となっている

陸軍の上町は俗称だったんですね。
っていうか、ちょっと恨み節というか、上町っていう呼び名、ぜんぜん気に入ってないじゃないですか。




中里通り商店街、商店街の感じはそこまでなく、ゆるく道が続いている。
一軒、やっている八百屋と、軒先に犬が居た。
この道は江戸と浦賀を結ぶ古道「浦賀道」なんだそう。




当世館浴場はもうやっていない。




何かのお店だったものがコインランドリーになっていた。
そんなに言うことがなかったのか、コインランドリーって文字大きいし、2回言ってる。




たぶん歯医者の契約駐車場なんだけど。歯って。




この商店街で一番高いビル。5階建て。
枠がいい。なんか畳にも見えてくる。




笹屋 さ! さ! や!




こういう突然の段差が多くて、排水が無理矢理。




そうこうしているうちに見えてくるのが中里トンネル。
うちのトンネルマニア一押しの理由は「小さくてかわいいから」とのこと。
車線で交互に通行しないといけないので、信号がある。



信号が赤のときは、車はトンネルからけっこう離れたこの停止線で待たないといけない。
トンネルの直前がカーブで、トンネルの存在が確認できない。
これ、初めて通る人は「なんで?」ってなると思う。
停止線を見逃して、バックすることも多いんじゃないかな。



中里トンネルは昭和12年に開通、戦前のトンネルです。
補修を繰り返したんでしょうか、外観こそ横須賀の一般的なトンネルになっていますが、扁額が右から書いてるところとかに古さを感じます。




では、おじゃましま~す。
白っ!



パネルで補修されているのか。



こんな感じで、ガッチリ固定されています。この壁がなかったら、もっと趣があったんだろうな、とか想像する。




iTunesカードをここで使った奴がいる。




反対側に出た。反対側は痴漢を警告している。
最近とはいつのことなのか。昭和の可能性もある。

こちら側の口は見通しがいいからか、信号がトンネル直前に配置されています。
いずれにせよ、信号が青でないと通れないトンネル。




どうしたの? ぼく。迷子?




えっ? 犯罪なの? みたいな顔。


トンネルの宝庫は階段の宝庫でもある

そういえば、横須賀でトンネルを巡っていると、いい階段も目に付く。









高低差は、良い階段も生み出すわけで、ここは階段の宝庫でもあることに気づく。
あと、前回の横須賀トンネル記事のコメントで「トンネルの数だけ心霊スポットがある」と教えていただいた。

横須賀は心霊スポットの宝庫でもあることに気づく。



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参考資料

トンネルの風景

横須賀市追浜がトンネルだらけなのはなぜ?
http://hamarepo.com/story.php?story_id=5230

トコトンやさしいトンネルの本 / 土門剛・三浦基弘

トンネル工法の”なぜ”を科学する / 大成建設



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ヤスノリ

街の歪み研究家。1年に100駅以上降りる。駅を制覇する系のアプリは本気出せば結構なとこまでいくと思うのだけど、毎回起動を忘れる。

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